貶しても変わらない?(13年10月撮影)

 男子400mハードルで世界陸上2大会連続の銅メダルを獲得する快挙を成し遂げ、現在はスポーツコメンテーターとして活躍する為末大さん(35)の発言が、またまたネット上で批判を浴びることになってしまった。

 今回問題となっているのは「他人の浮き沈みに一喜一憂し誰かをけなしても、自分の人生は何も変わっていない」という発言。為末さんは13年10月に「努力すれば成功する、は間違っている」などとつぶやいたことで批判が殺到し、ツイッターが「炎上」した。

■自分のプライドを防衛する為に羨ましい人を攻撃する

 為末さんの寄稿文は2014年1月15日にWEBメディア「Japan In-Depth(ジャパン・インデプス)」に掲載された。「こじれてしまった自尊心の扱い方」というタイトルで、他者にいらだち攻撃的だったりしたとき、自分の過去を振り返えると、その多くは競技の成績が悪く、自尊心が満たされてない場合だった、と書かれている。自分のプライドを防衛する為に、羨ましい人を攻撃する場合もある。

「他人の浮き沈みに一喜一憂し、誰かをけなす事で憂さを晴らす。でも、朝起きてみれば自分の人生は何も変わっていない」
 嫉妬心から出る行動はわかる人には筒抜けで、自分の至らなさを認めて全部晒すことができればいいが、そこまでの勇気がないため誤魔化しながら生きていくことになる。そして、自分の人生よりも他人の人生の方が気になる生き方になってしまう、などと書いている。

 

 ネットでは、批判ばかりを書き込んで「炎上」させている一部のネット民に「クリティカルヒットしている」などと話題になった。さらに、為末さんのツイッターが「炎上」したことに対する仕返しの文章なのではないか、などいった憶測も生まれている。

■「誰かを貶したりするのは大いに楽しい、 人生を豊かにすると思う」

 掲示板「2ちゃんねる」にも今回の文章を引用し「為末大からおまえらにありがたいお言葉」などといったスレッドが立ち、為末さんに対し、

「バカだな。俺たちは誰かをけなすのが人生の目的。毎日やってるからスキルもアップしてる」
「貶すのも人生を何も変えないように見えるが、ストレス発散という面では有効だよ」
「俺の考えは違うな。他人の浮きし沈みに一喜一憂して誰かを貶したりするのは大いに楽しい、 人生を豊かにすると思う」
などといった批判が出ている。

 

 こうした書き込みをしている人たちが本当にそう思っているのかはわからないが、為末さんが上から目線で正論を吐いていることが鼻につき、何でもいいから反発してやろうというのが全体的なムードになっている。2013年10月に為末さんのツイッターが「炎上」したときも似たような状態だった。

 為末さんは、やればできると言うのは成功者の言い分であるとし、

「例えばアスリートとして成功するためにはアスリート向きの体で生まれたかどうかが99%重要なことだ」
「努力だけでオリンピック選手にはなれない」
などと発言した。ネットではそれは正論で間違ってはいないが、アスリートには夢とロマンがあってもいいはずだ、などとして、
「指導者の立場として『努力は報われる』と励ますべきだろ!」
「みんなイチローや中田である必要はないし、努力する事に意義はある」
などと大反発を食らった。