中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

藤川のモデルチェンジ

2008-03-09 18:09:16 | Weblog
 楽天期待のルーキー・長谷部が故障した、というニュースは、阪神を中心に取材しているこのおっさん記者にも、ちょっと残念でならない。2月のキャンプ、久米島のブルペンで見たとき、コントロールの良さが真っ先に目に止まった。あの当時のブログでは「阪神・下柳+ヤクルト・石川みたいな感じ」ということを書いたように思う。それ以降、テレビなどで見るにつけ「+ソフトバンク・和田」という印象に変わりつつあった。普通に投げさえすれば10勝は確実、と思って注目していた矢先のアクシデントだから、さぞノムさんも力を落としていることだろう。焦らずじっくり直してちょうだい―と心から思う次第である。

 この日のスカイマーク。別にいいか、2安打完封負けだし…。ロッテ・渡辺俊の「巧みの技」をじっくりと書くこともできるが、やっぱり阪神についてちょっと触れておくか。細かいところを細かく言えばキリがないから、1点に集中する。藤川にしよう。

 2番手で登板し、1回を3人でピシャリと抑え、貫禄を示した。普通の原稿で短く書くならこうなるが、見ていて特に感じるのが「脱・藤川」という点だ。藤川が藤川を脱する?何やそれ、と言わんといてください。言いたいのは、去年までの自分からの脱皮、ということです。力に頼るだけでなく、いかに余分なパワーを浪費せずに打者を打ち取るか。マウンドに上がった藤川の姿から、それがありありと見える。真っ直ぐは149キロ出ていたが、その球に頼らず、本来持っていた球を考えながら投げている。力任せだった?昨年までの藤川とは、ひと味もふた味も違う印象が現時点である。

 彼の最大の魅力は、強打者に対して怯まず、真っ向からストレートで勝負し、三振に仕留める、という点にある。何も、藤川はそれを捨てようというのではない。肝心なときに、肝心の真っ直ぐを投げるために、抜けるところは抜く練習をしているのだ(多分)。「藤川らしくない!」というファンもいるだろうが、息の長い活躍を求めるのであれば、少々のモデルチェンジは目をつむってやらないと。今年、どれだけ“抜き”つつ、本来の真っ直ぐを放れるか。ここに注目している。

 以上で終了。カラスが舞うスカイからさっさと帰ろ。それにしても、散発2安打は寂しい。「神戸新聞創刊100周年、デイリースポーツ60周年記念」だったのになあ。