中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

島野さん追悼試合

2008-03-05 19:10:27 | Weblog
 どうも涙もろくていかん。ちょっといい話や、ホロリとさせられる秘話なんかを読んだり見たりすると、目の奥からジワジワっと感情をつかさどる液体がにじみ出てくる。こうなると、たとえ自分は冷静でいても、もう制御不可能。年を重ねるごとに、こんなことが多くなってきているように感じる。この日も、そうだ。阪神・島野前特命コーチの追悼試合。横に上司(虎のしっぽ、さんです)がいるのに、ウルウルしてしまった。

 星野SDと田淵氏、岡田監督の始球式に先立ち、京セラドームのオーロラビジョンに在りし日の氏を偲ぶシーンが映し出された。阪神での現役時代や、85年日本一当時、評論家、解説者として仕事をされていたシーン、そして星野監督に請われてヘッドコーチに就任、18年ぶりのリーグ優勝を決めたあの日のシーン。このおっさん記者がかかわったのは、ほんのわずかだったが、今でも鮮明に覚えている。そんなことを思い出しているうちに、黙とうになった。席を立ち、1分間目を閉じていると、昨年末の告別式が浮かんできた。選手や関係者が泣いたあの日。もらい泣きしたことが記憶に甦り、またグッときた。

 しかし、金本という男はすごい。元々、出場する予定がなかったこの試合を直訴してスタメンに名を連ねた。その初打席、初スイングで2ランを放つあたり、もはや神技としか言えない。手術したヒザに全く負担のかからないホームランを、その1打席で打つのだから…。それよりも感心したのは「内野ゴロを打って一塁まで全力で走ろうと思っていた。そんな全力疾走を島野さんがよく褒めてくれた」と話していたこと。すさまじい。これに尽きる。

 金本にこう言わせた島野さんも、やはり凄かったのだと実感する。あの星野SDが惚れ抜いたほどの人だから、さもありなんだが、こうしてみると、やっぱり失ったものは大きい。もう少し、阪神を外から見てほしかった。

 島野さん、今年の阪神はどうでしょうか?やれますかね?やってくれるでしょうね、きっと。秋にはいい報告をしてくれると思いますよ。温かく見守ってやってください。頼みます。