中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

西の虎、東の獅子

2008-03-08 21:16:43 | Weblog
 何年ぶりになるのか。滋賀・大津の「皇子山球場」に行くのは…。むかし昔、その昔、夏の高校野球・滋賀県大会の決勝を取材に訪れたことがあった。優勝したのは八幡商業だったのだが、何年前のことだったか、記憶が定かでない。「俺もそれを観たぞ」という他社の先輩記者が「確か、宇野首相が女性問題のスキャンダルで辞任するかせんかというときやった」と言っていた。しかし、それが何年前かがかわらん。20年以上前というわけじゃないが、十数年前であることは間違いない。

 その「皇子山球場」で行われた阪神対西武のオープン戦は、西武が逆転勝ち。阪神サイドにしてみれば、先発予定だったベテラン右腕・金村暁が、登板直前に左ハムストリングを痛めるというアクシデントや、好調だった杉山が4回5失点と崩れるなど散々。二塁ポジション争いの渦中にいる関本が平野に触発されるように3安打の固め打ちをみせたのが、収穫と言える程度。先日の楽天戦、そしてこの試合といい、期待している能見、杉山両投手が打たれたのは、少し気になる材料だ。この2人は今季は崖っぷちなだけに、次の登板で何とか挽回してほしい。
 
 阪神はこのくらいに止めて、西武の話をしよう。記者と同い年の渡辺新監督に初めて取材したのは、かれこれ16年前。東京転勤後、初めての担当が西武だった。監督はその当時、キラ星の如くいる実力派投手陣の一角を担う存在だった。工藤や郭泰源、渡辺智、鹿取、潮崎…。今考えても、すごいメンバーがいた。打撃陣も清原、秋山、デストラーデを中心に強力な面々が揃っていたし、死角はなかった。当然のようにリーグ優勝し、日本一になったのだが、その中心に現監督もいたのである。同い年で、投手担当だったからよく話はした。身になる話は特になく、雑談程度だったが、本当に「いいヤツ」という表現がピッタリの男だった。

 練習が始まり、グラウンドでの選手の動きをジッと見つめていた渡辺監督に、挨拶しにいった。「調子どない?」といつもの調子で聞くと「ものすごくいいよ」と即答してきた。言い方はやはり関東調だが、全く気にならない。「このまま行くことを遠く西から祈っとるよ」というと、苦笑いしながら「もっとウチの選手を取り上げてよ」ときた。かつてとは違い、今は低迷期からはい上がろうとしているとき。東はともかく西ではどうしても馴染みは薄くなる。しかも、我がデイリーは虎中心主義。しかし、ナベちゃんが監督をしている以上、このおっさんは応援する。まして、投手コーチが近鉄時代から親交のある小野だ。応援しないわけにはいかない。

 西は虎。東は獅子。我が心の中では、そう位置付けて見よう。ナベちゃん、いや、渡辺監督、ちゃんと見てまっせ。