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CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

ブエルタ・ア・エスパーニャ2012を振り返る(1)

2012-12-08 08:02:45 | プロ・ツール

 コンタドールのいないグランツールは盛り上がらない!!コースレイアウトもあったのだろうが、今年のツール・ド・フランスは最高に盛り上がらなかったと個人的には思っている。
 その一方でコンタドールが復帰したブエルタ・ア・エスパーニャは最高の盛り上がりを見せた!!世界選手権との期間を開け、開催時期を繰り上げたこともあるのだが、何と言ってもコンタドールの復帰が大きかったと思わざるを得ない。それを象徴したのが第3ステージだった。Ve2012_stage3

 ブエルタ・ア・エスパーニャは距離は短いが登りがきついのが特徴だが、今年は第3ステージから山岳コースが用意されていた。レース序盤から2級、3級、3級のカテゴリー山岳。さらにゴールの僅か2km手前で1級山岳アラーテ峠を越える。実質的に大会最初の頂上ゴールとなるこのアラーテ峠は、登坂距離5.5km・平均勾配7.8%、最大勾配が11%に達する。本来なら様子見に徹するはずのビッグネームたちが早くも火花を散らす激戦となったのである。
Ve2012_03
 逃げメンバーを1級山岳アラーテ峠の登り口で吸収するや、メイン集団はサクソバンク・ティンコフバンクに導かれる形で登りを突き進む。勾配が10%を刻む登り中盤に差し掛かると、メイン集団からコンタドールが軽やかなダンシングでアタック。これに反応出来たのはホアキン・ロドリゲス、クリス・フルーム、アレハンドロ・バルベルデのみ。つまり、総合優勝争いのTOP4が早くも絞られた格好なのだ。これが3週間にわたるグランツールの3日目の出来事なのである。Ve2012_07

 アラーテ峠の登りで6度、登りきった後も1度、計7度ものアタックを仕掛けたコンタドール。ドーピングスキャンダルで失ったタイトルを除いても、ジロ・デ・イタリア1回、ツール・ド・フランス2回、ブエルタ・ア・エスパーニャ1回とグランツールを総なめにして来た王者が、あたかもチャレンジャーのようにアタックを繰り返す姿に心を動かされない人はいないだろう。
 確かに自分の調子を見るという意味合いもあっただろう。切れはあるけど持続性がない、本調子ではないことは1・2度アタックすれば分るはずである。彼ほどのレベルであれば尚更だろう。解説者は「インターバル・トレーニング」と評したが、レースを重ねながらコンディショニングをして行くコンタドールではあるが、私はこの7度のアタックにはコンタドールのどうしてもこのブエルタ・ア・エスパーニャを勝ちたいという執念のようなものを感じたのである。
 WADA(アンチドーピング委員会)のガイドラインの1/40という微量のクレンブテロール(clenbuterol)の検出で、2010年7月から2年間の出場停止処分が下されたのは今年2月のことでした。故意・過失を問わず禁止薬物を摂取してはならないというのがUCIのスタンスであるが、WADA(アンチドーピング委員会)のガイドラインがあり、コンタドールからの検出量が50ピコg/mlでガイドラインの1/40であることもまた事実である。彼がロードレーサーでなければ、過去のCASの事例に照らしても全く逆の結果になったはずである。レースの結果はレースの場で決まるべきであって、1年半後に裁判所で決まるべきではないと考えるのは私だけではないだろう。こうした想いがコンタドールの中にあり、レースの場で結果を出すために自分は何をすべきか、何が出来るのかを彼は求めていたのではなかろうか?
Ve2012_05
 結果はホアキン・ロドリゲスとバルベルデのゴール前スプリントとなり、微差でバルベルデが勝利しマイヨロホを獲得することになる。コンタドールはフルームにも遅れ4位でゴール。価値ある4位というものが王者にあるのかどうかは分らないが、ファンの目には間違いなく価値ある4位と映ったに違いない。プロスポーツである以上、ファンを魅了することも重要な要素だと思う。ツール・ド・フランスのウィギンスの走りは勝つための作戦としては理解できても、ファンとしては退屈で魅力のないものでしかなかったのである。Ve2012_06

 このステージでのコンタドールの熱い走りは、私にそんな想いを抱かせるに十分であった。そして、翌第4ステージで事件が起きた。ゴールまで40kmを残した強烈な横風区間でチームスカイとカチューシャが一気にペースアップ。ここで大落車が発生したのである。落車に巻き込まれた中にマイヨロホのバルベルデがいた。しかしチームスカイは構わずペースアップを継続。これが後に物議をかもすこととなる。リーダーが落車した場合には集団はペースを落とし復帰を待つという暗黙のルールがロードレースの世界にはある。古い話にはなるが、ホセバ・ベロキがアルプスで落車をし、それを避けようとしたランス・アームストロングがコースアウトで遅れるというアクシデントがあった。あの時はCSCのタイラー・ハミルトンが前へ出てランスを待つように促したことを覚えている。勝つことを優先すれば、落車に巻き込まれた選手を待つ必要はないし、そんなルールも存在しない。しかし、レースをより魅力的なものにすることを考えれば、優勝候補の落車は待つべきであろう。
 この日も山岳ステージで頂上ゴールではあったが、前日とは打って変ってコンタドールはほとんど動かなかった。勾配もゆるく彼向きではなかったことも確かだが、この日コンタドールが仕掛けていればバルベルデとは勿論、ホアキン・ロドリゲスとのタイム差をもう少し稼げたのではないかと思っている。そうしていれば、もう少し楽な展開に持っていけた可能性もあったのである。しかし、一旦は抜け出しかけながらも、最終的にはホアキンのいる集団へコンタドールは戻っているのである。
 人の不運につけ込んで勝ってもファンは心から喜べない。プロ選手である以上勝利は不可欠であるが、それがファンの心理と乖離していたら感動は生まれないし、魅力的な勝利とはいえないのではなかろうか?ファンの心理を理解しないプロスポーツに未来は無い。そのことをUCIは心すべきであろう!!レース結果はレースの場で決まるもので、決して裁判所で決まるものではないのである。

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