
アルデンヌクラシックの初戦アムステル・ゴールドレースでリドル・トレックのスケルモースが世界王者とオリンピックの金メダリストとの3つ巴を征して勝利しました。スプリント力では圧倒的に不利だったスケルモースの勝利に世界中が驚いたはずです。

勿論、ポガチャルにパリ~ルーベの疲労があり、エヴェネプールは故障明け2戦目ということを考慮しても、この二人がスケルモースに負けることは想像すら出来ませんでした。ただ、今季のリドル・トレックは好調で現在は世界ランク2位に位置していることを考えるきっかけにはなりました。

ジョナサン・ミランとマッズ・ピーダスンが活躍していたのは観て来ましたが、そこにスケルモースが入ってくると事情が違います。現在30勝を挙げてトップを走るUAEチーム・エミュレーツに3,500ポイント差にまで詰めて来ているのはバイクが影響しているのではと考えているところです。

TREKのMadoneはGen7からGen8へと進化する中で、IsoFlowをそのままに軽量化とエアロ化の融合を見事に成し遂げているように見えるからです。今季からボトルとケージもRSL Aeroボトル&ケージと専用のものを使用しているのです。エアロロードの最高峰CANYON AERODA CFRもcannondaleのSupersix EVOも空力効果を下げても通常の丸ボトルを使っているのにです。チームの資金力もあると思いますが、リドル・トレックというチームはバイクの能力を全て絞り出す決断をしているように見えるのです。

TREKはGen8からフレーム素材を900シリーズOCLVカーボンとし、Gen7とEmondaとの比較から開発していたということです。TREKのWebサイトには「エアロ・ホワイトペーパー」というページがありますが、そこには興味深いことが幾つか書かれています。そのひとつが「重量 vs 空力性能」というテーマです。勿論、そんなテーマはスペシャライズドがとっくに実践していて、S-WORKS TARMAC SL8はそのコンセプトを実践し、Madone SLR Gen8より軽量に仕上がっているのです。ただ、その最強のバイクを駆るレッドブルは世界ランク7位、クイックステップは8位と低迷しているのもまた事実です。クイックステップはエヴェネプールの故障があり出遅れは致し方のないのですが、レッドブルの低迷は気になります。

今回のアムステル・ゴールドレースはバイクで見てみると、1位がMadone SLR Gen8、2位が最新のコルナゴV5Rs、3位がS-WORKS TARMAC SL8となります。選手の実力は世界ランク1位がポガチャル、2位がエヴェネプールで、スケルモースは27位ということを考慮に入れるとMadone SLR Gen8がいかに優れたバイクであるかが想像できるのではないでしょうか?