ドフィネ第2ステージは予想通りマッチレースとなった。そして勝者はまたしてもクリス・フルームだった。ナンバーワンを誇示するかのように人差し指を天に向けて突き上げる。自ら仕掛けて勝ち取った山頂ゴールでフルーム強しの印象を与えたことは確かだろう。
ただ、2着のコンタドールとのタイム差はゼロ。終始フルームのアタックに対応することが出来たのは唯一コンタドールだけだった。昨年のドフィネではフルームに対し個人TTで2分半、超級山岳2つで11秒の遅れをとっていたことを考えると、コンタドールの復活は間違いないだろう。
一度も自ら仕掛けることなくフルームの後塵を拝することになったコンタドール。そこに何かしらの思惑を感じてしまうのは私だけではないだろう。確かに苦しげな表情を見せてはいたが、それが果たして本当に苦しかったのか戦術なのかが第三者には分らないからだ。
あんな走りを見せられるとフルームでなくとも「彼にはこれ以上の脚が無いと思いたいけれど・・・」という気にさせられてしまうものだ。フルームは確かに強いと私も思う。ただ、昨年の勢いはまだ感じられないとも感じている。加えてリッチー・ポートの不調はフルームにとって不安材料であることは間違いない。
コンタドールはこのステージでは明らかにフルームの調子を観察していた。それも真後ろで。そして、ゴール前勝負ではフルームは勝てないことも分ったはずだ。フルームを負かすには早目の仕掛けが不可欠だということも。
対するフルームは、ライバル達の仕掛けでペースを乱されるよりは、自ら仕掛けてやろうという戦い方をしている。この大会はともかく、登坂力が互角のライバルに対し、3週間という長丁場では、この戦い方では多分持たないだろう。
3週間という長丁場のツール・ド・フランスでは個人の力だけでは勝てないのだ。第2ステージでも早々に丸裸になってしまったコンタドールだが、ツール本番では強力なアシスト陣が彼の周りを囲んでいるに違いない。序盤に個人TTが無く、大きなタイム差が付かない状況なら、フルーム自ら動かざるを得ないシーンも多くなるはずである。
個人的にはコンタドールのツール・ド・フランス3度目の総合優勝がかなり現実味を帯びて来たような気がしている。そして、第7ステージでコンタドールがフルームに対しどのような走りをしてくるかが今から楽しみで仕方が無い。
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