
近年はアメリカンブランドのスペシャライズドやTREK、cannondale等はエアロバイクと軽量バイクの融合を目指しているのに対し、ヨーロッパブランドはエアロロードと軽量バイクの両立を維持しているように感じています。CANYONにも軽量のUltimate cfという軽量モデルがあるのです。サーベロもR5とS5が用意されています。

ただ、実際にはヴィスマ・リアースバイクではツール・ド・フランスの山岳でも軽量のR5ではなくS5を使用していますし、アルペシンもモビスターもAEROAD CFRを使っているのです。ポガチャルもトリプルクラウンを達成したV4Rsに替えてY1Rsを使うのかとずっと疑問を呈して来たのですが、これでポガチャルはV5Rsでツールに臨むことが明らかになりました。

レッドブル・ボーラ・ハンスグローエとクイックステップが使用しているスペシャライズドのS-WORKS TARMAC SL8は軽量バイクAETHOSのエアロ化ですし、cannondaleの第4世代のSupersix EVOは軽量バイクのSupersixとエアロバイクのSystemsixの融合でモデル数を減らして来ているのです。

今回のV5RsはVRシリーズの進化系ですが、Y1Rsの開発で得られたエアロ化のデータが活かされているはずです。これはスペシャライズドがVENGEで培ったエアロ化のノウハウが今のターマックに活かされているのと同じはずなのです。CannondaleもSystemsixのデータをSupersix EVOに活かしている。ただ、今回のV5Rsに関してはエアロバイクというイメージが沸かないのです。

微妙なフレーム設計の変更で前衛投影面積を小さくしていることまでは分かるのですが、これがエアロ化の最適解になるとも思えないのです。ポガチャルが乗ればレースで勝ててしまうので、速いという印象が先走る傾向があるのは否めないでしょう。ポガチャルがS-WORKS TARMAC SL8やTREK MADONE Gen8に乗っていたらどんな結果になるのかを是非見てみたいものです。

その一方で登りを得意とするポガチャルがAEROAD CFRやS5を好むとは思えないのです。コルナゴのV4Rsに関しては間違いなく良いバイクでしょう。このバイクでUAEチーム・エミュレーツは昨年20名の選手で81勝を挙げていることを見ても明らかでしょう。今季の25勝中、23勝がV4Rsなのです。Y1RsはUAEツアーでのポガチャルの2勝のみでは、レースでは使えないはずです。

年間最多の85勝という記録は2009年のコロンビア・HTCでバイクはスペシャライズドでもTREKでもなくSCOTTでした。その後のカヴェンディッシュはスペシャライズドのVENGEでも勝ちまくることになりますが、年間最多勝を挙げたバイクはSCOTTのアディクトで、その記録は未だ破られてはいないのです。その記録をコルナゴのVRシリーズが更新しそうな勢いなのです。