CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

カーボン素材についての考察(4)

2011-09-09 09:27:15 | ロードバイクの科学

 近年高級車でHMカーボン仕様車が増えています。HMとはハイモジュラスの略称(CANNONDALEではハイモッド)でPAN系の高弾性率タイプ炭素繊維のことです。PAN系炭素繊維はその弾性率により低弾性率炭素繊維(LM:引張弾性率:200GPa以下)、標準弾性率タイプ炭素繊維(HT:引張弾性率:200~280GPa)、中弾性率タイプ炭素繊維(IM:引張弾性率:280~350GPa)、超高弾性率タイプ炭素繊維(UHM:引張弾性率:600GPa以上)の5種類に大きく分類できます。HMカーボンは引張弾性率が350~600GPa、引張強度は2500MPa以上とされています。1 Pa (パスカル) = 1N/m2で1平方メートル当たり1ニュートンの力となります。9.8N=1kgfですので,10N=1kgとして変換すると分り易いかもしれません。尚、Gはギガ、Mはメガとなります。ギガは10の9乗、メガは10の6乗になります。
 分りやすくグラム表示に直すと、UHMはおよそ60t/mm2以上、HMは30t~60t/mm2、IMは20t~30t/mm2、LMは20t/mm2以下となります。これがカタログに○○tカーボンとか60HM、50HM、30HMなどと記載されている数字の意味です。また、PAN系炭素繊維は、一般的に密度1.74-1.95g/cm3の直径5-7ミクロンの長繊維(フィラメント)の集合体で、レギュラートウあるいはスモールトウと呼ばれる1K(1000フィラメント)、3K(3000フィラメント)、6K(6000フィラメント)、12K(12000フィラメント)、24K(24000フィラメント)といった種類があります。1本の炭素繊維糸を形成するフィラメントの数が多いほど炭素繊維糸は太くなって行きます。通常の糸であれば太いほうが丈夫なのですが炭素繊維糸に関してはフィラメント数が少ないものほど引張強度が強いといわれています。Dogma_047

 東レとの関係が密なPINARELLOではDOGMAにTORAYCAの60HMカーボン1KをQUATTROに30HM12Kカーボンを使用し、引張弾性率や炭素繊維糸のフィラメント数が分り易い表記となっていますが、他メーカーでは表記が非常に曖昧なのが実情です。単にHMカーボンと言っても引張弾性率が30t~60t/mm2と結構な幅がありますし、炭素繊維糸を構成するフィラメント数によっても引張強度などが異なってきますので注意が必要かもしれません。

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« GIANT 2012年日本発売モデル... | トップ | 2台目のロードバイクはCAAD10... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ロードバイクの科学」カテゴリの最新記事