
昨年12月にホワイトペーパーが開示されたコルナゴの最新エアロロードバイクY1RsがようやくUCIプロツアーで栄冠を手にすることが出来ました。UAE女子ツアーでお披露目されてはいたものの、Y1Rsは登りゴールのステージでは使用されず、ステージ優勝と総合優勝を手にしたUAEチームADQのエリーザ・ロンゴボルギーニの勝利はV4Rsだったのです。

それを受けて男子チームも登りゴールではV4Rsを使うのではと予想していたのですが、ポガチャルはY1Rsに乗って登場したのです。アルプスやピレネーといった急勾配のステージではおそらく使わないと思っているのですが、今回のジュベル・ジャイスは全長21.6kmと長いものの平均勾配は5.4%、最大でも9%だったので、エアロ効果を重視したのでしょう。

且つてcannondaleのSystemsixでの実験で勾配6%まではSupersix EVO(第2世代)より速いというデーターを発表していたことがありました。また、昨年のツール・ド・フランスの後半でヨナス・ヴィンゲゴーが山岳ステージでも軽量のR5ではエアロロードのS5を使用していたことも知られています。

エアロ効果か軽量効果のどちらに重きを置くかは、コース形状や勾配によって変わってくると考えています。ただ、これは個人差もあるので、チームが全て同じバイクを使うかはまた別の問題になると思います。今回ポガチャルの発射台となったジェイ・ヴァインは同じバイクに乗りながら最後は結構キツそうに見えました。

Y1Rsはポガチャル仕様で設計されたところもあるので、万人向けのバイクではないのかもしれません。ヴァインの背後から一機に飛び出したポガチャルの走りがあまりも凄かったので、Y1Rsも凄いと思ってしまうかもしれませんが、一般人がポガチャルを基準に考えることはとても危険なことだと思っています。

総合優勝を目指すポガチャルが最終ステージでどちらのバイクを選ぶのかに注目しています。最終ステージはジュベル・ハフィートの頂上ゴールです。距離は10.7㎞と短いのですが平均勾配は6.8%あります。この勾配だとエアロ効果より軽量効果の方が高いはずですが、UAEツアーはとにかく風が強いので、ジュベル・ハフィートまでの140㎞を優先するか、ジュベル・ハフィートの登りを優先するかでバイク選択は変わってくるはずです。このステージでポガチャルがどちらのバイクを選択して来るかで今後の方針が見えてくると考えています。
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