Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

S2-1 Helsinki(後)

2013-02-17 08:11:46 | 日記
続きです。

 ↓


(無線)
管制塔:G-T-Iへ、3千フィート上昇して旋回、左にまがったらあとは勘で飛んでくれ。迷子になったら立ち止まって誰かに聞けばいい。
ダグラス:ありがとう、カール。了解。(無線オフ)
(ドアが開く音)
アーサー:ねえ、ここにいるちっちゃいのが、中に入ってもいいって聞いたって。
キーラン:僕はちっちゃいのじゃない!
アーサー:ちっちゃいよ。
マーティン:ああ、もちろん。入りたまえ、キーラン。
アーサー:スキッパーが入ってもいいって言ってる。
キーラン:聞こえたよ。
アーサー:うん。でも伝えるのが僕の仕事なんだ。
キーラン:つまらない仕事だな。
アーサー:違うよ。つまらない仕事をしているのはきみのほうだ。
キーラン:僕は学生だよ。
アーサー:そうさ!
(ドアの音)
マーティン:キーラン、いらっしゃい。そっちに座って。そこはジャンプシートっていうんだ。
キーラン:うん、知ってる。
マーティン:オーケイ。さて、ここに並んでいる画面やノブはものものしく見えるだろうけど、実際はそんなに違わないんだ、きみのお父さんの車と。 どうした?
キーラン:ごめんなさい。でも僕はマイクロソフトのフライトシュミレーターXのデラックス版を持ってるんだ。毎日3~4時間やってるよ。
ダグラス:遊んでいる、だろう。
キーラン:ううん。それで訓練してるんだ。
ダグラス:なるほど。でもゲームだ。だから、遊んでいる。
キーラン:とにかく、僕はあなたたちよりもこういった機器に詳しいと思う。
マーティン:それはどうかな。僕もフライトシュミレーターを持っているよ。
キーラン:へえ、いつのやつ?
マーティン:95年。
キーラン:どのくらいそれで訓練しているんですか?
ダグラス:遊んでる、だ。
マーティン:ほぼ毎日。
ダグラス:ちょっと、ちょっと待った、マーティン。きみは10~12時間、飛行機を操縦したあと家に帰り、一息つくために、コンピューターの前に座って、仮想の飛行機を操縦しているのか?
キーラン:とても賢明な方法ですね!万一の危機に備えて復習することができる。
マーティン:まさにその通りさ。どうだい、ダグラス?
ダグラス:きみの人生が、偏執狂の14歳の少年に認められたわけだ。
キーラン:言葉をよく知らない人たちは、集中力のある様を偏執と言うよ。
ダグラス:その人たちが言うのはそれだけじゃないさ。
マーティン:彼のことは気にしないで。それで、僕に聞きたいことってなんだい?
キーラン:ええっと、まず最初にあなたの背景から。仕事以外の興味は何ですか?
マーティン:なに以外だって?
キーラン:飛行以外の。
マーティン:飛行以外で?
キーラン:ええ。
マーティン:つまり、飛行以外の何に興味があるかって?
キーラン:そうです。たとえば僕の場合は、リュートで7級を持ってる。でも、8級を取る気はないんです。家庭教師にコンサート用に時間をさくほうがいいって言われて。
マーティン:うん、僕はリュートは弾けないな。
キーラン:それに僕、空手はオレンジベルトです。
ダグラス:オレンジ?一番怖い色だな。
キーラン:うん。だから僕の体は凶器なんです。自己防衛以外にこの才能を使うことは法律で禁じられているんだ。
ダグラス:そうか、きっときみはその横っ面をはたいてくれる人をずっと探しているんだろう。
マーティン:ダグラス!


ルース:そう、これがあなたの旦那さんの役員専用機ね。
キャロリン:役員専用じゃないし、彼は私の旦那じゃないし、これは彼のものではないわ。それ以外は大当たりよ。
ルース:ふうん、なんだかヘンテコな飛行機ね。翼はああなっていていいの?
キャロリン:そうよ。
ルース:この音は正常?
キャロリン:完全に正常です。
ルース:これって取リ外せるものなの?
キャロリン:そうよ! いえ、違うわ、私に貸して。
ルース:ところで、元旦那はお元気?
キャロリン:私が彼とは話をしないことくらい、よく知っているでしょう。
ルース:いえ、あの元旦那のことじゃなくて、もう1人の元旦那のことを聞いたの。
キャロリン:元気にしていると思うわ。
ルース:よかった。私、イアンは好きだったのよ。
キャロリン:覚えてます。
ルース:立ち入ったことを聞いてごめんなさいね。あなたが複雑な人生を送っているってことを忘れていたわ。
キャロリン:複雑だとは思わないけど。
ルース:あら、そうなの?じゃあ何だと思うの?
キャロリン:人生よ。
(ドアの音)
アーサー:ああ、母さん、ルース伯母さん、話は弾んでる?よかった。飲み物はどう?オレンジジュース?コーラ?
キャロリン:私がほしいのはスコッチのトリプル。それを私が用意するわ。(立ち去る)
アーサー:うん、でも、最高。ちょうどよかった。ルース伯母さん、ケーキはどこ?
ルース:ケーキって?
アーサー:お誕生日のさ。母さんのバースディ・ケーキだよ。
ルース:知りません。
アーサー:でも、、僕のEメール届いたでしょ?ケーキ持ってきてってお願いした。
ルース:ええ、受け取ったわ。でも返信してなかったでしょう?
アーサー:ケーキを持ってきてくれると思ってたんだ。
ルース:どうして? 私のような専業主婦は、バリバリのビジネスウーマン・キャロリンのためにお菓子を作ることが至上の喜びだと思っているから?
アーサー:ううん、そうじゃなくて、、ごめんね。ケーキで母さんを驚かせたかったんだ。
ルース:なら、あなたがケーキを準備すべきだったわ。
アーサー:うん。そうだね。
ルース:その通り。


マーティン:それについては、基本的に、その、そのときの状況によるんだと思う。
キーラン:そう。今後は、「分からない」って答えてもいいですよ。じゃ、次の質問。
ダグラス:いや、そうは思わない。そろそろおばあさんのところに戻りなさい。
キーラン:まだ終わってないよ。
マーティン:終わりだ。ダグラスが言うとおりだよ。我々は忙しいんだ。
キーラン:でも機長、あなたの大成功の秘訣を聞きたかったのに。
マーティン:大成功って言った?
キーラン:当然ですよ、32歳で司令官の地位なんて偉い。ぼくは偉人から学びたいんです。
マーティン:そうか、うん。そうだね。自分のことをそのように言うのは、イギリス人が苦手とするところだよね。僕たちは成功を祝ったり、ひけらかしたりしないから。
ダグラス:言わせていただければ、サー、あなたがその苦手を克服しようと闘っている姿は実に感動的ですな。
キーラン:じゃ、まず最初に、どの飛行学校に行ったんですか?
マーティン:ああ、僕の話はもっと素晴らしいんだよ。僕は独学で操縦士免許をとったんだ。
キーラン:すごい。学校には申し込む価値がないと思ったんですね?
マーティン:いや、申し込みはしたんだ。
キーラン:で、入学許可を断ったんですか?
マーティン:いや、そのような許可はもらわなかったんだ。
キーラン:「そのような」って?
マーティン:ああ、そうさ。どこからも許可はもらってない。全部独力だよ。飛行時間と計器飛行証明の時間をかせぐために、何年もバイトや夜勤をして、それから再試験のためにまた頑張ったんだ。
キーラン:計器飛行証明の試験に落ちたんですか?
マーティン:最終的には合格したよ。
キーラン:おめでとうございます。とにかく、貴重な時間をありがとうございました。では失礼します。
マーティン:なんだって?もう行っちゃうの? 僕は32歳で機長だ。これはすごいことだってお互い認めたろう?
キーラン:ええ、でもあなたの経歴と僕の将来図は合いそうにないので。
マーティン:じゃあきみの将来図ってどんなのだい?
キーラン:クライスト・カレッジ、ケンブリッジ、イギリス空軍奨学金、2度の従軍。オックスフォード飛行学校に転入、大手航空会社で20年勤務して45歳で引退。そのあと政界に入って国会6期以内で内閣に入閣。
ダグラス:それから首相になったきみに我々が忠誠を誓うんだな。
キーラン:はっきり言って、首相になる気はないんです。でももし同僚に強く推薦されたら、そのときは僕の義務を果たします。
ダグラス:まいったな。きみなら実現できそうだ。


(カーテンの音)
ダグラス:やあ、アーサー。お湯は沸いているかい?
アーサー:言ってくれれば僕がいれたのに。
ダグラス:いや、ちょっとチビ・ムッソリーニから離れたかったんだ。きみはここで何してるんだね?
アーサー:ケーキ作り。
ダグラス:ふむ、なるほど。この泥と砂利が材料なのか?
アーサー:チョコレートムースだよ。キプロスに行ったときのが6つ余っていたから、それを全部まぜて、このアーモンドビスケットをいれて、サンドイッチメーカーで焼けばきっと、、
ダグラス:でも期待通りには出来上がらなかった。
アーサー:うん。
ダグラス:それにしてもどうして急に菓子職人になろうと?
アーサー:母さんの誕生日だから、ケーキで驚いてもらいたかったんだ。
ダグラス:これを見たら間違いなく驚くさ。


入国管理官:こんにちは。ヘルシンキへようこそ。パスポートを拝見します。
ルース:あらまあ、ここがヘルシンキ空港なの?こんな辺鄙な小さい町がヘルシンキだったなんて。来るんじゃなかった。
入国管理官:申し上げますが、ヘルシンキはとても素晴らしい近代都市で、2つの国際空港があります。
ルース:ここはそのうちの小さいほうなのね?
入国管理官:ここはどちらでもありません。ここはラウダヴァーラ飛行場です。
マーティン:あの、キャロリン。その、今回は一番安い着陸料の空港がいいかと思って。ミレナーさんは場所を指定していなかったし、、その、もちろんミレナーさんは指定しないわけで、、
キャロリン:ここでいいわ。
ルース:私たちをはるばるここに連れて来たのは、これから4時間、この空港で座るため?
キャロリン:そもそもこれは私のアイディアじゃないのよ。
ルース:私はもう全部見ました。もう充分よ。
入国管理官:次の方どうぞ。
アーサー:母さんは先に行ったよね? こんにちは。
入国管理官:では、あなたの、、おお、この濡れた箱は何ですか?
アーサー:秘密の物。
入国管理官:空港は秘密の物を持ち込むには不向きの場所ですよ。中を見せてください。おお、神様!これは何ですか?
アーサー:ケーキです。
入国管理官:ケーキには見えませんね。
アーサー:分かってる。パウダーミルクを入れて少しでも固めようと思ったんだけど、固まらなくて、大きくなっちゃったんだ。それにヘンなにおいがして。でもこれはケーキだよ。
入国管理官:申し訳ありませんが、このケーキはフィンランドに入国できません。
アーサー:ええっ?
入国管理官:持ち込み不可能です。現在、輸入を許される食品には厳しい取り決めがあり、これはどのカテゴリーにも、いつの世にも当てはまりません。
ダグラス:マイロ!
入国管理官(マイロ):やあ、ダグラス!
ダグラス:元気そうじゃないか。イギリス・フィンランド交換留学で初めて出会ったときから全然変わってないな。
マイロ:よく言うよ。
ダグラス:古き良き日々を祝うために、私は大変男らしいところをみせて、きみに花束を持ってきたよ。
マイロ:そしてこちらはきみが魚が大好きなことを思い出したので、ここに14箱準備しておいた。
ダグラス:なんと思いやりのある贈り物! さて、この若いアーサーになにか問題でもあるのかい?
マイロ:ああ、この子は、この、チョコレートっぽいものを持ち込もうとしているんだ。これは許可できないよ。
ダグラス:なるほど。でももし彼が「英国スカンジナビア間チョコレートっぽい食品輸入税」を支払えばどうだい?最近設定されたとニュースで聞いたが。
マイロ:ああ、あれね、もちろん。100ユーロいただきます。
ダグラス:100?確か50って聞いたぞ。
マイロ:いやいや、100だよ。
ダグラス:そうなのか?私が最初にこのニュースを聞いたときは驚いたから、次は耳をそばだてていたんだ。確かに75と言っていたぞ。
マイロ:オーケイ。では75ユーロいただきます。
アーサー:ありがとう、ダグラス。
ダグラス:どういたしまして。


(ドアの音)
マーティン:ダグラス、どうしてカフェに行くんだい?
キーラン:開いてもいないのに。
ダグラス:アーサーのびっくり作戦のためさ。彼はあのカウンターの裏に隠れて、ケーキのようなものと一緒に飛び出す。
アーサー:やあ、みんな!
ダグラス:というわけできみたちはここで待機。私がキャロリンを連れて入ったら、歌をはじめてくれ。
(ドアの音)
マーティン:じゃ、キーラン、待っている間に、他に僕にききたいことはあるかい?
キーラン:いえ、結構です。
マーティン:本当に?
キーラン:ええ。あなたを指針とすることは間違いであるような気がしてきたんです。
マーティン:それはないよ。きみは言ったろう、32歳で機長になるとは偉いって。偉いって言ったんだよ。
キーラン:ええ、そこが疑問なんです。他の機長は何歳なんですか?
マーティン:他の機長って?
キーラン:航空会社の。
マーティン:機長は僕1人だよ。
キーラン:でもどうやって?全部のフライトに乗っているわけじゃないでしょう?
マーティン:そうだよ、我々がパイロットだ。
(ドアの音)
ダグラス:よし、みんな、準備はいいか?
キーラン:それってつまり、あなたは2人のなかでの機長ってこと?
マーティン:そうさ。何がおかしいんだい?
キーラン:いえ、なにも。これで全部説明がつきます。
マーティン:なんの説明が?
キーラン:その、飛行学校に入学できなかったこととか、計器飛行証明試験の落第とか、要するに、あなたの現在の地位ですね。
マーティン:このチビが、、
ダグラス:マーティン。
キーラン:これまでずっと、あなたは正規の機長だと勘違いしてましたよ。
マーティン:よくも言ったな!
ダグラス:マーティン、よせ!
(パチン!)
キーラン:ああっ!
ダグラス:まずいな。これはまずいぞ。
マーティン:ごめんよ、ごめん。本当に悪かった。
キーラン:僕を殴ったね!
ダグラス:いや、さっきのは横っ面にちょっとあたっただけだ。
キーラン:つまり、僕はこうできる!
(空手の音。マーティンの悲鳴)
マーティン:よしてくれ、ごめん、謝るよ。あああ~
(ドアの音)
キャロリン:いったい何事なの?
ルース:キーラン、またなのね。すぐ止めなさい!
キーラン:違うよ、おばあちゃん。あの人が先に殴ったんだ。本当だよ!
ルース:そんなわけないでしょ。あなたの大伯母さんは確かにこんな安っぽい飛行機を持っているけど、子供を殴るようなパイロットは雇いません。
キャロリン:ああ、どうしましょ。
キーラン:嘘じゃないよ。本当に彼に殴られたんだ。ダグラス、そうだよね?
ダグラス:きみの横っ面をちょっとはたいたかもな。
キーラン:そうなんだ、殴られたんだよ。耳を殴られた。
マーティン:はたいただけだよ、殴ってはいない。
ルース:あなた、私の孫に手を出したの?
マーティン:彼は平気だよ。
ルース:かよわい子供を殴ったのね!
マーティン:彼はかよわくなんかないよ。絶対に違う!
ルース:いいわ、あとは私の弁護士たちから連絡させます。
キャロリン:そんな言い方は許しません。この子は元気じゃない。
ルース:これは児童虐待だわ。人権裁判所に訴えることもできるのよ。
ダグラス:それは無理だと思いますね。
キャロリン:私を訴えることはできません。逆にあなたを訴えるわ。この子が私のパイロットにしたことを。
マーティン:お願いだからそれだけはやめてくれ。頼むよ。
ルース:またやってくれたわね、キャロル。
キャロリン:キャロリンです!
ルース:あなたはいつもそう。自分の能力以上のことばかりしたがるのね。エアラインの経営ですって。お菓子屋さんすらまともにできなかったくせに!
キャロリン:お菓子屋さんなんてやりたくなかったわ。それにエアラインじゃなくて、チャーター機よ。それを私はちゃんと経営しています。もう12年間もね!
ルース:ええ、その結果がこれよ。飛行機はオンボロだし、オフォスは掘っ立て小屋、そして子供を殴るばかなパイロット。あなたは失敗したのよ、キャロル、しくじったの。学校でもそうだったし、あのお店も、2回の結婚生活もね。
キャロリン:私は、わたし、、その、、
アーサー:もう、黙れ! この、、ひどい伯母さん!
ルース:あなたなにを、、それって一体、、泥のかたまり?
アーサー:これはケーキだ!
(“ケーキ”を投げる音。ルースの悲鳴)
ダグラス:こうして、彼はみなを驚かせましたとさ。


(無線)
管制塔:了解、G-T-I。飛行を継続。
マーティン:ありがとう、スウェーデン。(無線オフ)
ダグラス:それで、結局のところ、ヘルシンキをどう思う?キラキラした滑り台か、地獄の巣窟か?
キャロリン&マーティン:地獄の巣窟。
ダグラス:おいおい、そんなに悪くはなかったろう?
マーティン:キャロリンは姉とその孫を飛行場に置いてきたし、アーサーは75ユーロも払った泥のかたまりを伯母さんに投げつけた。
ダグラス:そしてきみは子供を殴った。
マーティン:うん。
キャロリン:そして子供に殴り倒された。
マーティン:うん。
ダグラス:同じ子供にね。
マーティン:分かっているよ、ダグラス。僕もそこにいたんだ。
ダグラス:ああ、確かに。床にいたね。命乞いしてた。
マーティン:分かってるってば。
(ノックの音)
アーサー:準備はいい?
ダグラス:ああ。マーティン、照明を落としてくれ。
マーティン:よし。
(ドアが開く音)
アーサー:ハッピー・バースディ・トゥ・ユー♪
みんな:ハッピー・バースディ・トゥ・ユー、、♪ 
キャロリン:まあ!このケーキには本当に驚くわ。
ダグラス:予想通りだ。
キャロリン:しかもなにが驚きって、フィッシュケーキなんですもの。
アーサー:うん。ダグラスがね、もしかしたら普通のケーキが出てくるかもって母さんは思ってるんじゃないかって言って。
キャロリン:ちょっと思ったわ。
アーサー:でしょう!だから普通のじゃ―その、普通のはなかったんだけど―驚いてくれないだろうけど、でも、これならね。
キャロリン:確かにそうね、それに、
アーサー:空港の売店にはキャンドルがなかったから、その代わり、
キャロリン:タバコね。
アーサー:うん、そう。それが20本しかないのは、
キャロリン:1箱20本入りだから。
アーサー:それもあるけど、フィッシュケーキに乗せられるタバコは20本が限界だったんだ。
ダグラス:毎日が新しい知識との出会い。
キャロリン:うれしいわ、アーサー。どうもありがとう。
アーサー:どういたしまして。
キャロリン:それに蘭をありがとう、マーティン、とってもきれいよ。ダグラスが、愛する税関係員にあげていたのよりも数は少ないけど。
ダグラス:でも驚くことにどちらも値段はほぼ同じ。さて、これは私からのプレゼントだ。
キャロリン:忘れてたと思ったけど。
ダグラス:まさかその言葉にだまされたわけじゃないだろうね?私からのプレゼントは、あなたの右手にご覧いただけます。
キャロリン:まあ!きれい!
マーティン:すごい。こんなの初めて見たよ。
ダグラス:なかなかのもんだろう?
アーサー:なに? なにを見てるの?
ダグラス:きみのもう一方の右だよ、アーサー。
アーサー:わあ、すごい。最高!
キャロリン:でもあなたが私のためにオーロラをアレンジできるなんて思えないけど。
ダグラス:ああ、でももしそれが出来る人間がいるとしたら、それは誰だと思う?
キャロリン:どうもありがとう。
アーサー:僕のフィッシュケーキがちょっとかすんじゃったね。
ダグラス:このオーロラは、我々2人からのプレゼントだ。
マーティン:ねえ!
ダグラス:いいだろう。我々3人からだ。
(ドアが開く音)
フィリップ:あの、、どうも。
キャロリン:フィリップ!あなたが乗ってたなんて気付かなかったわ!
ダグラス: 客室の2重チェックは完璧だったな、アーサー。
キャロリン:フィリップ、申し訳ないけど、私たち、ルースとキーランをヘルシンキに置いてきたのよ。
フィリップ:そう。うまくやったね。
ダグラス:ちょっと待った。あなたは耳が聞こえないはずでは?
フィリップ:シーッ!内緒だよ!


 (エンド・クレジット)