Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

JFSP S1-3(後)

2013-12-27 06:40:11 | 日記
後半です。


 ↓


議長:では次の質問をどうぞ。
質問者:皆が解決を待ち望んでいるのに、その解決策の全てが一部の人々を怒らせるこの非常に複雑な問題を、私たちはどのように扱うべきでしょうか?
議長:輸送兼お買い物担当の影の大臣、フィリップ・サットンくん。
サットン:はい、我々の態度は明解です。この問題について、国を挙げて討論しましょう。
議長:国民討論を?
サットン:そうですとも。これは直ちに、そして本腰をいれて取り組むべき問題です。みなさんは、いま行っていることを止めて、近くにいる人に向かい、答えがみつかるまで存分に口論していただきたい。
議長:でもそれは国民によって選ばれた政治家の仕事では?
サットン:いいえ。政治家が選ばれたのは、討論をいつ行うか、国民に伝えるためです。そして私はいま言います。はじめ!
議長:西向き担当第3党スポークスマン、アン・マカリスターくん。
マカリスター:お言葉を返すようですが、私たちは今、この件に対して行動を起こすべき頃合いです。特に口論を。私たちに必要なのは国民討論です。
サットン:私はさっきそう言いましたよ。
マカリスター:いいえ。私が提案するのはちゃんとした国民討論です。イギリスにいる全ての人々がスケジュール帳を見せあって、どの日なら会えるのか確認し、そして場所も便利そうな中間地点、例えばノッティンガム辺りにして、そこで大きなテーブルを囲み―とても、とても大きなテーブルよ―全部吐き出すんです。
議長:でもみなが問題を吐き出したら、どうやって解決策を見出すというのです?
マカリスター:そういった困難な質問こそまさに国民全体で討論すべきです。
議長:あなたにお伺いしているのですよ。
マカリスター:私は国民討論を途中で妨げる気はありません。
議長:なるほど。では次に音大臣のマーク・ギラードくん。
ギラード:はい。政府には指導力が求められます。それに、率直に申しあげると、この問題についての国民討論は時すでに遅しです。よって私は、陪審団の速やかな設立を提案します。
議長:なるほど。そして各分野の専門家に、証拠や論点を提示するのですね。
ギラード:とんでもない、違いますよ。イギリス国民は、いわゆる“専門家”を正しく疑問視しています。
議長:“いわゆる専門家”とは?
ギラード:専門家のことです。全ての専門家は自称ですよ。いいえ、私は誓ってお約束します。この裁判にはなんの話だかさっぱりわけの分からない人たちだけが参加します。
議長:ではなぜ彼らに訊くんです?
ギラード:彼らが人民だからです。
マカリスター:国民です。
サットン:納税者だ。なかには親もいる。
ギラード:彼らは、我々プロの政治家が望んでも得られない知恵と政治的洞察力を持っている。
議長:そしてあなたはこの裁判に参加できないと?
ギラード:当然ですよ。政治家やジャーナリスト、経済学者や科学者もダメ。人々だけです。
議長:それは政治家の責任逃れでは?仕事をすべく選挙で選ばれた人たちが、その仕事をしないと人々に事あるごとに訴えるのですか?
ギラード:それは、、
議長:あなたに聞いているのではありません。みなさんはどう思いますか?是非意見をきかせてください。手紙を送る、電話する、Eメールでも、私たちのブログにコメントを書いても、あるいは窓から顔を出して叫んでくれても結構です。なにを考えているのか、あるいはなにも考えていなくても、とにかく私たちに聞かせてください!



1885年10月4日、キャベンリー・スクエア。
拝啓。我々人間には異なる好みや慣習があることは確かですが、私たちがこの部屋を共有することになったからには、最低限の礼節はお互い守りましょう。ゆえに、以下の点で貴殿の協力を仰ぎたい。私の本を読むのは歓迎するが、お願いだから読んだら元の場所に戻してほしい。部屋中にほっぽりだすのではなくて。私の化学器械は、繊細かつ高額なものなので、これには絶対手を触れないでほしい。そして食べ物は、これらは決して家具や服に塗りつけるものではない。他にも指摘したいことはありますが、取り急ぎ以上の案件についてお願いします。敬具。ヘンリー・ジキル博士より。
ハイド:親愛なるデカケツ博士さま。なんてたわごとだ。俺は俺の好きなことをやるんだ。お前が気に入らないなら、そのほうがいい。だって俺はお前のことが気に入らないからな。お前の化学なんとかは全部ぶっ壊してやったぞ。また買うようなら、そいつも壊してやる。ぜひ新しいのを買ってくれ。俺は壊すことが大好きだ。俺は壊し屋なんだ。愛をこめて、エドワード・ハイド。
ジキル:拝啓。これは狼藉です。きみに弁償してもらうよう請求書を送りたいところだが、それが非現実的問題であることが実に残念だ。それにきみが私の百科事典に画鋲でとめたスケッチは、悪趣味なだけでなく、解剖学的に見ても大変間違っている。自宅を尊重できないのなら、せめて自らの体は大切にしてほしい。我々はどちらもこの体で生きなけらばならない。私は長年にわたる禁酒会のメンバーとして、きみの二日酔いにはうんざりなんだ。H・ジキルより。
ハイド:セイウチ顔の博士へ。黙れ!俺がこの体になにをしようと俺の勝手だ。これは俺の体なんだ。俺はとても恰好いい。お前だと間抜けでデブに見えるだろ?俺にいちいち指図するなよ。俺は楽しいことをしたければ、楽しいことをする。楽しいことは大好きだ。楽しいことは楽しいからな。ああ、それで思いついた。思いついたからにはやるぞ。それが俺のやり方だ。エド。
ジキル:ヒゲを剃ったな!信じられない、ヒゲを剃るなんて!それにうちの行商人を殺した。これはやりすぎだ。きみを拘束する気はないが、私はいま、部屋に鍵をかけて閉じこもっている。そして目の前には品の悪い赤ワインのボトルだ。準備はいいかね、これはきみにとってよい薬になるだろう。H・J。
ハイド:これが酒だと?ハハハ、俺は飲める前から酒を飲んでいる。バカな博士め、あきらめろ。お前には俺を止めることはできないんだ。無駄な努力はよせ。これからお前の帽子をかぶってやる。
ジキル:拝啓。同僚のスタンフォード・ハリソン医師からのよろしくとのことだ。ハリソン医師は最新の手術技術の先駆者で、その術は精管切除と呼ばれている。この言葉はきみには耳新しいだろうから、きみが描いたスケッチの訂正版をお見せしよう。これで分かるはずだ。私がやらないと思うなよ。H。
ハイド:親愛なるジキル博士。私が買った新しい化学器械はお気に召しましたか?私が壊したものより上等ですよ。あれを壊してしまってごめんなさい。それから、ヒゲももっと生えるといいですね。ヒゲはあなたによく似合います。敬白。そして、重ねてのお詫びを。エドワード・ハイドより。
ジキル:よくなったな。H。
ハイド:でも行商人はまだ殺してもいいでしょう?
ジキル:いいだろう。だがひと月に一人までにしろよ。それから死体はきみが処分すること。



男:オーケイ。これから言うことをよく聞いて、僕が合っているかどうか教えてくれ。きみは僕が言ったと思っていることについて言ったことについて僕が言ったと考えていることに対して怒っているけど、僕たち2人とも意見が一致したように、僕は言ってない。きみは僕がやるといったと考えていることを僕がやらなかった時にきみがしたことをしたときにぼくがしたことについてきみが思っていると僕が考えているときみが思ったことはね。僕は努力すると言ったと考えている。これで合ってる?
女:ええ。
男:そうだろうと思った。でも僕はそんなこと言ってないよ。
女:言ったわよ。あなたはあなたが言ったと私が思っていることについて私がどう考えているか言ったら、私が言ったことが信じられないって言ったわ。でも私たちが合意したように、あなたは言ってないのよね。なぜならあなたがするって言ったことをしなかったからじゃないって私が言ったと言ったと思っているからではなくて、あなたがするって言ったからなのね。そのせいで私が感じたことをあなたが感じないと感じたとあなたが感じているような気になるわ。
男:きみがどんな気持ちでいるか僕が感じてるときみが感じているように僕が感じていることは知っているだろ。
女:ええ。でも私がそれを知っているとあなたに分かっているとは思えないのよ。まさにそれが私が言いたかったことなの。
男:なんだい、きみはなんて言いたかったの?
女:つまり時々、あなたは、ちょっと分析魔になるってこと。
男:そんなバカな。



カメラマン:♪ヒョウといえば、ユキヒョウだ~。ヒョウといえば~♪
博士:頼むよ。
カメラマン:なに?
博士:悪いけど、その歌を歌うのはもうやめてくれないか?
カメラマン:うん、分かった。それで、もし撮影できたら、きみがTVで解説するんだろう?
博士:いや、いや、違うよ。デイヴィッド・アッテンボローがやる。
カメラマン:ああ、そうか、そうだよな。きっと彼の大ファンなんだろうね?
博士:ああ、もちろん。どうして?きみはそうじゃないの?
カメラマン:ああ、もちろん俺もさ。みんなアッテンボローが好きだ、だろ?
博士:うん。その通り。彼は偉大だよ。
カメラマン:ああ。
博士:けど、
カメラマン:なんだい?
博士:これは個人的な意見だけど、彼はとっくにフィールドワークを引退したのに、まだ声の仕事をやってるのが理解できないんだ。
カメラマン:まさにその通り。きみがやるべきだ。
博士:僕には無理だよ。
カメラマン:もちろんきみさ。きみがここで凍えながら貴重なユキヒョウを待っている間、彼はどこにいるってんだ?
博士:自宅のベッドだろうね、きっと。
カメラマン:その通り!俺たちが全然違うものを送ったって、きっとあいつは、、。そうだ、こうしよう。そこらにいるヒョウを撮って、修正液で白くしようぜ。
博士:うん。それとも、白いヒョウを見つけて、芋版で斑点をつけてもいいね。
カメラマン:そりゃいいな。それに、映像を送るんじゃなくて、あいつが自分で撮影したものに解説をつけろって言ってやろう。
博士:こんな感じかい?「ここサリー州では、窓の外に、息をのむ光景を見ることができます。もしかしてあれはムクドリか?ああ、もう行ってしまった」
カメラマン:「一方その頃、私たちは、うちの猫がおしりをなめる荘厳で希少な光景をカメラに収めました」
博士:「千年以上の進化の過程で、このつつましい飼いならされたネコ科の動物は、おしりをきれいに保つことができるようになり」
カメラマン:「そして、息は臭くなりました」
(笑う)
カメラマン:ヒョウだ!
博士:ああ、そうかい。
カメラマン:違う。本物のヒョウだ!
博士:本当だ!早く、きみの機材を、
カメラマン:分かってる、
博士:早く、早く、早く!
カメラマン:オーケイ、オーケイ、オーケイ、準備できた。あれ、どこだ?行っちまったか?
博士:うん。
カメラマン:ああ、そりゃ残念。



なるほど。あなたはミステリーを聞きたいとおっしゃる。ではこの奇妙な出来事は、きっと興をそそられることでしょう。ある侘しい11月の夜のこと。私は自宅の部屋で木を削っていました。私は熱心な木彫り彫刻家で、与えられたどんな木材でも、より小さく、より尖らせることができるのが自慢です。私はクイーン・マリーのレプリカの作成に取り掛かっていました。船のほうですよ。それを女王のほうのクイーン・マリーのレプリカから切り出していたのです。ちょうど前額部を船首楼に変えていたその時、電話が鳴りました。出てみると、旧友のヘンリー・クープの予期せぬ声が聞こえてきました。
「なあ、フィネモア」彼は言いました。ね、予期せぬ声でしょう?
「ところできみは、奇妙で説明のつけられない事柄に詳しいだろう?」
「確かにその通り」私は認めました。私の膝にのっている頭が3つある猫をなでながら。1つは喉をゴロゴロ鳴らし、1つはあくびを、あとの1つはクロスワードを解いています。
「それから、是非クープ荘に来てくれたまえ。おかしなことが起こってね。なんだかうさんくさいんだよ」
この言葉で私には充分でした。私はうさんくさい(=fishy)おかしなこと(=rummy)が大好き。私の晩さん会は鰈のカクテルで有名です。私は二人乗り自動車に飛び乗り、瞬く間にそこにいました―私の車の座席に。少し時間がたった後、私はクープ荘に到着しました。玄関ホールで私を迎えたのは執事のガードナーです。
「若旦那様は応接室にいらっしゃいます」彼は答え、せっかく楽しみにしていたかくれんぼがおじゃんになってしまいました。
「ああ、来てくれたか、フィネモア」私の手を借りて柱時計から出てきたクープは言った。
「まだ妹のシャーロットには会ってないだろうね?」
私は彼女を見ました。鋭く知的な目と、知的な顔の持ち主。
「はじめまして、知らない人さん」
それらが鈍い愚かな頭の前についています。「お会いできて光栄です」私は小さくお辞儀をし(=making a small bow)、それ(=半弓)をポケットにしまいました。あとでクイーン・マリーに加えるつもりです。
「それで、クープ、きみがいうおかしなことってなんだい?」
「パパがバイバイしちゃったの」
「妹の言うとおり」クープは言った。「父がバイバイしてね。数日前、彼は自分で建てた小さなコテージに、アコーディオンの練習をするために入り、それ以来、父を見たものはいないんだ」
突然、空気を切り裂くような喘ぎ声が聞こえました。それは私の猫で、左から右へと読みながら、エサを食べ、成就不可を表す9文字の言葉を考えていました。クープは背が低くてベルにとどかないメイドのためにベルを鳴らし、その機をねらって私は彼女に質問しました。
「で、アリス、サミュエル氏がいなくなってから誰もコテージに入っていないんだね?」
「その通りです。サミュエル様だけが鍵を持っています。それを鉛貼りの金庫に入れて、その鍵は毎朝飲み込んでいらっしゃるんです」
「そして毎晩?」
「それを推測することは避けております」
コテージを壊して中に入るしか方法がありませんでした。内部はからっぽの部屋が1つだけ。ドアは内側から鍵がかかっています。窓には鉄格子がかかり、そのうえ内側から鍵がかけてあり、しかも煉瓦で作られているため開くこともできません。本は全て棚と鎖でつながれています。一冊だけ、テーブルの上に開いた本があり、その題は「部屋を内側から守る方法」。項目には全て印がつけられ、その印を書いたペンすら、銀行によくあるようなちっちゃな鎖がついています。そしてそこにサミュエル氏がいました。自らのアコーディオンで首を絞められて。さまざまな質問が私の頭を駆け回ります。誰が彼を殺したのか?どうやって彼を殺したのか?なぜ彼らは彼を殺したのか?彼らが彼を殺したのか?でなければ、誰が彼を殺したのか?

物語は続く。 ただちに。

「ひとつだけ確かなのは」その夜、やま場パーラーにみなが集められ、私は家政婦に言いました。「サミュエル氏は殺された」
「不可能(インポッシブル)よ!」メイドが叫びます。
「なにが不可能なのかね、アリス?」
「成就不可を表す9文字の言葉。今、思いついたの」
私の猫は感謝して喉を鳴らしました。クープは眉をひそめます。「こう言ってはなんだがね、きみは執事と話すべきだよ。彼はここにくるまで、1つの仕事が3か月と続けられなかった」
「これは本当かい、ガードナー?」私は尋ねた。
「残念ながらその通りです」
「理由は?」
「言えません、サー」
「いいかね、無実のふりをする時間はないんだよ」
「いえ、理由がそれです。私はサーと言えなかった。サ行の発音ができなかったんです」
「なるほど。どうやって治したんだい?」
「サー・サミュエルのシスター、スーザンです、サー。その方が私を助けるためにサイモン氏を紹介してくれました、スピーチ・セラピストとして。つみません、ツェラピストです」
「そうか」
では誰が犯人なのか?被害者の息子、我が旧友か。あるいはうすぼんやりの娘か。気の毒な秘密をかかえた執事。メイドの、、メイド。あるいは他にもいるのか?私が想像だにしなかった容疑者が、いままでの間、じっと私を見つめていて、、。確認しましたがそんな人はいません。そこで、私はメイドに向かいました。
「よくも、フィネモア!」メイドは叫びました。顔には激しい怒り。「そうよ、私がやったの。それをあなたは悪魔のような探偵術で、わたしが犯人かと尋ねて解決したのね」
シャーロットは腑に落ちないようでした。「どうやってこのお転婆なメイドがコテージでパパを殺して閉じ込めたの?」
「え?」
「彼女はどうやってコテージに入ったの?」
「ああ!実際は入っていないんだ。きみは言ったね、クープ、父上は自分でコテージを建てたと。私は愚かにもきみに訊くのを忘れていたことは、それがいつだったか?」
「さあ、分からない。入る直前じゃないかな、きっと。先週はなかった。これは確かだ」
「まさにその通り。実際には、サミュエル氏はあのコテージは建てていない。メイドが彼を絞殺してから、死体のまわりに施錠したコテージを建てたんだ。これは2番目に古いトリックだ。“お鼻を取ったよ”の次のね」

その晩遅く、クープと私はテラスに座って葉巻をくゆらせながら、執事がメイドをしばり首にしている光景を眺めていました。
「ハハハ、お手柄だったな、フィネモア。でもいまだに理解できないんだが、どうして彼女が犯人だと分かったんだい?」
「よく言うだろう?どんな練熟な犯罪者でも、必ずひとつミスをする。彼女も例外ではなかった」
「彼女のミスとは?」
「インポッシブルは、9文字の言葉ではない」  おやすみなさい!





JFSP S1-3(前)

2013-12-26 06:47:44 | 日記
前回ご紹介しました、12月24日のFinnemore氏からのクリスマス・プレゼント、
BBCラジオ4のコメディ・アドベント・カレンダー、お聞きいただけました?
まだの方は、ここから先の数行は、聞いたあとにご覧くださいね。
なぜかというと、、

 ↓

そうなんです! アーサーが登場するのだ!
彼にとって、今年もきっと、Best Christmas Everになったことでしょう♪

 ↑

聞き逃してしまった方、これから聞こうという方は、
こちらをどうぞ。
全てのエピソードを、今日から7日間、視聴できます。



そして、以下は、JFSP(John Finnemore's Souvenir Programme)のシリーズ1、
エピソード3の拙訳です。

個人的にも大好きなこのエピソード。
特に最後の「Well!」から始まるお話が絶品!!

こちらも、聞いた後にご覧くださいませ。

 ↓

なお、軍裁判所のお話のもとになっているのは、古い船頭歌
“What shall we do with the drunken sailor”です。


 ↓


ルーク:おい、どうだった?
ジョン:うん、ひどくはないと思うよ。とりあえず全部答えを書いたし。きみのほうは?
ルーク:なんとかね。最後のは勘でやっつけたけど、他は大丈夫だと思う。問2にはなんて書いた?
ジョン:摩擦係数の問題かい?僕は垂直効力から解こうと思って、w=0.2t/x^10とか書いたけど、でもtを置き換えてxを割り出したほうがよかったかもしれないな。きみはなんて書いた?
ルーク:6。
ジョン:6?
ルーク:うん。
ジョン:6のなに?
ルーク:ただの6だよ。数字の6。
ジョン:そう、、オーケイ。で、どうしてそう答えたの?
ルーク:どうしてって、答えは6だと思ったんだ。はっきりした理由は忘れちゃったけど、でも絶対だと考えたんだ。きみのその、垂直なんとかってのは自信あるの?
ジョン:自信はないけどさ。そうだ、リジーに聞こう。リジー!
リジー:なに?
ジョン:問2にはなんて書いた?
リジー:問2?待ってね、、あ、そうだ、アシカの絵を描いたわ。
ジョン:ほんとに?
リジー:ええ、ちっちゃな帽子をかぶったアシカの絵。どうして?あなたたちはなにを書いたの?
ジョン:その、、僕たちは違うことを書いてて。でも帽子をかぶったアシカじゃないよ。その問題って円錐と飛行機の摩擦係数のことじゃないよね?
リジー:その答えがちっちゃな帽子をかぶったアシカでしょ?
ジョン:違うと思う。
リジー:私の間違いかしら。でもスティーヴにも聞いてみましょう。スティーヴ?
スティーヴ:なんだい?
リジー:問2。なんて答えた?
スティーヴ:問2か。ああ、帽子をかぶったアシカ。
リジー:ちっちゃい帽子?
スティーヴ:普通サイズ。
リジー:でも、アシカにしては小さいでしょ?
スティーヴ:ああ、うん。
リジー:よかった。私も同じ。
ジョン:で、でも。その、僕はtとxを使ったwの複雑な計算式を書いて、ルークは6って書いたんだ。
ルーク:うん。帽子にね。
ジョン:え?
ルーク:当然、きみも帽子をかぶったアシカを描いたと思ってたよ。帽子になんて書いたのか聞いたんじゃないの?
スティーヴ:帽子に6。うん、その通りだ。
ジョン:で、でも、こんなのおかしいよ。あるいは、、そうだ!
ルーク:なに?
ジョン:あるいは、これは全部夢で、僕は試験を受けてるんじゃないんだ。実際、僕は43歳で、明日プレゼンをしなきゃいけないのに、準備できてないから心配なんだ。
スティーヴ:いいや、これは現実だよ。
リジー:帽子をかぶったアシカを描いてないなんて信じられない!



案内人:やあ、こんにちは。ようこそ、ここがタジキスタン・ヒルトン。ユキヒョウのメッカ!って期待したいところですね。洞窟が1つ、男2人、寝袋が2つ、カメラが1つ。まあ、これを入れれば2つですがね。あと我々に必要なのは、大きくて白い猫ちゃんだけ。こちらにいらっしゃるのは我らが善き博士、ドクター・ジョナサン・コリフォード、もちろんオックスフォード大学のね!
博士:やあ、はじめまして。
案内人:私たちが最初に会ったのは、えっと、5時間前でしたね?
博士:ええ、そのくらいです。でもこれからお互いを知る時間はたっぷりあります。
案内人:はい。6か月もね!その頃にはかみさんよりもよくお互いのことを知ってるはずですよ。
博士:ええ。僕は独身ですが。
案内人:ほう、そうですか。その辺も詳しく知ることになるでしょうね。それでは、ユキヒョウを満喫してください。さよなら!
博士:さて、と。
カメラマン:うん。
博士:こういうのもいいですよね?ラジオもTVもない。一日中、あの山々を観察するだけで、それに、おしゃべりと。
カメラマン:確かにその通り。
博士:それで、その、まずはじめに、、あなたがユキヒョウに興味を持つことになったきっかけは?
カメラマン:俺かい?俺はケモノには興味ないんだ、あいにくね。でもカメラマンとしては、大きな野生動物を撮るってのは、結構面白そうだから。で、きみはユキヒョウのファンかい?
博士:ええ、そうとも言えますね、きっと。人生のほとんどをユキヒョウの研究に捧げているから。だから答えはイエスです。
カメラマン:なるほど。それは感服だな。
博士:僕こそあなたを尊敬しますよ。
カメラマン:そりゃいい。ちょっとした相互信頼関係が築けたね。
博士:うん、確かに。
カメラマン:それで、きみのクラブはどこ?
博士:ああ、実は探検クラブで。もちろん、自分のことを探検家だと思ったことはないけれど、
カメラマン:いや、サッカーだよ。どのクラブを応援してる?
博士:ああ、そうか、それは失礼。あいにくサッカーは詳しくなくて。
カメラマン:なるほど。
博士:でもクリケットは、クリケットは大ファンでね。でも、きみはその、
カメラマン:うん、よく知らないな。料理は好きかい?
博士:あまり。セーリングは?
カメラマン:いや。ポーカーは?
博士:残念ながら。
カメラマン:そうか。オーケイ。ふむ、ここで6か月か、、
博士:そうだね、、
カメラマン:見ろよ!ユキヒョウだ!
博士:え、どこに?
カメラマン:嘘だよ。
博士:ああ。



鍵屋:お待たせしました、鍵がひとつ。2つめは半額で作れますよ。
客:いや、ひとつで十分だ、ありがとう。あ、それから、、
鍵屋:なんでしょう?
客:いや、実はずっと気になっていてね。どうしてきみたちはトロフィーを売っているんだい?
鍵屋:ああ、これですか?
客:うん。つまりその、鍵とトロフィーがどうして一緒にあるのかな?同じ機械で作るわけじゃないだろう?
鍵屋:ええ、違いますよ。でも、例えば、ですね、
客:なに?
鍵屋:その、あなたはかなり前から合鍵を作らなきゃと思っていたでしょう?
客:え、、うん、実はそうなんだ。どうして分かった?
鍵屋:ああ。みなさん同じですよ。緊急の用件ではないですからね。絶えず気にはしていても、つい忘れてしまったり、時間がなかったり。
客:その通りだ。
鍵屋:このちょっとした用件は、頭の隅っこにあるからほとんど気付かない。でもそれは、あなたが非能率で、きちんとしていない証拠でもある。立派な大人とは言えない。
客:まさにその通りだよ!
鍵屋:でも今日、あなたは行動したのです。仕事をやり遂げた。おめでとうございます。実に上出来でした。
客:ああ、ありがとう。
鍵屋:上出来です。
客:うん。
鍵屋:ご自身にトロフィーをあげてはどうですか?
客:え、なんだって?
鍵屋:小さいのを1つ。「ようやく成し遂げた」
客:それは遠慮するよ。
鍵屋:そうですか?あなたは今日、すごくよく出来ましたよ。自分に小さなトロフィーをプレゼントしてもいいのでは?
客:いや、どうかな。だってさ、人から貰うのと、自分で買うのとは意味が違うだろう?
鍵屋:それが面白いことに、全く同じなんです。あなたは頑張ったから、貰っていいんです。誰があげるかは問題じゃない。大切なのは、あなたが本当に本当によくやったということ。トロフィーを受け取る資格がありますよ。
客:よし、ひとつ買おう。
鍵屋:おめでとうございます。12ポンドいただきます。それでは、あなたにあなたのトロフィーを授与しましょう。よく出来ました。お見事でした。
客:これはいいね。気に入ったよ。
鍵屋:そうだと思いましたよ。ご存じですか?あなたは他にも資格があるんです。「ようやくインターネット・バンキングの暗証番号を覚えた。これでいちいち確認しなくていい」「ポテトチップスを買いに行こうと思ったけど、やめた」「私は、平均以上の身長です」
客:いいね。全部もらおう。
鍵屋:それはよかった。上出来です。




弁護士:海軍本部の皆様、ゆえに一等兵サイモン・ジョンソンは、軍での勤務中の飲酒と、行動規則で認可されない目的で霧笛を使用した罪で告訴されました。
裁判長:あなたの申し立ては?
ジョンソン:有罪です。
裁判長:よろしい。ではみなさんの見解を。
裁判官1:彼は初犯ですので、私は温情を与えたいと思います。給与なしの3か月の停職処分ではいかがでしょう?
裁判長:よろしい。あなたは?
裁判官2:私の見解は少し異なります。酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。
裁判長:なんですって?
裁判官2:酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。
裁判長:なんのことだか、
裁判官2:酔いが覚めるまでロングボートに乗せておこう。朝早く。
裁判長:ロングボートってなんですか?
裁判官2:それは、ご存じでしょう。普通のボートだけど、ちょっと長いんです。
裁判長:そのようなボートがあるでしょうか?
裁判官2:海軍のオーシャン号はどうです? 667フィート。結構長い。
裁判官1:オーシャン号はボートではありません。
裁判官2:本当に?ボートっぽい形だと思ったけど。とにかく、長いボートならなんでもいいんです。私の論点は、単純に、彼の酔いが覚めるまでそれに乗せること。朝早くに。
裁判長:なぜ?
裁判官2:理由は分かりません。直感です。ボートの長さとか、朝早くってところが、きっと彼の猛省を促すのではないかと。それにもちろん、結果として酔いも覚める。
弁護士:裁判官殿、被告人は3週間前に拘束されています。すでに酔いは覚めております。
裁判官2:そうなのかね?それはもっと早く言ってくれなきゃ。ならば結論は明らかです。
裁判長:本当に?
裁判官2:もちろんです。熟慮の結果、英国海軍の将である我々の義務は、彼の腹を錆びたカミソリで剃ること。
裁判長:いったいなにを、、
裁判官2:最後まで言わせてください。彼の腹を錆びたカミソリで剃れ、彼の腹を錆びたカミソリで剃れ、朝早くに。
裁判長:その行為によってどんな成果があると言うんです?
裁判官2:まず第一に、おなかがすべすべになる。
ジョンソン:あの、言わせていただければ、僕はロングボートのほうがいいです。
裁判官2:ああ!なるほど。彼はロングボートが良案だと言っている。
裁判長:よろしい、もう十分です。一等兵サイモン・ジョンソン、あなたは3か月より少なくない期間、勤務を禁じます。その間に、アルコールとの関係を改善すべく定期的にミーティングに参加すること。
ジョンソン:ちぇっ。
裁判長:その通り。これはあなたの行動が招いた結果ですよ。
ジョンソン:ええ、たぶん。
裁判官2:でも、その集会は、何時にやるんです?
裁判長:私は知りませんが、それが問題ですか?
裁判官2:朝早く?
裁判長:ええ、いいでしょう。飲酒管理の定期的なミーティングを、朝早くに行うこと。判決は以上、これにて閉廷します。
裁判官1:万歳!
裁判官2:閉廷して生き返り!朝早くに!


カメラマン:見えたかい?
博士:なにを?
カメラマン:ユキヒョウだよ。
博士:いいや。もし見つけたら必ずきみに知らせるよ。
カメラマン:うん、知ってる。ちょっとからかっただけさ。
博士:ああ、ハハハ、、
カメラマン:あ、そうだ。なぜこれを思いつかなかったんだろう。ワインだよ。きっとワインならきみも詳しいだろう。実は俺もちょっとばかり知っていてね。友達がオーストラリアに葡萄畑を持っていて、そいつがいろんなことを教えてくれるから、、違う?
博士:ごめん。
カメラマン:好きじゃないのかな。それとも詳しくない?だったら俺が教えてあげるよ。
博士:酒は飲まないんだ。
カメラマン:なるほど。
博士:ごめんね。チェスは?
カメラマン:いや。釣りは?
博士:いや。絵は?
カメラマン:いや。
(沈黙)
カメラマン:あ、いいのがある。なにに乗ってる?
博士:それがあいにくなんだけど、
カメラマン:ああ、分かったぞ。プリウスとかかい?それとも大きな年代物のボルボ?
博士:もっと悪いんだ。実は車は持ってなくて、バイクだけ。
カメラマン:ああ、バイク!俺、バイク大好きなんだ。なにを持ってる?
博士:素晴らしい!僕は2台持ってるんだ。ごく普通のロード・サイクリング用のと、もう一台はクローム合金のホイールの、、でもきみはきっとモーターバイクのことを言ってるんだよね?
カメラマン:うん。
博士:そうか。自転車は持ってない?
カメラマン:娘が一台持ってるけど。
博士:そう?それ、どんなのか知ってる?
カメラマン:「グリッターバッグ」って言うんじゃないかな、たぶん。娘は8歳なんだ。
博士:そう、、
カメラマン:きみ、子供いる?
博士:ううん。ゲイなんだ、実は。
カメラマン:ふうん。俺の妹もゲイだよ。
博士:そう?彼女、うまく受け止めてる?
カメラマン:大丈夫だ。
博士:よかった。


(続く)





Get Dressed!

2013-12-25 06:37:21 | 日記
♪ Get dressed you merry gentlemen, let nothing you dismay,
For it is Christmas Christmas Christmas Christmas Christmas Day!
It’s Christmas Christmas Christmas Christmas Christmas Christmas Day!
It is Chri-i-i-i-i-istmas Day, Christ-i-mas Day,
It is Chri-hi-hi-hi-hi-hi-histmas Day ♪


日本では12月25日。
みなさま、メリー・クリスマス!
今朝はこの歌でスタートして、楽しいクリスマスをお過ごしくださいませ。


イギリスでは時差の関係で、ただいまクリスマス・イブ。
BBCラジオ4のアドベント・カレンダーの12月24日は、
Finnemore氏が脚本を担当しております。
読み手は、「ハリー・ポッター・シリーズ」の“ロンのお母さん”役でもお馴染み、
ジュリー・ウォルターズさん。
ゲストにBBCのアナウンサーがたくさん登場して、「ラジオ4がクリスマスを救う!」
面白いので、是非是非お聞きください。



このブログでは、次回、JFSPのシリーズ1エピソード3をご紹介できる予定です。
お楽しみに!



メリー・クリスマス♪

2013-12-22 08:51:16 | 日記
以前にご紹介したBBCラジオ4のコメディ・アドヴェント・カレンダー。
21日にFinnemore氏が登場!
JFSPでもお馴染みの、Lawry Lewin氏(写真左)とSimon Kane氏(写真右)と一緒に
クリスマスにまつわるスケッチを披露してくれています。

が、私には、悲しいかな、ちんぷんかんぷん!
固有名詞が出てくると、途端に脳の機能が停止してしまいます…。
ウェンセスラス王って誰??
スティーブンの日ってなに??

こんなときの強い味方、WIKIで調べてみました。
いつもなら、「番組を聞いてから、記事をご覧ください」なのですが、
今回、ウェンセスラス王のクリスマス・キャロルをご存じない方は、
先に読んでおかれるほうが面白さが伝わるかと。


以下、WIKIから拝借;


うたは、スティヴンマス(聖ステパノスの聖日、12月26日)の凍り付くばかりに寒い夜に、城の物見から外を見た王が、遙か彼方に小さな人影が、暖房の為の薪を集める姿に気づくところから始まる。小姓を呼んで「あれは何者か」と問うた王に、小姓は、「あれは聖アグネスの泉の傍らに住む小作農民です」と答える。
ウェンセスラス王はこの目出度い季節に、困窮している農民の姿に哀れみを覚え、善意の贈り物を与えることを思いつく。肉、葡萄酒、松材の薪を小姓に持って来させ、それらを携え、小姓と共に、遙か遠くの目的地目指す。しかし雪の深く積もった道は歩くのが困難で、身を切るばかりの寒風が吹きすさび、二人を凍りつかせる。小姓は、「もはや進めません」と王に訴える。
王は、「小姓よ元気を出せ。余が先に歩いて道を造ろう。そなたは、余の足跡の上を踏んで進めば、歩きやすいであろう」。王の言葉に従ってその足跡の上を歩くと、そこは雪が溶けて芝生の土となっており、暖かさが生まれているという奇蹟が生じる。聖なるウェンセスラス王の足跡を辿るものは、貧しい者に慈善を行い、それによって人は自分自身もまた幸いな者となるのである。こうして、うたはキリスト者の徳行を奨める言葉で終わる。



みなさま、メリー・クリスマス♪


やっぱり彼の声はすごい!

2013-12-17 06:48:05 | 日記
週末から世界各国で上映が始まった、ホビットの第2章「ホビット/竜に奪われた王国」。
前作をしのぐ出来!との前評判通り、オープニング興行成績も良く、
日本での公開が待ち遠しい今日この頃。

なかでも絶賛されているのが、Cumberbatch氏演じる竜・スマウグ。
彼の演技力はすでに世界が認めるところですが、今回は彼の声の素晴らしさに、改めて世界が驚愕♪
キャビン・プレッシャー・ファンのみなさんには、
わが意を得たり!といった感でしょうか。

そんな彼の声を楽しめるラジオドラマは数多くありますが、
今回ご紹介するのは、ニール・ゲイマン原作、James McAvoy氏主演のBBCラジオ・ドラマ「Neverwhere」
こちらに、Cumberbatch氏と、キャビン・プレッシャー・ファンにはお馴染みの
Anthony Head氏が出演しています。
お2人とも、「マーティン」と「ハーク」とは全く異なるキャラクターを演じていて、
その声がまた…!!


BBCラジオでクリスマス当日から再放送されますので、興味のある方は是非チェックしてみてください。
(発売されている作品にはNG集も入っているんですって。
こちら、製作元がAudioGOなので、CDは在庫がなくなると入手困難になる可能性あり。
ご注意あれ。なお、ダウンロードでの購入は問題なさそうです)