後半です。
↓
議長:では次の質問をどうぞ。
質問者:皆が解決を待ち望んでいるのに、その解決策の全てが一部の人々を怒らせるこの非常に複雑な問題を、私たちはどのように扱うべきでしょうか?
議長:輸送兼お買い物担当の影の大臣、フィリップ・サットンくん。
サットン:はい、我々の態度は明解です。この問題について、国を挙げて討論しましょう。
議長:国民討論を?
サットン:そうですとも。これは直ちに、そして本腰をいれて取り組むべき問題です。みなさんは、いま行っていることを止めて、近くにいる人に向かい、答えがみつかるまで存分に口論していただきたい。
議長:でもそれは国民によって選ばれた政治家の仕事では?
サットン:いいえ。政治家が選ばれたのは、討論をいつ行うか、国民に伝えるためです。そして私はいま言います。はじめ!
議長:西向き担当第3党スポークスマン、アン・マカリスターくん。
マカリスター:お言葉を返すようですが、私たちは今、この件に対して行動を起こすべき頃合いです。特に口論を。私たちに必要なのは国民討論です。
サットン:私はさっきそう言いましたよ。
マカリスター:いいえ。私が提案するのはちゃんとした国民討論です。イギリスにいる全ての人々がスケジュール帳を見せあって、どの日なら会えるのか確認し、そして場所も便利そうな中間地点、例えばノッティンガム辺りにして、そこで大きなテーブルを囲み―とても、とても大きなテーブルよ―全部吐き出すんです。
議長:でもみなが問題を吐き出したら、どうやって解決策を見出すというのです?
マカリスター:そういった困難な質問こそまさに国民全体で討論すべきです。
議長:あなたにお伺いしているのですよ。
マカリスター:私は国民討論を途中で妨げる気はありません。
議長:なるほど。では次に音大臣のマーク・ギラードくん。
ギラード:はい。政府には指導力が求められます。それに、率直に申しあげると、この問題についての国民討論は時すでに遅しです。よって私は、陪審団の速やかな設立を提案します。
議長:なるほど。そして各分野の専門家に、証拠や論点を提示するのですね。
ギラード:とんでもない、違いますよ。イギリス国民は、いわゆる“専門家”を正しく疑問視しています。
議長:“いわゆる専門家”とは?
ギラード:専門家のことです。全ての専門家は自称ですよ。いいえ、私は誓ってお約束します。この裁判にはなんの話だかさっぱりわけの分からない人たちだけが参加します。
議長:ではなぜ彼らに訊くんです?
ギラード:彼らが人民だからです。
マカリスター:国民です。
サットン:納税者だ。なかには親もいる。
ギラード:彼らは、我々プロの政治家が望んでも得られない知恵と政治的洞察力を持っている。
議長:そしてあなたはこの裁判に参加できないと?
ギラード:当然ですよ。政治家やジャーナリスト、経済学者や科学者もダメ。人々だけです。
議長:それは政治家の責任逃れでは?仕事をすべく選挙で選ばれた人たちが、その仕事をしないと人々に事あるごとに訴えるのですか?
ギラード:それは、、
議長:あなたに聞いているのではありません。みなさんはどう思いますか?是非意見をきかせてください。手紙を送る、電話する、Eメールでも、私たちのブログにコメントを書いても、あるいは窓から顔を出して叫んでくれても結構です。なにを考えているのか、あるいはなにも考えていなくても、とにかく私たちに聞かせてください!
1885年10月4日、キャベンリー・スクエア。
拝啓。我々人間には異なる好みや慣習があることは確かですが、私たちがこの部屋を共有することになったからには、最低限の礼節はお互い守りましょう。ゆえに、以下の点で貴殿の協力を仰ぎたい。私の本を読むのは歓迎するが、お願いだから読んだら元の場所に戻してほしい。部屋中にほっぽりだすのではなくて。私の化学器械は、繊細かつ高額なものなので、これには絶対手を触れないでほしい。そして食べ物は、これらは決して家具や服に塗りつけるものではない。他にも指摘したいことはありますが、取り急ぎ以上の案件についてお願いします。敬具。ヘンリー・ジキル博士より。
ハイド:親愛なるデカケツ博士さま。なんてたわごとだ。俺は俺の好きなことをやるんだ。お前が気に入らないなら、そのほうがいい。だって俺はお前のことが気に入らないからな。お前の化学なんとかは全部ぶっ壊してやったぞ。また買うようなら、そいつも壊してやる。ぜひ新しいのを買ってくれ。俺は壊すことが大好きだ。俺は壊し屋なんだ。愛をこめて、エドワード・ハイド。
ジキル:拝啓。これは狼藉です。きみに弁償してもらうよう請求書を送りたいところだが、それが非現実的問題であることが実に残念だ。それにきみが私の百科事典に画鋲でとめたスケッチは、悪趣味なだけでなく、解剖学的に見ても大変間違っている。自宅を尊重できないのなら、せめて自らの体は大切にしてほしい。我々はどちらもこの体で生きなけらばならない。私は長年にわたる禁酒会のメンバーとして、きみの二日酔いにはうんざりなんだ。H・ジキルより。
ハイド:セイウチ顔の博士へ。黙れ!俺がこの体になにをしようと俺の勝手だ。これは俺の体なんだ。俺はとても恰好いい。お前だと間抜けでデブに見えるだろ?俺にいちいち指図するなよ。俺は楽しいことをしたければ、楽しいことをする。楽しいことは大好きだ。楽しいことは楽しいからな。ああ、それで思いついた。思いついたからにはやるぞ。それが俺のやり方だ。エド。
ジキル:ヒゲを剃ったな!信じられない、ヒゲを剃るなんて!それにうちの行商人を殺した。これはやりすぎだ。きみを拘束する気はないが、私はいま、部屋に鍵をかけて閉じこもっている。そして目の前には品の悪い赤ワインのボトルだ。準備はいいかね、これはきみにとってよい薬になるだろう。H・J。
ハイド:これが酒だと?ハハハ、俺は飲める前から酒を飲んでいる。バカな博士め、あきらめろ。お前には俺を止めることはできないんだ。無駄な努力はよせ。これからお前の帽子をかぶってやる。
ジキル:拝啓。同僚のスタンフォード・ハリソン医師からのよろしくとのことだ。ハリソン医師は最新の手術技術の先駆者で、その術は精管切除と呼ばれている。この言葉はきみには耳新しいだろうから、きみが描いたスケッチの訂正版をお見せしよう。これで分かるはずだ。私がやらないと思うなよ。H。
ハイド:親愛なるジキル博士。私が買った新しい化学器械はお気に召しましたか?私が壊したものより上等ですよ。あれを壊してしまってごめんなさい。それから、ヒゲももっと生えるといいですね。ヒゲはあなたによく似合います。敬白。そして、重ねてのお詫びを。エドワード・ハイドより。
ジキル:よくなったな。H。
ハイド:でも行商人はまだ殺してもいいでしょう?
ジキル:いいだろう。だがひと月に一人までにしろよ。それから死体はきみが処分すること。
男:オーケイ。これから言うことをよく聞いて、僕が合っているかどうか教えてくれ。きみは僕が言ったと思っていることについて言ったことについて僕が言ったと考えていることに対して怒っているけど、僕たち2人とも意見が一致したように、僕は言ってない。きみは僕がやるといったと考えていることを僕がやらなかった時にきみがしたことをしたときにぼくがしたことについてきみが思っていると僕が考えているときみが思ったことはね。僕は努力すると言ったと考えている。これで合ってる?
女:ええ。
男:そうだろうと思った。でも僕はそんなこと言ってないよ。
女:言ったわよ。あなたはあなたが言ったと私が思っていることについて私がどう考えているか言ったら、私が言ったことが信じられないって言ったわ。でも私たちが合意したように、あなたは言ってないのよね。なぜならあなたがするって言ったことをしなかったからじゃないって私が言ったと言ったと思っているからではなくて、あなたがするって言ったからなのね。そのせいで私が感じたことをあなたが感じないと感じたとあなたが感じているような気になるわ。
男:きみがどんな気持ちでいるか僕が感じてるときみが感じているように僕が感じていることは知っているだろ。
女:ええ。でも私がそれを知っているとあなたに分かっているとは思えないのよ。まさにそれが私が言いたかったことなの。
男:なんだい、きみはなんて言いたかったの?
女:つまり時々、あなたは、ちょっと分析魔になるってこと。
男:そんなバカな。
カメラマン:♪ヒョウといえば、ユキヒョウだ~。ヒョウといえば~♪
博士:頼むよ。
カメラマン:なに?
博士:悪いけど、その歌を歌うのはもうやめてくれないか?
カメラマン:うん、分かった。それで、もし撮影できたら、きみがTVで解説するんだろう?
博士:いや、いや、違うよ。デイヴィッド・アッテンボローがやる。
カメラマン:ああ、そうか、そうだよな。きっと彼の大ファンなんだろうね?
博士:ああ、もちろん。どうして?きみはそうじゃないの?
カメラマン:ああ、もちろん俺もさ。みんなアッテンボローが好きだ、だろ?
博士:うん。その通り。彼は偉大だよ。
カメラマン:ああ。
博士:けど、
カメラマン:なんだい?
博士:これは個人的な意見だけど、彼はとっくにフィールドワークを引退したのに、まだ声の仕事をやってるのが理解できないんだ。
カメラマン:まさにその通り。きみがやるべきだ。
博士:僕には無理だよ。
カメラマン:もちろんきみさ。きみがここで凍えながら貴重なユキヒョウを待っている間、彼はどこにいるってんだ?
博士:自宅のベッドだろうね、きっと。
カメラマン:その通り!俺たちが全然違うものを送ったって、きっとあいつは、、。そうだ、こうしよう。そこらにいるヒョウを撮って、修正液で白くしようぜ。
博士:うん。それとも、白いヒョウを見つけて、芋版で斑点をつけてもいいね。
カメラマン:そりゃいいな。それに、映像を送るんじゃなくて、あいつが自分で撮影したものに解説をつけろって言ってやろう。
博士:こんな感じかい?「ここサリー州では、窓の外に、息をのむ光景を見ることができます。もしかしてあれはムクドリか?ああ、もう行ってしまった」
カメラマン:「一方その頃、私たちは、うちの猫がおしりをなめる荘厳で希少な光景をカメラに収めました」
博士:「千年以上の進化の過程で、このつつましい飼いならされたネコ科の動物は、おしりをきれいに保つことができるようになり」
カメラマン:「そして、息は臭くなりました」
(笑う)
カメラマン:ヒョウだ!
博士:ああ、そうかい。
カメラマン:違う。本物のヒョウだ!
博士:本当だ!早く、きみの機材を、
カメラマン:分かってる、
博士:早く、早く、早く!
カメラマン:オーケイ、オーケイ、オーケイ、準備できた。あれ、どこだ?行っちまったか?
博士:うん。
カメラマン:ああ、そりゃ残念。
なるほど。あなたはミステリーを聞きたいとおっしゃる。ではこの奇妙な出来事は、きっと興をそそられることでしょう。ある侘しい11月の夜のこと。私は自宅の部屋で木を削っていました。私は熱心な木彫り彫刻家で、与えられたどんな木材でも、より小さく、より尖らせることができるのが自慢です。私はクイーン・マリーのレプリカの作成に取り掛かっていました。船のほうですよ。それを女王のほうのクイーン・マリーのレプリカから切り出していたのです。ちょうど前額部を船首楼に変えていたその時、電話が鳴りました。出てみると、旧友のヘンリー・クープの予期せぬ声が聞こえてきました。
「なあ、フィネモア」彼は言いました。ね、予期せぬ声でしょう?
「ところできみは、奇妙で説明のつけられない事柄に詳しいだろう?」
「確かにその通り」私は認めました。私の膝にのっている頭が3つある猫をなでながら。1つは喉をゴロゴロ鳴らし、1つはあくびを、あとの1つはクロスワードを解いています。
「それから、是非クープ荘に来てくれたまえ。おかしなことが起こってね。なんだかうさんくさいんだよ」
この言葉で私には充分でした。私はうさんくさい(=fishy)おかしなこと(=rummy)が大好き。私の晩さん会は鰈のカクテルで有名です。私は二人乗り自動車に飛び乗り、瞬く間にそこにいました―私の車の座席に。少し時間がたった後、私はクープ荘に到着しました。玄関ホールで私を迎えたのは執事のガードナーです。
「若旦那様は応接室にいらっしゃいます」彼は答え、せっかく楽しみにしていたかくれんぼがおじゃんになってしまいました。
「ああ、来てくれたか、フィネモア」私の手を借りて柱時計から出てきたクープは言った。
「まだ妹のシャーロットには会ってないだろうね?」
私は彼女を見ました。鋭く知的な目と、知的な顔の持ち主。
「はじめまして、知らない人さん」
それらが鈍い愚かな頭の前についています。「お会いできて光栄です」私は小さくお辞儀をし(=making a small bow)、それ(=半弓)をポケットにしまいました。あとでクイーン・マリーに加えるつもりです。
「それで、クープ、きみがいうおかしなことってなんだい?」
「パパがバイバイしちゃったの」
「妹の言うとおり」クープは言った。「父がバイバイしてね。数日前、彼は自分で建てた小さなコテージに、アコーディオンの練習をするために入り、それ以来、父を見たものはいないんだ」
突然、空気を切り裂くような喘ぎ声が聞こえました。それは私の猫で、左から右へと読みながら、エサを食べ、成就不可を表す9文字の言葉を考えていました。クープは背が低くてベルにとどかないメイドのためにベルを鳴らし、その機をねらって私は彼女に質問しました。
「で、アリス、サミュエル氏がいなくなってから誰もコテージに入っていないんだね?」
「その通りです。サミュエル様だけが鍵を持っています。それを鉛貼りの金庫に入れて、その鍵は毎朝飲み込んでいらっしゃるんです」
「そして毎晩?」
「それを推測することは避けております」
コテージを壊して中に入るしか方法がありませんでした。内部はからっぽの部屋が1つだけ。ドアは内側から鍵がかかっています。窓には鉄格子がかかり、そのうえ内側から鍵がかけてあり、しかも煉瓦で作られているため開くこともできません。本は全て棚と鎖でつながれています。一冊だけ、テーブルの上に開いた本があり、その題は「部屋を内側から守る方法」。項目には全て印がつけられ、その印を書いたペンすら、銀行によくあるようなちっちゃな鎖がついています。そしてそこにサミュエル氏がいました。自らのアコーディオンで首を絞められて。さまざまな質問が私の頭を駆け回ります。誰が彼を殺したのか?どうやって彼を殺したのか?なぜ彼らは彼を殺したのか?彼らが彼を殺したのか?でなければ、誰が彼を殺したのか?
物語は続く。 ただちに。
「ひとつだけ確かなのは」その夜、やま場パーラーにみなが集められ、私は家政婦に言いました。「サミュエル氏は殺された」
「不可能(インポッシブル)よ!」メイドが叫びます。
「なにが不可能なのかね、アリス?」
「成就不可を表す9文字の言葉。今、思いついたの」
私の猫は感謝して喉を鳴らしました。クープは眉をひそめます。「こう言ってはなんだがね、きみは執事と話すべきだよ。彼はここにくるまで、1つの仕事が3か月と続けられなかった」
「これは本当かい、ガードナー?」私は尋ねた。
「残念ながらその通りです」
「理由は?」
「言えません、サー」
「いいかね、無実のふりをする時間はないんだよ」
「いえ、理由がそれです。私はサーと言えなかった。サ行の発音ができなかったんです」
「なるほど。どうやって治したんだい?」
「サー・サミュエルのシスター、スーザンです、サー。その方が私を助けるためにサイモン氏を紹介してくれました、スピーチ・セラピストとして。つみません、ツェラピストです」
「そうか」
では誰が犯人なのか?被害者の息子、我が旧友か。あるいはうすぼんやりの娘か。気の毒な秘密をかかえた執事。メイドの、、メイド。あるいは他にもいるのか?私が想像だにしなかった容疑者が、いままでの間、じっと私を見つめていて、、。確認しましたがそんな人はいません。そこで、私はメイドに向かいました。
「よくも、フィネモア!」メイドは叫びました。顔には激しい怒り。「そうよ、私がやったの。それをあなたは悪魔のような探偵術で、わたしが犯人かと尋ねて解決したのね」
シャーロットは腑に落ちないようでした。「どうやってこのお転婆なメイドがコテージでパパを殺して閉じ込めたの?」
「え?」
「彼女はどうやってコテージに入ったの?」
「ああ!実際は入っていないんだ。きみは言ったね、クープ、父上は自分でコテージを建てたと。私は愚かにもきみに訊くのを忘れていたことは、それがいつだったか?」
「さあ、分からない。入る直前じゃないかな、きっと。先週はなかった。これは確かだ」
「まさにその通り。実際には、サミュエル氏はあのコテージは建てていない。メイドが彼を絞殺してから、死体のまわりに施錠したコテージを建てたんだ。これは2番目に古いトリックだ。“お鼻を取ったよ”の次のね」
その晩遅く、クープと私はテラスに座って葉巻をくゆらせながら、執事がメイドをしばり首にしている光景を眺めていました。
「ハハハ、お手柄だったな、フィネモア。でもいまだに理解できないんだが、どうして彼女が犯人だと分かったんだい?」
「よく言うだろう?どんな練熟な犯罪者でも、必ずひとつミスをする。彼女も例外ではなかった」
「彼女のミスとは?」
「インポッシブルは、9文字の言葉ではない」 おやすみなさい!
↓
議長:では次の質問をどうぞ。
質問者:皆が解決を待ち望んでいるのに、その解決策の全てが一部の人々を怒らせるこの非常に複雑な問題を、私たちはどのように扱うべきでしょうか?
議長:輸送兼お買い物担当の影の大臣、フィリップ・サットンくん。
サットン:はい、我々の態度は明解です。この問題について、国を挙げて討論しましょう。
議長:国民討論を?
サットン:そうですとも。これは直ちに、そして本腰をいれて取り組むべき問題です。みなさんは、いま行っていることを止めて、近くにいる人に向かい、答えがみつかるまで存分に口論していただきたい。
議長:でもそれは国民によって選ばれた政治家の仕事では?
サットン:いいえ。政治家が選ばれたのは、討論をいつ行うか、国民に伝えるためです。そして私はいま言います。はじめ!
議長:西向き担当第3党スポークスマン、アン・マカリスターくん。
マカリスター:お言葉を返すようですが、私たちは今、この件に対して行動を起こすべき頃合いです。特に口論を。私たちに必要なのは国民討論です。
サットン:私はさっきそう言いましたよ。
マカリスター:いいえ。私が提案するのはちゃんとした国民討論です。イギリスにいる全ての人々がスケジュール帳を見せあって、どの日なら会えるのか確認し、そして場所も便利そうな中間地点、例えばノッティンガム辺りにして、そこで大きなテーブルを囲み―とても、とても大きなテーブルよ―全部吐き出すんです。
議長:でもみなが問題を吐き出したら、どうやって解決策を見出すというのです?
マカリスター:そういった困難な質問こそまさに国民全体で討論すべきです。
議長:あなたにお伺いしているのですよ。
マカリスター:私は国民討論を途中で妨げる気はありません。
議長:なるほど。では次に音大臣のマーク・ギラードくん。
ギラード:はい。政府には指導力が求められます。それに、率直に申しあげると、この問題についての国民討論は時すでに遅しです。よって私は、陪審団の速やかな設立を提案します。
議長:なるほど。そして各分野の専門家に、証拠や論点を提示するのですね。
ギラード:とんでもない、違いますよ。イギリス国民は、いわゆる“専門家”を正しく疑問視しています。
議長:“いわゆる専門家”とは?
ギラード:専門家のことです。全ての専門家は自称ですよ。いいえ、私は誓ってお約束します。この裁判にはなんの話だかさっぱりわけの分からない人たちだけが参加します。
議長:ではなぜ彼らに訊くんです?
ギラード:彼らが人民だからです。
マカリスター:国民です。
サットン:納税者だ。なかには親もいる。
ギラード:彼らは、我々プロの政治家が望んでも得られない知恵と政治的洞察力を持っている。
議長:そしてあなたはこの裁判に参加できないと?
ギラード:当然ですよ。政治家やジャーナリスト、経済学者や科学者もダメ。人々だけです。
議長:それは政治家の責任逃れでは?仕事をすべく選挙で選ばれた人たちが、その仕事をしないと人々に事あるごとに訴えるのですか?
ギラード:それは、、
議長:あなたに聞いているのではありません。みなさんはどう思いますか?是非意見をきかせてください。手紙を送る、電話する、Eメールでも、私たちのブログにコメントを書いても、あるいは窓から顔を出して叫んでくれても結構です。なにを考えているのか、あるいはなにも考えていなくても、とにかく私たちに聞かせてください!
1885年10月4日、キャベンリー・スクエア。
拝啓。我々人間には異なる好みや慣習があることは確かですが、私たちがこの部屋を共有することになったからには、最低限の礼節はお互い守りましょう。ゆえに、以下の点で貴殿の協力を仰ぎたい。私の本を読むのは歓迎するが、お願いだから読んだら元の場所に戻してほしい。部屋中にほっぽりだすのではなくて。私の化学器械は、繊細かつ高額なものなので、これには絶対手を触れないでほしい。そして食べ物は、これらは決して家具や服に塗りつけるものではない。他にも指摘したいことはありますが、取り急ぎ以上の案件についてお願いします。敬具。ヘンリー・ジキル博士より。
ハイド:親愛なるデカケツ博士さま。なんてたわごとだ。俺は俺の好きなことをやるんだ。お前が気に入らないなら、そのほうがいい。だって俺はお前のことが気に入らないからな。お前の化学なんとかは全部ぶっ壊してやったぞ。また買うようなら、そいつも壊してやる。ぜひ新しいのを買ってくれ。俺は壊すことが大好きだ。俺は壊し屋なんだ。愛をこめて、エドワード・ハイド。
ジキル:拝啓。これは狼藉です。きみに弁償してもらうよう請求書を送りたいところだが、それが非現実的問題であることが実に残念だ。それにきみが私の百科事典に画鋲でとめたスケッチは、悪趣味なだけでなく、解剖学的に見ても大変間違っている。自宅を尊重できないのなら、せめて自らの体は大切にしてほしい。我々はどちらもこの体で生きなけらばならない。私は長年にわたる禁酒会のメンバーとして、きみの二日酔いにはうんざりなんだ。H・ジキルより。
ハイド:セイウチ顔の博士へ。黙れ!俺がこの体になにをしようと俺の勝手だ。これは俺の体なんだ。俺はとても恰好いい。お前だと間抜けでデブに見えるだろ?俺にいちいち指図するなよ。俺は楽しいことをしたければ、楽しいことをする。楽しいことは大好きだ。楽しいことは楽しいからな。ああ、それで思いついた。思いついたからにはやるぞ。それが俺のやり方だ。エド。
ジキル:ヒゲを剃ったな!信じられない、ヒゲを剃るなんて!それにうちの行商人を殺した。これはやりすぎだ。きみを拘束する気はないが、私はいま、部屋に鍵をかけて閉じこもっている。そして目の前には品の悪い赤ワインのボトルだ。準備はいいかね、これはきみにとってよい薬になるだろう。H・J。
ハイド:これが酒だと?ハハハ、俺は飲める前から酒を飲んでいる。バカな博士め、あきらめろ。お前には俺を止めることはできないんだ。無駄な努力はよせ。これからお前の帽子をかぶってやる。
ジキル:拝啓。同僚のスタンフォード・ハリソン医師からのよろしくとのことだ。ハリソン医師は最新の手術技術の先駆者で、その術は精管切除と呼ばれている。この言葉はきみには耳新しいだろうから、きみが描いたスケッチの訂正版をお見せしよう。これで分かるはずだ。私がやらないと思うなよ。H。
ハイド:親愛なるジキル博士。私が買った新しい化学器械はお気に召しましたか?私が壊したものより上等ですよ。あれを壊してしまってごめんなさい。それから、ヒゲももっと生えるといいですね。ヒゲはあなたによく似合います。敬白。そして、重ねてのお詫びを。エドワード・ハイドより。
ジキル:よくなったな。H。
ハイド:でも行商人はまだ殺してもいいでしょう?
ジキル:いいだろう。だがひと月に一人までにしろよ。それから死体はきみが処分すること。
男:オーケイ。これから言うことをよく聞いて、僕が合っているかどうか教えてくれ。きみは僕が言ったと思っていることについて言ったことについて僕が言ったと考えていることに対して怒っているけど、僕たち2人とも意見が一致したように、僕は言ってない。きみは僕がやるといったと考えていることを僕がやらなかった時にきみがしたことをしたときにぼくがしたことについてきみが思っていると僕が考えているときみが思ったことはね。僕は努力すると言ったと考えている。これで合ってる?
女:ええ。
男:そうだろうと思った。でも僕はそんなこと言ってないよ。
女:言ったわよ。あなたはあなたが言ったと私が思っていることについて私がどう考えているか言ったら、私が言ったことが信じられないって言ったわ。でも私たちが合意したように、あなたは言ってないのよね。なぜならあなたがするって言ったことをしなかったからじゃないって私が言ったと言ったと思っているからではなくて、あなたがするって言ったからなのね。そのせいで私が感じたことをあなたが感じないと感じたとあなたが感じているような気になるわ。
男:きみがどんな気持ちでいるか僕が感じてるときみが感じているように僕が感じていることは知っているだろ。
女:ええ。でも私がそれを知っているとあなたに分かっているとは思えないのよ。まさにそれが私が言いたかったことなの。
男:なんだい、きみはなんて言いたかったの?
女:つまり時々、あなたは、ちょっと分析魔になるってこと。
男:そんなバカな。
カメラマン:♪ヒョウといえば、ユキヒョウだ~。ヒョウといえば~♪
博士:頼むよ。
カメラマン:なに?
博士:悪いけど、その歌を歌うのはもうやめてくれないか?
カメラマン:うん、分かった。それで、もし撮影できたら、きみがTVで解説するんだろう?
博士:いや、いや、違うよ。デイヴィッド・アッテンボローがやる。
カメラマン:ああ、そうか、そうだよな。きっと彼の大ファンなんだろうね?
博士:ああ、もちろん。どうして?きみはそうじゃないの?
カメラマン:ああ、もちろん俺もさ。みんなアッテンボローが好きだ、だろ?
博士:うん。その通り。彼は偉大だよ。
カメラマン:ああ。
博士:けど、
カメラマン:なんだい?
博士:これは個人的な意見だけど、彼はとっくにフィールドワークを引退したのに、まだ声の仕事をやってるのが理解できないんだ。
カメラマン:まさにその通り。きみがやるべきだ。
博士:僕には無理だよ。
カメラマン:もちろんきみさ。きみがここで凍えながら貴重なユキヒョウを待っている間、彼はどこにいるってんだ?
博士:自宅のベッドだろうね、きっと。
カメラマン:その通り!俺たちが全然違うものを送ったって、きっとあいつは、、。そうだ、こうしよう。そこらにいるヒョウを撮って、修正液で白くしようぜ。
博士:うん。それとも、白いヒョウを見つけて、芋版で斑点をつけてもいいね。
カメラマン:そりゃいいな。それに、映像を送るんじゃなくて、あいつが自分で撮影したものに解説をつけろって言ってやろう。
博士:こんな感じかい?「ここサリー州では、窓の外に、息をのむ光景を見ることができます。もしかしてあれはムクドリか?ああ、もう行ってしまった」
カメラマン:「一方その頃、私たちは、うちの猫がおしりをなめる荘厳で希少な光景をカメラに収めました」
博士:「千年以上の進化の過程で、このつつましい飼いならされたネコ科の動物は、おしりをきれいに保つことができるようになり」
カメラマン:「そして、息は臭くなりました」
(笑う)
カメラマン:ヒョウだ!
博士:ああ、そうかい。
カメラマン:違う。本物のヒョウだ!
博士:本当だ!早く、きみの機材を、
カメラマン:分かってる、
博士:早く、早く、早く!
カメラマン:オーケイ、オーケイ、オーケイ、準備できた。あれ、どこだ?行っちまったか?
博士:うん。
カメラマン:ああ、そりゃ残念。
なるほど。あなたはミステリーを聞きたいとおっしゃる。ではこの奇妙な出来事は、きっと興をそそられることでしょう。ある侘しい11月の夜のこと。私は自宅の部屋で木を削っていました。私は熱心な木彫り彫刻家で、与えられたどんな木材でも、より小さく、より尖らせることができるのが自慢です。私はクイーン・マリーのレプリカの作成に取り掛かっていました。船のほうですよ。それを女王のほうのクイーン・マリーのレプリカから切り出していたのです。ちょうど前額部を船首楼に変えていたその時、電話が鳴りました。出てみると、旧友のヘンリー・クープの予期せぬ声が聞こえてきました。
「なあ、フィネモア」彼は言いました。ね、予期せぬ声でしょう?
「ところできみは、奇妙で説明のつけられない事柄に詳しいだろう?」
「確かにその通り」私は認めました。私の膝にのっている頭が3つある猫をなでながら。1つは喉をゴロゴロ鳴らし、1つはあくびを、あとの1つはクロスワードを解いています。
「それから、是非クープ荘に来てくれたまえ。おかしなことが起こってね。なんだかうさんくさいんだよ」
この言葉で私には充分でした。私はうさんくさい(=fishy)おかしなこと(=rummy)が大好き。私の晩さん会は鰈のカクテルで有名です。私は二人乗り自動車に飛び乗り、瞬く間にそこにいました―私の車の座席に。少し時間がたった後、私はクープ荘に到着しました。玄関ホールで私を迎えたのは執事のガードナーです。
「若旦那様は応接室にいらっしゃいます」彼は答え、せっかく楽しみにしていたかくれんぼがおじゃんになってしまいました。
「ああ、来てくれたか、フィネモア」私の手を借りて柱時計から出てきたクープは言った。
「まだ妹のシャーロットには会ってないだろうね?」
私は彼女を見ました。鋭く知的な目と、知的な顔の持ち主。
「はじめまして、知らない人さん」
それらが鈍い愚かな頭の前についています。「お会いできて光栄です」私は小さくお辞儀をし(=making a small bow)、それ(=半弓)をポケットにしまいました。あとでクイーン・マリーに加えるつもりです。
「それで、クープ、きみがいうおかしなことってなんだい?」
「パパがバイバイしちゃったの」
「妹の言うとおり」クープは言った。「父がバイバイしてね。数日前、彼は自分で建てた小さなコテージに、アコーディオンの練習をするために入り、それ以来、父を見たものはいないんだ」
突然、空気を切り裂くような喘ぎ声が聞こえました。それは私の猫で、左から右へと読みながら、エサを食べ、成就不可を表す9文字の言葉を考えていました。クープは背が低くてベルにとどかないメイドのためにベルを鳴らし、その機をねらって私は彼女に質問しました。
「で、アリス、サミュエル氏がいなくなってから誰もコテージに入っていないんだね?」
「その通りです。サミュエル様だけが鍵を持っています。それを鉛貼りの金庫に入れて、その鍵は毎朝飲み込んでいらっしゃるんです」
「そして毎晩?」
「それを推測することは避けております」
コテージを壊して中に入るしか方法がありませんでした。内部はからっぽの部屋が1つだけ。ドアは内側から鍵がかかっています。窓には鉄格子がかかり、そのうえ内側から鍵がかけてあり、しかも煉瓦で作られているため開くこともできません。本は全て棚と鎖でつながれています。一冊だけ、テーブルの上に開いた本があり、その題は「部屋を内側から守る方法」。項目には全て印がつけられ、その印を書いたペンすら、銀行によくあるようなちっちゃな鎖がついています。そしてそこにサミュエル氏がいました。自らのアコーディオンで首を絞められて。さまざまな質問が私の頭を駆け回ります。誰が彼を殺したのか?どうやって彼を殺したのか?なぜ彼らは彼を殺したのか?彼らが彼を殺したのか?でなければ、誰が彼を殺したのか?
物語は続く。 ただちに。
「ひとつだけ確かなのは」その夜、やま場パーラーにみなが集められ、私は家政婦に言いました。「サミュエル氏は殺された」
「不可能(インポッシブル)よ!」メイドが叫びます。
「なにが不可能なのかね、アリス?」
「成就不可を表す9文字の言葉。今、思いついたの」
私の猫は感謝して喉を鳴らしました。クープは眉をひそめます。「こう言ってはなんだがね、きみは執事と話すべきだよ。彼はここにくるまで、1つの仕事が3か月と続けられなかった」
「これは本当かい、ガードナー?」私は尋ねた。
「残念ながらその通りです」
「理由は?」
「言えません、サー」
「いいかね、無実のふりをする時間はないんだよ」
「いえ、理由がそれです。私はサーと言えなかった。サ行の発音ができなかったんです」
「なるほど。どうやって治したんだい?」
「サー・サミュエルのシスター、スーザンです、サー。その方が私を助けるためにサイモン氏を紹介してくれました、スピーチ・セラピストとして。つみません、ツェラピストです」
「そうか」
では誰が犯人なのか?被害者の息子、我が旧友か。あるいはうすぼんやりの娘か。気の毒な秘密をかかえた執事。メイドの、、メイド。あるいは他にもいるのか?私が想像だにしなかった容疑者が、いままでの間、じっと私を見つめていて、、。確認しましたがそんな人はいません。そこで、私はメイドに向かいました。
「よくも、フィネモア!」メイドは叫びました。顔には激しい怒り。「そうよ、私がやったの。それをあなたは悪魔のような探偵術で、わたしが犯人かと尋ねて解決したのね」
シャーロットは腑に落ちないようでした。「どうやってこのお転婆なメイドがコテージでパパを殺して閉じ込めたの?」
「え?」
「彼女はどうやってコテージに入ったの?」
「ああ!実際は入っていないんだ。きみは言ったね、クープ、父上は自分でコテージを建てたと。私は愚かにもきみに訊くのを忘れていたことは、それがいつだったか?」
「さあ、分からない。入る直前じゃないかな、きっと。先週はなかった。これは確かだ」
「まさにその通り。実際には、サミュエル氏はあのコテージは建てていない。メイドが彼を絞殺してから、死体のまわりに施錠したコテージを建てたんだ。これは2番目に古いトリックだ。“お鼻を取ったよ”の次のね」
その晩遅く、クープと私はテラスに座って葉巻をくゆらせながら、執事がメイドをしばり首にしている光景を眺めていました。
「ハハハ、お手柄だったな、フィネモア。でもいまだに理解できないんだが、どうして彼女が犯人だと分かったんだい?」
「よく言うだろう?どんな練熟な犯罪者でも、必ずひとつミスをする。彼女も例外ではなかった」
「彼女のミスとは?」
「インポッシブルは、9文字の言葉ではない」 おやすみなさい!