Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

S5 チューリッヒ パート2 

2014-12-28 07:43:54 | 日記


最終話「チューリッヒ・パート2」の拙訳版です。

番組は現在、こちらから視聴できます。
そして、英語版は、こちらのサイトを参照させていただきました。

キャビン・プレッシャーがついに最終回を迎え、このブログも今回で終了です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
皆様、どうぞよいお年をお迎えください!

 ↓

以下は番組を聞いてからご覧くださいね。

 ↓
 


アーサー:(電話で)やあ、ティフィ、僕だよ。ねえ、悪いんだけど、きみが馬にドレスを着せるのを見に行くの、ちょっと遅れそうなんだ。え?馬術(ドレサージュ)?そう、、そうじゃなくて、行きたいんだけど、これからパイロットをアイスクリーム販売車に乗せて屑鉄置場まで運転しなきゃいけないから、、ううん、全部ホントだよ、、話せば長くて、、え、聞いてくれる?やったね。あのね、そもそもスキップが、、えっと、スキップのこと覚えてる?マーティンさ、うちのパイロットの一人、機長だよ、、ううん、もう一人のほう、、まあ、どっちも帽子かぶってるけど、、そう、彼だよ。えっと、それでね、スキップがスイス・エアウェイズですごくいい仕事をもらったんだけど、でもMJNを続けるために、オファーを断ろうって言ってるんだ。でも母さんは、彼がスイス・エアウェイズに行くよう説得して、おとぎ話のようにはいかないけど、でもみんな、これでいいんだ。僕もね。あ、それからスキップが僕にヴァンをくれたんだよ!で、僕、かっこいいブレーキパッドとたくさんのアイスキャンディを買って、車の横にグーフィーを描いたんだ。だから僕はアイスクリーム屋さんなんだよ!えっと、でも、このことじゃなくて、肝心な話はね、僕たち、ガーティを売ることになって、オークションに行ったんだけど、スクラップ屋さんしか興味を持ってくれなくて。そしたら僕の父さんが―昔、ガーティを持ってたんだけど―現れて、25万ポンドの値をつけたんだよ!、、うん、確かにちょっとすごいよね。でも、僕、あの人がガーティを買うのは反対なんだ。だから僕は1,000万ポンドで買うって言ったの。ううん、きみの言う通り、お金は持ってない。母さんもこの点は指摘してくれたよ。うん、でも運よく母さんがスクラップ屋さんを説得して、その人にガーティを売ることになったんだ。そしたらさ、ダグラスが父さんと話をして戻ってきて、絶対あの娘を買い戻さないとダメだって言って。だから今から行くところ。ダグラスがスクラップ屋さんに電話して、僕が、彼とマーティンとテレサを乗せて、ガーティを助けに行くんだ。父さんにとられる前に。テレサ?ああ、彼女はリヒテンシュタインの王女様だよ。これもホントの話。うん、これも話せば長いんだけど、えっと、そもそも母さんとハークが、、うん、うん、そうだよね、ティフィ、もう充分話したよね、僕。

ダグラス:オーケイ、彼は現金12,000で手を打った。
キャロリン:12,000?あの人はたったの、、
ダグラス:ちょっと儲けようと考えたんだろうさ、キャロリン。だが我々は彼の飛行場で会わないといけない。いつハークはここに着くんだい?
キャロリン:30分後よ。
ダグラス:オーケイ。ではきみはここで彼が来るのを待っていてくれ、キャロリン。その間に我々は車で、
マーティン:ウソだろ、
テレサ:車がどうしたの?
(ヴァンがやってくる)
アーサー:オーケイ、みんな、乗って!
テレサ:あら、ナハツェーラーだわ。
マーティン:なに?
テレサ:子供を食べるモンスターよ、昔話に出てくるの。どうしてそれがあなたのヴァンに?
アーサー:これはグーフィーなんだってば!
ダグラス:さあ、急いで、乗って。
(ドアの開く音)
アーサー:ちょっと待って。ここには3人しか座れないよ。
ダグラス:マーティン、きみが後ろに乗れ。
マーティン:僕は後ろには乗れないよ!
ダグラス:どうして?「機長は前に座る」から?
マーティン:違うよ。僕、窓の外が見えないと、車酔いするんだ。きみが後ろに乗ってよ。
ダグラス:私は後ろには乗らない。私がこの計画の指揮者なんだぞ。
マーティン:後ろからでも指揮できるだろ?
ダグラス:いや、できない!
マーティン:できるさ!
アーサー:なら僕が後ろに行くよ。面白そうだもん。
ダグラス&マーティン:きみは運転手だ!
テレサ:なら私が後ろに乗りましょうか?
マーティン:え、それは、もし、きみがかまわなければ、
ダグラス:そうしてくれるとありがたい。
テレサ:もちろん!
(ヴァンに乗り込む)
ダグラス:オーケイ、アーサー、まず私の銀行に寄るんだ。
マーティン:ダグラス、待ってよ。きみ、本当にガーティに価値があると考えてるの?
ダグラス:確信している。
マーティン:でもそんなことあり得る?あの娘に何かが隠されているなら、僕たち、ずっと前に見つけているはずだ。
ダグラス:そうとは限らないぞ。すごく小さなものかも。ダイヤモンドとか。
(ヴァンの仕切をたたく音)
マーティン:なんだい、テレサ?
テレサ:(後ろから)でもあなた言ってたでしょ?サンクトペテルブルグで、ゴードンとエンジニアの人がガーティに何時間も時間をかけてたって。もし小さいものなら、どうしてその時に盗らなかったのかしら?
ダグラス:ああ。それは考えつかなかったな。
マーティン:つまり、小さいものなら盗られているし、大きいものなら、僕たちが見つけている。
アーサー:大きすぎて見えないのかも。
ダグラス:例えば?
アーサー:万里の長城。
ダグラス:万里の長城だと?
アーサー:知ってるでしょ?有名なやつ。万里の長城は大きすぎて、宇宙からでないと見えないんだ。
マーティン:いや、アーサー、
ダグラス:つまりきみがやらかしていることは、アーサー、有名な勘違いを、さらに間違って覚えているんだ。
アーサー:ふうん。
ダグラス:しかも、そうしつつも、きみはなお正しい、、
ダグラス&マーティン&アーサー:イエロー・カー!
ダグラス:素晴らしい。たいしたものだ。
アーサー:つまり宇宙からは見えないってこと?
マーティン:うん。地上からは見えるよ。何千マイルもの長さなんだから。
アーサー:じゃ、どうして宇宙からは見えないの?
マーティン:幅が数フィートしかないから。
アーサー:へ?
マーティン:いいかい?すごく長んだけど、横幅が狭いから、
ダグラス:アーサー、あの銀行だ。
アーサー:おっ
(急ブレーキ。テレサの悲鳴)
アーサー:ごめんね、テレサ。新しいブレーキパッドなんだ。大丈夫?
テレサ:ええ、平気よ。
ダグラス:よし。なるべく早く戻る。ここで待っていてくれ。
(ドアの音。ダグラスが走っていく)
アーサー:あ、そうだ。もしかしたら燃料タンクに高級ワインが入っているのかも。
マーティン:燃料タンクには、燃料が入っているんだよ。
アーサー:そうか。
(窓を叩く音)
アーサー:(窓を下げて)あ、こんにちは。
男:これはあなたのヴァンですか?
アーサー:うん。かっこいいでしょ?
マーティン:あの、なにか問題でも、お巡りさん?
男(警官):そうでないことを願いますよ。でも3人の男が乗ったヴァンが急ブレーキをかけて銀行の前に停まり、一人は走って中に入り、あとの2人は待機している。
マーティン:あ、そうか。いえ、いえ、申し訳ない。そうじゃなくて、
警官:しかもヴァンには悪魔の絵が描いてあって、
アーサー:悪魔じゃなくて、グーフィーだよ!
警官:なるほど。荷台に何を積んでいるのか、教えていただけますか?
アーサー:うん、もちろん。
マーティン:アーサー、、
アーサー:イチゴ味のアイスキャンディがいっぱい、それに、リヒテンシュタインの王女様。
警官:よろしい。みな、外に出て。

(車が停まる)
ハーク:キャロリン、やあ!(クラクション)
キャロリン:どこにいたの?遅いじゃない。ずっと待っていたのよ。
(車に乗り込む)
ハーク:約束の時間より10分早いんだが。
キャロリン:とはいえ。
ハーク:とはいえ、じゃないよ。きみは心の中でこう思っている。「あら、そうよね、謝るわ、ハーク。私の間違いよ」
キャロリン:そんなこと思ったこともないわ。
ハーク:ひとつ勉強になったよ。で、首尾はどうだった?
キャロリン:えっと、山あり谷ありで、
ハーク:誰か入札してくれた?
キャロリン:ええ、その点はね。実をいうと、入札しなかった人がいたのか、思いつかないくらいよ。
ハーク:じゃ、売れたんだね?
キャロリン:ええ。
ハーク:素晴らしい!
キャロリン:それには、いいえ、よ。
ハーク:なるほど。いい考えがある。何が起こったのか、話してくれないか?
(携帯着信音)
キャロリン:テレサ?あなたを迎えに?どこへ?どうしてそこに置いていかれたの?いったいどうして後ろに乗っていたの?

(ヴァン)
ダグラス:アーサー、ここだな。ここを曲がって、いや、停まれ、早く!
アーサー:それならできるよ。
(急ブレーキ)
ダグラス:マーティン、降りろ。
マーティン:え、どうして?
ダグラス:きみは彼と競りあったんだ。顔を覚えられていては困る。
マーティン:でも彼はほとんど見ていないはずだよ。
ダグラス:降りて!
(マーティン、降りる)
ダグラス:悪いな。危険は冒せない。
(ヴァン、走り出す)
アーサー:うわぁお、、
ダグラス:ふむ。ちょっとしたもんだな。
アーサー:うん。象の墓場みたい。
ダグラス:ああ。
アーサー:そこに飛行機があるんだ。僕、イヤだな。どうしてみんな翼がないの?
ダグラス:彼らが行く先では、翼は不要なんだ。
(ヴァンが停まる)
ダグラス:ああ、彼がそうだな。犬を連れている男。
(犬の吠え声)(車を降りる)
ブルース:あの、何か用ですか?
アーサー:わぁ、大きい犬だね。
ブルース:気にしないで。
アーサー:みんな、人懐っこいの?
ブルース:いや、気にしないでってだけ。あなたたちは?
ダグラス:私は、
アーサー:僕たちが、飛行機を買うって電話したんだ。
ブルース:ああ、なるほど。どっちの?
アーサー:どっちってどういうこと?
ブルース:あの飛行機を着陸させるまでに2つもオファーがあったんだ。一人は気取った男で、リチャードソン。12,000って言ってきた。その10分後にオーストラリア人が14,000ポンドを申し出てくれて。あなたたちはどちらさん?
アーサー:僕はただのアーサーだけど、こっちは、
ダグラス:(オーストリア訛りで)ゴードン・シャッピーと申す。お会いできて光栄。これは息子のアーサー。気を悪くせんでくれ。こいつはとでも内気で、ほとんど口をきかない。
ブルース:本当に?よくしゃべるようだけど。
ダグラス:いや、こいつはいつもそうなんだ。初対面の人には最初たくさん話しかけるが、それから急に口を閉ざす。一言も口をきかないんだ。だから私が代わって話さないといかん。面倒なこったが、仕方ない。で、この飛行機のことだが、2人から声がかかっているんだね?
ブルース:ええ、電話でそう言いましたよ。
ダグラス:そうだった、確かにきみはそう言った。話の流れで繰り返しただけさ。我々は二番手だというわけだな。ここに現金を持ってきたから、
ブルース:オーケイ。身分証明書は?
ダグラス:ああ。えっと、その、残念、ホテルに置いてきたよ。
ブルース:なら取ってきてください。そうすればこの娘はあなたのものです。
ダグラス:ふむ。ひとつ問題があってな、ホテルはすごく遠いんだ。
ブルース:早く行けば、早く戻れますよ。
ダグラス:、、そうか。
アーサー:たぶん大丈夫だよ、、父さん。
ダグラス:アーサー、
アーサー:だって僕が身分証明書を持っているから。
ダグラス:アーサー、警戒警報発令。
アーサー:ううん!警報はいらないんだ。聞いて。だってきみがゴードン・シャッピーで、僕がきみの息子なら、って、そうなんだけど、、いや、その、ちょっと待って!(あやしいオーストラリア訛りで)僕が言わんとしてるのは、僕の運転免許証がここにあるってことさ。これには僕の名前が書いてあって、ほら、「アーサー・ゴードン・シャッピー」。そしてこっちは僕の父さんだから、
ダグラス:そうだった!これを見てくれ。私の息子の身分証明書。そしてこいつが私の身分を証明している。これでどうだね?
ブルース:ええ、いいでしょう。でもどうして彼はあんな風にしゃべるんです?
アーサー:どんな風に?
ブルース:なんだか、、すごくヘン。
アーサー:なあ、いいかい、ブルース。これは僕の訛りなんだ、ブルース。それが気に入らないっていうなら、
ダグラス:まあ、気にせんでくれ。こいつは父親をからかっているだけだ。
ブルース:ああ、なるほど。
アーサー:(小声で)なに?
ダグラス:(こちらも小声で)今からは絶対に警戒警報だ。
アーサー:オーケイ。
ダグラス:オーケイ、では現金はここにあるから、きみは、
ブルース:ええ。でももちろんリチャードソンって人が来るのを待たないと。
ダグラス:え?
ブルース:もっといい金額を提示してくれるかも知れないから。
ダグラス:まず無理だな。あ、つまり、我々はここにいるんだし、
(足音)
ブルース:ああ、来たみたいですよ。
マーティン;待てって言われたのは分かっているけど、キャロリンから電話があって、ゴードンが、
ダグラス:その通り。ゴードン、つまり私だ。私の名前は覚えているだろう?
マーティン:え?
ダグラス:そうだろう、きみは、ダグラス・リチャードソンだな。1、2度会ったことがある。私の名前は、きみが言うとおり、ゴードン・シャッピー。そして、きみには悪いが、ダグラス、私のほうが高値でLM3-12を買う。
ブルース:ああ、こんにちは、私はブルース・フレーザーです。
ダグラス:いや、これは失敬。ブルース、こちらはダグラス・リチャードソン。ダグラス、こちらはブルース。
マーティン:あ、そう!うん、で、
ダグラス:この人とは、もちろん、さっき電話で話をしたよな?
マーティン:(ダグラス風に)もちろん。お会いできて光栄だ。
ブルース:ええ。申し訳ないですね。この人があなたの10分後に電話をかけてきて、14,000出すって言ってきたんですよ。
マーティン:それは残念至極。ちぇっ、ツイてないな。ま、仕方ない。
ブルース:ま、でも、もしそれよりいい値をつけてくれるのなら、話を聞きますよ。
マーティン:そうか、考えさせてくれ、、いや、それはないな。私、ダグラス・リチャードソンはまたもや出し抜かれた。私は負け犬だよ。
ダグラス:そんなに自分に厳しくあたるなよ。
マーティン:いや、これが真実なんだ。私って男はまったく、
ダグラス:ともかく、さっさと片付けたほうがよいだろう。他にも誰かやってきてあの娘を買いたいなんて言われたら困る。(笑う)
マーティン:わ、そうだった、うん!あ、つまり、(笑う)
ダグラス:ではこれが、12,000ポンドだ。
ブルースいや、違う、違います。それは彼の指し値。あなたは14,000ポンドでしょう?
ダグラス:あ、そうだったな。だが、現金分は、
ブルース:いいえ。14,000ですよ。それがダメならこちらの方に。
ダグラス:そうか。その、リチャードソンさん、もし、私に2,000貸してくれたら、
マーティン:きみの競争相手がお金を貸したら、ひどくおかしなことにならないかい?
ダグラス:オーケイ。ならこれから町に戻って、残りの現金をとってこよう。
マーティン:そんな時間があるとは思えないでしょう、シャッピーさん?
ダグラス:ではなにか提案でも、リチャードソンさん?
マーティン:ああ、まあ、これは僕には全く関係ないことだけど、せっかく聞かれたから。きみのヴァンを手放すことができるんじゃないかな?
ダグラス:きみのヴァン?
アーサー:僕のヴァン?
マーティン:いや、きみのヴァンさ。ここにある。
(車をたたく)
ダグラス:ああ。まあ、もしきみが本気で、
マーティン:私には無関係だよ。
ブルース:ええ、でも、申し訳ないが、このヴァンには2,000ポンドの価値はありませんよ。グーフィーの絵は良いけど。
アーサー:ありがとう!
マーティン:そうですか?部品に興味を持つ人にとっても?なぜなら私にはこれは新品に見えますがね。最高級のカーボン・ファイバー製ブレーキパッドだ。
ブルース:わあ、本当だ!どうしてこんなポンコツ車にこれをつけているんです?
ダグラス:私の息子は投資になると思ったらしい。それが的中したな。

(車内)
キャロリン:あなた、すごく静かね。
ハーク:計画について考えていたんだ。つまり、今回の唯一の鍵は、隠された秘宝を見つけることなんだね?それとも私はなにか見落としているのかな?
キャロリン:いいえ。言わんとしていることは分かるけど、でも、ダグラスがそう確信しているから。
ハーク:まあいいだろう。仮に彼が正しくて、ガーティのどこかに財宝があるとしたら、きみはそれをなにに使う?
キャロリン:MJNを再建するわ、当然。
ハーク:当然、ね。
キャロリン:ごめんなさい、ハーク。でも私、本当にチューリッヒには引っ越したくないの。それに、あなたにイギリスに戻ってきてほしいなんて言えないし。
ハーク:どうして?
キャロリン:だって、戻る理由があって?「私を愛しているから」なんて言わないでね。
ハーク:言わないけど、大声で考えるだろうね。
キャロリン:ハーク!
ハーク:私がそれを口にすることが、なぜ嫌いなんだ?
キャロリン:そんなに嫌ってはいないわ、前よりはね。でも、あなた、簡単に言うでしょう、ハーク。例えば4人の元奥さんたちに、それに、どれだけ多くのガールフレンドがいたか知らないけど。今回はどこが違うの?
ハーク:そうだな、例えば、きみの髪の色。
キャロリン:私のなに?
ハーク:きみは白髪だ。
キャロリン:ええ、そうよ。
ハーク:今までに何人いたと思う?私の4人の奥さんや、ご想像通り、数えきれないガールフレンドたちのなかで、白髪の人が?ヒントをあげよう、ゼロだよ。圧倒的多数のブルネット、数人のブロンド、それにヘンな赤毛の子。でもきみは私にとって最初の白髪頭だ。
キャロリン:なんて斬新な手段で私たちの関係を終わらせるんでしょう。
ハーク:私が言いたいことは、きみは私のタイプというわけではないし、確かに、他にも愛した女性はいた。だがきみは―自分でも驚き、正直言って、うろたえたが―私が恋に落ちた最初の女性なんだ。分かるだろう、まるで10代のように。あれは我々の2回目のデート、リゴレットの時だった。きみの素直な歓喜の表情に惚れたんじゃないよ。私がきみを見ているだろうときのために、わざと「くだらいない」って顔をしてみせた時さ。
キャロリン:まあ、ハーク。
ハーク:だがきみと結婚しようと決めたのは、きみがわざわざアイルランドまで行って、私の大嫌いな羊のはく製を買ってきた日だよ。
キャロリン:誰も私と結婚しようと決められないわ。私が決めるの、誰と結婚するか。
ハーク:もちろん。それで、そう決めたのかい?

(操縦席にて)
マーティン:離陸後チェック完了。
ダグラス:ありがとう、機長。アーサー、しゃべっていいぞ。
アーサー:素晴らしかったよ!きみは素晴らしかった、ダグラス!それにきみも素晴らしかったよ、スキップ!それに僕は、
ダグラス:きみもな、アーサー。身分証明書のことだよ、きみは素晴らしかったぞ。
アーサー:そうだよね。僕、謙遜してただけ。それに僕のオーストラリア訛りが今日の救世主!
マーティン:訛って話す必要はなかったと思うけど、
ダグラス:第一きみは、オーストラリア訛りが出来ない。
アーサー:あれが救ってくれたんだよ!
マーティン:でもさ、ダグラスが正しいとして、どういうわけだかガーティにすごく価値があるのなら、って、今、こう言ってみると、やっぱりあり得ない気が、
ダグラス:ああ、だが「ダグラスが正しいとして」で止めておけば、ずっとあり得る気になるだろ。フィットンに着いたらすぐ、この娘をすみずみまで調べよう。
アーサー:そうだ、僕、今からやるよ。心配無用だよ、スキップ、ダグラスはいつも僕たちを救ってくれるんだ。ブレーキパッドを思い出したようにね!
マーティン:あれは僕だよ。
アーサー:うん、でもきみはダグラスをまねていたから。じゃ、あとでね!
(ドアの音)
ダグラス:その通りだな、マーティン。あれは機転が効いていた。
マーティン:悪くなかったよね?
ダグラス:上出来だったぞ。きみは冷静で、決断力と機略に富んでいた。
マーティン:うん、そうだよね。なぜか簡単だったよ。僕が、きみのまねをしていた時は。
ダグラス:これからも続けていいんだよ。私はこのお家芸の著作権を持っていはいないんだから。まあ、この操縦室では別だがな。だが、他の国でなら、そうだな、例えばスイスあたりなら、のれんを分けてやってもいいぞ。
マーティン:うん、でもずっときみのまねをして過ごすことは出来ないよ。
ダグラス:正確にはローリーのまねだがね。
マーティン:ローリーって誰?
ダグラス:私が新人だった頃の機長さ。そこで仕入れたんだ。
マーティン:つまりきみはずっとローリーのまねをしてるってこと?
ダグラス:いや、最初の1、2年だけだ。そのうち自分のものになる。だからモデル選びは慎重にしないと。きみは、もちろん、最高のモデルを選んだわけだ。
マーティン:(笑う)
(無線)
ダグラス:フィットン管制塔。
カール:はい?交信を続けてください。
ダグラス:誰だと思う?
カール:うわぁ、ガーティ!動物病院を無事退院したんだね!
ダグラス:尾を振りつつ、鼻は冷たく濡れて。
マーティン:どっちも飛行機にはすごく悪いことだよ。
ダグラス:手持ちの駒で頑張るしかないさ。

(ドアの音)
アーサー:やあ、ダグラス。
マーティン:なにか見つかった?
ダグラス:いや。なんにせよ、キャビンにないことは確実だ。
アーサー:残念。そうだ、座席の下は見た?
ダグラス:ああ、アーサー。
アーサー:上の荷物入れは?
ダグラス:私が思いつく限りのところをすべて見たよ、アーサー。そのなかにはきみが思いつく場所を含めてもいいんじゃないかね?
アーサー:承知。
マーティン:僕は貨物室と着陸装置、配線管、航空機器もタンクもエンジンも見たけど、何もなかった。
ダグラス:どこかにあるはずだ。
(クラクション)
アーサー:あ、母さんとハークだよ。
(ドアの音)
アーサー:やあ、着いたんだね。ね、ガーティは取り戻したよ、、あ。
ゴードン:やあ、アーサー。
アーサー:あ、うん。父さんが、ここに。オーケイ。僕、みんなを呼んでくるね。
ゴードン:いや、いや、いや。その必要はない。
アーサー:そ、そうだよね。もちろん。僕がバカだった。ごめんなさい。で、あの、やっぱり呼んでこようと、
ゴードン:いや!なあ、親子水入らずで話をしないかね?
アーサー:うん、してもいいけど。したことないから。
ゴードン:いいかい、聞くんだ、アーサー。今日、オークションで母さんがお前のためにやったことをちゃんと理解しているのか私は確かめたいだけなんだ。
アーサー:分かってるよ。父さんがガーティを買うのをやめさせたんだ。
ゴードン:その通り。お前のために、母さんは25万ポンドを断った。あいつは借金だらけで、会社も倒産するというのに、お前を喜ばせるために、あれほどの大金を断った。これは公平じゃないと思わんかね?
アーサー:ぼ、僕には、
ゴードン:あとになって、あいつがお前を恨むことになったら私も悲しい。
アーサー:父さんがガーティンになにかを隠してるってダグラスが言ってる。
ゴードン:ああ、なるほどな。いいか、よく聞くんだ。ダグラスはケチは詐欺師だ。だから周りの人間もそうだと思い込んでいる。いや、私はなにも隠しておらん。
アーサー:あの娘には価値はないの?
ゴードン:全くない。
アーサー:約束する?
ゴードン:神様に誓って本当だ。
アーサー&ゴードン:ウソだったら亀様にくすぐられてもいい。
アーサー:じゃあ、母さんをこらしめたいだけなの?
ゴードン:いや、いや、そんなわけないだろう。本当の理由を教えてやろう。
アーサー:オーケイ。
ゴードン:登録名なんだ。ガーティ。これは私の母親の名前でな。ガートルード。みんなガーティと呼んでいた。母が死んだとき、私はこの飛行機を買った。想い出のためにね。だからお前の母さんに渡したくないんだよ。この娘は私の母を思い出せる唯一のよすがなんだ。だから、どうだね?私に返してくれないかね?
アーサー:うん、たぶんね、もし本当に、、ちょっと待って。名前はモードだよ!
ゴードン:しまった。お前は会ったことがあるんだったな。
アーサー:だって僕のおばあちゃんだもん!ダグラス!マーティン!
ゴードン:いや、待て、やめるんだ、
アーサー:ウソはつかないって言ったのに!亀様にくすぐられてもって言ったのに!
(ドアの音)
マーティン:どうしたんだ、アーサー? あ、
ダグラス:またもやお出ましですか。
アーサー:絶対ガーティになにか隠してあるんだ!
ゴードン:いや、いや、お前には分からない、
アーサー:分かるもんね!なにもないって言って、でもそれはウソなんだ。これからダグラスがなにか賢いことを思いついて、見つけるんだ!
ダグラス:うむ。舞台設定をありがとう、アーサー。だが私はまだ、
アーサー:ねえ、頼むよ、ダグラス。見つけて!
ダグラス:この機になにか隠しましたか、ゴードン?
ゴードン:いや。
ダグラス:即答か。つまり、隠したわけだ。
ゴードン:いや、私は密輸人じゃない。
ダグラス:その通り。だったらなにを隠すんです?当時のことを考えましょうか。あなたは離婚するところで、、あ、あるいはそれを事前に察知していたか、、
ゴードン:いや!
ダグラス:もしそうなら、きっとあなたは自分の飛行機を、見かけよりずっと貴重なものにするはずだ。そして離婚が成立したら、キャロリンに家も車も、実際のところ、息子も渡せる。飛行機さえ手元に残ればよかった。
ゴードン:いや。仮に私がそんなことをしたら、お前たちがとっくに見つけているだろ?
ダグラス:小さすぎて我々には見つけられないものかも。
ゴードン:なら私がサンクトペテルブルグでとっているさ。
ダグラス:その通り。つまり、その「何か」は、大きいと同時に小さくもある。大きくて、なおかつ小さいものとはなにか?
アーサー:万里の長城。
ダグラス:そうか、もちろんそうだ!
アーサー:やっとだね。待ってたんだよ。
ダグラス:ありがとう、アーサー。これを見ろ!配線管だ。
マーティン:配線管?さっき言ったけど、僕、調べたんだよ。そこにはなにもない。
ダグラス:いいや、あるんだ。これぞ万里の長城さ。
マーティン:いったいなんの話?
ダグラス:大きいと同時に小さい。とっても長くて、とっても細い。つまり、(ワイヤーを引っ張り)これだ!
マーティン:このワイヤー?
ダグラス:このワイヤーだけじゃない。全てのワイヤーさ。ガーティの中にどれだけあると思う?機器、照明、発電機、全てをさきっちょからしっぽまで、翼の先から翼の先まで、何マイルものワイヤーが繋いでいる。
マーティン:でもワイヤーは銅じゃないと。
ダグラス:いや、電気を通せばいいんだ。そして、銅よりも電気を通すものといえば、ほら、(ワイヤーをはがす)、これだろう?
マーティン:黄金だ。
ゴードン:やられた。
キャロリン:やっと戻ったわよ、私たち、、ゴードン。いったい何事なの?
アーサー:やあ、母さん、ハーク、テレサ!父さんがやってきてね、でももう帰るところ、たぶんね。あ、それから母さん、おとぎ話のようなエンディングはないって言ってたよね?
キャロリン:ええ。
アーサー:ガーティの一部は黄金で出来ているんだよ。
キャロリン:そうなの?
ダグラス:やあ、キャロリン。そうなんだ。どうやらアーサーがポンコツのヴァンに高級ブレーキパッドをつけているのと同様、彼の父親はポンコツの飛行機を黄金の財宝でくるんでいたんだ。
テレサ:でも、ダグラス、黄金は銅よりずっと重いのよ。
ダグラス:その通り。
マーティン:そうか!つまり全ての銅を黄金に替えたら、機体は当然鈍くなる。
ダグラス:まさに。
マーティン:反応も悪く、
ダグラス:疑いの余地なし。
マーティン:要するに、すごく扱いにくい飛行機になる、、なんてこった!ずっと僕は、自分が下手なパイロットだと思っていた。でも実際は、とんでもなく飛ばしにくい飛行機を操縦してただけなんだ。わざと飛行を困難にしたのは、
ダグラス:機体の一部が黄金で出来ていたから。
キャロリン:そして私がずっと会社が倒産しないようやりくりしてきたのは、飛行機が、
ダグラス:一部、黄金で出来ていたから。
アーサー:そして僕がきみたちにコーヒーを入れている時、いつも、
ダグラス:うん?
アーサー:飛行機に黄金があったんだ!
ダグラス:その通り!だがそこに皮肉は感じられないがね。
アーサー:みんな飛行機でやっていたことを言ってるんだと思ったんだ。
ゴードン:なあ、ちょっと、いいかね、私と取引しないか?
キャロリン:ゴードン。私、前にも言ったし、もう二度と言わないわよ。私たちの飛行機から出て行って!(Get off Our Jet Still)

マーティン:本当にいいのかい、テレサ?
テレサ:もちろん。これはあなたが決めることよ。
(ドアの音)
キャロリン:感じのいい仲買人さんが黄金の見積もりを出してくれたわ。
ダグラス:で?
キャロリン:こう言いましょうか?食費が稼げたわよ。それもすごくたくさんの、最高級の食べ物が。例えばね、マーティン、もしあなたが、もう必要ないけどどうしてもここにいたいんだったら、スイス・エアウェイズと同じお給料を払えるわよ。
マーティン:そう。でも、、考えたんだけど、もうMJNは大丈夫だし、他の機長を雇えるんじゃないかな?
キャロリン:素晴らしい決断よ、マーティン。
アーサー:じゃ、チューリッヒに行っちゃうの、スキップ?
マーティン:そうしようと思うんだ、アーサー。分かってくれるよね?
アーサー:もちろんさ。きみはモーグリなんだ。
マーティン:誰?
アーサー:きみは人間の村に行かなきゃ。つまりチューリッヒに。頭に水をかぶっている子がテレサで、一緒に行くんだ。ここに残るのは、バギーラと、その母さんと、バルー。
ダグラス:誰もバルーにはならない。
アーサー:僕、バルーがいいな。
ダグラス:そうか、いいだろう。きみがバルーだ。
アーサー:最高。
キャロリン:明日朝に、新しいパイロット募集の広告を出しましょう。
ハーク:まあ、我々の最近の討論の結果、キャロリン、きみのバカげたチューリッヒとバカげだ時計に対する考えは変わっていないだろうから。私としてはこの国で仕事を探そうと思うんだ。
キャロリン:でも、ハーク、今のあなたのお給料とは雲泥の差になるのよ。
ハーク:そうだね。だが議論した通り、私はきみを愛している。一緒にいられるならなんでもする。だから私には手も足もだせないのさ。それに、お金では買えない楽しみがある。ダグラスの機長になれるんだ。
ダグラス:なんてこった。
キャロリン:ハーク。
ハーク:なんだい?
キャロリン:あなたを愛しています、ハーク。でも、ダグラスが機長よ。

(ピンポン)
マーティン:こんばんは、みなさん。私は副操縦士のマーティン・クリーフです。ルートル機長に代わりまして、スイス・エアウェイズのリヨン発チューリッヒ行きフライトのご搭乗を歓迎します。(フランス語で)ボンソワール、メダム&メッシュー、ジュスイ、ル、プレミエオフィシエ、マタン・ドゥ・クレフ。

(一方、ガーティでは)
ダグラス:オーケイ。宿敵になる人たちの名前を。
ハーク:ああ。ドナ・サマーとアナ・ウィンター。
ダグラス:うまいね。ビビアン・ウエストウッドとクリント・イーストウッド。
(ドアの音)
キャロリン:運転手さんたち。いいこと、これはアーサーが入れたんだけど、あの子はギャレーで手が離せないの。だからこれは、私がコーヒーを持ってきたことにはなりません。
ダグラス:ありがとう、ミセス・シップ、
キャロリン:ダメよ。
ハーク:ウェイン・スリープ(寝る)とリック・ウェイクマン(起きる)。
ダグラス:いいぞ。
キャロリン:なにしてるの?
ダグラス:宿敵。
キャロリン:ああ!えっとね、、ルビー・ワックスとジョン・ウェイン。(月の満ち欠け)
ダグラス:お見事!
キャロリン:当然よ。
(ドアの音)
ダグラス:(無線)コロンボ・センター、こんばんは。こちらはOJS社のG-T-I機。3-1-0から管制区域に入りました。目的地はアディスアベバ。
管制塔:了解。G-T-I。進路3-1-0を維持、右へ旋回、2-7-0を目指してください。
(交信終了)
ダグラス:ちぇっ。
ハーク:どうした?
ダグラス:見てくれよ、午後7時に真西へ飛行。ずっと太陽を見続けることになる。私はサンセットに向かって飛ぶのが嫌いなんだ。
ハーク:かわいそうに。それに時間もかかるな。こうしよう、他のゲームがあるんだ。客が乗っているフライトだと結構楽しめるやつだよ。準備するのはフルーツ1個、それから順番にそいつを隠して、
ダグラス:ああ、それなら私も知っている。
ハーク:ならやらないかい?時間つぶしにもなる。
ダグラス:やりましょうか。
(インターコム)
ダグラス:アーサー?
アーサー:なに、スキップ?
ダグラス:レモンがピッチに入ったぞ。
アーサー:最高!


(エンド・クレジット)

Stephanie Cole as Carolyn  
Roger Allam as Douglas
Benedict Cumberbatch as Martin
John Finnemore as Arthur

Anthony Head as Herc
Timothy West as Gordon Shappy
Matilda Ziegler as Princess Theresa
Jonathan Kydd as The Auctioneer
Gordon Kennedy as Bruce
Dan Tetsell as Rick/Karl

Writer : John Finnemore
Aviation Consultant : David Finnemore
Director/Producer : David Tyler

A Pozzitive production for BBC


(完)


S5 チューリッヒ パート1 

2014-12-26 06:15:30 | 日記
お待たせしました。
キャビン・プレッシャーの最後を飾る「チューリッヒ・パート1」の拙訳です。
くれぐれも、先に番組を聞いてからご覧くださいませ。
今なら無料でBBC iPlayerで視聴が可能です。


今回、初めてキャビン・プレッシャーに出会った、という方へ。
「面白そうかも」と思っていただけたら、是非、アルファベット順にAから聞いてみてください。
(完全版のBOXセットは1月発売予定♪)
そして最後にこのチューリッヒを聞くと、、、

なお、英語のスクリプトはこちらを参照させていただきました。
ありがとうございます!


それでは、どうぞ!

 ↓  



(空港にて)
マーティン:その場で仕事をくれたんだ、アーサー。3ヶ月後には始められる。
アーサー:わぁお、スキップ。それって、すごく、、きみが欲しがっていた仕事だ。良かったね。
マーティン:うん。でも、他の人たちにとっては良くないだろう?きみやキャロリン、ダグラスにさ。僕が抜ければ、MJNは倒産する。
アーサー:僕たちは大丈夫だよ。なにかやることを探すから。
マーティン:それとも、その、、いまのは冗談だったのかも。受かったってね。
アーサー:へえ、そう!、、良く分からないな。冗談だったの?
ハーク:ああ、ここにいた。
キャロリン:マーティン!
ダグラス:で?どうだったんだ?
マーティン:ぼ、僕、ちょうどアーサーに話したところさ。
アーサー:うん、でも、僕はよく分からなかった。
キャロリン:では、私たちに話してよ。あなた、受かったの?
マーティン:、、あとで知らせてくれるって。


 (テーマ曲) 今週は、チューリッヒ!


キャロリン:もちろん、あとで知らせてくれるでしょうよ。あなたの手ごたえはどうだったの?
マーティン:えっと、うまくいったところも、
アーサー:やったね。
マーティン:うまくいかなかったところもあって、
ダグラス:まるで我々がその場にいたかのように。
アーサー:スキップ、ねえ、僕、まだ混乱してるんだ。さっききみが言った、
マーティン:そ、それで、最終的に彼らがどう思ったのか、誰にも分からないんだよ。スイス人って、不可解なことで有名だろう?まるで、その、彼らが作る時計みたいに。
ダグラス:ああ、名高い鳩時計の謎。誰がその深淵を測ることが出来ようか。
アーサー:で、スキップ、きみの言ったことは冗談だったの、
マーティン:そうだよ、アーサー。あのことは忘れてくれ。
ダグラス:ほう?なんの冗談だね?
マーティン:なんでもない。ちょっとしたジョークをアーサーに言っただけさ。きみには分からないよ。
ダグラス:私には分からない?
マーティン:うん。
ダグラス:だがアーサーには分かる?
マーティン:そうさ。
アーサー:正直、まだ完全には分からないんだ。でもスキップが言うには、
マーティン:いいから忘れてくれないか?
キャロリン:それで、いつ彼らは結果を知らせてくれるの?
マーティン:えっと、すぐだと思うよ。僕には時間が必要、あ、じゃなくて、彼らが少し考えたいって。その、僕について。
ハーク:へえ、そう言ってたのかい?なら良い兆候だ。
マーティン:いや、そうじゃなくて、その、
アーサー:ねえ、スキップ、僕に完全に分かるように教えてほしいんだけど、さっききみが言った、
マーティン:いいさ、分かったよ!本当のところ、僕は結果を教えてもらったんだ。
ダグラス:ほう?
キャロリン:それで?
マーティン:、、ダメだってさ。
キャロリン:彼らはバカよ!
ダグラス:いい人材を取り逃がしたな。
マーティン:だからMJNは今まで通り続けられる。
キャロリン:そうね、でもそんなことより、、残念だったわね、マーティン。
ダグラス:他にもチャンスはあるさ。
アーサー:そうか、やっとジョークが分かったよ。
マーティン:アーサー、、
アーサー:だってさっきスキップは仕事をもらえたって言ってたけど、それは冗談で、本当は不採用なんだ。これって、悲しいジョークだね。
ダグラス:マーティン、
キャロリン:どういうことなの、マーティン?
テレサ:マーティン!(駆けつける)
マーティン:テレサ!
テレサ:やったのね!おめでとう!おめでとう!
マーティン:まさかきみがここに、
テレサ:驚かせようと思ったの。メッセージを受け取ったわ。あなたのこと、誇りに思うわ。よかったわね!あ、こんにちは、みなさん。まだみなさんに伝えてないの?
マーティン:もう察しはついているんじゃないかな。
キャロリン:受かったのね?
マーティン:えっと、うん。でも、
アーサー:やった!
ダグラス:おめでとう、マーティン!
ハーク:スイス・エアウェイズへようこそ。
キャロリン:だったら、今までのくだらない話はなんだったの?
アーサー:それがジョークなんだって、母さん。スキップの面白いジョークが分かったのは僕だけ?
マーティン:ジョークじゃなくて、その、ぼ、僕、もしかしたら、仕事を引き受けないかもしれないし。
ダグラス:いったいどうして?
マーティン:アーサーに話したときに気付いたんだ。僕、引き受けられないよ。みんな、どうなっちゃうの?
キャロリン:くだらない!もちろんあなたは引き受けるのよ。
マーティン:いや、でも、
キャロリン:お給料をもらって大型機で国際線を飛ばすのよ。しかもガールフレンドは1時間の距離に住んでいる。これで車輪並みに大きい帽子をかぶれば、あなた、完璧よ。
ハーク:と、いうことは、つまり、きみたちは、、
マーティン:あ、ごめんなさい。テレサ、こちらはハーク。キャロリンの、
キャロリン:友達よ。
マーティン:ボクシングの練習相手と言うつもりだったんだけどね。ハーク、こちらはテレサ。
テレサ:はじめまして。
アーサー:この人はリヒテンシュタインの王女様なんだよ。
ハーク:それは違うだろう、アーサー。
テレサ:実は少しばかりそうなの。
ハーク:これは失礼!私はてっきりアーサーが、
テレサ:気にしないで。私もきっと同じことを思うわ。
マーティン:キャロリン、僕はできないよ、
キャロリン:なら助けてあげる。マーティン、あなたはクビよ。ああ、私、一度、誰かをクビにしたかったの。でも、もっと楽しめるかと思っていたわ。
ダグラス:それはきっときみが年をとって穏やかになったから、、
キャロリン:あなたもクビよ、ダグラス。あら、これは楽しめたわ。
マーティン:ダグラスはどうなるの?この先、彼は?
ダグラス:ありがとう、マーティン。救貧院行きはなんとか免れるさ。また機長になろうと思う。
ハーク:きみが?どこで?
ダグラス:どこでも、ハーキュリーズ、私の奉仕に対して一番番高いお金を払うところへね。
ハーク:当然そうだろう。
マーティン:それにアーサーは?
キャロリン:アーサーは大丈夫よ。
アーサー:うん。僕のことは心配しないで、スキップ。いろいろなれることがあるんだ。漁師さんか、マジシャン。犬を連れてる人、それとも、クレージーゴルフのプロになってもいいな。
マーティン:あるいは、僕のヴァンを受け取ってくれても。
アーサー:スキップ!きみのお父さんのヴァンを?
マーティン:うん、チューリッヒまで持ってくるのはちょっとね。だから、もしきみが欲しければ、だけど、
アーサー:スキップ、嬉しいよ!いい、母さん?
キャロリン:ええ、あなたは運送業に向いているかもね。
アーサー:やったね!
マーティン:それなら、いいかい、ブレーキパッドは1、2年したら交換するほうがいいよ。
アーサー:了解、スキップ。
マーティン:しかもいいものに替えるんだよ。この手のことをケチると、あとでもっとお金がかかることになる。
アーサー:分かった。
マーティン:それから、オイル交換するときは、コップ半分の量の、
ダグラス:紙に書きだしておくほうがいいんじゃないか、マーティン。
キャロリン:寛大なお申し出、ありがたくお受けするわ。これでみんな大丈夫ね。
アーサー:でも、誰がガーティの面倒を見るの?
キャロリン:それは、あの娘を買った人が、よ。
アーサー:売っちゃダメだよ。
キャロリン:そう?いったい私にどうしろというの、あの娘をブローチにしろとでも?
アーサー:でも父さんにはダメだよ。父さんには売らないって約束して。
キャロリン:もちろんよ!私の酷い元旦那はね、テレサ、かつてガーティを所有していて、ずっと買戻しがっているの。
アーサー:盗もうともね。サンクトペテルブルグの時みたいに。
テレサ:それってマーティンがエンジン1基だけで着陸させた時のこと?
キャロリン:その通り。
テレサ:彼、しょっちゅうその話をするから。
マーティン:たまに、だろう?
テレサ:しょっちゅう、よ。
キャロリン:これで大団円ね。マーティンは夢のような仕事を得て、MJNは栄光の炎につつまれながら、その役目を終え、一礼して退場。万歳。
マーティン:ハッピー・エンディングって感じがしないけど。
キャロリン:これがハッピー・エンディングよ。おとぎ話とは違います。実社会のハッピー・エンディングはそんなに単純じゃないの。
アーサー:単純だよ。「ファインディング・ニモ」でニモを見つけたときみたいに。「カサブランカ」だとあの女の人が飛行機に乗るとき。
キャロリン:違います。
アーサー:たぶん「ジャングル・ブック」では、モーグリが、バルーやバギーラと一緒に遊ぶ代わりに、あの退屈な娘と人間の村に行くことがハッピー・エンディングになってるけど、あれは悲しいハッピー・エンディングだよね。
キャロリン:その通りね。
ダグラス:その通りだって?
キャロリン:なんのことだか分からないけど、あの子はそう言われると安心するのよ。

(ガーティのドアが開く音)
ハーク:ああ、ここにいたのか。
キャロリン:え、ええ。
ハーク:きみの対応は素晴らしかったよ。
キャロリン:うん。
ハーク:お見事。それに、みんなもうまく受け取ったし、アーサーすらね。
キャロリン:ええ。
ハーク:マーティンのヴァンは彼にぴったりだと私も思うよ。もし、その、
キャロリン:ああ、ハーク、、
ハーク:キャロリン。
キャロリン:会社をずっと続けられるとは思ってないけど、今までやってこれたのに、それが、おしまいなんて。
ハーク:ああ、きみ、
キャロリン:これから私はなにをすればいいの?
ハーク:私と一緒にチューリッヒに引っ越すこともできるよ。
キャロリン:バカげたチューリッヒになって行きたくないわ!
ハーク:そうか、そうだろうね。失礼した。
キャロリン:スイスの時計も嫌い!
ハーク:確かにバカげた時計だ。
キャロリン:ごめんなさい。あなたのことは好きよ。でも私、チューリッヒでいったいなにをすればいいの?チューリッヒじゃなくても、どこでも。
ハーク:うん、気持ちは理解できるが、マーティンはやっぱり、
キャロリン:もちろん分かってるわよ、おバカさん!私、そう言ったでしょ?でもここは、まだ私の飛行機の中なのよ。ここでなら悲しんでもいいでしょう?
ハーク:もちろんさ。その、、私の一方的な継続性反復は常に役立たずな策略だと分かっているが、こういう特別な時なら口にしてもいいと同意してくれたよね?
キャロリン:ええ。
ハーク:今は特別な時だと感じるんだ。
キャロリン:そうね。
ハーク:きみを愛している、キャロリン。
キャロリン:私、、分かっているわ。

(操縦室にて)
リック:ありがとう、ハーン。こちらG-R-I-M-Y、進路2-1-0、ガーンジー島へ向かう。
管制塔:了解、G-M-Y、飛行を続けてください。
リック:それじゃ。きみ、調子はどうかね、ダグ?
ダグラス:(あくび)ああ、いつもこんなに早く出るのかい?
リック:そうさ。新聞配達だからね、朝一で出発しないと。
ダグラス:よし、それでは。宿敵になる人たちの名前を。
リック:なんだって?
ダグラス:私から始めよう。ジョン・スノー(雪)とジョン・ソウ(融ける)。
リック:悪いが、なんのことだか、
ダグラス:宿敵さ。分かるだろう?名前が、雪と、融ける、だ。
リック:きみ、大丈夫かい?
ダグラス:もちろん!
リック:良かった。うちの叔父がそんなことを呟きはじめてさ、そしたら心臓発作だったんだ。
ダグラス:心臓発作じゃないよ。ただのゲームさ。
リック:ゲーム?
ダグラス:その通り。暇つぶしになる。
リック:ああ。俺はそういうの苦手でね、正直言って。
ダグラス:、、なるほど。それで、きみがこの会社の唯一の副操縦士なのかい?
リック:副操縦士?いや、俺がオーナーだよ。きみが採用になれば、俺と二人で飛ばすことになる。
ダグラス:だが、、私が機長だろう?
リック:今まで機長なんていなかったな。
ダグラス:そうか。それでも我々のうちのどちらかが、この機の司令官になるわけだろう?
リック:まあ、それはきっと俺だろうな。あまり気にしてないでほしいんだが。
ダグラス:私は気にしないよ。それで、どうやって時間をつぶそうか?
リック:俺なら一眠りするね。着陸してからが結構忙しいんだ。引き返すまで30分しかないから。
ダグラス:それほど悪くないんじゃないか?喫茶店かなにかあれば。それともコーヒーは届けてもらえるのかい?
リック:いや。俺たちが荷を下ろすのに30分しかないんだ。
ダグラス:荷を下ろす?
リック:うん。
ダグラス:我々が?
リック:そうさ。他に誰がいる?
ダグラス:我々以外の誰でもさ!

(フィットン空港。ポーターキャビン内)
キャロリン:こっちの2つの箱は私の家に持っていくから、外に出しておいて。アーサーがヴァンで来るから。そして、、これで全部ね。
マーティン:わぁ。事務所がからっぽに見えるね。
ダグラス:からっぽだからな、うん。
キャロリン:そうだ、あなたたちのどちらか、この日焼けしたポスターほしくない?スピットファイヤー機が大空で戦っている絵よ。マーティン、もちろんあなたに話しかけているんだけど。
マーティン:いや、遠慮するよ、キャロリン。それはスピットファイヤーじゃないし。
キャロリン:どうして分かるの?
マーティン:翼の形とか胴体とか印とか。第一、スピットファイヤー同士は戦わないよ。
ダグラス:マーティン、早く!
マーティン:今行くよ!(小声で)5ポンド出そう。
キャロリン:いいわ。
(外で)
ダグラス:で、マーティン、研修はうまくいってるかい?
マーティン:えっと、その、まだ1週間だからね。CRM程度でさ。昨日は合言葉を勉強したよ。
ダグラス:それはそれは。
マーティン:どうやらスイス・エアウェイズの完璧なパイロットに求められるのは、冷静、機略に富み、決断力があること。
ダグラス:なるほど、きみが採用されるわけだ。
マーティン:うん、、
ダグラス:悪かったよ、マーティン。私はそんなつもりで、、
マーティン:違うんだ。いいんだよ。同じことを僕も考えた。
ダグラス:じゃ、まだフライトシミュレーターはやってないのかね?
マーティン:実は一度やったんだ。あれは、ダグラス、素晴らしかったよ。最新の737機。あれ、すごいよ。ガーティのあとじゃ、まるでロールスロイスを運転している気分だ、
(車の急ブレーキ)
アーサー:やあ!
マーティン:なってこった。
アーサー:ジャジャーン!きみのヴァンだよ、スキップ。僕の、僕たちのヴァン!
マーティン:どうして意地悪そうなカバがのってるの?
アーサー;え、どこに?
マーティン:車体に描いてある絵。
アーサー:ああ、これはカバじゃなくてグーフィーだよ。どうしてみんなグーフィーだって分からないんだろう?
ダグラス:きっとそいつが事故にあって、おっそろしく醜くなったからじゃないか?
アーサー:事故なんてあってないよ。僕が描いたんだ。
ダグラス:そうじゃないかと思ったよ。
マーティン:でも、どうして?
アーサー:えへん!
(ドアを開ける)
アーサー:もうひとつのジャジャーン!
マーティン:これ、なに?
アーサー:アイスキャンディ。驚いたでしょ?僕、ヴァンをアイスクリーム販売車に改造したんだ。
マーティン:アーサー、そんなこと出来ないよ。
アーサー:出来たんだもん。
マーティン:これは引っ越しとかに使う運送用のヴァンなんだぞ。
アーサー:知ってるよ、スキップ。でも、僕、考えたんだ。みんなが引っ越しより好きなことってなんだろうって。アイスクリームさ!
ダグラス:で、どうやってアイスクリーム販売車に改造したんだね?
アーサー:結構簡単だったよ。アイスキャンディを10箱と帽子を買って、あとは車体にグーフィーの絵を描いて、出来上がり。
マーティン:アーサー、これはみんなCalippoのアイスだぞ。
アーサー:うん。僕の好きなメーカーなんだ。
マーティン:それにどうしてイチゴ味だけなんだい?
アーサー:そこが僕の賢いところ。僕、イチゴは食べちゃいけないから、食べたいって思わないでしょ?さあ、乗って、乗って。
マーティン:でもアーサー、どんな車でもアイスクリームを売っていいわけじゃないんだぞ。免許も必要だし、
ダグラス:冷凍庫もな。
アーサー:大丈夫だよ。保冷バックを持ってきてるんだ。あれって冷凍庫と同じでしょ?あ、そうだ、スキップ、他にも買ったものがあるんだ。
(車、急発進&急停止)
マーティン:アーサー!
ダグラス:なにやってるんだ!
アーサー:分かった?きみに言われた通り、ブレーキパッドを交換したんだ。
マーティン:僕は1、2年したらって言ったんだぞ。
アーサー:うん。でもすぐやったんだ。しかも一番高いのを買ったよ。
マーティン:そうなの?
アーサー:うん。カーボンファイバー製。お店の人は売りたがらなかったけど、僕、どうしてもそれで、って言ったんだ。きみにケチるなって言われたから。
マーティン:いったいいくらかかったんだ?
アーサー:2,000ポンド!ちょうどよかったよ。僕の銀行口座の貯金と同じ額。
マーティン:きみは全財産をブレーキパッドに使ったのか?
アーサー:うん、でもいいんだよ。これは投資なんだ。
マーティン:アーサー、このヴァンはせいぜい500ポンドの価値しかないんだぞ。
アーサー:今は違うよ、スキップ。今は2,500ポンドの価値があるんだ。
ダグラス:つまりきみが手にしたのは、アーサー、とてつもなく高額なブレーキパッド。そいつで、安いヴァンを守っているわけだ。
アーサー:あ、それに、一番いいのがあるんだよ。
マーティン:なんだい?
アーサー:お客さんを集める曲!僕、自分専用のアイスクリーム・ジングルを作ったんだ。聞いて!
(グリーンスリーブスのメロディにのせて、アーサーが歌っている)
マーティン:ああ、そうだね、これは、
(さらに続く)(カセットテープ、停止)
ダグラス:うん、もう充分だ。
アーサー:もっと続きがあるのに。
ダグラス:それゆえに、だよ。

(ガーティの中)
テレサ:まあ、覚えていたとおりだわ。
マーティン:来てくれて本当にありがとう、テレサ。
テレサ:当然よ。ガーティのラスト・フライトなんですもの。
マーティン:そうだね。
テレサ:きっとうまくいくわ、マーティン。
マーティン:そうかな?アーサーはヴァンを受け取った5分後には全財産をブレーキパッドとアイスクリームにつぎ込んじゃうし、ダグラスは面接のことは口にしない。実はさ、テレサ、僕、昨日の夜、ベッドで思いついたことがあって。
テレサ:覚えているわ。
マーティン:え?あ、いやいや、違うよ。その、そうじゃなくて、その、えっと、
テレサ:ごめんなさい、マーティン、ごめんね。私、あなたの耳を真っ赤にさせるのが好きなの。
マーティン:ありがとう。でね、これってバカげた考えだろうけど、でも、きみはリヒテンシュタインの王女だろう?
テレサ:きっとそうね。
マーティン:それで思いついたんだ。リヒテンシュタインは国営の航空会社を持ってないんじゃないかって。
テレサ:持ってないわ。
マーティン:でね、国営の、リヒテンシュタインだけの、小さな国なら小さな航空会社でもいいだろう?
テレサ:ええ、でも、リヒテンシュタインには他にも持ってないものがあるの。
マーティン:なに?
テレサ:空港よ。
マーティン:あ。そうだね、確かに。
テレサ:マーティン、私を信じて。あなたならスイス・エアウェイズで立派に働けるわ。慣れるまでの辛抱よ。
マーティン:え?ち、違うよ!そうじゃなくて、僕はみんなのことを思って。
テレサ:分かってる。

マーティン:(無線)ありがとう、フィットン管制塔。G-T-I飛行中。4,000フィートに上昇。
カール:寂しくなるなぁ、ガーティ。
マーティン:カール、頼むよ。
カール:ああ。了解、G-T-I。ほら、飛んでいく彼女を見ろよ。幸せそうにパタパタしてさ。これから獣医のところに行くとは知らず。
マーティン:管制塔、お願いだから通信は、
カール:分かってるって。せめて翼を揺らしてくれてもいいだろ?
マーティン:ダメだよ!
ダグラス:いいじゃないか。
マーティン:うん、そうだね。
(カールの歓声)(ドアが開く)
キャロリン:ほら、運転手さんたち。私が入れたコーヒーよ。
マーティン:え、きみが?
ダグラス:我々の知っているキャロンではないな。
キャロリン:そうよ。最終フライトでは奇妙奇天烈なことが起こるものよ。特にアーサーが乗っていないときはね。あ、そうだわ、マーティン、お願いだからなにも壊さずに着陸してみせてね。皮肉はもうたくさんなの。
ダグラス:キャロリン、オークションが終わったら、私たちはどうやって帰るんだ?
キャロリン:ハークがベンツで迎えにくるわ。
マーティン:全員は乗れないだろう?
キャロリン:もちろん無理よ。あなたたち2人はダメ。アーサーがヴァンで来るからそれに乗りなさい。
ダグラス:これぞ我々が知るキャロリンだ。

競売人:それでは、みなさん、次の出品は42番。登録名G-E-R-T-I。
マーティン:キャロリン、アーサーはどこだい?オークションを見逃しちゃうよ。
キャロリン:そう願うわ。あの子には違う時間を教えています。こんなの見せたくないもの。
競売人:ああ、これは興味深い、ロッキード・マクドネル3-12。しかもバラバラではありませんよ。ここまで本当に飛んできたんです。
ダグラス:幸先良い出だしだな。
競売人:それでも、多くの人たちに、お勧めです、さて、最初は8,000ポンドではいかがでしょうか?
マーティン:たったの8,000ポンド?
テレサ:これから上がるわよ。
競売人:誰もいませんか?7,500では?7,000?
キャロリン:あら、まあ。
競売人:6,500?ほらほら、みなさん、屑鉄だけでも6,000の価値はありますよ。
マーティン:屑鉄?
ダグラス:かわいそうに。
競売人:ブルース、きみに言っているんだよ。
ブルース:5,000出そう。
競売人:ありがとう、ブルース。5,000の声が出ました。6,000の人はいませんか?誰も?5,500では?
マーティン:そんな、ただ同然じゃないか。
キャロリン:残念ね。
競売人:誰もいませんか?これが最後のチャンスですよ?いいでしょう、1、2、
マーティン:5,500!
ダグラス:なんだって?
テレサ:マーティン!
競売人:ありがとうございます。5,500の声が出ました。
キャロリン:マーティン、いったいなにしてるの?
マーティン:大丈夫だよ。ちょっと値を上げさせるだけさ。
キャロリン:でも、もし誰も、
競売人:ブルース、6,000ではどうですか?
ブルース:ああ。
マーティン:ほらね?1,000ポンドもうかったよ。
キャロリン:ええ、ありがとう。でもダメよ。
競売人:6,000の声が出ました。6,500はいませんか?
キャロリン:マーティン、黙っていなさい。
競売人:6,500、ありがとう。
キャロリン:うなずくのもダメ!
マーティン:もう少しつり上げよう。
ダグラス:相手がのってこなかったらどうするんだ?
競売人:7,000の人は?
ブルース:ああ。
ダグラス:もういいだろう、マーティン、やめろ。
キャロリン:そうよ、7,000で充分だわ。これ以上かけちゃダメ。
競売人:7,500の人はいませんか?
マーティン:あと1回だけ。
ダグラス:よせ!うなずくなよ!
キャロリン:テレサ、彼の頭を押さえて!
競売人:ありがとうございます。7,500の声が出ました。
キャロリン:テレサ、聞こえなかったの?
テレサ:本気だったの?
キャロリン:そうよ!
競売人:どうだ、ブルース、8,000では?
ブルース:ああ。
ダグラス:マーティン、よく聞け。きみがやらんとしているとは分かるし、気持ちも理解する。だが、もう止めないと。
マーティン:値段をあげさせたいだけだよ。
ダグラス:いや、きみは勝ちたいんだ。
競売人:8,500の人はいますか?
マーティン:そんなに悪いことかい?僕、ローンを組むよ。そうすればガーティを手に入れられるし、僕たち、うまくいかなくても、
ダグラス:マーティン、冷静になってくれ。
マーティン:僕は冷静だよ!すごく冷静で、決断力も機略もがある!
ダグラス:いや、きみはパニックを起こして、機略もないのに間違った決断を下しているんだ。
マーティン:分かってる!僕はそういう人間なんだ!だから僕はチューリッヒには行けない。だろ?僕には無理なんだ。だからガーティは他の人に渡しちゃダメだ!
競売人:よろしいですか?8,000以上はお考えですか?
マーティン:ぼ、僕は、、
オーストラリア人:こっちだ。15,000ポンド!
キャロリン:えっ?
テレサ:素晴らしいわ!
ダグラス:そうでもないな。
競売人:ああ、15,000の声が出ました。後方にお座りの新しい方から。
キャロリン:ゴードン!
テレサ:誰?
マーティン:アーサーの父親だよ。ガーティを盗もうとした本人。
ゴードン:やあ、キャロリン、元気にやってるかね?
競売人:15,000ポンドを頂戴しました。この、思ったより状態の良いビジネス・ジェット機に。16,000はいかが?ブルースは?
ブルース:いや、私は降りる。出品番号60が出たら呼んでくれ。
競売人:かしこまりました。では15,000以上の方がいなければ、1、
キャロリン:2万ポンド!
ゴードン:なんだと!
キャロリン:ゴードンには渡しません。
競売人:マダム、ご自身の品に値付けすることは出来ませんよ。
キャロリン:いいわ。ダグラス、2万ポンドよ。
ダグラス:私は競りには参加しないぞ。
キャロリン:するんです。
ダグラス:いいや。仮にお金を持っていたとしてもだ、
キャロリン:あとで考えればいいでしょ?早く言って!
ダグラス:2万ポンド。
競売人:ああ!2万ポンドの声が、オーナーの隣に立っていらっしゃるけど、全く無関係であろう男性からかかりました。では3万は?
ゴードン:3万。
競売人:3万いただきました。4万は?
ダグラス:どうする?
キャロリン:続けてちょうだい。後で無効にすればいいんだから。
ダグラス:そんなこと出来ないと思うが。
キャロリン:いいから言って!
ダグラス:4万。
競売人:4万が出ました。5万はどうです?
ゴードン:5万。
競売人:5万頂戴しました。この、過小評価されている宝石のような飛行機に。
ダグラス:キャロリン、待てよ、5万だぞ。ありえない額だ。
キャロリン:あの人はお金なんて気にしてないわ。私からガーティを奪い返したいだけなのよ。
ダグラス:だがきみは金を気にかけている。
キャロリン:それほどでもないわ。6万よ!
競売人:マダム、、
キャロリン:そうだったわね。ダグラス。
ダグラス:ダメだ。キャロリン、よく聞いてくれ。あいつはなにか企らんでいるに違いないんだ、
キャロリン:いいわ。マーティン。
マーティン:ん?
キャロリン:6万って言いなさい。
マーティン:6万。
キャロリン:あっちによ、バカね!
マーティン:あ、ごめんよ。6万!
競売人:ああ!6万頂戴いたしました。新しい、あ、私の勘違いでした、先ほどの方から。競売に復帰いただき、ありがとうございます。
ゴードン:7万!
競売人:8万はいらっしゃいますか?
アーサー:お待たせ、みんな。僕、なにか見逃しちゃった?
ダグラス:ああ、いろいろとな。
キャロリン:いいわよ、マーティン。
マーティン:8万!
アーサー:わぁお、スキップは何を買う気?
ダグラス:ガーティだ。
アーサー:そ、良かった。でもさ、僕たち、ついさっきまで、、
ダグラス:あとにしてくれ、アーサー。私は考え中なんだ。
キャロリン:私たち、何も買わないのよ、アーサー。あなたのお父さんの手に渡るのを阻止しようとしてるの。
アーサー:父さんが?え、ここに?ここにいるの?
競売人:9万はどうです?
ゴードン:9万。
アーサー:わ、父さんが、ここにいる!あの人がガーティ買っちゃいけないんだ。渡しちゃダメだよ、絶対ダメ。異議あり、裁判長!
マーティン:アーサー、そうじゃなくて、
キャロリン:大丈夫よ、安心しなさい。あの人には渡しません。続けて、マーティン。
マーティン:10万!
アーサー:ありがとう、母さん、ありがとう。
ゴードン:25万!
ダグラス:ウソだろ!?
キャロリン:ええっ?
競売人:なんと25万ポンド!この、時代を経ても色あせない傑作に!あなたのものになりそうですね。
マーティン:どうする?50万と言うかい?
キャロリン:いえ、いえ、ちょっ、ちょっと待って。
アーサー:どうして?なにを待つの?
キャロリン:だって25万ポンドなのよ。
アーサー:分かってる。でも父さんには渡せないよ。
競売人:50万のお声は?
キャロリン:少し待って。考えてるの。
アーサー:でも母さん。父さんはガーティの尾翼を切り取って暖炉に飾る気なんだよ!
キャロリン:分かっているわよ。
競売人:1、
アーサー:そんなのダメだ!
競売人:2、
アーサー:1,000万ポンド!
競売人:1,000万ポンドです!1,000万ポンドが、この航空界の名機を入手する一生に一度のチャンスですよ。もう一声いかがですか?
ゴードン:いや、それならそっちが持ってりゃいいさ。

キャロリン:では、ついてらっしゃい、私の小っちゃな投資王グループのみなさん。ダグラス、あなた、どこに行く気?
ダグラス:ある人と話をする必要がある。私がいないところではなにもするな。
キャロリン:あなたがいなくても、私は自分の好きにするわ!じゃ、(ノック)入るわよ。
(ドアの開く音)
競売人:あの、ここは私のオフィスですよ。私が「お入り」って言うんです。
キャロリン:私のやり方のほうが時間の節約になるの。で、あの入札の件だけど。
競売人:そうでした。おめでとうございます、マダム。あり得ないような結果でしたね。
キャロリン:確かにね。ここにいる、あり得ない人を紹介しますわ。
アーサー:こんにちは。
キャロリン:彼こそ1,000万ポンドの落札人。とくとご覧あれ。彼の髪型からつま先まで。この子が、飛行機を衝動買いするような億万長者に見えます?
競売人:一風変わった億万長者とか?
キャロリン:変人だけど、億万長者ではありません。彼は私の息子よ。とてもいい子だけど、空想の世界に住んでいるの。
アーサー:わぁ、ありがとう、母さん。
キャロリン:そういうわけで、あの感じのいいスクラップ屋さんを至急探し出して、まだ興味があるかどうか確認してはどうかしら。
競売人:それはダメです。2番目の金額を提示したのはあのオーストラリアの紳士ですから。
キャロリン:それがさらに悪い知らせなの。あれはゴードン。この子の父親で、「いったい彼は誰に似たんだ?」なんて疑問を解消できる人物なのよ。
アーサー:母さん!
キャロリン:警戒警報発令よ、アーサー。それに他の2人の入札者は、きっとお察しだと思うけど、単なるボケ担当よ。
マーティン;僕はボケ担当じゃな、
キャロリン:警戒警報発令よ、マーティン。
競売人:あなたたちの中で本気で買いたい人はいるんですか?
キャロリン:なんて鋭いご質問なんでしょう。一人いるのよ。スクラップ屋のブルースさん。だから繰り返しの提案になるけど、彼を探しに行ってはいかがかしら?

ダグラス:シャッピーさん、シャッピーさん!
ゴードン:ああ、お前か。いったい何の用だ?
ダグラス:さっきのはどういうことなんです?
ゴードン:ん、あいつの頭がいかれたことか?なぜ私に聞く?お前のほうがあいつをよく知っているだろう。ま、仮想の金で楽しむんだな。
ダグラス:いや、25万と言ったことです。競売を妨害するため?
ゴードン:いや、私の飛行機を買い戻したかったんだ。あの女が離婚するときに私から盗みおった。いつか取り返してみせるぞ。あいつにそう伝えておけ。
ダグラス:それよりも、私があなたを手伝うとしたら?
ゴードン:どうやって?盗むのか?
ダグラス:どうやらあなたの頭脳は自動的に犯罪方面に向かうようですな。いえ、盗むのではなく、あなたの申し出を考え直すよう、彼女を説得することができると思うんです。
ゴードン:どうしてお前がそんなことをする?
ダグラス:なぜなら、プライドを優先して大金を断るのはバカげているからですよ。もちろん、仲介手数料として10%申し受けます。
ゴードン:お前は本当にケチな犯罪者だな。
ダグラス:達人からお褒めいただくとは、恐悦至極。どうです、乗りますか?
ゴードン:いいだろう、乗った。

(ドアの開く音)
競売人:あなたは強運の持ち主ですね、マダム。
キャロリン:私はだまさせませんわよ。
競売人:ブルース・フレイザーは、彼の申し出た8,000ポンドで手を打ってもいいそうです。すぐ送金されますよ。
キャロリン:素敵だわ。それでは、
競売人:だがひとつだけ。
キャロリン:ええ、ええ、そうします。
競売人:まだ何も言ってませんよ。ただひとつだけ、
キャロリン:言いたいことは分かります。では、みんな、ガーティは売れたし、ゴードンはいなくなった。ハッピー・エンディングね。
マーティン&アーサー&テレサ:うん、
(ドアが開く)
ダグラス:キャロリン、ここにいたか。
キャロリン:ああ、ダグラス、いい知らせがあるの、
ダグラス:何をしてもいいが、ガーティだけは売るな。
キャロリン:なら良い知らせが台無しになるわね。
ダグラス:売ったのか?もう?どうやって?
キャロリン:売りましたよ。あのスクラップ屋さんに8,000で。
ダグラス:取引を中止するんだ。
キャロリン:え?どうして?
ダグラス:私はさきほどゴードンと話した。あいつは本気で、25万払うつもりなんだ。
マーティン:なぜ分かるの?
ダグラス:私が、ガーティをあいつに売るよう申し出たからだ。
キャロリン:なんですって!
ダグラス:そりゃ、嘘に決まってるだろう。でもあいつは乗ってきた。つまりガーティには、それよりもっともっと価値があるってことさ。
キャロイン:いったいどんな価値が?
ダグラス:分からんよ。もしかしたら離婚する前に何かを機体に隠したのかも。
マーティン:それを僕たち、13年間も見つけられなかったってこと?
ダグラス:さあな。とにかく私に分かるのは、あの娘があいつにとって巨万の富だってことだけだ。
キャロリン:いえ、いえ、違うのよ、ダグラス。そう信じたいけど、あの人は私から飛行機を取り戻したいだけなの。
ダグラス:ゴードンのような男は元妻に25万ポンドも払わない。信じてくれ、キャロリン。私が間違っていたことがあるかね?
キャロリン:ええ、何度も。あなたのたゆまぬ自己アピールの努力の割にはね。
ダグラス:私がこの手のことで間違っていたことがあるかね?
キャロリン:それは、、
アーサー:母さん?
マーティン:キャロリン?
キャロリン:、ええ、いいわ。あの娘を連れ戻しましょう。
マーテイン&アーサー:やったね!
キャロリン:競売人さん?
競売人:私にも名前があるんですよ。
キャロリン:興味ないわ。ブルースを連れてきて。
競売人:ブルースは10分前に飛び立ちました。
キャロリン:飛び立つ?どうやって飛び立つの?
競売人:もしお忘れでなければ、マダム、あなたは彼に飛行機を売ったんです。
キャロリン:でも彼と話たいの、今すぐに!
(電話を掛ける音)
ダグラス:あ、もしもし、ブルースさんですか?ええ、私は偶然にもあなたの飛行機の衛星電話番号を知っていまして。私はダグラス・リチャードソン。あなたに提案があるのですが。


(後半に続く!)


ついにフィナーレ!キャビン・プレッシャー完結

2014-12-25 05:21:29 | 日記
Finnemore氏のTwitterより;

オンエア開始20分前
 Bing bong. Please return to your seats and prepare your ears for landing.
  Cabin Pressure reaches its final destination in 20 minutes time...

オンエア開始3分前
 Away we go....


そして始まった最終回のオンエア!
今日から4週間、iPlayerで、有終の美を飾る Zurich を聞くことができます。

ここから先は、番組を聞いてからご覧くださいませ。

  ↓

盛り沢山の30分! そしてあのエンディング!
期待通りの、期待以上のブリリアント!な出来栄えに感動♪
この番組に出会えて本当によかっった、と、しみじみ。
最高のクリスマス・プレゼントになりました。

この名作を「あらすじ」と称してご案内するのは申し訳なくなってしまった私。
しっかり訳し、数回に分けて「チューリッヒ」をブログにアップする予定です。
しばし、お待ちくださいませ。

  ↓

ハークとキャロリンの関係、ダグラスの知恵、マーティンの決断、イエローカー!
アディスアベバ(Aだ!)行きOJS航空の機内でのダグラスのセリフ
「サンセットに向かって飛ぶのは嫌いなんだ」

そしてあのラスト!
(インターコム)
ダグラス:Arthur?
アーサー:Yes,skip?
ダグラス:The lemon is in play.
アーサー:Brilliant!

 
しかもエンド・クレジットには、コンサルタントとして、Finnemore氏のお父さんの名前が♪  
  

そして、オンエア終了後のFinnemore氏のTwitter
 Thank you for flying MJN Air!


みなさま、メリー・クリスマス!



Zurich Part 1 あらすじ

2014-12-24 05:14:10 | 日記
待ちに待ったZurich、ついにオンエア開始!!
これから4週間、いつでもお好きな時にBBC iPlayerで聴くことができます。

Finnemore氏のTwitterより
  Passengers wishing to board the MJN Air service to Zurich should proceed to
  Gate Radio 4,where the flight is now ready to board... 

そして、下記はパート1のあらすじでございます。
くれぐれも、先に番組を聞いてからご覧くださいませ。

 ↓

前回のラストシーンからお話は始まります。

マーティンのインタビューの結果を知りたがるみんな。
キャロリン:で、手ごたえはどうだったの?
マーティン:うまくいったような、いかなかったような、、スイスの人ってさ、謎めいてるでしょ?時計みたいに。
ダグラス:確かに鳩時計は不可解極まりないな。
そこへ、テレサがやってきて「おめでとう、マーティン!」
こうして皆が結果を知り、大喜び。
マーティン:でも、僕がいないとMJNが、、
キャロリン:いいの、あなたはクビよ!って、一度言ってみたかったの。でも思ったより楽しくないわね。
ダグラス:それはきっときみが、
キャロリン:あなたもクビよ、ダグラス。あ、これは楽しいわね。
みんなの今後について話し合います。
ダグラスは他の会社で機長職につけるだろうし、アーサーはマーティンのヴァンをもらえることに。
マーティン:ブレーキが効きにくくなってるから、いずれ交換してね。
ガーティはオークションに出されることになり、
キャロリン:良かった、ハッピー・エンディングね。
マーティン:あまりハッピーな気分じゃないけど。
キャロリン:これが実社会のハッピー・エンディングよ。おとぎ話とは違います。
アーサー:「ファインディング・ニモ」はハッピー・エンディングだったよ。

ハークと二人きりになったキャロリン。寂しさがこみあげてきて…

ダグラスは新しい職を求め、他の会社で試飛行を。
でもどうもしっくりいきません。
仕事はきつそうだし、機長職じゃないし、なにより、操縦室でのゲームができないなんて。

フィットンでの店仕舞い。
マーティン:オフィスがからっぽに見えるね。
ダグラス:からっぽだからな。
マーティンのスイス・エアでの訓練ぶりを聞くダグラス。マーティンも苦労しているようです。
そこへ、アーサーのヴァンが到着。
彼、なんとヴァンをアイスクリーム販売車に変えちゃった!しかも全財産をつぎ込んで!
(このヴァンに、グーフィーっぽい絵が描いてあるのは、JFSPを聞いている人へのファン・サービス?)

そしてついにMJNのラスト・フライト。
テレサも来てくれました。
マーティン:昨日の夜、ベッドで思いついたんだけど。
テレサにからかわれつつ、マーティンが提案したのは、MJNをリヒテンシュタインの国有航空会社にすること。
マーティン:国有の航空会社、持ってないだろう?
テレサ:空港も持ってないわ。
マーティン:あ。

管制塔のカールに見送られて、よたよたと飛び立つガーティ。
キャロリンは運転手さん2人にコーヒーを入れてあげます。
オークションの後は、キャロリンはハークの車で、パイロット2人はアーサーのヴァンで戻ることに。

オークション会場。
マーティン:アーサーはどこだい?
キャロリン:あの子には違う時間を伝えてるの。こんなの見せたくないもの。
スクラップ扱いされるガーティ。
ダグラス:かわいそうに。
ようやく買い手(ブルースさん)が現れ、安値で売られることになったそのとき。
マーティンが競売に参加します。
マーティン:少しでも売値をあげよう。
ダグラス:よせ。きみのものになったらどうするんだ?
マーティン:僕が買う!
ダグラス:冷静になれ。
マーティン:僕は冷静だよ。やっぱりスイスには行かない。僕たちMJNは、
そこへ高値を付ける人の声が。
キャロリンの元旦那、ゴードンです。彼にだけはガーティを渡せない!
そこへアーサーが登場。父親を見つけて、
アーサー:異議あり! 僕が1000万ポンドで買う!

キャロリンは、最初に声をかけたスクラップ屋さんにガーティを売ることを決意。

そして、ダグラスが動き出します。
ゴードンをつかまえ、彼が本当にガーティを高値で買う気があることを確認したダグラス。
彼に売るよう、キャロリンを説得することを約束します。
ダグラス:10%の手数料をもらいますよ。
ゴードン:きみはまったく狡猾な野郎だな。
ダグラス:先輩にお褒めいただき、恐悦至極。

スクラップ屋のブルースさんと話がついて、ガーティを売ったキャロリン。
そこへダグラスが戻ってきます。
ダグラス:ゴードンに50万ポンドで売ることにしたぞ。
キャロリン:彼には渡さないわ!
ダグラス:もちろんさ。ウソをついたんだ。でも彼にとってガーティはそれ以上の価値があるんだよ。機体に何かを隠しているとか。
マーティン:僕たちが13年もそれに気づかずにいたってこと?
ダグラス:分からんよ。だがあいつは絶対にガーティを欲しがっている。それには理由があるんだ。私を信じてくれ。私がこの手のことで、間違っていたことが一度でもあるかね?
キャロリン:、、いいわ、そうしましょう。
マーティン&アーサー:やったね!

すでにガーティに乗って旅立っているブルースへ、ダグラスが電話を掛けます。
ダグラス:(電話で)きみに提案があるんだ。

 
続きは明日! 本当に本当の最終話です!





Farewell Bear Facts U to Y

2014-12-23 14:56:42 | 日記
キャビン・プレッシャー最終話「チューリッヒ」は、いよいよ明日・あさってにオンエアです。
皆様、タリスカー(中身はもちろんアップルジュース)片手に楽しみましょう♪



本当のFarewellの前に、Farewell Bear Factsの続きをどうぞ。

U:アスカーティ
来年発売のキャビン・プレッシャー完全版CD Boxセットには、
オンエアされなかったシーンも、ボーナス・トラックとして収録されるそう♪

で、アスカーティ。
初めて、マーティン&キャロリン、そしてダグラス&アーサーという組み合わせが実現。
TVのように「見て楽しむ」のではなく、聞いて(=場面を想像して)楽しめるラジオの好例について、
Finnemore氏が語っております。
-Benの木登りパフォーマンスは、見事!の一言に尽きます。
-冒頭のキャロリンがなぜあんなに機嫌が悪いのか?
収録時間の都合でカットされた、こんなシーンが;

(キャロリンとマーティンが、雨の中、車を待っている)
キャロリン:よろしい。ポケットにしまっておきなさい。
マーティン:分かってるってば。
キャロリン:あなたにお給料を払えないって、私、すごく辛いのよ。
マーティン:僕も同感。
キャロリン:あなたはお金をもらうべきなのに。私、プロじゃないわよね。会社を経営している気でいる、バカなおばさんだわ。スタッフにお給料を払うことすらできないなんて。
マーティン:ねえ、いいんだよ。払えない事情は分かっているから。
キャロリン:あの、実をいうと、、払えるの。もしあなたが欲しければ、だけど。
マーティン:え?、、う、うん、欲しいよ。はっきりそう言ったことなかったっけ?
キャロリン:お給料じゃなくて、お金をあげることはできるわ。それも結構な大金をね。今までの分として。
マーティン:本当に? でも、、どうやって?
(車が近づく)
キャロリン&マーティン:お願い!止まって!
(そして遠ざかる)
キャロリン:ゴードンが、毎年恒例の「ガーティを買いたい」電話を掛けてきたの。
マーティン:なんだって?サンクトペテルブルグであんなことがあったのに?厚かましいヤツ!
キャロリン:ええ、私もそう言ったわ。それでも、よ。あの人、70,000払うって。こんな申し出、他のどこからも受けたことないわ。大金よ。
マーティン:ノーと言ってくれたろうね?
キャロリン:他にもいっぱい言ったわ。ノーを手始めに、より革新的に独創性豊かにね。でも、イエスと言うこともできるの。
マーティン:ダメだよ!絶対ダメ。あいつはガーティを盗もうとしたんだよ、キャロリン。絶対ヤツに渡しちゃダメだ!(沈黙)その電話があったのはいつ?
キャロリン:空港に向かうタクシーの中でよ。
マーティン:ああ、なるほど。
キャロリン:え?なにが「なるほど」なの?
マーティン:なんでもないよ。


ここからは急ぎ足で参りますよぉ~

V:ファドゥーツ
こちらも過去記事に詳しく載っております。
シリーズも最後に近づいた段階で、新しいロマンス、しかもお相手はプリンセス!を
登場させることはリスクが伴うけど、Matilda Zieglerさんの素晴らしいパフォーマンスのおかげで、
うまくいきました。

削除シーンは、メダルのお話と、マーティンがマクシミリアン王に助言する場面。


W:ウォーキンガム
自立心の強いウェンディと、人助けが大好きなアーサー。いいコンビになりました。
しかも、僕がPrunella Scalesさんと共演できるなんて!
-マーティンの兄弟関係がようやく明らかに。サイモンがお兄さん、ケイトリン/キャトリンが妹です。

削除シーンは、サイモンが実は弟だった!という設定。これはプロデューサーにお願いして
カットしてもらったんだ。カットして正解だったね、と、Finnemore氏。


X:忻州
このエピソードこそ、シリーズで最も苦戦した作品。
公開録音当日の朝まで、なんと36時間かけて書き直したそう!
プロデューサーのDavidさんもオフィスに寝袋を持ち込み、
サブウェイのサンドイッチを食べながら仕上げたんだ。
登場人物は4人だけ、それでいて最終回に向けて話を進めつつ、
(マーティンはMJNの仕事だけでは暮らしていけないけど、
マーティンがいないとMJNは倒産してしまう。
ダグラスはマーティンの転職を応援するのか? などなど)
そこにいつものゲームを加えて…、なんて書いていると完全に行き詰まり、
ぎりぎりのタイミングで一から全部書き直し!
苦労の甲斐あって、ファンにも大好評♪

削除シーンは、マーティンのデートの相手が誰なのか、キャロリンに伝える場面。


(Y:イヴェルドン・レ・バンは、まだプレースホルダ―状態♪)


最後にいつものおまけ。

プレースホルダ―の作成が間に合わなかった日のこと。
Oh, rats. Forgot the place holder. I mean, this is still a place holder, obviously, but it's holding the wrong place. Oh well. There is a Vaduz post here, while you're waiting. And, while we're at it, a Wokingham post here, because, I'll be honest with you, tomorrow I have two shows to do, and two parties to go to; so chances of a place holder are currently looking verrrry close to 100%.


翌日には、予言通り、プレースホルダ―が神となって現る!

Lo! Be not afeared, for I am the place-holder that was foretold in prophesy. Gaze upon my uninformative majesty.


そして、現在(2014年12月23日 日本時間15時)のプレースホルダ―;
みなさん、楽しいクリスマスを!

I'm dreaming of a place holder...
Just like the ones I've often seen...