†The Imitation Game†

2017年04月24日 | ■MOVIE



イミテーション・ゲーム/
エニグマと天才数学者の秘密

※完全ネタバレ

エニグマとくればアラン・チューリングというくらい有名な人だ。
彼がひたすらに信念をもってエニグマを解読するコンピューターを
作っていく過程では、上司からスパイ容疑を疑われたり
コンピューターを停止させられそうになったりするのだが
人間とのやり取りがあまりにも苦手で数字としか向き合えないタイプ
だった彼も、女性職員とのかかわりも手伝って、仲間と打ち解けようと
努力するようになる。そして仲間との信頼関係を築き、エニグマを
解読することに成功するのだ。



彼に触れる場合彼の研究の前に、別の人がエニグマの研究をやっていた
ということについて映画では割愛されている。
現物の写真が入手できたことや、そうした過程を経てアラン・チューリングが
エニグマを解読に導くことになる。
当時の現場にはともかくスパイ行為とは無縁ないろんな職業の人間が集められ
実験的に解読に取り組もうとしていたらしい。
ゲイへの差別や女性蔑視なども忠実に描かれていて
今よりずっと差別されて当たり前と思われていた時代の
その愚かさを同時に感じる。



しかしエニグマを解読した後からが、本当の苦労を背負うことになる。
映画で、仲間の一人の兄弟が乗った船が、これからドイツによって攻撃される
と判明しているのだが、それを伝え、その船を助けることはできないとアランは言う。
なぜなら、ドイツに暗号を解読したことが察知されるとまずい展開になるからだと。
自分の家族を乗せた船が攻撃対象とわかっていて助けられないという辛さは
どれほどのものだろうか。
暗号が解読されたことを察知されぬよう、アランとその仲間だけが
どの攻撃を防ぎ、防がないのかを決めていくことになる。
あまりに重たい仕事を遂行していく彼らの苦労も描かれている。
女性職員は自分の仕事によって多くの人が救われ戦争は早く終えられたと考えている。
だからこそ前向きに生きていくのだが、アランはそうできない。
ストーリー中彼はゲイで逮捕され、刑事に向かって過去の話をしていく演出になっている。
親友だった、そして好きだった学生時代の友人が突然死んだことが
彼の中でずっとトラウマになっており、最後の最後まで孤独な心に縛られるアラン。

しかも彼らはスパイとして働いているのだから、その仕事を他人には言えないし
戦時中、何をしていたかを話せない苦労もあっただろう。
抱えている秘密は大きすぎるし、平和のためとはいえ前向きに受け止められない。
しかしそうしなければ背負ったことに心が潰されてしまう。



本当に最後など目も当てられないほど弱り切っているアランが
痛々しかった。

そもそもこの戦争ではほかにも大勢の人たちが想像もつかない苦労や悲しみや
あらゆるものを背負わされ、犠牲になっている。
戦争の中では情報を得る力が強い方でなければ、スパイが優れていなければ
勝つことはできないだろう。
だいたい戦争などという愚かな殺人行為が起きたりすることが大問題なのだ。

それに関する余談は次の機会にして話をもどすけど、
戦争を早く終わらせた人が、このように人知れず苦労を抱えて生きながら、
ましてゲイだってことでも生きづらく、このアランの人生とその時代は
あらゆることを考えさせる。

暗号の解読という点においては痛快だ。これは映画に限らず、暗号が
解読されていく感覚というのはすごくワクワクするものだと思う。
今の時代もやはりネットなどでは特に暗号命な部分があるし
暗号のセキュリティの高さは破られる側と守る側の壮絶な戦いがあり
そういうことに関する本などを読んでいると難しいけど面白い。
そしてそのような人たちの功績を知って、世の中の見えないところで
色々な人たちの苦労や成功があって成り立っているのだなと知る。
そういうことを知ることはとても大切なのではないかなとも思う。

ちなみにだが、確かこのアランを演じたベネディクト・カンバーバッチという役者は
裏切りのサーカスでもやはりゲイを演じていた気がする。


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