ロード オブ ウォー

2015年04月04日 | ■MOVIE
ロード オブ ウォー

*ネタバレ注意*

映画『ロード オブ ウォー』を、たまたまテレビでやってて観た。パッと見たら武器の売買のような感じで、一瞬、例のボウトでは?と思い。最後まで観てから調べた。
やっぱり!!

とても後味の悪い話。分かっているのに、事実なのに、誰も止められない。やるせないような。

武器さばいてる人は、それによって死ぬ人を同じ人間とは思わないのだろう。微塵も良心など存在しない。
だからこそ、武器商人なのだ。

こういう人たちが必要でない世界になればとおもわずにいられない。こう言う事を平気でやる人間が政治を動かさないようになればと願わずにいられない。
ちゃんと罰せられるなら良いけど、所詮、黒幕はアンタッチャブルだから、気に入らない。

主人公は、ユーゴスラビア紛争に世界が目を向けている間、無視されているアフリカに乗り込んでいって、腐敗独裁政権と取引する。こう言う仕事内容は当然奥さんには言っていない。だがそれもバレる。妻の信頼を得たいのだが、武器売買はやめられず、結局、奥さんと子供は出て行ってしまう。

弟を連れてアフリカへ取引に行けば、行けばで弟は殺されてしまう。
弟は、難民キャンプで起きている出来事を目撃し、武器売買は中止しようと兄に懇願する。そもそも主人公たちが武器を売ったら何が起きるかは分かりきっている。難民達はどうなる?
弟を宥め、主人公は、武器取引を進める。弟は、武器を積んだ車を爆破。当然その場で射殺された。

さらに帰国すれば、捕まった。

自分の親は、息子は死んだと言って縁を切る始末で、家族を失い弟を失い、孤独になる主人公。

けれども彼は逮捕されない。結局すぐ釈放される。
それは主人公が説明してくれる。

彼のようなフリーランスの武器商人は、武器取引に手を染める大国にとって、都合が良い仕事をする。つまり主人公が逮捕されないようなバックアップをアメリカと言う国がやるのだ。主人公は使えるのだろう。今は。

主人公は、世界は武器商人が受け継いでいくなどと言うような悪夢の台詞を吐く。

そして、人生を憂いでいるような表情で、世の中を悟っていると言いたそうな感じだ。それが滑稽ですらある。

自分の儲けるためなら、戦争の被害者が、どんな目にあおうが構わない。
その世代だけの問題じゃない。
戦争の傷は何世代も受け継いでいくものだ。

ものすごく多くの命が奪われていきながら、たった一部のこうした人間が、それによって財を成す。

ただ、こう言う人間の代わりは、腐るほどいる。主人公のような成り上がりは、ちょっと厚かましさを持ちすぎている。今回逮捕されなくても、いずれ運も尽きるだろう。

武器を本やペンやノートなどに変えたら、世界に教育の機会が訪れて、無益な争いを避けられる機会が生まれるかもしれない。
が、そんなことは主人公には理解できない。
人の心など持ち合わせていないから。
ただ、平和が訪れると自分が困るので、そうならないよう必死に努力する。

こう言う人間が存在価値を失う世界になるよう、主人公と闘う人達の努力が、いずれ勝利するだろう。
歴史のある職業だが、足掻いても、最早必要とされない時代が来るに違いない。
今はまだ、その時じゃないかもしれないが、いつまでも、一般人が騙され続けることはありえない。

本当最低な人間の映画だが、映画自体の雰囲気も良いし、こう言う映画はあったほうが良いと思うな。