†IN THE VALLEY OF ELAH†

2009年10月21日 | ■MOVIE


『告発のとき』   ※軽くネタバレ

前にも日記で軽く触れましたが。こちら。
イラク戦争帰還兵のPTSDに触れられた、戦争物とはまた違う戦争物かな。

PTSDは現在モンローもエレベーター事故によってなってる
心的外傷後ストレス障害と言う、精神的な種類の物。
常識で考えて、戦争を経験して無いあたしのような奴でも
戦争行って平気で帰ってくる!って感覚は無いと思う。
何か事故にあうとショックを受けるのは当然だし、
まして、自分が思ってるように心は、うまいことやってくれん。
思ったより無力な自分に余計にショックを受けたりもする。
と、あたしの話は置いといて。

作品は、日本でも既に人気のトミー・リー・ジョーンズが、
息子の謎を追う父親役として登場する。

軍人であるハンク(トミー・リー・ジョーンズ)の、息子もまた軍人。
その息子が、イラクから帰還せず行方不明になっているとの知らせが。
そんなわけで、父は必死で息子の行方を追い始める。
ハンクに協力してくれるのが、シングルマザーで地元警察のエミリー。
女性だけに、仕事の方も色々と難しかったりするが
息子を探す頑固な親父のために 色々協力してくれる。
ハンクは結構突然勝手な行動に走ったりして、エミリーに怒られたり・・・

でも、そんなエミリーの息子に、ハンクはダビデ王の話を聴かせる。
巨人ゴリアテを倒した少年のダビデの話を、息子は凄く気に入って
それから毎日のようにエミリーに その話をしろとせがむように。
流れでは、エミリーの会話から、息子が気に入りせがむのが分かる。

ざっと、ダビデの話を言うと、
少年ダビデは、誰も倒せない巨人を倒す事を決意し、
あの巨人を倒して良いですかと言って許可をもらい、見事倒すって言う話。

ハンクの息子の遺体がバラバラで発見されると、更になぜこんな姿に
なったのかを、ハンクは熱心に捜査し、エミリーもそれを手伝う。

帰還兵を扱っているので、戦場シーン等は無いが、徐々に明らかになる
謎の断片から、息子の兵士としての戦場での姿も登場する。
息子が電話をして来たときの事、両親に送られた包み、写真、
とにかく、感じさせられる事の多い映画です。

直接的に、戦争はいけません、と言うわけじゃないけど
帰還兵が イラクなんか行きたく無い!みたいな事を
ハッキリと口にしたりする様子や、兵士を嫌うエミリーと、
兵士を敬えと思う兵士・・・

事件は結局、息子を殺した犯人は誰?そんな答えなど どうでもいい。
問題はもっと深刻で、誰が悪いとか そう言う問題じゃ無い。

ハンクは事件の真相を知り、軍人として生きてきた 生き方そのもの
考え方そのものが 変わる。
エミリーは事件の真相が明らかになった後、息子からダビデのお話をしてと
せがまれる。そのときに息子から、どうして子供が巨人を倒しに行くのを
許可されたのか、と言うような 純粋な質問を受けて黙る。

子供だからの質問だけど、この、質問が本当にこの映画を観ていると
どれ程胸にささるか、と言う感じ。その一言インパクトが強すぎました。

度々にショッキングな場面も登場するのだけど、基本的にミステリーとして、
謎がなかなか解明しないまま、手がかりを必死になって追うハンクから
目が離せなくなります。

これまで見た戦争物は、兵士が戦場で戦っている物だったりしたけど
今回のは また違った目線から、深刻な問題をとらえてる感じ。
良いとか悪いとか言うのでもなく、ずっと忘れられない映画です。

子供の質問に泣く。涙が止まらなくなってしまいました。
凄くリアルな作品です。


2007年 
アメリカ
Paul Haggis


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