スタッフのつぶやき

CIL東大和のスタッフが徒然なる日常をつぶやきます。時にズバっと斬りこみます!

追悼の意を込めて

2016-07-29 00:20:58 | インポート
相模原での悲惨な事件。

犯人に対する怒りとか、
被害者に対する悲しみとか、
障害者だって一生懸命生きてるんだとか、
いらない命なんてないとか、
なんやかんやいろんな声が上がっています。

悲惨な事件の有り様に対する批判は
誰にとっても共通認識だとしても、
結局「重度の障害者の命の価値ってなに?」という質問に、
ちゃんと答えられる人なんて、ほとんどいないでしょう。

尊厳死、安楽死の法制化を望む人がいる。
出生前診断では、障害胎児の中絶率は9割以上。

そして、施設入所者の保護者は、
被害者の実名公表をしないことを望んでいるという報道。

家族を入所させていたことを知られたくない人もいるだろうけど、
亡くなったのは「重度の知的障害者」である前に、
「○○さんという個人」のはずなのです。

○○さんは、どんな食べ物が好きだっただろう?
○○さんは、どんな時にニッコリしただろう?
○○さんの日課はどんなことだっただろう?
○○さんは、どんな趣味を持っていただろう?

一般的な殺人事件では、必ず、
「亡くなった被害者は、こんな仕事、活動、生活をしていて、
多くの人に親しまれていました。」などのコメントとともに、
古い同級生や近所の人のインタビューがあり、
メディアを通して視聴者も、その被害者像を膨らませながら、
ひとつの尊い命が失われたことへの重みを感じ、
追悼の意を深くすることができます。

でも、今回の事件では、そういう機会を奪われている。
事件の残虐さだけが印象付けられ、
同じ重度障害者や施設は得体の知れない恐怖に襲われるだけで、
障害者の命の価値や、生きる権利について
考える機会を奪われてしまっている気がするのです。

まだまだ日本では、重度障害者の市民権が確立できていない。

その事実に向き合っていくために、
映画「風は生きよという」の上映活動を続けていますが、
その最中の事件なだけに、なんとも虚しい感じが残ります。

まだまだ活動が足りないなぁ、と。

犯人が憎いとか、被害者が可哀想とか、
そういう問題じゃない。
そういう犯人を登場させてしまったこの社会のあり方を、
見つめ直す機会になってほしい。

これは、あなたや私の問題なんです。

「風は生きよという」
渋谷アップリンクでの上映は8月4日までです。
障害者の人権や尊厳について、
社会が本来あるべき姿について、
これからも発信していきます。

海老原

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