Standing Army documentary (2010) english trailer
世界中に米軍基地、なぜ? 伊の若者、記録映画で問う
2010年7月6日 asahi.com
【ローマ=南島信也】なぜ米軍は反対を受けながら、世界中に基地を展開
しているのか――。イタリア国内にある米軍基地の存在から、素朴な疑問
を持った映像カメラマンの若者ら2人が、基地の意味を問い直すドキュ
メンタリー映画を制作した。米海兵隊普天間飛行場があり、よく似た構図
が存在する沖縄県も取材。基地周辺住民の声を丹念に拾っている。
作品のタイトルは「スタンディング・アーミー(常備軍)」。フリー
映像カメラマンのエンリコ・パレンティさん(31)と、翻訳家の
トーマス・ファツィさん(28)が制作した。
きっかけは2007年1月、伊政府が北部ビチェンツァにある米軍基地
の拡張計画を承認し、市民による激しい反対運動が起きたことだった。
ビチェンツァには米陸軍の第173空挺(くうてい)旅団が駐留し、
米兵約2750人が所属している。イラクやアフガニスタンへの派遣を
にらんだ重要な拠点として、これまでドイツに駐留してきた部隊約2千人
を合流させ、12年に欧州最大の基地とする計画だ。
(中略)
2人は何度も議論した。「なぜ米軍は世界中に基地網を広げるのか」
「基地は周辺住民にどんな影響を与えているのか」「第2次世界大戦
から60年以上、冷戦終結から20年経過して、なぜ国は米兵を居座
らせるのか」
(中略)
まずビチェンツァ基地拡張に反対する住民たちを取材した。08年
4月の地元市長選では、反対派が当選した。新市長は公約通り拡張の
是非を問う住民投票を行おうとしたが、伊最高裁は住民投票自体を
差し止めた。
市が2万5千人の住民を対象に非公式に実施した世論調査では、
95%が反対だった。ファツィさんは「当時の中道左派プロディ政権
でさえ、米国に『ノー』と言えなかった。これで反対運動は一気に
パワーを失ったが、動かすことができるのは市民だけだ」という。
彼らは、反基地運動関係者を通じて同様の問題が存在していると
聞いた沖縄にも向かった。普天間飛行場周辺の住宅や学校の上空を、
爆音をとどろかせて飛ぶ米軍機と、そのたびに授業が中断される
子供たち。米軍に土地を奪われ「これはレジスタンスだ」と訴える
地元のお年寄り……。04年に沖縄国際大にヘリコプターが墜落
した事故のニュース映像を交えながら、沖縄が置かれた状況を
描いた。
映画の中では、米国の言語学者で反戦運動に携わるノーム・チョム
スキー氏、政治学者チャルマーズ・ジョンソン氏らのインタビューも
紹介され、米軍基地の存在は、もはや安全保障よりも軍産複合体の
需要を満たすことが目的になったと主張している。
作品の最後には「日本の新政府は、普天間基地の辺野古移設に反対し、
米国との対等な関係を求めている」という字幕が流れる。そのため
新たな字幕で「県外移設を主張していた鳩山首相は、辺野古移設案を
受け入れたため、辞任した」と付け加えるという。
欧州やアルゼンチンの映画祭などで上映されたほか、イタリアでは
6月11日からDVDの販売が始まった。2人は日本での上映先や
DVDの発売先を探している。問い合わせは、英語かイタリア語で
info@standingarmy.itまで。
世界中に米軍基地、なぜ? 伊の若者、記録映画で問う
2010年7月6日 asahi.com
【ローマ=南島信也】なぜ米軍は反対を受けながら、世界中に基地を展開
しているのか――。イタリア国内にある米軍基地の存在から、素朴な疑問
を持った映像カメラマンの若者ら2人が、基地の意味を問い直すドキュ
メンタリー映画を制作した。米海兵隊普天間飛行場があり、よく似た構図
が存在する沖縄県も取材。基地周辺住民の声を丹念に拾っている。
作品のタイトルは「スタンディング・アーミー(常備軍)」。フリー
映像カメラマンのエンリコ・パレンティさん(31)と、翻訳家の
トーマス・ファツィさん(28)が制作した。
きっかけは2007年1月、伊政府が北部ビチェンツァにある米軍基地
の拡張計画を承認し、市民による激しい反対運動が起きたことだった。
ビチェンツァには米陸軍の第173空挺(くうてい)旅団が駐留し、
米兵約2750人が所属している。イラクやアフガニスタンへの派遣を
にらんだ重要な拠点として、これまでドイツに駐留してきた部隊約2千人
を合流させ、12年に欧州最大の基地とする計画だ。
(中略)
2人は何度も議論した。「なぜ米軍は世界中に基地網を広げるのか」
「基地は周辺住民にどんな影響を与えているのか」「第2次世界大戦
から60年以上、冷戦終結から20年経過して、なぜ国は米兵を居座
らせるのか」
(中略)
まずビチェンツァ基地拡張に反対する住民たちを取材した。08年
4月の地元市長選では、反対派が当選した。新市長は公約通り拡張の
是非を問う住民投票を行おうとしたが、伊最高裁は住民投票自体を
差し止めた。
市が2万5千人の住民を対象に非公式に実施した世論調査では、
95%が反対だった。ファツィさんは「当時の中道左派プロディ政権
でさえ、米国に『ノー』と言えなかった。これで反対運動は一気に
パワーを失ったが、動かすことができるのは市民だけだ」という。
彼らは、反基地運動関係者を通じて同様の問題が存在していると
聞いた沖縄にも向かった。普天間飛行場周辺の住宅や学校の上空を、
爆音をとどろかせて飛ぶ米軍機と、そのたびに授業が中断される
子供たち。米軍に土地を奪われ「これはレジスタンスだ」と訴える
地元のお年寄り……。04年に沖縄国際大にヘリコプターが墜落
した事故のニュース映像を交えながら、沖縄が置かれた状況を
描いた。
映画の中では、米国の言語学者で反戦運動に携わるノーム・チョム
スキー氏、政治学者チャルマーズ・ジョンソン氏らのインタビューも
紹介され、米軍基地の存在は、もはや安全保障よりも軍産複合体の
需要を満たすことが目的になったと主張している。
作品の最後には「日本の新政府は、普天間基地の辺野古移設に反対し、
米国との対等な関係を求めている」という字幕が流れる。そのため
新たな字幕で「県外移設を主張していた鳩山首相は、辺野古移設案を
受け入れたため、辞任した」と付け加えるという。
欧州やアルゼンチンの映画祭などで上映されたほか、イタリアでは
6月11日からDVDの販売が始まった。2人は日本での上映先や
DVDの発売先を探している。問い合わせは、英語かイタリア語で
info@standingarmy.itまで。