遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

三輪田米山の書8.自作短歌『春きたか』

2024年05月23日 | 文人書画

掛軸ではなく、短冊に書かれた自作和歌です。

短冊:6.0㎝x36.4㎝。明治。

 

『春き多可 をやミし庭を ひとり見て
  ゐ可んとすれは 薫流梅ヵ香  常貞』

「春来たか 親見し庭を 一人見て
 行かんとすれば 薫る梅が香 常貞」

「春き(幾)多可」か「春さ(左)多可」か、随分迷いました。字からすると、どちらでもOK。でも、「春定か」では、句が薄っぺらくなるので、ここは「春来たか」でしょう、と判断しました(^.^)

「常貞」は、米山の本名です。日常的な文章や作品の落款には、名を用いたようです。

伊予松山郊外の片田舎、中央で活躍する弟たちを想い、神官として一人、神社を守りながら、平凡な毎日を送っている米山の心のうちがわかります。

先回の自作俳句『とんぼうや』とともに、私が好きな米山作品です。

米山の本拠地「日尾八幡神社」。この句で詠まれた庭が、麓のこの辺りをさすのか、階段を上がった本社周りを指すのかはわかりません。

コメント (4)
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