先回のメダカ紋古染付煎茶碗は、メダカの絵付けがポイントでした。複数のメダカを器に描いて味のあるデザインとするのは、想像以上に難しいのです。一匹一匹のメダカはなんともないのですが、多数のメダカが全体として絵にならなければ意味がない。それぞれのメダカは全体のパーツです。それがあつまって、全体としておだやかなまとまりをもってくる。一種の抽象画ですね。
メダカ一匹を描くのは私にもできそうなので、ちょっとやってみることにしました。陶芸は無理としても、木皿に描く事ならできるだろう・・・骨董市で、黒漆の木皿を入手してきました。こういった類の品は、今では、ダダの次くらいの値段です。店主に頼めば、何かを買ったおまけにつけてくれます(^.^)
その結果がこれ。
径 17.0㎝、高 2.1㎝。明治ー戦前。
轆轤挽き、本漆塗り、金で縁取りがしてあります。今でも十分実用になります。
入手した木皿に、金粉をいれた漆金泥で筆書きっしました。最初は、無謀にも、先回の煎茶碗のメダカをめざして、メダカをバラバラに描きました。しかし、結果は散々、自分で見るのも嫌になるほどの出来です(^^; バラバラにならず、どうしても偏りができてしまうのです。それがいかにも中途半端で稚拙。おそらく、幼稚園児の方が、うまく描こうという助平根性がないだけ、ましでしょう。ボツ、燃えるゴミ行。替わりの皿はいくらでもあります(^^;
そこで方針変換。子供の頃はどこの小川にもいたメダカの学校(今は全く姿無し)を描くことにしました。
うーん、まずまずの出来。稚拙な筆さばきが温かみさえ感じさせる、というのは褒め過ぎか(^^;
そこでまたまた助平根性が。このままでは当たり前すぎて面白くない。さざ波や渦巻を添えたらどうか。それも単純に描くのではなく、沈金の技法でやってみよう。沈金とは、漆面を鑿で線彫りし、凹部に漆をすり込んだ後、金粉などを蒔いて定着させる技法です。輪島塗で多く用いられます。
さっそく、彫刻刀で彫りました。ところが、全く歯がたちません。漆面は非常に硬いのです。プロは専用の小刃を用いるようですが、そんな物はどこにもありません。やむなく、畳針でガリガリと削り、漆液を塗り、拭った後に金を蒔きました。
線がガタガタですが、一応できました😓
手づくりのメダカの学校です。いちご大福などをのせて、春をどうぞ(^.^)