瀬戸の石皿です。
この品は、以前のブログで簡単に紹介したことがありますが、今回、瀬戸の大皿として詳しく見てみます。
全体にがっしりとした造りで、外側に太い鍔があるのが石皿の特徴です。
径 32.0㎝、高 5.3㎝、高台径 15.㎝。 江戸後期。
江戸後期に瀬戸で焼かれた日用雑器(石皿、行燈皿、馬の目皿、絵瀬戸)の中で、一番がっしりとした皿で、実用本位の品物です。
現在、軽妙な絵付けのある石皿が珍重されますが、実際に焼かれた石皿は、ほとんどこのように、全体に灰釉を掛けただけの無地の皿です。
この品は、長年酷使され、満身創痍です。
実はこの皿、故玩館を改修した時、床下から出てきた物です。100年以上たって、文字通り日の目を見たわけです(^^;
典型的な石皿ですが、灰釉の色が黄色がかっています。
これくらいの色調になれば、黄瀬戸といっていいでしょう。もちろん、桃山時代に美濃で焼かれた本家の黄瀬戸に及ぶべくもありませんが、黄瀬戸の黄色は、灰釉の酸化焼成によって出来た色です。無数の灰釉陶器のなかには、黄瀬戸調のものがあっても不思議ではありません。
灰釉が黄色の筋となって流れて、景色を添えています。
びっしりとしたジカンも、味のひとつ。
無造作に大きく付いた目跡(窯道具のくっつき跡)は、時代が遡る事を示しています。石皿も、他の多くの焼物と同じように、時代がたって洗練されるにつれ、目跡は小さくなってくるからです。
市場的には、ほとんど価値をもたない、素の(絵のない)石皿ですが、見方を少しかえてやれば、それなりに味わい深い物にかわります。
たいした物を残してはいないご先祖様ですが、また他の品もボチボチ紹介していきます(^.^)