「…おれさあ、お前が先に寝るまで起きてようと思ってたんだよ。お前の寝顔ってさ、マジ、かわいーんだぜ。知らねーだろ」
笑いながら言ったけど、7:3ぐらいの七三分けで、照れ臭いけど本音。
「あ、でもさ、そーいえば」
ふと、あることに気がついて聞いた。
「お前、寝てねーの?」
すると彼女は困った風に、少しだけ笑って答えた。
「寝れないの」
「え」
「男の人に抱かれてるとき、いつも眠れないの」
「…」
胸がチクリと痛んだ。
“オトコノヒト”。…おれも、そう?
「ねえ、武蔵」
彼女は、おれの顎に手をのばして言った。不精ヒゲにそっと触れる。
「このヒゲって、いつから生えてんの?」
「へ!?」
思わずドキッとした。…さっきの夢を、少し見透かされた気がした。
「14の時から」
正直に答えた。
「は?うそっ!!」
せいあは驚いて、目を丸くした。
あれ。この表情(かお)、どっかで見たよーな…。
ああ。そうか。
「うそじゃねぇよ」
彼女と初めて出逢った時と、同じセリフを、同じ口調で口にした。
「シンチンタイシャが活発なの」
…『新陳代謝』が漢字で言えない。外国語みたいな響きになった。
彼女が、ぷっと吹き出す。
…我ながら、呆れるほど、バカ。おれ。
だけど彼女の表情は、今はもう、初めて出逢った夜のそれとは違う。
今のおれの、一番好きな笑顔。
「…なあ、せいあ」
今なら、云える。
「ん?」
彼女が、おれの顔を見上げた。
「おれと、この街出ないか」
彼女の目を真っすぐに見据えて言った。
≪つづく≫
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笑いながら言ったけど、7:3ぐらいの七三分けで、照れ臭いけど本音。
「あ、でもさ、そーいえば」
ふと、あることに気がついて聞いた。
「お前、寝てねーの?」
すると彼女は困った風に、少しだけ笑って答えた。
「寝れないの」
「え」
「男の人に抱かれてるとき、いつも眠れないの」
「…」
胸がチクリと痛んだ。
“オトコノヒト”。…おれも、そう?
「ねえ、武蔵」
彼女は、おれの顎に手をのばして言った。不精ヒゲにそっと触れる。
「このヒゲって、いつから生えてんの?」
「へ!?」
思わずドキッとした。…さっきの夢を、少し見透かされた気がした。
「14の時から」
正直に答えた。
「は?うそっ!!」
せいあは驚いて、目を丸くした。
あれ。この表情(かお)、どっかで見たよーな…。
ああ。そうか。
「うそじゃねぇよ」
彼女と初めて出逢った時と、同じセリフを、同じ口調で口にした。
「シンチンタイシャが活発なの」
…『新陳代謝』が漢字で言えない。外国語みたいな響きになった。
彼女が、ぷっと吹き出す。
…我ながら、呆れるほど、バカ。おれ。
だけど彼女の表情は、今はもう、初めて出逢った夜のそれとは違う。
今のおれの、一番好きな笑顔。
「…なあ、せいあ」
今なら、云える。
「ん?」
彼女が、おれの顔を見上げた。
「おれと、この街出ないか」
彼女の目を真っすぐに見据えて言った。
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