男系男子固執は女性差別だ

国連の女性差別撤廃委員会が、男系男子による承継しか皇室典範が認めていないことについて、女性差別に当たるとして懸念を表明しようとしたところ、日本政府の猛反発にあい、委員会の発行する最終見解案から削除された、との報道がありました。

これはニュースだ！

そもそもこの最終見解ってなによ、というところから始めますと、

女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約に基づいて条約の実現のために設けられた委員会です。この条約は日本も1985年に批准しています。これに批准するために男女雇用機会均等法とかがあわてて出来たので、日本の女性差別もちょっとだけ改善したという、今日働く我々にとっては大変ありがたい条約です。

で、日本は批准してるんだから、４年に一回は条約の実施状況について報告しなくちゃならない、と条約に書かれています。そしてそれをもとにセッションが開かれて、政府やNGOなどいろんな団体の意見を聞いた上で委員会が条約の実施状況についての最終見解を出すわけです。ちなみに日本についての最終見解は前回が2009年。その前は2003年だそう。

まあつまりはこの委員会自体は確かに国連の組織ではあるのですが、国連の権限というよりは、むしろ日本が条約を批准したことによって法的に要求される、国際法上のプロセスなわけです。

だから一部ネトウヨが騒いでいるように、見解が気に入らないからって反日国連！国連脱退！とかいうのは筋違いなんですよ。そんなに嫌なら女性差別撤廃条約を破棄すればいいわけです。まあ締結国が189カ国の、国際的に広く受け入れられている条約を拒否するなんてことが得策とは思えないですがね。

それはともかく。

皇室典範が男系男子の即位しか認めないのは、明確な女性差別だと思いますよ。

これに対して、日本政府は伝統だー、文化だーと騒いだらしいですが、差別する側が正当化のために伝統とか文化とかを持ち出すのは常套手段です。

花嫁を燃やしたり、女性器切除したり、12歳で結婚させたりするのも、やってる側からすれば伝統であり文化でしょ。

それと同じ理屈で反論したって説得力のかけらもないです。

それから「皇室は国民の支持を得ている」とも政府は言ったそうだけど、そんなの嘘でしょ。41年ぶりの親王が生まれた直後の世論調査だって、女性天皇支持が80パーセントだったはず。古来の女性天皇の存在を無視して何が何でも男系男子！なんて言う国民が一体何パーセントいるのか、調べてみてほしいよ。ネットではわーわーうるさい人たちがいるけど、ごくごく少数だと思いますよ。

見解を出した委員はさあ、その道の識者ですよ。普段から女性差別について考えに考えて、189カ国のいろんな事例を見てさらに考えて、その上で日本の状況がどう見えるかを教えてくれてるんだよ。

少しは耳を貸したらどうですか。