さかな

魚屋さんの店先のささやかな素話...。

「もったいない。」と「蛸。」

2005年09月06日 | 店先から
いつもタイトルを考える時、真剣に考えますが、
今日もふざけたタイトルになってしまいました。でも大マジメなんです。
今日、お店に来てくれたお客様のお話です。

お客様のKさんは、娘さんの結婚を来月に控えています。
もうダンナ様になる人と一緒に住んでいるのだそうですが、
今日はそれぞれ、自分の実家でご飯を食べることになって・・・。

Kさんは、帰りに持たせてやりたいと言って、おみやげ用に鮭を買ってくれました。
その他にも果物や野菜、娘さんの好きなものがたくさん店のレジ台に並びました。
「あげるの、もったいないな・・・。」と、Kさんがポツリと言いました。
「えっ?」と、私。
鮭やら果物が多いのか?いいえ違います。Kさんは、
「嬉しいんだけどねぇ・・・。もうすぐ彼にもらわれていっちゃうと思うと、
なんだかもったいないっていうのかな・・・。娘をあげるの、もったいないなぁって思っちゃうのよ。」と。

考えてみたらそうですよね。手塩にかけた娘さんですから。
私が嫁ぐ時もそうだったのだろうか・・・?
なんだか、夢中でこの家に来てしまって、
両親や妹のこと、ちゃんと考えてあげなかったような・・・。
親になって、初めて両親のありがたさがわかる。
その次は、娘が嫁ぐ時に初めて親の寂しさがわかるのか・・・。
これは、逆に男の子でも同じ気持ちかもしれないですね。

我が家には娘が2人。
まだまだ実感のわかない話ですけど、いつかそういう時が来るのですね。
その前に!我が家の娘は躾とかなにかが全然足りていない気がするので、
先ずは日々努力ですね!
っていうより、お手本となる私が先ず努力です

もう一人。
久しぶりに顔を見せてくれたお客様。自称蛸釣り名人さん。
最後に来てくれたのは、去年の12月でした。
どうして覚えているかというと、彼は今まで無口だったのに、
12月のこの日はお喋りでした。

「俺は蛸釣り8年。名人について習ったから腕前は確かだよ。明日茨城まで蛸を釣りに行くんだ。まあ、普通は5匹釣れればいいよ。俺は10匹以上は釣れる。経験だね。」と、だいたいこんな感じで話し始めました。
何も話さなかった人がこんなにお喋りだなんて・・・と思った私。
「蛸はね。茹でただけでは歯が折れるくらい硬いよ。釣ってきたらまず洗濯機に入れて回すんだよ。塩を少し入れてね。そうするとヌメリが取れて、柔らかくなるんだよ。」
「へ~~~。」しか言えませんでした。
「明日は釣るよ!」と、自称蛸釣り名人。
「頑張ってください!」と私。
店の外へ出ようとした名人は急に振り返り、
「明日釣ってきたら、蛸買ってもらえんかな?」ですって。
「・・・・・・」私は出来る限りの笑顔で、
「ありがとうございました。」と、お断りの意味で名人を見送ったのでした。

それからピタッと来なくなった名人が今日、久しぶりに来店。
ちょっと気になっていたので、来てくれてほんと良かったです。
12月には8匹、蛸が釣れたそうです。10匹って言ったのにな

おしまい。
写真は新潟の海で、娘たちが私の顔を作ってくれたもの。
関係ないけど、モッタイナイからブログにのせタコ。すいません
しかも今日も長すぎまたまたすいませーん