昨日20日、NHKスペシャル「ウォータークライシス:水は誰のものか」の第一回を見た。世界の水危機は、レスター・ブラウン氏が何年も前から警告を発している問題である。地球温暖化による砂漠化とは別に、地下水の汲み上げすぎによる、水の枯渇問題も、目に見えないだけに深刻さの度合いはひどいらしい。
↓ワールドウォッチ研究所のHPより
http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyupdate2002-11.html
http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyindicator2005-4.html
食糧自給率の低い日本は、大量の水を必要とする農作物を大量に輸入する国として「世界最大の水輸入国」と揶揄されている(穀物1トンには1000トンの水が必要と言われ、日本は年間1000億トンもの水を輸入しているという人もいる)。これまでは石油の奪い合いによる戦争が多かったが、これからは水の奪い合いによる戦争が起こる可能性もありえる。既に貿易上では水戦争が始まっているという人もいるくらいだ。水問題は生命に直結する問題であり、環境問題だけでなく貧困問題にも大きな影響を与える。
番組の第一回は、民営化の進む世界の水道事業に焦点をあて、その問題と解決策を探る各地の様子を紹介していた。折りしも、高知県の早明浦(さめうら)ダムでは、貯水率がゼロになっており、地域の水をどう守るかについて考える好機だ(”エネルギー””水””第一次産業”を極力地域で賄い、地域で循環する仕組みにしていくことが今後必要になると思う)。今回の放送で特に素晴らしいと思ったのは英国の事例で、水道事業をNPOが運営するというもの。文末にそのNPOと英国の水道事情に関する情報をリンクしておく。
NHKのHPには、番組について次のように紹介されている。
「地球の血液ともいうべき水。その危機が世界規模で進んでいる。現在、安全な飲み水が簡単には手に入らない人口は10億人以上にのぼる。農業の水不足も深刻だ。アメリカやアジアの穀倉地帯では、川の水が途中で涸れる「断流」が頻発したり、地下水が枯渇したりして農業ができなくなる地域もでている。
人口増加により、ますます深刻になる水の危機。その生々しい現地報告と、危機を回避するための方策に迫る2回シリーズである。
第1回のテーマは、飲み水。水道事業の民営化を取り上げる。財政難で水道インフラの整備が滞る国が増える中、世界各地で公営水道の民営化が進められている。企業の資金を導入してインフラを整備し、貧しい人々にも安くて安全な水を届けられると期待された。
しかし実際には、さまざまな問題が起きている。フィリピンでは、水道網は広がったものの料金が以前の4倍に跳ね上がり、高すぎて水道水を手にできない人が増えてきた。そうした中、水道管に違法接続して水を盗む「盗水」が多発し、大きな社会問題となっている。
一方アメリカでは、高い水道料金とサービスの悪さに怒った住民たちが、民営の水道会社を公の手に取り戻そうと動き始めている。この夏、カリフォルニアのある町では、公営化の是非を問う住民投票が行われた。
民営化で水が“商品”となった時一体何が起きるのか。世界の現場を見ていく。
第2回は、世界の農業の現場でいま、水に何が起きているか、そのリポートを中心に農業の水不足の現状を紹介する。人口10億のインドは1960年代の緑の革命によって食料自給を達成した。その食料増産を支えたのが、北西部のパンジャブ州だ。
しかしいま、パンジャブ州では深刻な水不足が起きている。井戸が次々に涸れて、農業ができなくなる事態が起きているのだ。またアメリカ・カリフォルニア州では、都市が農業地区の水を買い取る水売買契約が増えていて、その水を生み出すために休耕することが起きている。
食料の多くを輸入に依存する日本はこうした海外の農業の水の危機と深い関係がある。農業の水を通して私たちの食生活をとらえなおす。」
水道事業をする英国のNPO「グラス・カムリ」
http://www.dwrcymru.com/glascymrusite/
石田直美氏(株式会社日本総合研究所)の日本水道新聞掲載記事「英国の水道事業から学ぶ」
http://www.jri.co.jp/thinktank/sohatsu/article/2005/01/03.html
㈱NJS E&M 池田修氏のレポート2件(主に英国と日本の水道事業について)
http://www.njs-em.co.jp/docs/ukkisei0211.pdfhttp://www.njs-em.co.jp/docs/ukfrus0304.pdf
三井トラストホールディングス調査レポート「日本版水道PFIの可能性を探る」
http://www.mitsuitrust-fg.co.jp/invest/pdf/repo0506_5.pdf
コメント有り難うございます。残念ながら私はコスタリカに行く機会がなく、その実情を知りません。ご指摘有り難うございます。情報を掲載する時は、複数の情報源から確認をするように心掛けているのですが、ひょっとすると私が調べた情報の出所が同じなのかもしれませんね。
その辺りの情報を詳しく知るのに有益なURLなどはご存知ですか?よかったらお教え下さい。宜しくお願いします。
水にしてもウィルスにしても、目に見えないものは本当に怖いですね。オゾンホールの時の様に、研究者の方々に事象を可視化していただき、カナリヤとしての機能を期待するしか私のような一般市民が気づく手立てはありません。
気づいた後にどう防ぐかが更に大変な問題なのですが。。。
拙稿をお読み下さり、誠に有り難うございました。
今後とも宜しくお願い致します。
※コスタリカの記事については、コメントのURLにリンクしておきました。
コスタリカについてのサイトですが
http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/hitori021104.htm
ここのコスタリカの欄を読むと理解しやすいかと思います。
また「コスタリカ 市民警察」などで検索してもそういった情報サイトを見つけられる事と思います。
非武装中立の理念は決して誤りであるとは思いませんが、それがちゃんと機能して国民の生命財産がきちんと守られる状況をまず先に作らない限りは、武器を捨てた途端によってたかって殺され奪われ犯されました、てな事にならないとも限りません。理想を掲げつつ現実を歩むのが国政というものであろうかと思います。もちろん、一般市民はしっかりと理想も夢も抱いていかないといけませんね(笑
日本では、政治や宗教に対して対話することを極端に嫌がる人が多いですが、相手に対する敬意さえ忘れなければ、もっともっと対話できる社会の方がいいと思います。沈黙からは理解や歩み寄りは得られません。
コスタリカの件については、市民警察や軍隊、憲法の解釈を棚上げするにしても、ロベルト・サモラさんが発端となり、法廷の場で当時のコスタリカ政府の行動が違憲となったことは、素晴らしい快挙だと私は思います。
RRさんのおっしゃるとおり、理想と夢は捨ててはいけないと思いますし、その上で現実を直視して対応しなければいけないと思います。
一番いけないのは、目指すべきビジョンがなく、場当たり的な対応をして国際的な信用を失うことだと思います。