まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

ボランティア旅行から共助・共益社会の実現へ

2005-12-04 19:00:00 | Personal Views
先日、とあるテレビ番組で海外ボランティアを紹介していました。
この話題については、この欄でも何度か触れているのですが、非営利or営利として既に日本でも認知されつつあるのがわかりました。
このブログでも、いくつか関連情報を拾ってみます。

福島慎之さんのVolunteer Platform
http://volunteer-platform.org/#studytour
↑世界の貧困問題について、多くの情報が手間を掛けて収集されています。

個人海外旅行の友、地球の歩き方「海外ボランティア」の特集ページ
http://www.arukikata.co.jp/volunteer/
地球の歩き方とも関係の深い河野順一さんのバンザイ・インターナショナル
http://www.banzai-international.com/

安田修さんの海外移住情報より「海外ボランティア」のページ
http://www.interq.or.jp/tokyo/ystation/inter4.html
サイト内には、イスラエルの自給自足コミュニティ「キブツ」の紹介もあります。


中越地域では、国内の被災地域を観光で盛り上げるツアーも登場しています。

長岡地域広域行政組合主催、小千谷を巡る「ふるさと再発見地域探訪ツアー」
http://www.kouiki.nagaoka.niigata.jp/jigyo/tanbou03.html

次は、お笑いクラブNIIGATA 袖山由美子さんによる小千谷稲刈りツアーの紹介です。
http://www.mie.tru.jp/gatletter/ojiya030921.htm


このようなツアーでは、ボランティアをする側がお金を払うわけですが、何故奉仕をするのにお金を払わなくてはいけないのか理解に苦しむ人も多いようです(仏教ではお布施を差し出す人がお礼を言うのが習慣ですから、布施の意味を理解している人には容易に理解できることだと思います)。

現在ではJICAも青年海外協力隊以上に、シニア海外ボランティアの募集に力を入れているようで、JRの車内広告でも大きく掲載していました。定年退職者が多く排出される2007年を見越してのことでしょう。渡航先を国内ではなく海外とすることは、客観的に日本社会を眺める際の、有効な手段となります。
団塊の世代を『クリエイティブ・シニア』と呼ぶ人もあり、堺屋太一氏や残間里江子氏が語るように、これまでも時代をつくってきたし、これからも時代をつくる存在として注目されています。

現在日本社会は、小さな政府を目標としており、このまま進めば、市場(wants)と需要(needs)の隙間はどんどんと広がっていきます。それに応じて、生じた隙間を埋める『共助・共益』という発想が重要視されるようになりました。数々の災害の経験からは、「公助」を得るまでの「自助」「共助」の必要性が説かれ、まちづくりや福祉では「私益」でも「公益」でもない、その中間の『共益』が叫ばれています。自分を含む隣人が皆ハッピーな社会、『共助・共益社会』の実現です。
これまでのように、一役所、一企業、一組織に解決できる問題は益々減り、多くのセクターが連携・協働する以外に解決の道はなさそうです。環境問題も、ニートの問題も、年金の問題も、社会の歪として現れる未成年の事件など、それぞれ個々の対象の中で答えを探すのではなく、より根源的に解決しなければなりません。アメリカの学校で繰り返される子どもよる発砲事件は、ある特定の子どもの家庭環境を改善して解決できる問題ではありません。同様に、日本での問題も、日本人の価値観やライフスタイル、社会構造を大きく捉え直すことが必要とされています。
価値観やライフスタイルに大きな影響を与えるという点で、リアルな体験をできる旅行は、娯楽を超越した価値の高い産業として捉えた方がよさそうです。

そして、価値観に影響を及ぼすキッカケとして、ボランティアやNPOの活動に、大いに期待したいと思います。ニセモノと言われようが、自己満足と言われようが、最終的に目指すところが隣人のハッピーであり、その目的達成のためには変幻自在に連携・協働できる姿が理想ですよね(日本の外交が隣人のハッピーを前提としているようにはとても思えませんが…)。同じゴールを目指しているのに、プロセスや体質が合わないことを理由に別々の道を歩むのでは、より小さな成果しか望めません。

ツーリズムに話題を戻せば、農におけるボランティアをメニューとするグリーンツーリズムは、既に普及しており、ボランタリーなツーリズムとして確立されずとも、現象としては広まりつつあります。
作り手(producer)と使い手(consumer)が融合するプロシューマー(prosumer:未来学者アルビン・トフラー氏が提唱)、観光産業におけるプロシューマーの出現と捉えると、より理解しやすいかもしれません。これからは、旅程などのパーツを選択するツアーが存続する一方で、人生に新しい価値を付与する『ライフスタイル・デザインの一プログラム』として、満足感という成果物を顧客と一緒につくるマーケットが登場し、その流れは他の産業と同様に逆行することはないでしょう。

先に挙げた価値観、ライフスタイル、社会構造を考える上で、ボランタリーなツーリズムを研究・体系化し、活用を進めることは、その波及効果と今後の日本社会を考える上で、意義のあることだと思います。
日々の仕事に追われ、いつまでもセクショナリズムから脱却できないようでは、この時代の大変革期に、社会から大きく遅れをとることを覚悟しなければなりません。
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