まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

ISO9000s(ISO9001とISO9004):2000年版

2005-02-17 13:23:31 | まちづくりの道具箱
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]

ダイヤモンド社

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「ISOは製造業や建設業が対象だろう?おらが街の”まちづくり”にISO?そんなもの関係あるか!」
と聞こえてきそうな気がする。でも、ちょっと我慢してお読みいただきたい。

イギリスに行くと、街の小さなパン屋さん(製造業)やクリーニング屋さん(サービス業)など、当たり前のようにISO9001を取得していると聞く。日本でも一時期ブームのようにISO取得(主に14001と9001。14001はダントツの世界一位で2位英国の約2.5倍)が流行った時期があった。しかし、そのISO取得や継続の費用だけでなく、仕組み自体が足枷になってしまい、日本でのISO崩壊の危機に警鐘を鳴らす専門家もいる。確かに、企業で見かけるように、誰も読む気にならないような分厚い業務マニュアルを前にすれば、その言葉も頷ける。

ここで素朴な疑問に戻ることになる。

「そもそも何故、ISOの取得を目指したのか?」

ここが一番の落とし穴である。むしろこの疑問に全ての関係者が即答できる組織なら、「ISO?役に立ってるよ。」と言うのではないだろうか。危険なのは、目的と手段が混乱しているところや、横並び主義で飛びついたところ。組織内部のコミュニケーションが上手くいっていないと、部下はやらされ仕事になってしまう。
大事なことは、ISOは単なる国際標準の規格であり、道具(ツール)に過ぎないということだ。道具だから自分たちが目的を果たすために、都合よく使いこなさなくてはいけない。完璧にできた魔法の道具ではなく、使いこなすにしたがって、その威力を発揮するようになる。

ここで、馴染みのない方にもわかりやすいようにISOについて少々。
ISO(アイソ:ギリシャ語で平等を意味するisosに由来)とは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)のことで、いわば世界で共有できる約束事。中でも最も有名な規格がISO14001とISO9001。
ISO14001は「環境マネジメントシステム(EMS)」であるのに対し、ISO9001は「品質マネジメントシステム(QMS)」と呼ばれる。マネジメントシステムとは、組織がよりよく機能するためにどのように経営管理していくのか、P(Plan)→D(Do)→C(Check)→A(Act)→P(Plan)…のサイクルを基盤とした言わば絶え間ない改善のカラクリのようなもの。
とりわけ、ISO9000ファミリーは、品質という名称が付いているものの、サービス業を含むあらゆる業種が対象となっている。公的部門(官公庁等)、民間部門(民間企業/組織体)の組織の規模に関係せず、また、工業、サービス、ソフトウェア、その他諸分野の各ユーザーにも適用できる。
二度の改訂を経て作成されたISO9001:2000年版は、より柔軟性が増し、規格が要求している用語通りではなく、企業がビジネス活動のために必要と考えること(企業にあった記述、企業規模に応じたシステム)を積極的に取り入れることが可能なった。その上、ISO14001など他の規格との整合性が図られた洗練されたものとなっている(ちなみに、ISO9000は基本と用語の定義、9002と9003は廃止、9004は顧客に焦点を当てた9001よりも更に広く捉えた全ての利害関係者を対象とした組織の継続的改善のための手引きとなっている。このためCSRの考えに近い)。

「ISO9001:2000年版の基礎知識」((財)日本品質保証機構のHPより)←2000年版の特徴や他の9000ファミリーとの関連性などがわかり易い。
ISO9000ファミリーの経緯と他ファミリーの相関関係は日本規格協会の資料が詳しい。

ここで、私が強調したいのは、『取得しなくても構わないので、このISO9000ファミリーを活用できる要素だけでも取り入れて欲しい』ということ。地元商店街の一店舗や地元の中小企業、まちづくりのNPOや自治会、そして自治体、突き詰めるなら個人の能力開発まで。あらゆるところで応用ができ、それが健全で頑強な地域経営を積み上げていく。
地域でイベントをするのであれば、ISO9001の従兄弟にあたるISO10006(プロジェクトマネジメントシステム)や、より易しいプロジェクト・ワーク・アビリティ(PWA)の資料なども参考になるはずだ。しかも、資料はインターネットでかなりの情報が入手できる。ネットが面倒でも、大きな本屋に行けばごっそりと置いてある(書籍の選択には要注意。認証取得後まで言及したものがベター)。

いずれも、私たち当事者が、一から考え、運営(経営)管理の手法を構築するよりも、専門家が考え、世界で揉まれた既存の道具を、自分たちの都合のいいように活用した方が、圧倒的に有効ではないだろうか?こんな素晴らしい道具を使わない手はない。私はそう思う(という訳でISOを勉強中)。

ISO9001って何?((財)日本適合性認定協会のHPより)
世界のISO取得状況とISO9001:2000(英語)
日本のISO9001取得状況((財)日本適合性認定協会のHPより)
↑サービス業は建設業に次いで2位、約20%を占める。行政では57団体が認定
「日本におけるISOの真実」田中明歩氏(三井物産戦略研究所発行のThe World Compass 2003Jul-Augより)
「これがコンパクトISOだ!」ヒラカワ(平川雄典)さんのISO活用講座(アイソ・ラボ㈱より)
ISO本部のHPよりISO9001・14001について

ISO9001は行政にどう役立つか?(UFJ総研のHPより)
市町村サミット構成自治体「チャームポイント事例集」
自治体としては初めてISO9001を導入した群馬県太田市
「地方自治体に求められる変革と情報化~岩手県滝沢村の取り組み」(INS地域と情報システム研究会の資料より)
ISO9001と14001の同時取得を初めて果たした岩手県滝沢村
滝沢村の行政経営品質向上活動
滋賀県近江八幡市
千葉県成東町
ナチュラル・ステップも導入したエコ自治体の沖縄県那覇市
地元埼玉県で初めてISO9001:2000を取得した深谷市
ローカル・マニュフェストにも積極的な大阪府枚方(ひらかた)市

介護NPOで初めてISO9001を取得したケアセンターやわらぎ(ETICのHPより)
高校で初めてISO9001を取得した私立盛岡中央高等学校
ISO9001を取得した地元川口市にある埼玉協同病院

「ISO9000ファミリーの有効活用法と課題」飯塚悦功氏(JQAインタビュー、ISO NETWORK2004WINTERより)
「ISO9004と統合マネジメントシステム(IMS)」(特集欄P.12~参照、ISO NETWORK2004SUMMERより)

「今なぜプロジェクト・マネジメントか?~アメリカ再生のマネジメント手法」日本プロジェクトマネジメントフォーラム(JPMF)国際交流部長 青木一三氏の資料

地域経営の応援団にして情報源NHK教育「21世紀ビジネス塾」
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2 コメント

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こんな会社が増えています。 (平川雄典)
2005-02-26 08:14:38
アイソ・ラボのヒラカワです。

こんな所で私のホームページが紹介されているなんて思ってもいませんでした。

今、ISO9001を取得したいとは思わないが、

仕事の仕組みはキチンと作りたいとする会社が確実に増えてきています。

実際にそのような会社を2社お手伝いしています。



今までにない大きな変化です。

3年ほど前は、ISOの会合をやっても経営者は全く参加されませんでした。ISOを取るだけで良かったのでしょう。

最近は、社長も積極的に参加される会社が多いですね。

このため社長の都合に合わせて会合のスケジュールを決める会社もあります。



このblogでの心配は解消されつつあると言えるかもしれません。

私の仕事も段々と楽しくなってきています。



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登録認定の進捗度 (管理人)
2005-02-26 13:54:41
アイド・ラボ㈱のヒラカワさんから、直接コメントとメールを頂戴しました!



ヒラカワさんの情報によると、ISO9001の登録認定数は、ピーク時は月800件もあったそうですが、現在月間で300~400社程度登録され続けているそうです。落ち着いたとはいえ、この伸び率!スゴイですね。



ヒラカワさん、ありがとうございました!
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