抹茶味の珈琲店

ここにあるのはしょうもない戯言・・・それでも来てくれた皆様に感謝。
どうぞ、風変わりな文章をお楽しみください。

小説第6話「過去」

2009-02-06 10:33:34 | Cynical Knight

リヒター「さあて、3日連続更新二日目だ」

ウィル「・・・連続ですか?間が空いたような」

リヒター「何を言っている。前回の記事の日付を見てみろ」

ウィル「・・・偽装はいけませんよ」


・・・・・・さて、3日連続更新の二日目です。
前回までの話は、まぁ言っちゃえば第一章みたいな、いや、「一章」と呼ぶにはあまりにも短い一節です。
一応ゲーム的なハラハラした展開とかもできることはできるのですが、まぁ、しばらくだらだらした小噺が続きます。

そんなわけで第二章。いや第一章第二節。第六話。
リヒターさんの本当の強さとは?初戦闘、サヤちゃんの能力とは?
新登場の呪術師、ギルド壊滅の危機!?
上記の煽り文句には一部嘘がありますが、ま、原稿もできてねーのに予告なんて無理に決まってんだろということで、ご愛嬌ご愛嬌。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「いーちゃん、いーちゃんって、実は消したい過去とかある人?」
 少女が僕に訊いてきた。背が僕より低いので、僕を見上げる形になる。
「消したい過去なんてないよ」僕は両手を広げて答える。「過去が積み重なっての現在だろ?過去を消すことはできないんだよ、僕が現在時制にいる限り」
「ふうん?哲学的なことを言うね」
 少女は金髪のツインテール頭を傾けた。どうも僕の言っていることは通じていないらしい。

 僕は続ける。
「でも、現在の僕が現在の僕を抹消するのは簡単だ。たとえば、爆弾で自分を吹き飛ばす。自分の手首を切り落とす。死ぬまで柱に頭を打ち付ける。方法なんていくらでもあるさ。それで、僕は現在の僕を消したいと思っている」
「・・・・・・? ひょっとしていーちゃん、自殺願望者?」
「そうかもしれない」
 僕は少し間を空けて続けた。
「それでもきみなんかよりずっとずっとマシさ。きみは過去と自分を切り離して現在を生きようとしている。だから家出なんてしたんだろ?でも、そんなことはできない。そんなことはできないんだ。過去を消して生きるだなんて、そんなの生きているうちに入らない。生きながらにして、死んでいる。健常にして、病んでいる。廃人だ。『過去の自分と今の自分は違います』ってか?勝手なことを言うんじゃない。そうやって、埋め合わせだの、罪滅ぼしだの、自己満足で自己免罪して、自己免罪で自己満足して、そして過去とはオサラバ。すばらしいキレイゴトだね。どうやったらそんな傲慢な思想を持てるのか、不思議なぐらいさ。そうして過去から逃げて壊れてしまった人間を、僕はたくさん見てきた」
「・・・・・・・・・・・・」
「消したい過去なんてないけど・・・・・・嫌な過去ならあった。僕もそこから逃げ出した。そして・・・・・・今ここに欠陥製品がいる」
「・・・・・・・・・・・・」
「自分で自分を免罪しても、まわりが赦してくれないのさ。僕は今でも赦してもらえない。今でも追われ続けている。この状態を解決するには、過去を消すことよりも、現在を消すことが、いいんだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「だから、過去を消そうだなんて、思うな。僕のような欠陥製品になりたくなかったら、過去を引きずれ。過去のおもりを載せたまま、精一杯生きろ。そう簡単に赦されるほど、世の中甘くない」
「・・・・・・勝手なこと、言うな」
 少女は反論した。予測していなかった反論に、僕は少し戸惑う。
 少女は眉間にしわを寄せて、怒りに全身を震わせ、怒鳴る。
「・・・・・・何にも分かってねえ癖に、悟った振りして他人の人生に口出しすんな!分かった振りして他人の行動にダメ出しすんな!!どうせお前は欠陥製品なんだろうが。てめえなんざと一緒にすんな!」
 僕は、黙った。

 そうさ、僕は世の中を諦観してきた。
 世の中を傍観してきた。
 すべてに対し、他人事と考え、安全地帯から観察し、面倒ごとから逃避し、人間関係を放棄し、
 適当に生きてきた。
 適当な人生に、不満はなかった。
 適当な人生は、退屈だった。
 退屈は、大好きだった。

 過去と自分を切り離し、すべてをあざ笑ってきた。
 戯言。冷笑。ニヒリズム。
 その意味で僕は、
 リヒターさんと似ているのかもしれない。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

はい、第六話はここらで終了です。いつもより短めの、1500字。
・・・・・・え?文章の意味が分からない?

ま、第一話の前のプロローグもなんだかカオスでしたし、大丈夫なんじゃないですか?
そんな感じで毎日をゆったりと過ごす俺様ちゃーみーがお送りしました。

・・・・・・・・・・・・ダイジョウブ、多分第十話までに複線回収してる。うん、きっとしてる。


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1 コメント

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Unknown (守護)
2009-02-01 00:01:41
リヒターさん、
前の記事の日付より前の記事のコメントの日付の方が前なんですけど。