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「がんばれ!静岡茶」生産農家さんの茶事

2011年11月26日 | 行事報告
静岡茶の生産農家さんが、自ら亭主となり、ご自身の茶をご自身で点前してふるまう形で行われました。
(写真は静岡新聞記事より)


(がんばれ!静岡茶」という熱いお茶にかける思いを川勝知事と共にお話される農業経営士の皆様)

それぞれの方が初めてでもお茶の点前をしていただけるような形を、提案させていただきました。(今回は役員の方が亭主役に)


(農業経営士茶部会 赤堀会長のお席)

最初、稽古した時は、「とても自分には無理」「逃げたい」と言われていた方たちも、席の室礼も自宅の山の竹を工夫して細工くださったり、「自分のできることはこれだ」と、それぞれの想いでお出しくださいました。








皆様とご相談しながら形にしていった一つの茶事ですが、一つの点前を提案させていただいたことで、すでにご参加くださった経営士の方から、

「静岡茶ならこのように出したらどうか」
「二煎目は、こうしたら」
「茶器はこうあるべき」
「茶業者の”くせ”を捨てるように、こう伝えたら」

という具体的な改良点やそれぞれの考えがすでに出てきましたので、さらに意見を交わし、また新たな形が生まれていく期待が膨らんでいます。

「考えたこともないことを考えた」
「考えたというより、悩みに悩んだ」
「自分たちは茶の栽培には毎日向き合ってきたが、自分の茶とか出し方、飲んでもらうという気持ちについて初めて悩み、そういう自分自身がいることについても考えた」

真摯に、そして、本当に「自分を殺して」取り組んでいただけたことに、(茶道家として、助言、指導させていただく立場をいただきましたが実際は)皆様から多く学ばせていただきました想いでいっぱいです。

ご亭主の赤堀会長は、

「前日、会合があったが、今まで作り上げてきた気持ちをそのまま茶事に持っていきたかったので、前日はすべてのものを欠席しました」と、一週間前から茶事に向かう自主稽古に没頭されていたことをお話くださいました。

お客様(経営士会の皆様)は、「前礼」という言葉も知らないのですが、当日はどのように行くのか、どこで行われるのか、亭主に時間等の確認をし、さらに自主的に茶室前まで前日に道順を確かめに行かれたそうです。(茶道を学ぶ人は、これを「前礼」として、”教えられて行うことが多いのですが)

作法としてではなく、それぞれが互いに向かう心が自然と形になっていく姿を見せていただきました。

花を生けるときも、白雲塾長が「この枝は落としてもよろしいですよね」とお話されると、初心者の方は「なぜですか」など、疑問が出てきたり、躊躇したり、何か考えて止まってしまうなどのこともあるのですが、

それが、塾長の言葉を聞き終わるか否かの間に、スッと体が動いて、さっと枝を落とされる。茶道家の言葉が体に浸み込み、手が脳を通らずに動いていくような美しさを見ました。

「茶道の心は共感できる」
「茶道の言葉は暖かい」

と、後からお話くださったのですが、

たとえば、「”今”運んでください」と一声かけると、まさに「今」動かれるのです。これは普通のことと思われるかもしれませんが、意外と、一瞬の迷いが生じたり、「どこに」「なにを」と、”何か”を考えて、今瞬間に動けない時がある、しかし、それがないのです。

路地掃除から(蹲を何度か改め、客を迎える前に水をなんどかまくなど)を通して、灰を炉に入れ、五徳を据え、炭をおこし、香を焚き、座掃きをして客を迎え入れるまで、何もかも初めてでも、一言伝えると、体が皆さん自然に動くというのが、時間を共にさせていただいたこちらが素晴らしい感動をいただきました。

静岡県知事は、静岡産の農産物は「農芸品」(芸術性を持った農産物)と、強調されてましたが、その心と可能性と茶事をさせていただいたように思います。

御礼を申し上げたく。













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