学校法人・中央学院に対する訴訟が始まる!
第一回口頭弁論が、2016年12月12日(月)午前10時から、東京地裁
第631号法廷で開かれた。
原告が意見陳述を行った。
原告の支援組織の人、労働契約法20条に基づいて非正規労働者に対する
差別を違法だとして闘っている郵政ユニオンの労働者や、労働組合代表、
労働ジャーナリストが多数傍聴に来て、原告の意見陳述に聞き入っていた。
意見陳述中の、とあるくだりで、傍聴者から、「まるで悪代官みたいだ。
江戸時代じゃないんだ!」との声が聞こえた。
学校法人および中央学院大学が、いかに無責任であり、ブラックであるかが、
明らかにされた意見陳述であった。
ここに、その意見陳述の全文を掲載する。 なお、【 】内の小見出しは組合による。
平成28年(ワ)第36999 2016年12月12日
原告 小林勝
被告 学校法人中央学院
東京地方裁判所御中
原告 小林勝
意見陳述書
原告の小林勝です。本日は、私の意見陳述のために、審理の貴重な時間を
割いて下さいまして、厚くお礼を申し上げます。
これから、12分ほどの時間を頂き、大学非常勤講師のおかれた立場、私が
学校法人中央学院を提訴するに至った経緯と思いを、述べさせていただきます。
なお、ここでいう非常勤講師とは、主として、他に本務的な仕事を持たない、
いわゆる「専業非常勤講師」のことです。
来年の通常国会には、いわゆる「同一労働同一賃金法案」が提出される見通
しとなり、正規労働者と非正規労働者の待遇格差の是正の議論が活発になって
いるようです。
しかし、大学の正規教員である専任教員と、非正規教員である非常勤講師との
間の、ひどい待遇格差については、ほとんど議論がなされていません。
【ひどい待遇格差の事例—―原告の場合】
ひどい待遇格差は、私の事例で明らかです。
私は、被告の経営する中央学院大学で24年間、非常勤講師として勤務して
います。現在でも週3日出講し、専任教員の義務とされている担当コマ数と
同じ、週5コマの授業を担当しています。
しかし、月額賃金は僅か16万円程度で、大卒の初任給にも
及びません。賞与も退職金もありません。
週5コマ以上を担当している私は、組合交渉により、漸く3年半ほど前から、
私学共済に加盟することができるようになりました。しかし、その時点ですでに
63歳近くになっており、賃金が低く、賞与も支給されていないため、私の
将来の年金額は、月額数千円しか上がりません。
私にかかわる人件費は、年額210万円程度です。一方、中央学院大学の専任
教員の平均の年間人件費は、約1250万円です。担当コマ数だけで比較した
賃金格差は、実に6倍にも上ります。
格差は、研究環境にも存在し、非常勤講師には、研究室も、研究費も支給
されないことは、訴状に記載したとおりです。
【佐藤学長の唖然とする主張—―「均衡はとれている」]
私の所属する労働組合は、被告との団体交渉の席で、この格差問題を取り
上げ、その是正を迫りました。
しかし佐藤英明学長は、専任教員と非常勤講師の待遇は
「均衡がとれている」と、平然と主張していました。
ちなみにこの学長には、専任教員としての給与等の他に、月額15万円の
学長手当も支給されています。しかも、本務校である中央学院大学での
勤務のかたわら、他大学で、平日の日中に、非常勤講師の
アルバイトまでしています。
彼が手にする15万円の学長手当とは、私の中央学院大学における月額
賃金とほぼ同じです。
【訴訟を起こした理由】
私はこの訴訟において、この呆れるほどの待遇格差を正当化する理由を、
被告が明らかにすることを望みます。
私はまた、この訴訟において、専任教員と非常勤講師との間の待遇格差は、
どの程度が妥当であるのか、またその格差の正当化事由は何なのかが、明らか
にされ、非常勤講師の待遇改善が少しでも進む契機となることを望みます。
【格差が生ずる理由等]
さて次に、これほどの格差が生ずる理由、また非常勤講師がその是正の声を
あげられない理由について、述べたいと思います。
大きくいって3つあると思います。
第一に、「労働市場」と言えるものが存在していないことです。すなわち、
非常勤講師はたいてい、公募ではなく、人脈や専任教員の伝手、すなわち
コネで採用されます。そのため、競争的な「市場賃金」「賃金相場」が形成
されておらず、大学のいいなりです。待遇格差是正の声をあげれば、恩師や
紹介者等に迷惑がかかるのではないか、また、他の大学での非常勤講師の職
や専任職を得る際の障害になるのでは、と非常勤講師は考え、自制・自粛して
しまいます。
第二に、「有期雇用契約」を挙げることができます。これは、他のすべての
有期雇用の労働者とも共通します。非常勤講師が権利主張を行うものなら、
大学は「大学の自治」を振り回し、「カリキュラム編成権」を盾に取り、
次年度には「雇止め」や「担当コマ数の削減」を行い、非常勤講師の生活は
たちゆかなくなってしまいます。
第三に、どの大学も、授業の半数前後を非常勤講師に依存しているにも
かかわらず、内規または申し合わせで、一人ひとりの非常勤講師に与える授業
コマ数を、制限していることです。大学は、「長時間労働」ならぬ、
「超・過少時間・労働」を、非常勤講師に強いています。要するに、週2コマ
乃至3コマ、時間にして3時間乃至5時間程度しか、働かせないのです。
【社会的責任を果たさない大学】
全国の大学が、まるで申し合わせたかのように、まったく同じ行動をとって
います。すなわち、
専任教員の数を大きく上回る多数の非常勤講師を、1コマ
月額3万円程度の低賃金で、「短時間」だけ働かせ、社会
保険にも加入させず、退職金も積み立てません。
こうして、使用者としての雇用者責任も、社会的責任も、
まったくはたしていません。
そのため非常勤講師は、あっちの大学、こっちの大学、
あるいは学習塾や予備校へと、あるいは現業職の職場へと、
駆けずり回り、「細切れのパート労働」を行うことを余儀
なくされています。
日本の高等教育の半数前後を担う非常勤講師の待遇が、
これでいいはずはありません。
「幸い」なことに私は、中央学院大学で、16年もの長き
にわたって、専任教員の義務とされている週5コマを
上回る、週6コマ乃至8コマの授業を担当してきました。
今年は不当な理由で1コマ減らされましたが、なお週5
コマを担当し、権利主張をできる立場にいます。この状況を
活かして、日の当たらない非常勤講師の待遇改善に、少し
でも役立とうと、意を決して訴訟を起こしました。
【畑違いの多数の講義科目を持たせた理由――専任化の意向と約束の存在】
さて、中央学院大学において、経済畑の私が、畑違いの
多数の講義科目を持つに至った経緯等に関しては、すでに
訴状に記載されていますが、少し補足したいと思います。
特に中央学院大学法学部が、まったくの門外漢の私に、
1998年4月から「EC法」を、また2000年4月から
「国際関係論」を持たせたのは、学部長を中心とした少な
からぬ教授たちの間で、私を専任教員にするという合意が
できていたことを示しています。
それは、次の事実からもわかります。すなわち、2000
年3月に、私は斎藤法学部長から、「専任化のことを考えて
います」と告げられました。
その言葉どおり、専任化の話は、この年の7月頃から
具体化しました。「外国法部会」の教授から、私に、この
大学で、「EC法」担当の専任教員になる意思があるか
どうかとの、打診がありました。私は「喜んで」と返事を
しました。その後、10月の教授会にかけることも、
知らされました。
しかし、この人事は1年先送りされました。その理由に
ついては、斎藤法学部長から直接に聞かされました。
その際、同法学部長から、「私の(学部長としての)
任期はもう1年あるので、任期中にやりますから、
あきらめないで下さい」との言葉がありました。
しかし、この約束は果たされず、今日に至っています。
【団体交渉の席での佐藤学長の発言――過去のことなので、調査するつもりなない】
私は、団体交渉や協議の場で、専任化の約束がなされて
いた事実等を指摘し、約束を履行するよう要求しました。
しかし佐藤英明学長は、斎藤氏はすでに退職している
ので、調査するつもりはないと回答し、専任化を拒否して
います。
しかし、こんなバカな話がありましょうか。
私は、法学部および商学部の複数の教授に専任化の意向を
提示され、まったく畑違いの科目を次から次へと担当し、
また当時の法学部長には明快に専任化を約束され、努力し
ながらその科目を担当してきました。その分野での著作の
出版や論文執筆も行い、自分の著作のための研究にも支障を
きたしました。
結局、自分の本来の研究テーマに関する著作の出版は、
遅れに遅れて、2008年7月になってしまいました。
当時の斉藤教授は、人事権を共有する正教授であり、
人事の発議権を有する法学部長であり、また学校法人の
最高意思決定機関である理事会の構成員でもあったはず
です。その一員であった者の行動に、現在の理事会が
まったく責任を負わないという主張は、納得のいくもの
ではありません。
【専任化を餌に、学位論文を仕上げさせる】
同じことが2006年4月に法学部長に就任した土橋教授
についてもいえます。
彼は、専任化の約束を履行しなかった斎藤氏に対する
批判を、私の前で口にし、斉藤氏と違って自分は必ずやる
と語っていました。しかし、彼が本当に関心を持っていた
のは、私の専任化ではなく、後述するように、外国の
医学部に進学していた私の娘でした。
彼が、専任化を餌に、自分の学位論文の書籍化を私に
させたことは、訴状に記載したとおりです。補足する
ならば、その後さらにもう一冊、すなわち彼の教科書で
ある『概論 ルソーの政治思想』の出版も、私に
手伝わせたことです。
">【娘よこせ!――まるで悪代官のよう】
さらに彼は、私の娘が医師免許を取得する2010年前後
からは、専任化と引き換えに、この私の娘を、大学院に進学
していた自分の息子と結婚させるようにと、執拗に迫るように
なりました。学者を目指す息子の経済的安定のためだと、
臆面もなく述べていました。私は、敢えて友人のいる前で、
この話をきっぱりと拒絶しました。
【公正な判決を!】
なお、私が畑違いの科目を多数担当したことや、徹夜の連続で土橋法学部長の
学位論文の書籍化を行ったことが、身体障碍者であり、
精神を病んでいた妻に与えた影響については、ここでは
述べません。
私は、私の研究、私や家族の人生や生活を、かくも翻弄し
続けた学校法人中央学院に対して、訴状に記載したとおり、
損害賠償を求めます。
最後になりますが、公正な判決を出されるようお願いして、
私の意見陳述を終わります。
<以上>
第一回口頭弁論が、2016年12月12日(月)午前10時から、東京地裁
第631号法廷で開かれた。
原告が意見陳述を行った。
原告の支援組織の人、労働契約法20条に基づいて非正規労働者に対する
差別を違法だとして闘っている郵政ユニオンの労働者や、労働組合代表、
労働ジャーナリストが多数傍聴に来て、原告の意見陳述に聞き入っていた。
意見陳述中の、とあるくだりで、傍聴者から、「まるで悪代官みたいだ。
江戸時代じゃないんだ!」との声が聞こえた。
学校法人および中央学院大学が、いかに無責任であり、ブラックであるかが、
明らかにされた意見陳述であった。
ここに、その意見陳述の全文を掲載する。 なお、【 】内の小見出しは組合による。
平成28年(ワ)第36999 2016年12月12日
原告 小林勝
被告 学校法人中央学院
東京地方裁判所御中
原告 小林勝
意見陳述書
原告の小林勝です。本日は、私の意見陳述のために、審理の貴重な時間を
割いて下さいまして、厚くお礼を申し上げます。
これから、12分ほどの時間を頂き、大学非常勤講師のおかれた立場、私が
学校法人中央学院を提訴するに至った経緯と思いを、述べさせていただきます。
なお、ここでいう非常勤講師とは、主として、他に本務的な仕事を持たない、
いわゆる「専業非常勤講師」のことです。
来年の通常国会には、いわゆる「同一労働同一賃金法案」が提出される見通
しとなり、正規労働者と非正規労働者の待遇格差の是正の議論が活発になって
いるようです。
しかし、大学の正規教員である専任教員と、非正規教員である非常勤講師との
間の、ひどい待遇格差については、ほとんど議論がなされていません。
【ひどい待遇格差の事例—―原告の場合】
ひどい待遇格差は、私の事例で明らかです。
私は、被告の経営する中央学院大学で24年間、非常勤講師として勤務して
います。現在でも週3日出講し、専任教員の義務とされている担当コマ数と
同じ、週5コマの授業を担当しています。
しかし、月額賃金は僅か16万円程度で、大卒の初任給にも
及びません。賞与も退職金もありません。
週5コマ以上を担当している私は、組合交渉により、漸く3年半ほど前から、
私学共済に加盟することができるようになりました。しかし、その時点ですでに
63歳近くになっており、賃金が低く、賞与も支給されていないため、私の
将来の年金額は、月額数千円しか上がりません。
私にかかわる人件費は、年額210万円程度です。一方、中央学院大学の専任
教員の平均の年間人件費は、約1250万円です。担当コマ数だけで比較した
賃金格差は、実に6倍にも上ります。
格差は、研究環境にも存在し、非常勤講師には、研究室も、研究費も支給
されないことは、訴状に記載したとおりです。
【佐藤学長の唖然とする主張—―「均衡はとれている」]
私の所属する労働組合は、被告との団体交渉の席で、この格差問題を取り
上げ、その是正を迫りました。
しかし佐藤英明学長は、専任教員と非常勤講師の待遇は
「均衡がとれている」と、平然と主張していました。
ちなみにこの学長には、専任教員としての給与等の他に、月額15万円の
学長手当も支給されています。しかも、本務校である中央学院大学での
勤務のかたわら、他大学で、平日の日中に、非常勤講師の
アルバイトまでしています。
彼が手にする15万円の学長手当とは、私の中央学院大学における月額
賃金とほぼ同じです。
【訴訟を起こした理由】
私はこの訴訟において、この呆れるほどの待遇格差を正当化する理由を、
被告が明らかにすることを望みます。
私はまた、この訴訟において、専任教員と非常勤講師との間の待遇格差は、
どの程度が妥当であるのか、またその格差の正当化事由は何なのかが、明らか
にされ、非常勤講師の待遇改善が少しでも進む契機となることを望みます。
【格差が生ずる理由等]
さて次に、これほどの格差が生ずる理由、また非常勤講師がその是正の声を
あげられない理由について、述べたいと思います。
大きくいって3つあると思います。
第一に、「労働市場」と言えるものが存在していないことです。すなわち、
非常勤講師はたいてい、公募ではなく、人脈や専任教員の伝手、すなわち
コネで採用されます。そのため、競争的な「市場賃金」「賃金相場」が形成
されておらず、大学のいいなりです。待遇格差是正の声をあげれば、恩師や
紹介者等に迷惑がかかるのではないか、また、他の大学での非常勤講師の職
や専任職を得る際の障害になるのでは、と非常勤講師は考え、自制・自粛して
しまいます。
第二に、「有期雇用契約」を挙げることができます。これは、他のすべての
有期雇用の労働者とも共通します。非常勤講師が権利主張を行うものなら、
大学は「大学の自治」を振り回し、「カリキュラム編成権」を盾に取り、
次年度には「雇止め」や「担当コマ数の削減」を行い、非常勤講師の生活は
たちゆかなくなってしまいます。
第三に、どの大学も、授業の半数前後を非常勤講師に依存しているにも
かかわらず、内規または申し合わせで、一人ひとりの非常勤講師に与える授業
コマ数を、制限していることです。大学は、「長時間労働」ならぬ、
「超・過少時間・労働」を、非常勤講師に強いています。要するに、週2コマ
乃至3コマ、時間にして3時間乃至5時間程度しか、働かせないのです。
【社会的責任を果たさない大学】
全国の大学が、まるで申し合わせたかのように、まったく同じ行動をとって
います。すなわち、
専任教員の数を大きく上回る多数の非常勤講師を、1コマ
月額3万円程度の低賃金で、「短時間」だけ働かせ、社会
保険にも加入させず、退職金も積み立てません。
こうして、使用者としての雇用者責任も、社会的責任も、
まったくはたしていません。
そのため非常勤講師は、あっちの大学、こっちの大学、
あるいは学習塾や予備校へと、あるいは現業職の職場へと、
駆けずり回り、「細切れのパート労働」を行うことを余儀
なくされています。
日本の高等教育の半数前後を担う非常勤講師の待遇が、
これでいいはずはありません。
「幸い」なことに私は、中央学院大学で、16年もの長き
にわたって、専任教員の義務とされている週5コマを
上回る、週6コマ乃至8コマの授業を担当してきました。
今年は不当な理由で1コマ減らされましたが、なお週5
コマを担当し、権利主張をできる立場にいます。この状況を
活かして、日の当たらない非常勤講師の待遇改善に、少し
でも役立とうと、意を決して訴訟を起こしました。
【畑違いの多数の講義科目を持たせた理由――専任化の意向と約束の存在】
さて、中央学院大学において、経済畑の私が、畑違いの
多数の講義科目を持つに至った経緯等に関しては、すでに
訴状に記載されていますが、少し補足したいと思います。
特に中央学院大学法学部が、まったくの門外漢の私に、
1998年4月から「EC法」を、また2000年4月から
「国際関係論」を持たせたのは、学部長を中心とした少な
からぬ教授たちの間で、私を専任教員にするという合意が
できていたことを示しています。
それは、次の事実からもわかります。すなわち、2000
年3月に、私は斎藤法学部長から、「専任化のことを考えて
います」と告げられました。
その言葉どおり、専任化の話は、この年の7月頃から
具体化しました。「外国法部会」の教授から、私に、この
大学で、「EC法」担当の専任教員になる意思があるか
どうかとの、打診がありました。私は「喜んで」と返事を
しました。その後、10月の教授会にかけることも、
知らされました。
しかし、この人事は1年先送りされました。その理由に
ついては、斎藤法学部長から直接に聞かされました。
その際、同法学部長から、「私の(学部長としての)
任期はもう1年あるので、任期中にやりますから、
あきらめないで下さい」との言葉がありました。
しかし、この約束は果たされず、今日に至っています。
【団体交渉の席での佐藤学長の発言――過去のことなので、調査するつもりなない】
私は、団体交渉や協議の場で、専任化の約束がなされて
いた事実等を指摘し、約束を履行するよう要求しました。
しかし佐藤英明学長は、斎藤氏はすでに退職している
ので、調査するつもりはないと回答し、専任化を拒否して
います。
しかし、こんなバカな話がありましょうか。
私は、法学部および商学部の複数の教授に専任化の意向を
提示され、まったく畑違いの科目を次から次へと担当し、
また当時の法学部長には明快に専任化を約束され、努力し
ながらその科目を担当してきました。その分野での著作の
出版や論文執筆も行い、自分の著作のための研究にも支障を
きたしました。
結局、自分の本来の研究テーマに関する著作の出版は、
遅れに遅れて、2008年7月になってしまいました。
当時の斉藤教授は、人事権を共有する正教授であり、
人事の発議権を有する法学部長であり、また学校法人の
最高意思決定機関である理事会の構成員でもあったはず
です。その一員であった者の行動に、現在の理事会が
まったく責任を負わないという主張は、納得のいくもの
ではありません。
【専任化を餌に、学位論文を仕上げさせる】
同じことが2006年4月に法学部長に就任した土橋教授
についてもいえます。
彼は、専任化の約束を履行しなかった斎藤氏に対する
批判を、私の前で口にし、斉藤氏と違って自分は必ずやる
と語っていました。しかし、彼が本当に関心を持っていた
のは、私の専任化ではなく、後述するように、外国の
医学部に進学していた私の娘でした。
彼が、専任化を餌に、自分の学位論文の書籍化を私に
させたことは、訴状に記載したとおりです。補足する
ならば、その後さらにもう一冊、すなわち彼の教科書で
ある『概論 ルソーの政治思想』の出版も、私に
手伝わせたことです。
">【娘よこせ!――まるで悪代官のよう】
さらに彼は、私の娘が医師免許を取得する2010年前後
からは、専任化と引き換えに、この私の娘を、大学院に進学
していた自分の息子と結婚させるようにと、執拗に迫るように
なりました。学者を目指す息子の経済的安定のためだと、
臆面もなく述べていました。私は、敢えて友人のいる前で、
この話をきっぱりと拒絶しました。
【公正な判決を!】
なお、私が畑違いの科目を多数担当したことや、徹夜の連続で土橋法学部長の
学位論文の書籍化を行ったことが、身体障碍者であり、
精神を病んでいた妻に与えた影響については、ここでは
述べません。
私は、私の研究、私や家族の人生や生活を、かくも翻弄し
続けた学校法人中央学院に対して、訴状に記載したとおり、
損害賠償を求めます。
最後になりますが、公正な判決を出されるようお願いして、
私の意見陳述を終わります。
<以上>