Vanteyのアース線(もしくは枯れた資料帳)

怠け者のウィキメディアン・Vanteyの、脳内が帯電してきた時のはけ口。非百科事典的。過度な期待はしないでください。

「茨城空港リムジンバス」の謎と、3人組のマスコット

2010-03-11 12:36:04 | 陸上交通
なんでも今日から百里飛行場(ICAO: RJAH、茨城県小美玉市)の民航施設が供用開始するとかでニュースになっていますね。


去年、信号待ちで隣に停まったバス(たぶん貸切車)の左側面に、こんなエンブレムとロゴが掲出されているのを目撃しました。
時期は2009年5月、場所は茨城県外です。



まだ開港してもいない段階で「茨城空港リムジンバス」とはどういうことなのか……

検索してみてもこのキーワード自体、ヒットが皆無。
空港連絡バスをリムジンバスと呼称して運行しようという動きもありません。

貸切専業を含む飛行場近隣のバス事業者の車体塗装も調べましたが、地元の関鉄グリーンバスは路線車が青緑系の関鉄カラーで貸切車が赤青帯の京成貸切カラーですし、これがどこの事業者のバスであったかさえよくわかりませんでした。
手掛かりはこの写真のみで、車体の全景や他の部分の写真もありませんで、調査はここで行き詰まりです。

ネットで調査情報を公開しているバスファンは近年多くなってきていますが、まだまだ絶対数も最新内容も必ずしも多くなく、特にこういう "際物" に関する情報では全く頼れないのが現状です。
先の都営バス「東12」系統におけるせんとくんラッピング車のエントリ執筆時も、ネットには先行情報を見つけられませんでした。

どなたか詳細を御存知ありませんでしょうか。

   *  *  *  *

それはそうと、もうひとつの疑問はこのキャラクターです。



この子らは何者なのか。
こちらは詳細が判明しました。「スカイスリー」というそうです。
この名前にはスカイツリーのパクリという意見もあるようでw

このマスコットが発表されたのは2008年5月28日に小美玉市役所で開かれた平成20年度小美玉市茨城空港利用促進協議会総会の場で、翌日付の茨城県内各紙に掲載されました(*1)。
作者は小美玉市内在住のグラフィックデザイナーで藤代範雄デザイン事務所(行方市)を主宰する藤代範雄氏です。
藤代氏は因みに、近隣の鉾田市が2008年夏に公募したマスコットキャラクターの選考でもアドバイザーを務めています(*2)。

名前(3人組のグループ名)は市内在住在勤在学者を対象に2008年8月21日から9月11日まで公募され(*3)、応募総数126点の中から「スカイスリー」に決定し、2008年11月28日に発表されました(*4, *5)。
3人各個のキャラ名は設定されていません。一見男の子っぽいですが、性別も未設定です。

なぜ3人なのかというと、小美玉市の合併前の3町村をイメージしたんだとか。
因みに飛行場は全域が旧小川町内にあり、旧3町村に跨ったりはしていません。
合併の事実なり元の町村数なりにこだわっているのは主に昔を知る大人であって、はじめから小美玉市で育つ子供たちにはあまり関係ない気もします。まあマスコットの人数以前に「小美玉市」なる合成地名(*6)からしてアレなんですが。

基本設定は、出典*5によると

  「スカイスリー」のキャラクターはスピード感あふれるパワードスーツと近未来的なヘッドセット姿。目的地にスピーディーに到着し、人と人とをつなぐ茨城空港をイメージしているほか、3人の赤、青、緑のそれぞれの色は光の3原色を表現し、この3色でどんな色も作ることが可能となり、無限の可能性を秘めた市の子どもたちが茨城空港から未来に羽ばたくことをイメージしているという。

のだそうです。
グループ名募集の資料 (*3 / PDF, 7,273,486 bytes) には、レッドが「いつでもアツイ」、グリーンが「のんびりやさん」、ブルーが「いつもクール」など、3人各個のもう少し詳しい設定が書かれています。
開港の瞬間に立ち会いたくて未来からタイムトラベルしてきた……そうですが、ほとんど就航便のないこの有様をわざわざ見に来るって、この空港の未来はどんだけ~w

来たる例のコみケッとスペシャル5 in 水戸の関連企画として、3月14日には空港ターミナルビルで「茨城空港コスプレ大会」が開催されますが、スカイスリーのコスをやる人も出てくるのかしら。


ところで、茨城空港のマスコットは実はもう1種類います。
スカイスリーは小美玉市のキャラですが、それとは別に茨城県が定めたキャラもあるのです。
ハッスル黄門がそれで、もともとは別イベントのために2005年に作られた既存マスコットなのですが、県が関わる他のイベント等にも使い回されており、スカイスリー(と後に名付けられる市のマスコット)と前後する時期から茨城空港の宣伝にも使われているのです(*7)。

マスコットまで並立とはまさに縦割り行政ですが、それが新聞ネタになり(*7)話題になった点ではよかったのでしょうかね。

   *  *  *  *

上掲写真の中には漢字間違いがあります。
一画落ちているのですが、お気付きでしょうか。
公式のロゴでは間違っていませんので、バスに描くときにミスったと思われます。

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(*1) = 茨城空港キャラクターお披露目 - Norio Fujishiro information、2008年6月3日
(*2) = 鉾田市マスコットキャラクター選考結果概要 - 鉾田市、2008年11月
(*3) = 「「茨城空港キャラクター」グループ名募集」 『広報おみたま』平成20年8月号(通巻第29号) (PDF) 、小美玉市、2008年8月21日
(*4) = 小美玉市 茨城空港キャラクターの名称が決まりました! - 小美玉市、2008年12月
(*5) = 愛称は「スカイスリー」 - 全国郷土紙連合(常陽新聞新社ソース)、2008年11月29日
(*6) = 小美玉市の概要 - 小美玉市公式ウェブサイト
(*7) = 「茨城空港 並び立つキャラクター」 『東京新聞』茨城版、2008年5月29日

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茨城空港 (茨城空港利用促進等協議会)
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/kuko/
茨城空港 (小美玉市茨城空港利用促進協議会)
http://www.city.omitama.lg.jp/hyakuri/

株式会社藤代範雄デザイン事務所
http://www.fujishiro-design.jp/
Norio Fujishiro information
http://norio-fujishiro.blogspot.com/

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Summary of images:
Description = スカイスリーが描かれたバス車体側面
Date = 2009-05-21
Source/Author of photographs = Vantey
Author of mascots = 藤代範雄 / 小美玉市茨城空港利用促進協議会
Permission of photographs = PD-self, Trademarked
Public domain


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