前エントリのあらすじ:
オスカー・パークス Oscar Parkes なる人物が描いたとされる軍艦絵画が、米国の海軍歴史・遺産コマンド Naval History and Heritage Command (略称: NHHC 、旧略称: NHC)のサイトからウィキメディア・コモンズに移入されていた。
パークスについて調べたところ、1958年没であることが判明。
コモンズでは当該移入画像のライセンスを(誤ったライセンスタグの使用により)PDとしていたが、著作権の保護期間が切れていない可能性が出てきた。
ところで NHHC ではサイトポリシーとして「我々の知り得る限り、公開中の全画像がPDだ」としている。
そこでとりあえずこれに従い、「画像の配布元たる NHHC が言うにはPDだ」というふうにライセンスを訂正することにした。
しかし当該画像が NHC に収蔵された際に、著作権もパークスから NHC に譲渡されたかについては、確証がない。
* * * *
ライセンスの訂正処理を終えてひと眠りした後、ふと、他にも類例が存在していたことを思い出しました。
20世紀の第一四半を過ぎて描かれた軍艦絵画が NHC に収蔵されて同所のサイトで公開され、そこからコモンズに移入された……という意味での類例です。
それは日本空母「信濃」を描いた # NH 63437 の絵画です。
同艦は第二次大戦中に秘密裡に建造されて処女航海で沈没したため、写真がほとんど存在しないことで知られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/09/09e2a714d521f3a04a3bf3fb25dc4c79.jpg)
このスケッチ画は同艦の設計者の福井静夫(1993年11月4日没)が戦後に描いたもので、画面内には製作日が 2612-9-20 (皇紀。 = 西暦1952年9月20日)と記されています。
確かあったはず……とコモンズ内を捜しましたが、見当たりません。
当該移入画像は、2009年6月に削除依頼にかけられ、同月コモンズから削除されていたのです。
依頼の大意はおおむねこんな感じでした。
■NHHC ではPDとして扱っているが、これはあくまでも「NHHC が知り得た限り」であって、確実にPDであることを保障したものではない。
■本画像は写真ではなく絵画であり、また著作権の本国 (country of origin) が米国とは違うので、権利処理が必ずしも他画像と同じではないはずである。
■NHHC の画像説明には "Courtesy of Shizuo Fukui." とあるが、これには「好意により提供された」 という以上の意味はなく、 NHC への著作権移転は伴っていないと解すべきである。
■実際福井は同じスケッチ画を、他の書籍にも by courtesy により提供している。
■福井の没年からして、「保護期間満了によるPD」にはならないことは明白である。
中でも "courtesy of ..." の解釈がキモで、これが削除判断の基ともなっています。
* * * *
こんな例を目にしてしまうと、翻ってオスカー・パークスの絵画群もコモンズで存続できるか怪しくなってきます。
あれらも削除審議にかけた方がいいのかなぁ。
「モニター」のは代替画像があるとはいえ、 # NH 59543 は15ほどのプロジェクトで使われているので影響が大きいし、
まず私が英文作文は得手ではないので……
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Naval History and Heritage Command
http://www.history.navy.mil/
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Summary of image:
Description = Shinano (Japanese Aircraft Carrier, 1944)
Source of drawing = Sketch by Shizuo Fukui, 20 September 1952.
Date of drawing = 1952-09-20
Author = 福井静夫
Full resolution = http://www.history.navy.mil/photos/images/h63000/h63437c.htm
License = United States Naval History and Heritage Command say that "it is in the public domain to the best of their knowledge".
オスカー・パークス Oscar Parkes なる人物が描いたとされる軍艦絵画が、米国の海軍歴史・遺産コマンド Naval History and Heritage Command (略称: NHHC 、旧略称: NHC)のサイトからウィキメディア・コモンズに移入されていた。
パークスについて調べたところ、1958年没であることが判明。
コモンズでは当該移入画像のライセンスを(誤ったライセンスタグの使用により)PDとしていたが、著作権の保護期間が切れていない可能性が出てきた。
ところで NHHC ではサイトポリシーとして「我々の知り得る限り、公開中の全画像がPDだ」としている。
そこでとりあえずこれに従い、「画像の配布元たる NHHC が言うにはPDだ」というふうにライセンスを訂正することにした。
しかし当該画像が NHC に収蔵された際に、著作権もパークスから NHC に譲渡されたかについては、確証がない。
* * * *
ライセンスの訂正処理を終えてひと眠りした後、ふと、他にも類例が存在していたことを思い出しました。
20世紀の第一四半を過ぎて描かれた軍艦絵画が NHC に収蔵されて同所のサイトで公開され、そこからコモンズに移入された……という意味での類例です。
それは日本空母「信濃」を描いた # NH 63437 の絵画です。
同艦は第二次大戦中に秘密裡に建造されて処女航海で沈没したため、写真がほとんど存在しないことで知られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/09/09e2a714d521f3a04a3bf3fb25dc4c79.jpg)
このスケッチ画は同艦の設計者の福井静夫(1993年11月4日没)が戦後に描いたもので、画面内には製作日が 2612-9-20 (皇紀。 = 西暦1952年9月20日)と記されています。
確かあったはず……とコモンズ内を捜しましたが、見当たりません。
当該移入画像は、2009年6月に削除依頼にかけられ、同月コモンズから削除されていたのです。
依頼の大意はおおむねこんな感じでした。
■NHHC ではPDとして扱っているが、これはあくまでも「NHHC が知り得た限り」であって、確実にPDであることを保障したものではない。
■本画像は写真ではなく絵画であり、また著作権の本国 (country of origin) が米国とは違うので、権利処理が必ずしも他画像と同じではないはずである。
■NHHC の画像説明には "Courtesy of Shizuo Fukui." とあるが、これには「好意により提供された」 という以上の意味はなく、 NHC への著作権移転は伴っていないと解すべきである。
■実際福井は同じスケッチ画を、他の書籍にも by courtesy により提供している。
■福井の没年からして、「保護期間満了によるPD」にはならないことは明白である。
中でも "courtesy of ..." の解釈がキモで、これが削除判断の基ともなっています。
* * * *
こんな例を目にしてしまうと、翻ってオスカー・パークスの絵画群もコモンズで存続できるか怪しくなってきます。
あれらも削除審議にかけた方がいいのかなぁ。
「モニター」のは代替画像があるとはいえ、 # NH 59543 は15ほどのプロジェクトで使われているので影響が大きいし、
まず私が英文作文は得手ではないので……
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Naval History and Heritage Command
http://www.history.navy.mil/
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Summary of image:
Description = Shinano (Japanese Aircraft Carrier, 1944)
Source of drawing = Sketch by Shizuo Fukui, 20 September 1952.
Date of drawing = 1952-09-20
Author = 福井静夫
Full resolution = http://www.history.navy.mil/photos/images/h63000/h63437c.htm
License = United States Naval History and Heritage Command say that "it is in the public domain to the best of their knowledge".
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