Vanteyのアース線(もしくは枯れた資料帳)

怠け者のウィキメディアン・Vanteyの、脳内が帯電してきた時のはけ口。非百科事典的。過度な期待はしないでください。

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の「キャラクターコメンタリー風特典映像」解題

2011-01-31 00:29:28 | 書誌・図書館
日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史、その番外編です。
書き始めたらどんどん分量が増えていって、まだ書き足りないことがあるのかと。こんなに長いシリーズになるはずじゃなかったんだけどなぁ。

過去記事はこちら
2009年編 / 2010年前半期編 / 2010年劇場版・OVA編 / 真の創始(訂正) / 2011年1月現行作品編


■「キャラクターコメンタリー風特典映像」とはなんぞコレ
さて、日本アニメにおけるオーディオコメンタリーのパイオニアである倉田英之先生と、『化物語』でキャラクターコメンタリーのブームに火を点けたアニプレックスが組んだ作品で、またも新機軸をやってくれました。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(原作: 伏見つかさ、シリーズ構成: 倉田英之、スーパーバイザー: 川口敬一郎、監督: 神戸洋行、音響監督: 本山 哲、アニメーション制作: AIC Build)には、「キャラクターコメンタリー風特典映像」なるものが各巻に収録されます(BD/DVD とも限定版のみ)。

これは音声特典ではなく映像特典であり、あくまでも「キャラクターコメンタリー "風"」なものであって、本編の音声サブチャンネルに収録される所謂オーディオコメンタリーではありません。本編の音声は1トラックのみで、この特典は本編とは別の映像トラックとなります。
ですがこれもキャラクターコメンタリー史を語るうえでは外せませんので、本稿でがっつり採り上げます。



簡単に言えば、キャラが本編映像を観ながら声だけで語っているのが「キャラクターコメンタリー」、そこに画面を観ながら語っているキャラの姿を付加したのがこの「キャラクターコメンタリー風特典映像」ということになります。
アニメのビデオグラムでは、特典映像としておまけショートアニメ(キャラはミニキャラになっていることがしばしばである)が付いてくることがよくありますが、その枠で絵付きのキャラクターコメンタリー的なものをやってみました、ってな感じ。


『アキバBlog』でアニプレックスの宣伝プロデューサーさんが、この特典映像について多数のスクリーンショットとともに紹介していますので、全体的な感じはそちらを併せてご参照くだされば宜しいかと。

【コラム・ネタ・お知らせ】 制作費かかり過ぎワロタ━━\(゜∀゜)/━━ !!『俺の妹』BD&DVD1巻「キャラクターコメンタリー風特典映像」全貌大公開!
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51106245.html
 (アキバBlog 2010年12月11日)

桐乃「ニュースサイトも、毎日新しい情報を伝えて、私にいろいろ買わせようとするんだよ? みんな『かーずSP』と『アキバBlog』が悪いのよ。」(アニメ第1話(脚本: 倉田英之)より)(*t)



高坂家のリビング(壁の色をはじめディテールが本編とかなり異なりますが、細けえことはry)でビデオ画面を観ているキャラ達は、本編映像を止めたり巻き戻したりリピートしたり早送りしたりと、自在な機動をみせます。
このように本編映像の尺やシーン順に囚われない作りのため、途中で間延びしたりで視聴者を飽きさせることがありません。作りの上では本編映像が主ではなく、画面を観ているミニキャラ達(のシナリオ)の方が主なのです。



こうして本編のいいとこ取りをしており、故にカット部分も多いため、特典映像の尺は本編より短めです。
おおよその収録時間は、1巻に収録の1話が約 10'50'' 、2話が約 15'20'' 、2巻に収録の3話が約 12'50'' 、4話が約 12'20'' となっています。

一巻に収録される2話分合わせて25分前後となり、おおむね本編一話分(OP・ED込み)くらいの長さにあたります。
つまり2話収録のソフトに3話分以上の長さが収録されている訳で、映像特典としては異例とも言える長尺です。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 2010年10月期テレビ放映作品 全16話(うち未放映話4話)(*u) 全8巻
 発売・販売元: アニプレックス
 全話特典映像脚本: 伏見つかさ(原作者)
 ※特典映像収録は限定版のみ
▼第1巻 2010年12月22日発売 2話収録 (#1, 2)
  特典映像#1 = 高坂桐乃(竹達彩奈)、高坂京介(中村悠一)
  #2 = 高坂桐乃(竹達彩奈)、高坂京介(中村悠一)、黒猫(花澤香菜)、竹達彩奈
▼第2巻 2011年1月26日発売 2話収録 (#3, 4)
  特典映像#3(Aパート) = 高坂京介(中村悠一)、高坂大介(立木文彦)、高坂桐乃(竹達彩奈)
  #3(Bパート) = 田村麻奈実(佐藤聡美)、沙織・バジーナ(生天目仁美)
  #4(Aパート) = 新垣あやせ(早見沙織)、新垣あやせ(早見沙織)
  #4(Bパート) = 高坂京介(中村悠一)、黒猫(花澤香菜)
▼第3巻 2011年2月23日発売予定 2話収録 (#5, 6)
▼第4巻 2011年3月23日発売予定 2話収録 (#7, 8)
▼第5巻 2011年4月27日発売予定 2話収録 (#9, 10)
▼第6巻 2011年5月25日発売予定 2話収録 (#11, #12 GOOD END)
▼第7巻 2011年6月22日発売予定 2話収録
▼第8巻 2011年7月27日発売予定 2話収録

■制作したのは、あの伝説のミニアニメを手掛けた……
スタッフクレジットは以下の通り。


シナリオ: 伏見つかさ
ディレクター: 高梨喜芳
CG: 兼平 慎
SDキャラクターデザイン: 小木曽慎一(e-bird)
制作プロデューサー: 渡邊智博
制作: I was a Ballerina co.,ltd.

この I was a Ballerina (アイウォズ・ア・バレリーナ)という映像制作会社の名前、近年の深夜アニメを視聴してきた諸兄にはどこかで見覚えはありませんでしょうか。


――そうです、2007年10月期テレビアニメ『バンブーブレード』(全話脚本: 倉田英之、アニメーション制作: AIC ASTA)の番組内CM枠で流れた連作ストーリーCF『ふぁんふ~ふふぇ~ふぉ』(*25, v)を手掛けていた会社です。

同社はアニメ作品関連では『ケロロ軍曹』関連のTVCFと『マクロスフロンティア』のムービーの仕事(*25)が多く、マクロスF TV版公式サイトで2008年5月27日から毎週火曜更新(*26)で無料配信されたショートアニメ『マックロッスfufonfia』全20話(*w)とか、同じく公式で配信中の「星間飛行~みなさんご一緒に! 振り付けクリップ」とか、近作では『マクロスF MUSIC CLIP集 娘クリ』(2010年12月15日発売、発売元: フライングドッグ、販売元: JVCエンタテインメント)の7トラック目「恋はドッグファイト」のムービーとかをやっています。


■ちょこッと内容解題
{{ネタバレ}}

桐乃「でもこれ(キャラクターコメンタリー)、最初に考えた人ってすごいよね。声優さん達によるオーディオコメンタリーは別として、確かに、アニメ観ながらおっさん達のトーク聴いてるよりは、こうやって可愛く私が喋ってた方がみんな嬉しいでしょう?」

端っから、さり気なくなんてことを言ってくれちゃってるんだw
本作関係者の「おっさん達」って、シリーズ構成の倉田英之先生とAICの黄樹弐悠プロデューサー(*x)のことだろ主に。ともに出たがりで知られる。
倉田先生の過去作『R.O.D』『かみちゅ!』『ガン×ソード』『バンブーブレード』などでのオーディオコメンタリーが多くの視聴者に好評というわけでは必ずしもなかった(面白いには面白いんだが、話の癖や内容は聴く人を選ぶ……との定評)こととかを踏まえると、この台詞のそこはかとないヤバさがわかるというもの。
この特典映像の脚本は倉田先生ではなく原作者の伏見先生ですが、こんな脚本にOK出しちゃうとか倉田先生マジドM ww
第8話(アニメ化回)のシナリオといい、倉田先生はやっぱりドMです。竹達CVで罵られて目覚めちゃったのでしょうか(ぇ

   *  *  *  *

1話、京介が桐乃に「お前がどんな趣味持ってようが、俺はバカにしたりしねえよ」と言ったシーンの京介の心境は、原作(1巻 p.43)には描写があったものの、アニメでは(モノローグなどとして)明示的に表現はされませんでした。



このシーンに関して、特典映像の京介は当時の心境をぶっちゃけています。

この辺りは原作ファンにも配慮したフォローですね。さすが原作者脚本。

   *  *  *  *

ビデオ画面は本編映像を流すだけの用途にとどまらず、中の人を召喚して、桐乃と竹達彩奈さん(桐乃役の声優)とが会話したりもします。




桐乃「やっぱ私みたいに超可愛いヒロインだと、中の人もカッワイイんだよねぇ。ペロペロしたいくら~い」
黒猫「ペロペロ…!?」

きりりん氏はペロリストだったでござるかwwww
確かに第9話の原作者脚本回でも桐乃は舌舐めずりをしてましたが…



竹達さんの演じた代表的キャラは、ネットの一部では視聴者にペロペロ(^ω^)されるネタ的存在としてすっかり有名ですが(2chアニキャラ個別板の当該キャラスレでは、配役が竹達さんと判明する以前のなんと初代スレの>>2から「(^ω^)ペロペロ」されていたという…)。
しかしいつしか竹達さんご本人もペロペロの対象に……
そして台詞とはいえ、ご本人にペロペロと言わせるとはwww

本稿執筆中の2011年1月28日夕方 (15:50) には、同業者の原田ひとみさんにも twitter で「竹達ちゃんぺろぺろ^q^マジかわいい。」と写真付きで愛でられていました(*y)。
竹達ちゃんがペロペロ(^q^)されるのはもう運命なのか!? デスティニーなのか!? ペロペロ(^ω^)

   *  *  *  *

4話、アニメ本編内では劇中イベントの会場名は「TOKYO OCEAN SIGHT」と標示されていました。



因みに原作での会場名は実名で、2巻 pp.197, 206, 208 には「東京ビッグサイト」、p.266 には「ビッグサイト」とあります。


然るに特典映像の黒猫は「ただ一緒にビッグサイトを回っただけじゃない。」と発言しているのです。オーシャンサイトではなく。

黒猫氏ェ… 邪気眼のせいで見えている世界に乱れが…
(アニメ世界ではなく、原作世界またはリアル世界が見えている?)

   *  *  *  *

……絶対買わなきゃ、ブルーレイ!

 ――『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』キャラクターコメンタリー風特典映像第4話(シナリオ: 伏見つかさ)より、新垣あやせ

(完)

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(*t) = 原作の台詞(1巻 p.70)はラノベっぽくもうちょっと冗長だが、原作でも同じ実在のサイト名が実名で登場する。
(*u) = 制作側は「全15話制作」と称しているが、これは正確な表現ではない。放送版「第12話 GOOD END」(ソフト第6巻に収録予定)と配信版「第12話 TRUE ROUTE」(第7巻に収録予定とみられる)は別話になるので、リリース話数は全16話となる。
(*v) = 『バンブーブレード』は東名阪ネットの放送だったが、CMで『ふぁんふ~ふふぇ~ふぉ』が流れたのはテレビ東京だけだった。DVD 4・6巻の映像特典に新作の「特別篇」が収録されているが、放送版はソフト化されていない模様。
(*w) = WMV ストリーミング。現在のサイト上からは1~19話へのリンクが消えていてPVと最終第20話のみ視聴可能……のように見えるが、 .asx のURIの回数部分を弄って WMP などのメディアプレイヤーソフトに直接突っ込めば現在も1~19話の視聴が可能(違法・不正なアクセスではなく合法ですのでご安心を)。
(*x) = 倉田先生と黄樹Pは『バンブーブレード』1・24話(1・9巻所収)のオーディオコメンタリーで共演している。黄樹Pは最近では『そらのおとしもの』(現在2期が続刊中)のオーディオコメンタリーで1・2期全話に皆勤( ! )している。
(*y) = ひとつ前のツイートによると、収録後に共演者と会食した席での撮影のよう。ハラダチャーンとあやちの共演というと、2011年夏に放映されることが1月23日に発表された『バカとテストと召喚獣』TV2期、乃至はその関連の収録か?

(*25) = WORKS - CM/Jingle - I was a Ballerina co.,ltd.
(*26) = マックロッスfufonfia - マクロスFRONTIER スタッフブログ フロンティア魂(すぴりっつ)!!、2008年5月31日

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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
http://www.oreimo-anime.com/
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
I was a Ballerina 有限会社アイウォズ・ア・バレリーナ
http://www.iwasb.net/

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Summary of images:
Description = 「キャラクターコメンタリー風特典映像」の表示
Source = 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』第2巻 (ANZB-9753) スタート画面
Date = 2011-01-26

Description = キャラクターコメンタリー風特典映像 第1話/第2話/第4話より
Source = 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』第1巻 (ANZB-9751) / 第2巻 (ANZB-9753)
Date = 2010-12-22 / 2011-01-26
Author = (c) 伏見つかさ/アスキー・メディアワークス/OIP
Permission = 日本国著作権法32条1項に基づく引用, Personality rights

アニメソフトのキャラクターコメンタリー収録状況まとめ(2011年1月現行作品編)

2011-01-30 04:52:44 | 書誌・図書館
遅くなりましたが、まずは一昨日1月28日、儀武ゆう子さん30回目の誕生日おめでとうございます。
アニメイトTVの『たまゆら』TVアニメ化決定のニュース記事の3枚目の写真で思い出したので。(←ぽって口調
それと、帰ってきたギブログの2011年1月26日 2:06 付「祝☆たまゆらTVシリーズ化決定!!」の最後のくだりに吹いたので。
因みに儀武さんは同28日から、ブログを従来の JUGEM から Ameba新ブログに引っ越したので。
今後一層のご活躍をお祈りしています。

   *  *  *  *

引き続き、日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史を振り返ります。
漸く本編全4回の最終回に漕ぎ着けました(次回、もう1回番外編があります)。今回は2011年1月現在続刊中の現行作品について採り上げます。

過去記事はこちら
2009年編 / 2010年前半期編 / 2010年劇場版・OVA編 / 真の創始(訂正)


■『おとめ妖怪 ざくろ』は一巻のみ
2010年7月期作品にキャラクターコメンタリーの付いたものは無く、ここからは10月期作品となります。

おとめ妖怪 ざくろ』(原作: 星野リリィ、監督: 今 千秋、音響監督: 明田川 仁、アニメーション制作: J.C.STAFF)は、2010年12月22日に発売(『Angel Beats!』最終7巻と同日)された第2巻一巻のみにキャラクターコメンタリーが入ります(収録は限定版のみ)。
本作は2011年1月26日に3巻が発売になりましたが、全6巻の特典内容は既に発表済みで(最終6巻の特典DVDの内容のみ未定)、2巻以外にキャラクターコメンタリーが収録される予定が無いことから、この一巻のみに終わると思われます。

なお本作は BD では発売されず、DVD のみで発売されています。
キャラクターコメンタリー収録のソフトが DVD 単独でのリリースとなるのはテニプリOVA以来のことで、『化物語』以降では初となります(その次の事例となるのは後述『ゆとりちゃん』)。

このキャラクターコメンタリーにおける「小さきもの劇場」というのは、第1巻ではオリジナルピクチャードラマとして限定版の特典DVDに収録されていたもので、その第二弾となる今回はキャラクターコメンタリーに場を移したものです。

本作以降(正確には前月の11月に発売された『なのは1st』以降)、キャラクターコメンタリーの脚本家が未公表である事例が増えることになります。
おとめ妖怪 ざくろ』 2010年10月期テレビ放映作品 全13話 全6巻
 発売・販売元: アニプレックス
▼第2巻 2010年12月22日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3, 4 = 豆蔵(岡本信彦)、桜(井口裕香)、桐(田村睦心)
  ※キャラコメ収録は限定版のみ

■イカ娘は Blu-ray の音声サブチャンネルも侵略するでゲソ
侵略! イカ娘』(原作: 安部真弘、監督: 水島 努、音響監督: 若林和弘、アニメーション制作: ディオメディア)のキャラクターコメンタリーは「イカ娘の独りよがりな独り語り」と題して、イカ娘の独り語りで押し通すでゲソ。
DVD 版には「ベストオブ「イカすラジオ」」は入らないでゲソが、コメンタリーは Blu-ray 版にも DVD 版にも入るでゲソ(*21)。
4巻以降の商品仕様の詳細は未発表でゲソが、今後も各巻一話ずつの収録を期待していいんじゃなイカ?
侵略! イカ娘』 2010年10月期テレビ放映作品 全12話 全6巻
 発売・販売元: ポニーキャニオン
▼第1巻 2010年12月24日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#1 = イカ娘(金元寿子)
▼第2巻 2011年1月26日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3 = イカ娘(金元寿子)
▼第3巻 2011年3月2日発売予定 2話収録 (#5, 6)
  キャラコメ#5 = イカ娘(金元寿子)
▼第4巻 2011年3月16日発売予定 2話収録 (#7, 8)
▼第5巻 2011年4月20日発売予定 2話収録 (#9, 10)
▼第6巻 2011年5月18日発売予定 2話収録 (#11, 12)

■ネットアニメ『ゆとりちゃん』も DVD 化でコメンタリー収録
ゆとりちゃん』(原作: 田中由土里・アクタス、監督: 川口敬一郎、音響監督: 本山 哲、アニメーション制作: アクタス)は、配信URIをメールで利用者に届けるという変わった配信方法を採ったネット配信ショートアニメです。
第1~4話は無料配信で、第5~25話は21話セットで500円。
PC向けには Flash 形式でストリーミング配信、携帯電話向けはNTTドコモのみ対応。
2009年12月29日から2010年1月7日まで第1~4話の先行配信が行われた(*22)後、2010年3月16日から全25話の配信が正式に開始されました(*23)。

本作は2011年1月28日に全話を収録した DVD (3,990 円)が発売されましたが(配信も継続中)、この DVD に収録されたキャラクターコメンタリーは、メインキャラと監督が出演する(*24)という、キャラクターコメンタリーとスタッフコメンタリーの合いの子というこれまた初の形態となっています。
ゆとりちゃん』 2010年ネット配信作品 全25話 全1巻
 発売・販売元: バンダイビジュアル
▼2011年1月28日発売 25話収録 (#1~25)
  キャラコメ = 田中ゆとり(悠木 碧)、ダミー・川口監督(川口敬一郎)

なお川口敬一郎監督は、次回の番外編で触れる『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』にも「スーパーバイザー」という役職名でメインスタッフとして関わっています。


■『たまゆら』に次ぐOVAは『.hack//Quantum』
OVA『.hack//Quantum』(ドットハック クワンタム。原作: .hack Conglomerate、監督: 橘 正紀、音響監督: たなかかずや、アニメーション制作: キネマシトラス)は、2002年からゲームやアニメ等の作品リリースが続いているメディアミックス作品群 .hack シリーズの最新作です。

本作は全3話とも、バンダイビジュアルから同時期に発売される他の新作OVAタイトルとともに、オムニバス上映企画『ANIME FES. "VS"』(アニメフェス バーサス)にて劇場先行上映されました。
同企画は2010年11月27日~12月17日、12月25日~2011年1月14日、2011年1月22日~(現在上映中、終映日未定)の3次にわたり、3作品各1話・計3話ずつ(第2次上映は2作品計2話)のOVAタイトルをビデオグラム発売に先立ち、東京・横浜・名古屋・京都・大阪の全国5館で劇場上映(*r)するというものです。
そして本作第1話を収録した第1巻は、正規発売より2ヶ月早く、劇場限定販売版のパッケージソフトが上映劇場のみで販売されました。

アニメワンでは、2010年12月25日から本編の一話分全編をパッケージ発売に先立ち有料配信(一話525円)しており、現在第1・2話を視聴可能です(第1話はバンダイチャンネルでも視聴可)。第2話はバンダイチャンネルではまだ配信開始されていないため、現在アニメワン独占です。
そのアニメワンでは現在、見本として第1話の冒頭 7'34'' が無料配信(バンダイチャンネルでも視聴可)されていますが、第1話キャラクターコメンタリーの冒頭 7'34'' もアニメワン独占で無料配信されています。

第1・2話のキャラクターコメンタリー収録後のキャストインタビュー(花澤香菜さん、沢城みゆきさん、藤村 歩さん)が公式に載っていますが、3人の中で藤村さんだけが「(キャラクターコメンタリーは)初めてでした」と発言しています。それもそのはずで、花澤さんと沢城さんは『化物語』と『Angel Beats!』のキャスト(千石撫子役/立華かなで役と神原駿河役/岩沢役)(*s)ですから、経験者なのですね。
本作の最終第3話のキャラクターコメンタリーは『ゆとりちゃん』同様、キャラと監督の共演という形態が予定されています。
.hack//Quantum』 2011年OVA作品 全3話 全3巻
 発売・販売元: バンダイビジュアル
▼第1巻 2011年1月28日発売(2010年11月27日限定版先行発売) 1話収録 (#1)
  キャラコメ#1 = アスミ(花澤香菜)、イオリ(沢城みゆき)、エリ(藤村 歩)
▼第2巻 2011年2月25日発売予定 1話収録 (#2)
  キャラコメ#2 = アスミ(花澤香菜)、イオリ(沢城みゆき)、エリ(藤村 歩)
▼第3巻 2011年3月25日発売予定 1話収録 (#3)
  キャラコメ#3 = アスミ(花澤香菜)、フィクション橘監督(橘 正紀)

現時点でキャラクターコメンタリーの収録が確認ないし発表されているタイトルは、管見の限りでは以上となります。遺漏がありましたらすみません。


(次回、番外編2 - 『俺妹』の「キャラコメ風特典映像」について

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(*r) = 東京・新宿バルト9、横浜・横浜ブルク13、名古屋・伏見ミリオン座、京都・T・ジョイ京都、大阪・梅田ブルク7の5館で。
(*s) = 『化物語』『AB』とも、キャラクターコメンタリーでの花澤キャラと沢城キャラの共演は無かった。両者が出演した他の過去作品でもオーディオコメンタリーでの共演は実現していなかった(『かんなぎ』では花澤さんは4・7巻、沢城さんは3巻に、『デュラララ!!』では花澤さんは4・6巻、沢城さんは7・13巻に出演)ため、この両者のオーディオコメンタリーでの共演は『Quantum』が初となる。

(*21) = キャパとの戦い - 侵略!イカ娘「海の家れもん」業務日誌、2010年10月22日
(*22) = BIGLOBEにて、オリジナルアニメ『ゆとりちゃん』の無料配信を開始 - NECビッグローブ株式会社、2009年12月22日
(*23) = メールで届くアニメ『ゆとりちゃん』の全編配信を開始 - NECビッグローブ株式会社、2010年3月17日
(*24) = 川口監督とゆとりちゃん役・悠木碧さんからのコメントを紹介! - ゆとりちゃん スタッフブログ、2010年12月27日

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儀武ゆう子オフィシャルブログ「ザ☆ギブログ」 (新ブログ)
http://ameblo.jp/gibuyou/
帰ってきたギブログ (儀武ゆう子旧ブログ)
http://gibuyou.jugem.jp/
おとめ妖怪 ざくろ
http://www.otome-zakuro.jp/
「おとめ妖怪 ざくろ」公式サイト
「侵略!イカ娘」公式ファンサイト
http://www.ika-musume.com/
侵略!イカ娘 12/24 BD&DVD発売!
『ゆとりちゃん』公式サイト
http://yutori-chan.jp/
『ゆとりちゃん』公式サイト
ゆとりちゃん DVD&コミック 2011年1月28日発売!
.hack//Quantum(クワンタム) オフィシャルサイト
http://www.hack.channel.or.jp/quantum/
.hack//Quantum オフィシャルサイト
.hack//Quantumの配信・動画情報 【無料動画あり】 | アニメワン
http://anime.biglobe.ne.jp/title/3979/
.hack//Quantum 第2話「Wired Prisφner」 アニメワン独占先行配信!

(訂正)キャラクターコメンタリーの創始は2006年のテニプリOVAでした

2011-01-28 17:08:26 | 書誌・図書館
ここ数回、日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史を振り返っています。
ここまでさんざん書いてきてなんですが、キャラクターコメンタリーの創始に関して、重大な訂正があります。

過去記事はこちら
2009年編 / 2010年前半期編 / 2010年劇場版・OVA編


■真の創始は2006年の『テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇』
第3回の上梓後、「キャラクターコメンタリーの始まりは、2006年の『テニスの王子様』ではないか」という情報を賜りました。
調べてみましたら、確かにその通りでした。
よって、ここにお詫びして訂正いたします。


アニメ『テニスの王子様』は許斐 剛(このみ たけし)原作の同題のテニス漫画を原作とするアニメ……だったはずですが、2年目辺りから超人バトルアニメさながらの超演出(*o)が目立つようになり、アニメ版の一大特徴となりました。この超人テニスっぷりはもはやテニスではないとして、「テニヌ」という渾名さえ生まれました(*p)。
テレビシリーズは2001年10月から2005年3月まで3年半、全178話(DVD 全45巻)が放映され、その後2005年1月に劇場版第1作(*q)が公開、2006~08年に続編OVAが3シリーズ、2009年に外伝OVAシリーズ、2010年にTV版を再編集した名シーンDVDシリーズが発売されています。

キャラクターコメンタリーが収録されているのはこのうち続編OVA『全国大会篇』『全国大会篇 Semifinal』『全国大会篇 Final』の3シリーズ(いずれも監督: 多田俊介、音響監督: 平光琢也、アニメーション制作: M.S.C)となります。
収録は各巻一話ずつ。コメンタリーの脚本家は不明。

「キャラクターコメンタリー」の呼称はまだ用いられておらず、「他校キャラによる解説オーディオコメンタリー」(*18)「声優の感想コメンタリーではなく、キャラが映像に合わせて会話しながら本編を解説していくというもの」(*19)と説明されています。
この説明通り、登場キャラ自身がメタフィクショナルな視点により解説をするものではなく、その回の本編内には登場しないキャラが解説をしているという形態をとっているため、メタフィクション特有の一種の違和感は生じない作りとなっています。
テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇』 2006年OVA作品 全13話 全7巻 + 紹介編1巻
 発売元: テニスの王子様プロジェクト・バンダイビジュアル、販売元: バンダイビジュアル
▼Vol.1 2006年3月24日発売 1話収録 (#1)
  キャラコメ#1 = 観月はじめ(石田 彰)、不二裕太(冨田 真)
▼Vol.2 2006年5月26日発売 2話収録 (#2, 3)
  キャラコメ#2 = 真田弦一郎(楠 大典)、柳 蓮二(竹本英史)
▼Vol.3 2006年7月28日発売 2話収録 (#4, 5)
  キャラコメ#4 = 宍戸 亮(楠田敏之)、鳳 長太郎(浪川大輔)
▼Vol.4 2006年9月22日発売 2話収録 (#6, 7)
  キャラコメ#6 = 跡部景吾(諏訪部順一)、忍足侑士(木内秀信)
▼Vol.5 2006年11月24日発売 2話収録 (#8, 9)
  キャラコメ#9 = 千石清純(鳥海浩輔)、壇 太一(小林由美子)
▼テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇 INVITATION DVD 2006年12月22日発売
  キャラコメ = 大石秀一郎(近藤孝行)、菊丸英二(高橋広樹)
▼Vol.6 2007年1月26日発売 2話収録 (#10, 11)
  キャラコメ#10 = 丸井ブン太(高橋直純)、切原赤也(森久保祥太郎)
▼Vol.7 2007年3月23日発売 2話収録 (#12, 13)
  キャラコメ#13 = 遠山金太郎(杉本ゆう)、忍足謙也(福山 潤)、白石蔵ノ介(細谷佳正)

テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇 Semifinal』 2007年OVA作品 全6話 全3巻 + ファンディスク1巻
 発売元: テニスの王子様プロジェクト・バンダイビジュアル、販売元: バンダイビジュアル
▼VOLUME 1 2007年6月22日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#2 = 木手永四郎(新垣樽助)、平古場 凛(吉野裕行)、甲斐裕次郎(中村太亮)
▼VOLUME 2 2007年9月25日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3 = 仁王雅治(増田裕生)、柳生比呂士(津田英佑)
▼テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇 FAN DISC White heat Remix 2007年12月21日発売
  キャラコメ = 手塚国光(置鮎龍太郎)、不二裕太(冨田 真)
▼VOLUME 3 2008年1月25日発売 2話収録 (#5, 6)
  キャラコメ#5 = 葵 剣太郎(豊永利行)、佐伯虎次郎(織田優成)、黒羽春風(大黒和広)、天根ヒカル(竹内幸輔)

テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇 Final』 2008年OVA作品 全7話 全4巻 + ファンディスク1巻
 発売元: テニスの王子様プロジェクト・バンダイビジュアル、販売元: バンダイビジュアル
 ※第0巻とファンディスクはキャラコメ無し
▼VOLUME 1 2008年7月25日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ = 橘 桔平(川原慶久)、千歳千里(大須賀 純)、神尾アキラ(鈴木千尋)、財前 光(荒木宏文)
▼VOLUME 2 2008年10月24日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ = 忍足侑士(木内秀信)、忍足謙也(福山 潤)
▼VOLUME 3 2009年1月23日発売 2話収録 (#5, 6)
  キャラコメ = 跡部景吾(諏訪部順一)、千石清純(鳥海浩輔)、壇 太一(小林由美子)、不二裕太(冨田 真)、佐伯虎次郎(織田優成)、河村 隆(川本 成)、柳生比呂士(津田英佑)、木手永四郎(新垣樽助)、白石蔵ノ介(細谷佳正)、千歳千里(大須賀 純)、橘 桔平(川原慶久)、伊武深司(森山栄治)、日吉 若(岩崎征実)

■どうして認知度に差が生じた
このテニプリOVAの試みは他作品に影響を及ぼすことが全く無かったため、あまり知られることのないまま、今日まで「キャラクターコメンタリーの創始は2009年の『化物語』」という認識がアニメファンにもアニメ業界にも広がってしまっているのだと思われます。
実際にファンにも業界にも衝撃を与えてその後の流行を生んだのは『化物語』なわけですし。
結局、テニプリOVAのことが誰も念頭に浮かばなかった(要するに誰も知らなかった)ため、誰言うとなく「化物語が初」と思われるようになったのでしょう。
……というのは小生が知らなかった負け惜しみですね。

なお西尾維新先生がテニプリOVAのコメンタリーを事前にご存知であったかどうかは不明ですが、先生自身は「謎めいた企画」とは仰っている(*20)ものの、これが "業界初の試み" であるなどとは西尾先生も『化物語』ソフト発売元のアニプレックスも公式には一言も謳っていません。
西尾先生の発案は車輪の再発明だったのかもしれませんが、実際に大きな反響と社会的影響を生んだのはどちらであるかを考えれば、発祥がどちらであるかなどということは大した問題ではないです。『化物語』のキャラクターコメンタリーは "業界初だから" 消費者に支持されたのではないのですから。


この、テニプリOVAの情報が広く知られなかった原因を「テニプリの主な購買層である女性層と『化物語』の主な購買層であると思われる男オタとではネットを中心とした情報発信力が段違いだから」というところだけに求めるのは、辛いかもしれません。
というのは、業界人の多くも『化物語』で初めて釣られているからです。
現在のアニメ製作業界はとうの以前より男性中心の世界はなくなっていますし、業界内であれば大なり小なり何らかの情報なり噂は聞こえてくるはずなのに、です。

このような認知度の差が生じた要因を探ると、テニプリOVAは、既に作品のファンである固定客相手の商売であり新規顧客を相手にしたものではなかったことが、情報の拡散を生まなかった要因として大きかったからではないでしょうか。

一方の『化物語』の側には、以下のような好要因が挙げられます。

 ▼新作アニメであったこと。
   →(原作付き作品ではあるが)多くの新規顧客を相手にすることになる。
   →宣伝も相まって、作品の情報が流通しやすい。
 ▼本編登場キャラ自身によるメタフィクションとして作られた初の事例であったこと。
   →(この点で、初の "本格的" キャラクターコメンタリーだということは言えると思います)
 ▼製作元のアニプレックスがこれに「キャラクターコメンタリー」という名称を与えて、商品仕様の目玉の一つとしたこと。
 ▼セルソフトが各巻5万枚超えの大ヒットとなったこと。
   →ビデオグラムが多くの消費者の目に触れて、コメンタリーに触れる人もそれだけ多くなった。
 ▼コメンタリーの内容自体が、それ単独で大きな話題になるほど非常に面白いものであったこと。
   ←よい書き手に恵まれたから。
   →好評だとしてあちこちで話題になることが、興味を持つ人をさらに生むアナウンス効果をもたらした。

これらのことが、圧倒的な認知度を得ることにつながったと考えられます{{独自研究}}。
最後の行について補足すると、『化物語』のキャラクターコメンタリーを視聴して爆笑した……というブログやツイート等でのユーザーの声は、初巻発売開始後1年以上・最終巻発売後半年経った最近でもいまだに時々みられます。


(今度こそ最終回に続く)

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(*o) = (サブカルチャー分野における)「超〇〇」という言い回しは、ゲームブランド Leaf のシナリオライターだった竹林明秀氏(2003年11月23日歿)が2001年9月19日に2ch葉鍵板で「超先生」と呼ばれたのが発祥。その後、2003年1月期テレビアニメ『魔法遣いに大切なこと SOMEDAY's DREAMERS』(原作・脚本: 山田典枝)の放送中、世界観設定とシナリオのあまりの破綻となんちゃって三文SFっぷりにキレた2chアニメ板住民が超先生に倣って「超脚本」と呼んだのが亜種の初出で、これ以後(主に2000年代半ば以降)、視聴者置いてきぼりのぶっ飛んだストーリー展開を「超展開」と呼ぶなど多くの派生形が生まれた。
(*p) = 2005年8月21日の嘘ニュース記事「「テニスの王子様」テニス呼称を差し止め申請」が発祥。同年9月1日、声優の池澤春菜さんが自サイトのウェブ日記でこの嘘記事に釣られたことでさらに有名になった。
(*q) = 2010年12月4日、劇場用アニメ映画第2作となる『劇場版 テニスの王子様』(仮題)が2011年秋公開予定で製作されることが発表された。

(*18) = あにてれ:テニスの王子様 オリジナルビデオアニメーション情報サイト - 全国大会篇 - テレビ東京
(*19) = 作品詳細 テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇 Vol.1 - デジタルビート
(*20) = 西尾氏からのメッセージ - 化物語スタッフブログ、2009年9月3日

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ブレーク!テニプリOVA
http://www.tenipuri.jp/
ブレーク!テニプリOVA
テニスの王子様 (テレビ東京・あにてれ)
http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/tennipri/
テレビ東京・あにてれ テニスの王子様
テニスの王子様 Original Video Animation

アニメソフトのキャラクターコメンタリー収録状況まとめ(2010年劇場版・OVA編)

2011-01-23 10:17:02 | 書誌・図書館
前々回前回に引き続き、日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史を振り返ります。
今回は全4回(全3回予定でしたが1回延ばします)の3回目、2010年に発売された劇場版アニメ作品とOVAにおける状況についてまとめます。

初回で説明しましたが、キャラクターコメンタリーというのはオーディオコメンタリーの一種で、スタッフやキャストではなくその作品の登場キャラクターが(声優は台本に従って演技した状態で)、映像の解説や裏話を語るものです。2009年9月からビデオグラムが発売された『化物語』がその創始流行の発端で、2010年前半期には数作の追随者が現れました。


■映画モノ初は『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』
2010年11月26日には『迷い猫オーバーラン!』最終6巻に加え、キャラクターコメンタリー収録作品がもう2タイトル発売されました。
3タイトルの同日発売は初めてのことで、しかも3タイトルとも異なる販売元からのリリースです。
複数タイトルの同日発売はそれまでにも2010年6月~10月に計5回あり、『WORKING!!』3~7巻と『Angel Beats!』1~5巻がそれぞれ同日でしたが、この両作は同じ販売元(アニプレックス)でした。


この日発売された最も注目のタイトルは、キングレコードからリリースの『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』(原作・脚本: 都築真紀、監督: 草川啓造、音響監督: 明田川 仁、アニメーション制作: セブン・アークス)。

本作は2010年1月23日から公開(日本国内配給: アニプレックス)された劇場用映画です。
封切りは15都道府県19館で、うち2館では4月23日まで13週続映、最終的に36都道府県68館で8月6日まで上映が続き(*8)、その後も一部館での三番館興行および再映がありました。
興行収入は約3億8千万円(7月末まで)だったとのことです(*9, j)。

また海外公開として、2010年8月20日から台湾の4都市5館でも公開されました。
台湾に輸入したのは大手の日本アニメ輸入代理店として現地で知られる普威爾國際 Proware Multimedia International Co., Ltd. (台北縣三重市)で、現地題号は『魔法少女奈葉 The MOVIE 1st』。
台湾の新作映画情報サイト「基地電影院」に普威爾社提供の公式動画として台湾版の予告編ムービー(動画が実際に置いてあるのは YouTube)が上がっていますが、それを見る限り、吹替ではなく繁体中文字幕での上映だったようです。



劇場用映画のキャラクターコメンタリーは初で、本編には登場しない StrikerS 組の後輩たちが出演しています(コメンタリー時点の時系列は本編の13年後とのことなので、 Vivid の頃か)。出演人数の多さも本作コメンタリーの特徴です。
本編の尺は130分もあるのに、これにキャラクターコメンタリーを付けようなんて、なんて無謀なことをするんだw。
コメンタリー脚本の担当者のクレジットはありませんが、原作者にして本編の脚本も書いた都築真紀先生が書いたと考えるのが自然でしょう。

ところで、本編とコメンタリーの両方に出演している声優さんで、両者で別々のキャラを演じている方がいます。誰でしょう? (簡単ですね)
こういった面でもちょっと珍しいコメンタリーといえます。
魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』 2010年1月劇場公開作品 全1話 全1巻
 発売・販売元: キングレコード
 キャラクターコメンタリー脚本: 未発表(都築真紀と推定)
▼2010年11月26日発売
  キャラコメ = ティアナ・ランスター(中原麻衣)、スバル・ナカジマ(斎藤千和)、エリオ・モンディアル(井上麻里奈)、キャロ・ル・ルシエ(高橋美佳子)、高町ヴィヴィオ(水橋かおり)、高町なのは(田村ゆかり)、フェイト・T・ハラオウン(水樹奈々)

本作の売上は年が明けてから BD/DVD 合計で10万枚を突破し(オリコン調べ。2011年1月24日付チャートまでのBD初回版・BD通常版・DVD初回版・DVD通常版の合計は 103,608 枚)、キャラクターコメンタリーの付いた単一タイトルとしては最も売れたソフトとなっています。


■コメンタリーを先行放送したOVA『たまゆら』
2010年11月26日に発売された3タイトル目は、松竹からリリースのOVA『たまゆら』(原作・監督・シリーズ構成・絵コンテ: 佐藤順一、アニメーション制作: ハルフィルムメーカー)第1巻。
本作は全2巻のOVA作品で、最終2巻は翌12月に発売されました。



既存原作のないアニメオリジナル作品としてはテレビシリーズ『Angel Beats!』に次ぐ二番目。キャラクターコメンタリーの付いたOVAタイトルは『化物語』6巻(*k)に次ぐものですが、作品企画自体がオリジナルであるものとしては初となります。
コメンタリー出演者は『AB』とは逆に、全話のキャラの顔触れが同じ初の作品となりました。
たまゆら』 2010年OVA作品 全4話 全2巻
 発売・販売元: 松竹
 全話キャラクターコメンタリー脚本: 佐藤順一(原作者)
▼第1巻 2010年11月26日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#1, 2 = 沢渡 楓(竹達彩奈)、塙 かおる(阿澄佳奈)、岡崎のりえ(井口裕香)、桜田麻音(儀武ゆう子)
▼第2巻 2010年12月23日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3, 4 = 沢渡 楓(竹達彩奈)、塙 かおる(阿澄佳奈)、岡崎のりえ(井口裕香)、桜田麻音(儀武ゆう子)

本作のコメンタリーについての特記事項は、パッケージソフト発売前に先行公開が行われたことです。

ソフトの発売前に見本としてキャラクターコメンタリーの部分公開をした例としては、前回触れた『バカとテストと召喚獣』のサンプル動画の YouTube 公式配信が初ですが、本作はその2例目となりました。
2010年9月30日に開催された第1・2話先行上映会『「たまゆら」上映イベント ~それは、素敵な不思議~。』にて、第2話のキャラクターコメンタリーの一部が上映されたのです。

また部分公開ではなく一話分全編の公開、それもテレビ放送による公開という大胆なプロモーションもソフト発売前に行われました。
知名度の低いOVA作品の売り込みでなりふり構わぬ必死の宣伝活動だったとは言え、その完成度に対する制作陣の自信のほどが窺えます。
キャラクターコメンタリーに限らずオーディオコメンタリーのトラックを主音声として放送に乗せてしまうこと自体、ほとんど前代未聞の話であり(オーディオコメンタリーというものの性質上、主音声として扱いうるクオリティに達していることはこれまではまずあり得ないことでしたから)、これはアニメに限らないオーディオコメンタリー史における事件かもしれません。
放送されたのは第1話のキャラクターコメンタリーで、CS放送のアニメ専門有料チャンネル AT-X (*l)にて 2010年11月1日 3:15~3:30 (10月31日 27:15~27:30)と 11月6日 21:15~21:30 に放送されました(*10, 11)。



ところで本稿執筆中の2011年1月22日夜、「『たまゆら』がテレビシリーズ化決定」という朗報が入ってきました(*12, 13, 14, 15)。これはOVAシリーズ完結記念に都内で開催された全話上映会『「たまゆら」全話上映イベント ~いつか想い出になっていく~の中で発表されたものです。
佐藤順一監督(TYOアニメーションズ)や田坂秀将プロデューサー(松竹)をはじめとする本作スタッフ陣はOVA企画の早期からテレビシリーズ化の希望を事あるごとに語り、消費者の皆さんの本作への支持を訴えてきましたが、OVAは両巻とも BD の発売初週売上が 4,000 枚を突破(オリコン調べ)するなど好調な売れ行きを示し、そのお蔭か、遂にテレビシリーズ化が叶うことになりました。

過去にOVAからテレビシリーズ化されたオリジナルアニメ作品には『機動警察パトレイバー』『R.O.D』『天地無用!』『魔法使いTai!』『MEZZO』『おとぎ銃士 赤ずきん』『ストライクウィッチーズ』などがあります(*m)。

さとじゅみち監督は2010年12月24日のツイートで「(もしも)TVになったらコンテは遅れないでやります」と宣言していました(*16)から、コンテはやってくれるとして。OVA時みたいな全話コンテはさすがに無理でしょうけど。
テレビシリーズは制作スケジュールがきついですし、また多数の話数が放映後あまり間を置かずにビデオグラム化されてしまいますから、OVAの時のように監督御自らキャラクターコメンタリーの脚本まで書いてる暇など無さそう……。
なにせ監督は「シナリオを書くのがとても苦手なので」、自分が脚本パートをやる時は、プロットで打ち合わせをしたらシナリオにせずそのままコンテに入り、直しがあってもコンテを描き直すという方法をとるのだとか(*17, n)。根っからの絵描きなのです。
OVAのキャラクターコメンタリー脚本の執筆では結構時間がかかったようですし。こればかりは絵でやる訳にはいきませんからね。


次回最終回に続く)

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(*j) = 最終的な興収も同程度とみられる。
(*k) = 『化物語』第六巻 つばさキャット(下)の収録話はテレビ未放映話(ウェブ配信された第14・15話)のみであるため、OVAとみなされる。
(*l) = CSチャンネル「アニメシアターX」(通称: AT-X)を運営する株式会社エー・ティー・エックスは、たまゆら製作委員会の構成員である。
(*m) = 原作付き作品では他に『まじかるカナン』など。なお『エリア88』や『鉄腕バーディー』の場合は、OVAとTVの間の時期がかなり空いていてアニメスタッフも作品内容も全く異なるため、「OVAのTV化」というよりは「再アニメ化」と捉えたほうが妥当である。
(*n) = この辺の佐藤順一監督の制作手法の話は Togetter の「【教えてサトジュン先生】まとめ その3」にまとめられている。

(*8) = 『劇場版なのは』の興収は約3億8千万円 - なのは日和 別館、2010年8月10日
(*9) = 斉藤守彦 「特殊映像ラボラトリー 第22回 「2010年上半期・特殊映像総決算!!」」 - アニメ!アニメ!ビズ、2010年7月26日
(*10) = 番組詳細 たまゆら - AT-X
(*11) = 第一巻ブルーレイ&DVD音声特典キャラクターコメンタリーの紹介です! - たまゆらぶろぐ、2010年10月29日
(*12) = 祝!たまゆらTVアニメ化決定!! - たまゆらぶろぐ、2011年1月22日
(*13) = 瀬戸内を舞台にしたヒーリングアニメ「たまゆら」のTVアニメ化が決定 - GIGAZINE、2011年1月22日
(*14) = 「たまゆら」テレビ化に声優竹達彩奈喜ぶ - nikkansports.com、2011年1月22日
(*15) = 【速報】OVAのヒットに続いて 『たまゆら』TVアニメ化決定 - アニメイトTV、2011年1月23日
(*16) = TVになったらコンテは遅れないでやりますと、つい勢い ... - Twitter / たまゆら、2010年12月24日
(*17) = : 私はシナリオを書くのがとても苦手なので、脚本パートを ... - Twitter / さとじゅん、2010年11月16日

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魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 公式サイト
http://www.nanoha.com/
魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 公式サイト
アニメたまゆら・公式サイト
http://tamayura.info/
アニメたまゆら・公式サイト

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『たまゆら』関連の過去記事
たまゆらっぴんぐフェリーの特別船内放送は、年末年始で休止中 (2010年12月13日)
佐藤順一監督作品、2タイトル同日リリース。徹底比較 (2010年12月2日)
『たまゆら』SDキャラPOPの展示先遍歴 (2010年12月2日)
『たまゆらOVA発売記念乗船券』の新作版権絵を読み解く (2010年11月25日)
OVA『たまゆら』2話に作画ミス? (2010年11月23日)
「痛船」の歴史(登場編) (2010年10月24日)
いにしえの一日名誉職、1952年10月の一日駅長ラッシュ (2010年10月16日)
「たまゆら」上映イベント ~それは、素敵な不思議~。 今更レポート (2010年10月12日)

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Summary of images:
Description = 秋葉原、ソフマップ音楽CD館の外壁広告幕
Date = 2010-12-23
Author of picture = (c) NANOHA The MOVIE 1st PROJECT

Description = OVA『たまゆら』販促ポスター
Date = 2010-10-22
Source of picture = 飯塚晴子
Author of poster = (c) 佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会

Description = コミックとらのあな池袋店のショーウィンドウ
Date = 2010-11-26
Source of pictures = 飯塚晴子
Author of pictures = (c) 佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会
Source/Author of photographs = Vantey
License of photographs = CC-BY-2.1-JP, Trademarked
Creative Commons License

2010年前半期テレビアニメのキャラクターコメンタリー収録状況まとめ

2011-01-21 08:51:36 | 書誌・図書館
前回に引き続き、日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史を振り返ります。
今回は全3回全4回の2回目、2010年前半期に放映されたテレビアニメ作品における状況について追ってゆきます。

キャラクターコメンタリーというのはオーディオコメンタリーの一種で、スタッフやキャストではなくその作品の登場キャラクターが(声優は台本に従って演技した状態で)、映像の解説や裏話を語るものです。2009年9月からビデオグラムが発売された『化物語』がその創始認知の発端でした。


■一部話数での採用にとどまる追随者(1)『WORKING!!』
『化物語』のキャラクターコメンタリーに衝撃を受けた他作品の製作者の中には、早速これを真似してみる者が数者現れました。
しかしその制作には恐ろしく労力がかかるため、一部の話数のみにキャラクターコメンタリーを付けるという形態が採られたのでした。


最初の追随者はこれもアニプレックス製作の『WORKING!!』(原作: 高津カリノ、監督・シリーズ構成: 平池芳正、音響監督: 鶴岡陽太、アニメーション制作: A-1 Pictures)で、各巻一話ずつ。
WORKING!!』 2010年4月期テレビ放映作品 全13話 全7巻
 発売・販売元: アニプレックス
 全キャラクターコメンタリー脚本: 高津カリノ(原作者)
▼第1巻 2010年4月21日発売 1話収録 (#1)
  キャラコメ#1 = 小鳥遊宗太(福山 潤)、種島ぽぷら(阿澄佳奈)、白藤杏子(渡辺久美子)
▼第2巻 2010年6月2日発売 2話収録 (#2, 3)
  キャラコメ#3 = 佐藤 潤(小野大輔)、轟 八千代(喜多村英梨)
▼第3巻 2010年6月23日発売 2話収録 (#4, 5)
  キャラコメ#5 = 佐藤 潤(小野大輔)、相馬博臣(神谷浩史)
▼第4巻 2010年7月21日発売 2話収録 (#6, 7)
  キャラコメ#7 = 小鳥遊宗太(福山 潤)、山田 葵(広橋 涼)
▼第5巻 2010年8月25日発売 2話収録 (#8, 9)
  キャラコメ#9 = 種島ぽぷら(阿澄佳奈)、伊波まひる(藤田 咲)
▼第6巻 2010年9月22日発売 2話収録 (#10, 11)
  キャラコメ#11 = 相馬博臣(神谷浩史)、山田 葵(広橋 涼)
▼第7巻 2010年10月27日発売 2話収録 (#12, 13)
  キャラコメ#13 = 小鳥遊宗太(福山 潤)、種島ぽぷら(阿澄佳奈)、伊波まひる(藤田 咲)

■一話のみの採用となった『バカとテストと召喚獣』
続く『バカとテストと召喚獣』TV第1期(*f)(原作: 井上堅二、監督: 大沼 心、音響監督: 亀山俊樹、アニメーション制作: SILVER LINK.)は、第2巻に収録の第3話「食費とデートとスタンガン」一話だけ。
男キャラのみによるキャラクターコメンタリーは初となります。
このコメンタリーはその名も「~バカ者語~」と題されており(*4)、『化物語』のコメンタリーに強い影響を受けて作られたことが窺えます。

同話アバンパートのコメンタリーが、見本として YouTube で公式配信されています。

YouTube - 【特典】バカとテストと召喚獣 特典サンプル映像
http://www.youtube.com/watch?v=LdkT5dvY3YA
 (メディアファクトリーTV 2010年4月11日公開 2分12秒)

(c) 2010 Kenji Inoue/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC./バカとテストと召喚獣製作委員会
バカとテストと召喚獣』 2010年1月期テレビ放映作品 全13話 全6巻
 発売元: ティー・オーエンタテインメント、販売元: メディアファクトリー
 キャラクターコメンタリー脚本: 井上堅二(原作者)
▼第2巻 2010年5月25日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3 = 吉井明久(下野 紘)、坂本雄二(鈴木達央)、天の声(津田健次郎)

■一部話数での採用にとどまる追随者(2)『迷い猫オーバーラン!』
迷い猫オーバーラン!』(原作・シリーズ構成: 松 智洋、音響監督: 明田川 仁、各話監督制)(*5, g)も各巻一話ずつ。
本作では、キャラクターコメンタリーのことを「キャラクターパラレルボイス」と呼称していました(*6)。



4巻に収録の7話「迷い猫、乗った」(ロボットアニメ回)のコメンタリーは、初の独り語りによるキャラクターコメンタリーです(二番目は『Angel Beats!』11話)。
迷い猫オーバーラン!』 2010年4月期テレビ放映作品 全12話(他に総集編1話 = ソフト化予定なし) 全6巻
 発売・販売元: ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン
 全キャラクターコメンタリー脚本: 松 智洋(原作者)
▼第1巻 2010年6月25日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#1 = 都築 巧(岡本信彦)、霧谷 希(竹達彩奈)
▼第2巻 2010年7月30日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3 = 梅ノ森千世(井口裕香)、霧谷 希(竹達彩奈)
▼第3巻 2010年8月27日発売 2話収録 (#5, 6)
  キャラコメ#6 = 芹沢文乃(伊藤かな恵)、都築乙女(佐藤聡美)、都築 巧(岡本信彦)
▼第4巻 2010年9月24日発売 2話収録 (#7, 8)
  キャラコメ#7 = 菊池家康(吉野裕行)
▼第5巻 2010年10月29日発売 2話収録 (#9, 10)
  キャラコメ#9 = 佐藤(佐藤利奈)、鈴木(新井里美)
▼第6巻 2010年11月26日発売 2話収録 (#11, 12)
  キャラコメ#12 = 都築 巧(岡本信彦)、芹沢文乃(伊藤かな恵)

■オリジナルアニメ初は『Angel Beats!』
ここまでに挙げたものは、いずれも小説などの原作付きの作品でした。

Angel Beats!』(原作・脚本: 麻枝 准、監督: 岸 誠二、音響監督: 飯田里樹、アニメーション制作: P.A.WORKS)も『WORKING!!』『迷い猫』と同期の作品ですが、これはアニメオリジナル作品です。
本作はオリジナルアニメで初めての(しかも全話に)キャラクターコメンタリーを付けた作品となりました。
各話で顔触れが異なるのは新鮮ですが、4話と5話の顔触れが同じなため、惜しくも「全話顔触れが異なる初の作品」とはなりませんでした。
Angel Beats!』 2010年4月期テレビ放映作品 全13話 + 特別篇1話(未放映) 全7巻
 発売・販売元: アニプレックス
 全話キャラクターコメンタリー脚本: 麻枝 准(原作者)
▼第1巻 2010年6月23日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#1 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、大山(小林由美子)
  #2 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、大山(小林由美子)、野田(高木 俊)
▼第2巻 2010年7月21日発売 2話収録 (#3, 4)
  キャラコメ#3 = 岩沢(沢城みゆき)、ひさ子(松浦チエ)、関根(加藤英美里)、入江(阿澄佳奈)
  #4 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、大山(小林由美子)、ユイ(喜多村英梨)
▼第3巻 2010年8月25日発売 2話収録 (#5, 6)
  キャラコメ#5 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、大山(小林由美子)、ユイ(喜多村英梨)
  #6 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、大山(小林由美子)、TK(Michael Rivas)
▼第4巻 2010年9月22日発売 2話収録 (#7, 8)
  キャラコメ#7 = ゆり(櫻井浩美)、大山(小林由美子)、ひさ子(松浦チエ)、椎名(斎藤楓子)
  #8 = 日向(木村良平)、直井(緒方恵美)、遊佐(牧野由依)、藤巻(増田裕生)
▼第5巻 2010年10月27日発売 2話収録 (#9, 10)
  キャラコメ#9 = ゆり(櫻井浩美)、日向(木村良平)、ひさ子(松浦チエ)、遊佐(牧野由依)
  #10 = 日向(木村良平)、野田(高木 俊)、TK(Michael Rivas)、藤巻(増田裕生)
▼第6巻 2010年11月24日発売 2話収録 (#11, 12)
  キャラコメ#11 = 松下(徳本英一郎)
  #12 = 岩沢(沢城みゆき)、ひさ子(松浦チエ)、関根(加藤英美里)、入江(阿澄佳奈)
▼第7巻 2010年12月22日発売 2話収録 (#13, 特別篇)
  キャラコメ#13 = 音無(神谷浩史)、ゆり(櫻井浩美)、かなで(花澤香菜)、日向(木村良平)
  特別篇 = 日向(木村良平)、野田(高木 俊)、TK(Michael Rivas)、藤巻(増田裕生)、大山(小林由美子)、松下(徳本英一郎)

本作のキャラクターコメンタリーに関して特記すべきなのは、かなりの部分で本編映像と無関係な内容をキャラが喋っていることです。
通常のオーディオコメンタリーであればそれも別段珍しくないことですが、しかしそれってキャラクターコメンタリーでやるようなことなのでしょうか。それはキャラクターコメンタリーではなくて、ただのオーディオドラマじゃないですか。同梱付録のドラマCD(*h)でやれよっての。わざわざ収録場所を映像のサブチャンネルにすることで「キャラクターコメンタリーを入れました」という冠が欲しかっただけちゃうんかと。
一応「映像をちゃんと見たコメンタリーにしようとして失敗する」などというようなメタ的なネタにはなっている(*7)のですが。
故に本作は、キャラクターコメンタリーの本来の存在理由を良くも悪くもぶち壊した作品という評価を受けることになりました。ブログ等における視聴者の反応は、ディープファンによる肯定的な評価とライトユーザーによる評価とでは大きく割れています。まあそういう作品なのだと言ってしまえばそういうことにしといてやんよ!


■キャラクターコメンタリー形式の総集編、『迷い猫オーバーラン!』13話
上述『迷い猫オーバーラン!』は全12話で物語上は完結(原作小説には続きがあるが)しましたが、放送されていた全4局のうちサンテレビを除く3局(TOKYO MXBS11アニマックス)では第12話の翌週に、放送上の最終回として第13話特別編「迷い猫、まとまった」と題した総集編が放送されました。
この特別編というのが、全話のダイジェスト映像に被せてキャラ達がツッコミや感想を述べつつ掛け合いをやるという、まさにキャラクターコメンタリー状態だったのです。
番組初っ端のOP曲の前奏からED後奏までびっしりコメンタリー音声が上乗せされていて。



総集編ですから、もちろんこれが主音声です。
キャラクターコメンタリーの手法を総集編の演出に利用した初の事例であり、(販売物の特典用ではなく)放送用に作られた初のキャラクターコメンタリーともなりました。殊に TOKYO MX (2010年6月29日 23:00~23:30 = 全局中最速)ではこれを地上波で流すという怪挙を成し遂げました(*i)。

本話はパッケージソフト化されていない(その予定もない)目下唯一のキャラクターコメンタリーです。このため、放送を録画していなかった方は残念ながらもう観ることができません。
なお再視聴のチャンスが一度あり、2011年1月1日 5:00~5:30 に BS11 で、同作の年越し全話一挙放送(なんて無謀なことをw)の中で再放送されました。

また本話は、原作者以外により脚本が執筆されたことが明らかにされている初のキャラクターコメンタリーでもあります。
そりゃあ、Vをまず仮完成させてからそれを添えて脚本を発注して入稿を何日も待つ手間と時間を考えると、映像を切り繋ぐ作業をしている人が自ら脚本も書いちゃうのが手っ取り早くて楽でしょうからねぇ。

いずれにしても、編集されたVに新録のナレをちょこっと乗っけるだけの従来の総集編に比べて、脚本にもレコーディングにも相当の手間がかかったはずです。
ソフト最終巻に収録されなかったのは返す返すも惜しい(特に井口裕香さんの激しくオーバーランした超絶マシンガンテンションの演技が)。にゃあ。
『迷い猫オーバーラン!』 2010年4月期テレビ放映作品
▼第13話特別編「迷い猫、まとまった」 2010年6月放送(ソフト化予定なし)
  演出: 山田マヤ、脚本・編集: 澤田 拓、脚本監修: 木村 暢
  キャラコメ = 芹沢文乃(伊藤かな恵)、梅ノ森千世(井口裕香)、霧谷 希(竹達彩奈)

2010年劇場版・OVA編に続く)

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(*f) = 『バカテス』は第2期テレビシリーズの製作中で、2011年中の放映を予定している。
(*g) = 松智洋先生が「シリーズ構成」でクレジットされていたのは名目上のみのことで、またそれは先生本人の希望によるものであったことが、最近発表された先生へのインタビューで明らかになった。
(*h) = ドラマCDが同梱されるのは限定版のみ。キャラクターコメンタリーは通常版にも収録されている。
(*i) = TOKYO MX の放送では番組中に気象警報解除のL字画面が入り、また BS11 の本放送(2010年7月4日 0:00~0:30 = 3日深夜)でもまた気象警報のテロップが入り、より一層カオスに輪をかけた。それだけではなく、2011年1月1日の BS11 再放送時にも三たび気象警報のテロップが入ったのである! 「二回死ね!」どころか三回死にますた。非常事態が日常です。


(*4) = 商品 - DVD - - TVアニメ『バカとテストと召喚獣』公式サイト
(*5) = 迷い猫オーバーラン!重要なご報告 - 迷い猫ブログ、2010年4月20日
(*6) = グッズ - Blu-ray/DVD - 迷い猫オーバーラン!
(*7) = BD/DVD 第5巻 - Angel Beats! 公式サイト

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TVアニメーション「WORKING!!」
http://www.wagnaria.com/
TVアニメ『バカとテストと召喚獣』公式サイト
http://www.bakatest.com/
TVアニメ『バカとテストと召喚獣』公式サイト
迷い猫オーバーラン!
http://www.patisserie-straycats.com/
迷い猫オーバーラン!
Angel Beats! 公式サイト - アニプレックス
http://www.angelbeats.jp/
Angel Beats! 公式サイト

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『迷い猫オーバーラン!』関連の過去記事
佐藤順一監督作品、2タイトル同日リリース。徹底比較 (2010年12月2日)
『迷い猫オーバーラン!』Wikipediaでの千世の扱いがひどい (2010年4月5日)

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Summary of images:
Description = 「キャラクターパラレルボイス」の表示
Source = 『迷い猫オーバーラン!』第1巻 (GNBA-1681) スタート画面
Date = 2010-06-25

Description = 『迷い猫オーバーラン!』第13話特別編「迷い猫、まとまった」 スクリーンショット
Source = TOKYO MX / BS11
Date = 2010-06-29 / 2010-07-04
Author = (c) 松智洋・ぺこ/集英社・迷い猫同好会
Permission = 日本国著作権法32条1項に基づく引用

日本アニメにおけるオーディオコメンタリーとキャラクターコメンタリーの誕生

2011-01-21 05:46:57 | 書誌・図書館
DVD-Video の仕様では、1つの映像トラックに対して複数の音声トラックを用意できることになっています。先行規格の LD や、後継規格の BD でも同様です。
この音声多重対応はもともと多言語対応のために開発されたものでしたが、やがて他の利用法として、この音声サブチャンネルの一つを使って俳優や製作関係者などによる解説や裏話を収録したものが現れました。
これはオーディオコメンタリーと呼ばれ、放送映像にはないビデオグラム(*a)だけの音声特典として、映画・ドラマ・アニメなどの作品ものからスポーツものやドキュメンタリーまで多くのビデオグラムで採用されています。

世界初のオーディオコメンタリーが収録されたビデオグラムは、米国の名画ビデオ販売会社ザ・クライテリオン・コレクション The Criterion Collection Inc. 社(ニューヨーク市、1984年創業)が "The Criterion Collection" レーベルの6タイトル目のリリースとして1984年12月に発売した映画『キング・コング』King Kong(第1作 = 1933年版)の LD で、米国の映画史家ロナルド・ヘイヴァー Ronald Haver (1939 - 1993) による作品解説が収録されていました。


日本初のオーディオコメンタリーはいつリリースされた何というソフトであるか不詳ですが、アニメソフトに分野を限るとこれははっきりしています。
2001年5月23日に発売されたOVA『R.O.D -READ OR DIE-』第1巻(発売・販売元: SME・ビジュアルワークス(*b)、1話収録。原作・シリーズ構成・脚本: 倉田英之、監督: 舛成孝二、音響監督: 菊田浩巳、アニメーション制作: スタジオディーン)の DVD こそが日本アニメにおけるオーディオコメンタリーの創始で、原作者の倉田先生と舛成監督が出演しています。
同作『READ OR DIE』(全3話、全3巻。最終3巻は2002年2月発売)は当時、映像クオリティも高く音楽も良く内容も面白いとして評判の作品でした。2003年10月から続編となるテレビシリーズ『R.O.D -THE TV-』(全26話、音響監督: 菊田浩巳、アニメーション制作: J.C.STAFF)が放映されたこともあってR.O.Dシリーズの知名度が高まったため、それから後追いでハマる人も多く、商品寿命の長い作品となりました。2010年4月7日にはテレビシリーズと合わせて BD-BOX で再発されています(『R.O.D THE COMPLETE』 発売・販売元: アニプレックス、39,900 円)(*c)。

こういうプレミアム的仕様のものを最初にやったのは、やはりOVAだったのでした。
それがいつ頃からテレビシリーズ作品のソフト化時にもコメンタリーを付けるようになったのかはこれまた資料不足で不詳ですが、『R.O.D -THE TV-』(第1巻発売: 2003年10月22日)には既に付いていました。
今年2011年は『READ OR DIE』から早くも10年、アニメソフトのオーディオコメンタリーの歴史ももうすぐ10周年となる訳です。

コメンタリーの出演者は、原作者・プロデューサー・監督・脚本家・アニメーターなどの制作スタッフが出演するもの(スタッフコメンタリー)と声優が出演するもの(キャストコメンタリー)とに大別され、購買者個々人によって好みが分かれるところです。
また話の内容は作品の補足解説や制作現場の裏話のほか、流れている映像や時にはその作品とさえ無関係な単なる雑談・放談となってしまっているものも実は少なからずあります。
オーディオコメンタリーの付いていないアニメソフトも多い中で、コメンタリーが付いていても「グダグダで面白くない杜撰なハズレコメンタリー」というのも少なくないため、解説空間などとしての本来の役割を果たしている "当たりコメンタリー" が付いているのはアニメソフト全体の中では実はあまり多くない……というのが現状です。当たり外れの評価は主観に左右される部分も大きいのですが(己の感性を信じろ!)。

   *  *  *  *

ところで最近一部の新作アニメ BD/DVD で、音声特典に「キャラクターコメンタリー」というものが収録されたものがちらほら出てきています。

これはいったい何かといいますと、文字通り、「(スタッフやキャストではなく)その作品の登場キャラクターによるオーディオコメンタリー」です。
つまり、作中のキャラクターが、視聴者と同じ本編映像を観ながら補足情報やツッコミや会話をしている……という設定。一種のメタフィクション化です。



実際の出演者は勿論そのキャラクター役を演じている声優で、(声優さん本人の地ではなく)キャラクターになりきった状態でレコーディングに臨むことになります。
キャラクターになりきった状態とはすなわち役を演じている状態ですから、喋る内容は必然的に "完全台本" となります。この点が、基本的にフリートーク(乃至それに近いもの)であった従来のオーディオコメンタリーとは決定的に異なる点となっています。

その台本は、間が空き過ぎないように全編に台詞をぎっしり詰め込まねばなりません。
また、喋りの内容とその時の映像とに乖離が生じないようにも注意する必要があります(尺合わせ。レコーディング時にもアドリブや台詞加除で調整が行われる)。
こうして、アニメ本編1話分と同等以上の執筆分量と労力がキャラクターコメンタリーの脚本家にはのしかかることになります。演じる声優やその音源を尺に合わせて編集する音響監督ともども、楽ではありません。


そこで、2010年末までのキャラクターコメンタリーの全史をこれから全3回全4回で振り返ってみます。
今回は2009年の誕生編。


■創始は『化物語』、創案は西尾維新
視聴者には面白いキャラクターコメンタリーですが、制作者(特に文芸担当)にとってはこんなしちめんどくさいこと、いったい誰が考え出したのか。
それは、アニメ『化物語』の原作者・西尾維新先生でした。
『化物語』は2005~2006年に連載されて全2巻(続編シリーズ除く)が刊行された小説が原作で、2009年7月期に全15話でテレビアニメ化(監督: 新房昭之、シリーズディレクター: 尾石達也、ビジュアルディレクター: 武内宣之、音響監督: 鶴岡陽太、アニメーション制作: シャフト)(*d)され、2009年9月から全6巻でビデオグラム化された作品です。

西尾先生はアニメのソフト化にあたり、「(声優ではなく)登場キャラクターがオーディオコメンタリーをしたらどうだろうか」というアイデアをアニメスタッフに持ちかけたのです。
こうして西尾先生は全話分のキャラクターコメンタリー脚本を御自ら書き下ろすことになりました。物凄い速筆としてつとに有名な先生のことですから、あるいはこれくらい造作もないことだったかもしれません。レコーディング現場では、脚本の分量が多過ぎて本編の尺に収まらない部分はばっさりカットし、脚本の尺が足りない分は先生がその場で書き下ろした……などというとんでもない軽業伝説が伝えられています。
内容は複数名のキャラが高密度で語りまくるもので(*1)、本編内では絡まないキャラ同士が会話するなど、書き手にとっても「とても新鮮で」「かなり刺激的な楽しい」ものだったそうです(*2)。
化物語』 2009年7月期テレビ放映作品 全15話(うち未放映話3話) 全6巻
 発売・販売元: アニプレックス
 全話キャラクターコメンタリー脚本: 西尾維新(原作者)
▼第一巻 ひたぎクラブ 2009年9月30日発売 2話収録 (#1, 2)
  キャラコメ#1, 2 = 戦場ヶ原ひたぎ(斎藤千和)、羽川 翼(堀江由衣)
▼第二巻 まよいマイマイ 2009年10月28日発売 3話収録 (#3~5)
  キャラコメ#3~5 = 八九寺真宵(加藤英美里)、羽川 翼(堀江由衣)
▼第三巻 するがモンキー 2009年11月25日発売 3話収録 (#6~8)
  キャラコメ#6~8 = 戦場ヶ原ひたぎ(斎藤千和)、神原駿河(沢城みゆき)
▼第四巻 なでこスネイク 2010年1月27日発売 2話収録 (#9, 10)
  キャラコメ#9, 10 = 千石撫子(花澤香菜)、忍野メメ(櫻井孝宏)
▼第五巻 つばさキャット(上) 2010年2月24日発売 3話収録 (#11~13)
  キャラコメ#11 = 羽川 翼(堀江由衣)、千石撫子(花澤香菜)
  #12 = 羽川 翼(堀江由衣)、戦場ヶ原ひたぎ(斎藤千和)
  #13 = 羽川 翼(堀江由衣)、八九寺真宵(加藤英美里)
▼第六巻 つばさキャット(下) 2010年7月28日発売 2話収録 (#14, 15)
  キャラコメ#14 = 羽川 翼(堀江由衣)、神原駿河(沢城みゆき)
  #15 = 羽川 翼(堀江由衣)、阿良々木 暦(神谷浩史)

本作のビデオグラムは BD だけでも各巻5万枚超え、2010年9月までに全巻合計で 330,977 枚(*3)、BD/DVD の合計では 470,766 枚(いずれもオリコン調べ)を売り上げ(*e)、商業的に大ヒットを収めました。

本編の好評も勿論ですが、この「キャラクターコメンタリー」という新たな試みはアニメファンの間で大いに評判になりました(企画そのものもですが、内容的にも非常に面白いとして)。
そしてこのことはアニメソフト製作業界にも一大衝撃を与え、翌2010年には追随者が続々と現れることとなったのです。


2010年前半期編に続く)

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(*a) = (主に頒布を目的として)有体物に固定化された映像ソフトウェアパッケージのこと。広告用語辞典では「電気的録音録画物の総称」としているが、非電気的記録手段による同様のソフトウェアパッケージが除外されるべき合理的理由は無いため、「電気的」は蛇足である。
(*b) = 株式会社SME・ビジュアルワークスは、株式会社アニプレックスの旧商号(2003年4月1日商号変更)。
(*c) = この BD には、オリジナルのコメンタリーに加えて新録のコメンタリーも追加収録された。
(*d) = 2009年7月~9月に第12話までを地上波ほかで放送、残り3話は2009年11月~2010年6月にアニメ公式サイトで期間限定無料配信。この残話の制作・公開の遅延は度々話題になった。残話分のテレビ初回放送はソフト発売後の2010年12月20日WOWOW にて。
(*e) = オリコンBDチャートの発売初週売上では、2巻(38,973 枚)・3巻(41,319 枚)・4巻(48,105 枚)でテレビアニメ作品としての歴代最高記録を更新し、2011年1月現在では2巻の記録も破られていない。なお5巻は 46,317 枚で4巻を下回った。1巻は 29,372 枚で、当時の最高記録だった『けいおん!』(1期)1巻(2009年7月29日発売)の 32,503 枚を抜けなかった(その後『けいおん!』(1期)7巻(2010年1月20日発売、30,642 枚)と『けいおん!!』(2期)5巻(2010年11月17日発売、30,019 枚)の2タイトルが『化物語』1巻を上回っている)。また6巻(51,141 枚)でさらに記録更新したとする見解もあるが、同巻の収録話はテレビ未放映話のみなのでテレビアニメではなくOVAとみるのが妥当との見解もある。OVAとしては『機動戦士ガンダムUC』1巻(2010年3月12日発売)の 55,906 枚(アニメ全体で当時の最高記録)に届いていない。その後『ガンダムUC』2巻(2010年11月12日発売)は 80,868 枚を記録している。

(*1) = 【コラム・ネタ・お知らせetc】 アニメ「化物語」第一巻ひたぎクラブ 世界最速商品解説 - アキバBlog、2009年9月19日
(*2) = 西尾氏からのメッセージ - 化物語スタッフブログ、2009年9月3日
(*3) = 『けいおん!』、『化物語』超えでTVアニメシリーズBD総売上歴代1位に - ORICON STYLE ニュース、2010年9月22日

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オーディオコメンタリー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/オーディオコメンタリー
Audio commentary - Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Audio_commentary

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R.O.D
http://www.sonymusic.co.jp/Animation/ROD/
化物語 - 西尾維新アニメプロジェクト
http://www.bakemonogatari.com/

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Summary of image:
Description = キャラクターコメンタリーを選択できる音声選択メニューの例
Source = OVA『たまゆら』第1巻 (DB-0447) スタート画面
Date = 2010-11-26
Author = (c) 佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会
Permission = 日本国著作権法32条1項に基づく引用

お焚き上げ廃止のお知らせ

2011-01-18 05:02:13 | 見聞
少し前に見かけた季節ネタ。



クリスマス中止のお知らせ」とか「バレンタインデー中止」とかの亜種かもしれない、と思ってしまったあなたはネットジャンキー。

最近は都会近郊の神社では、人家(時には中層建築を含む)が敷地の小さな神社のすぐ周囲にまで建て込んでしまった等のため、主に火災の虞および煙害上の理由で(さらには防火警戒のための男手の動員難などの理由も加わって)、こうした火を用いた年中行事はやりにくくなっているのでしょうね。


この「お焚き上げ」とは時期的に見ておそらく「どんど焼き」「左義長」の類を指すものと思われます。

左義長(さぎちょう)は全国各地でいろいろな異称で呼ばれて現在も行われている小正月(一部では年末)の行事ですが、「お焚き上げ」と言った場合はより一般に類種の火祭りを、社寺において(小正月に限らず)焚き上げる対象物がある場合に随時行われるものを指すみたいですね。
たきあげ【焚上】 (1) 神社で庭燎(にわび)をたくこと。おたきあげ。
  (2) 護摩の火にお札などをかざして、その燃えがらの昇りかたによって豊凶や吉凶をうらなうもの。

どんど 小正月(一月一五日)に村境などで行う火祭。門松・竹・注連縄(しめなわ)などを集めて焚く。どんどやき。とんど。→左義長(さぎちょう)。

さぎちょう【三毬杖・左義長】 (もと、毬打(ぎちょう)を三つ立てたからという)正月一五日及び一八日に吉書(きっしょ)を焼く儀式。禁中では清涼殿の東庭で、青竹を束ね立て、毬打三個を結び、これに扇子・短冊・吉書などを添え、謡いはやしつつ焼いた。民間では長い竹数本を立て、正月の門松・七五三飾(しめかざり)・書初めなどを持ち寄って焼く。その火で焼いた餅を食えば、年中の病を除くという。地方では今も行われる。どんど焼。さいとやき。ほっけんぎょう。ほちょじ。徒然草「―は、正月に打ちたる毬打を真言院より神泉苑へ出して焼きあぐるなり」

 ――『広辞苑 第三版』 岩波書店、1983年

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左義長 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/左義長

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Summary of image:
Description = 「お焚き上げ廃止」の張り紙
Date = 2010-12-23
Source/Author = Vantey
License = PD-self
Public domain

1月15日、彼女は誕生日を迎え

2011-01-15 20:49:29 | ウィキメディア
はっぴぃ にゅう にゃあ。迷いまして。


さて、2011年1月15日でウィキペディアは10周年を迎えました
といってもサイトが10周年となったのは英語版であって、他言語話者にはピンと来る話ではありません。
寧ろ「ウィキペディアをはじめとするウィキメディア・ムーブメントが10周年を迎えた」と言ったほうが、世界的観点からはふさわしいような気がします。

jawp の素体となるページは案外早い時期(2001年第一四半)から既にあったらしいですが、日本語版を含む10言語の非英語版サイトが発足したのは公式には2001年5月11日とされ、その表示が日本語化されたのは2002年9月1日にウィキソフトが日本語対応して以降。
非日本語話者によって用意されたこの日本語版ウィキが名実ともに日本語話者のものになったのはその後のことで、実際に急成長してネット上での存在感をみせたのは2003~04年頃となります。


そして2010年代の日本。
嘘つきと悪人、欺瞞と不正義と理不尽が表通りを大手を振って跋扈し、世情は日々醜悪さを極めてゆく昨今。
分野によっては、まともな神経の者には中立的な観点からの執筆が難しくなりつつある、そんな時代になってしまいました。
それでも努めて冷静に書いておられる方には頭が下がります。

小生は最近なかなかWP執筆に手が取れなくなっていますが、せめて自らのわかる範囲ででも世の中の片隅を面白がって生きてゆければと思っています。

   *  *  *  *

口直しに新年最初の写真でも。

どういう訳か、2011年最初の写真も一富士、それも2010年の最初と同じ被写体の「富士丸」(2004年7月進水、総トン数: 244 GRT、全長: 36.20 m、登録長: 32.60 m、垂線間長: 31.50 m、型幅: 9.80 m、型深: 4.28 m)となりました。
撮影地は2010年二回目の近くで、前景も同じですが、1年経って樹々が少し育っています。



山は聳えるもの 船は走らせるもの

日々世界進化中 だからぼーっとできない

春夏秋冬 二十四時間 うねる波濤は無休



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Wikipedia Celebrates 10 Years of Free Knowledge - Wikimedia Foundation
http://wikimediafoundation.org/wiki/Wikipedia_Celebrates_10_Years_of_Free_Knowledge
Wikipedia timeline - Wikipedia 10
http://ten.wikipedia.org/wiki/Wikipedia_timeline
メインページ - Wikipedia 10
http://ten.wikipedia.org/wiki/メインページ
ウィキペディア - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウィキペディア

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Summary of images:
Description = 富士山と曳船「富士丸」Fuji Maru (JD2030 / O/N 140066 / IMO 8997170)
Date = 2011-01-10
Source/Author = Vantey
License = CC-BY-NC-SA-2.1-JP
Creative Commons License