「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.218 ★ 中国にEV墓場、テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角

2024年03月27日 | 日記

DIAMOND online (真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授)

2024年3月26日

Photo:AerialPerspective Works/gettyimages

電気自動車(EV)大手である米テスラの株価が大幅に下落し、中国では「EV墓場」が出現している。対照的に、トヨタ自動車は、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

トヨタの株価が3割上がり テスラの株価が3割下がったワケ

 一時期、大きく盛り上がった電気自動車(EV)に対する期待が、ここへ来て世界的に鈍化している。それは、米テスラをはじめ主要EVメーカーの株価の推移からも確認できる。年初から3月中旬までの間、エンジン車、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVなど全方位型の事業戦略を採るトヨタ自動車の株価は30%超上昇した。一方、それとは対照的にテスラの株価は、30%以上下落した。

 中国では「EV墓場」が出現するほど、EVの供給過剰が社会問題化している。欧米の大手自動車メーカーのEV計画もやや頭打ち傾向になっている。人手不足と人件費高騰、サプライチェーン構築の遅れなどで、EVバッテリー関連のコストは想定以上に増えた。

 対照的に、トヨタなどわが国の自動車メーカーは、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。

 ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。特に、世界経済の成長の源泉として期待が高まるアジア地域で、わが国の自動車メーカーと、中国EVメーカーの競争は激化するだろう。

 競争に勝ち残るため、わが国の自動車関連企業は次世代、次々世代の電動車の製造技術を早期に確立する必要がある。HVという有力な最終製品の実現に固執することなく、関連企業トップは先をにらんで必要な技術を磨き、世界に先駆けて実用化することが重要だ。

中国で「EV墓場」が社会問題 欧米の自動車大手もEVで苦戦

 2023年の世界のEV販売台数は前年に比べて30%増えたものの、22年の前年比60%増に比べると、増加ペースは鈍化した。そして24年のEV販売台数は、23年と同程度か下回るとの予想もある。EV市場の成長の鈍化は、米テスラの決算でも確認できる。

 1月、テスラのイーロン・マスクCEOは、24年の売上高の増加ペースが鈍化するとの見通しを示した。これにより同社の株価は下落し、投資判断を引き下げたアナリストもいる。新モデルの「サイバートラック」の生産が遅れていることに加え、電気自動車大手の中国BYDによる大幅な値下げ攻勢により、競争が一段と激化しているからだ。

 中国では、不動産バブルが崩壊して個人消費の低迷が深刻になっている。地方政府の財政難もあり、EV販売への補助金が終了あるいは減少した。中国においてEVは供給過剰に陥り、経営破綻する新興EVメーカーも出ている。「1台買えば、もう1台が無料」といった信じられないセールを行う企業も現れたが、効果はほとんど出なかったようだ。

 中国では行き場を失い放置される大量のEVの様子が、「EV墓場」として報道されてもいる。また、大雪時にバッテリーが消耗したことで立ち往生するEVが増えているともいう。春節(中華圏の旧正月)休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した。こうした事例が広がり、消費者がEVを敬遠することに拍車をかけた。2月、中国のEV販売台数は前年同月比21.8%減の29万4000台に落ち込んだ。

 翻って欧州では、自動車大手がEV計画の失敗を認める事態となっている。トヨタと世界トップの座を競う独フォルクスワーゲンは、15年に起きたディーゼルエンジンの排ガス不正問題を契機に、EVシフトを強化した。しかし、バッテリー製造コストの増加、ソフトウエアの開発力不足、充電インフラ整備の遅れなど課題は多い。同社CEO自ら「欧州EV市場は思ったほど拡大していない」との見解を示してもいる。

 同様に独メルセデスは、「30年にEV専業メーカーになる」という目標を撤回し、新型エンジンの開発を進めている。また、仏ルノーは、市場環境が適さないとしてEV新会社Ampereの新規株式公開(IPO)を中止した。

 米国でも欧州と似たような理由から、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードのEV戦略が計画よりも遅れている。あるいは、レンタカー大手のハーツがEVの値崩れに直面し、経営トップが更迭されるという事例も出ている。

全方位戦略が奏功のトヨタ 世界が優位性を再認識

 中国と欧米でEVが総崩れに近い状況とは対照的に、わが国の自動車メーカーは世界市場で健闘している。車載用半導体の供給が改善されて自動車生産と輸出が回復したこと、世界で中国製EVを排除する動きが強まったことも、HVに強みを持つわが国の自動車産業に追い風だ。

 現状、リチウムイオン系バッテリーを搭載したEVの供給は、中国勢が強みを持つ。その価格競争力を支えたのは、中国政府の産業政策だ。中国はBYDや世界最大の車載用バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)に、産業補助金や土地を供与することでローコスト戦略を支援してきた。これは奏功して23年のCATLの業績は、世界のEV市場の成長鈍化にもかかわらず、純利益が増えるなど好調だ。

 一方、欧州委員会や米国のバイデン政権は、中国製EVやバッテリーなどの主要部品に対する「締め出し策」を強化した。中国の一大政策による中国EVの低価格競争を警戒しているのだ。安全保障面でも、EVの走行データなどが中国に漏れるとの危機感が強い。

 米国や欧州の政府系機関は、中国製EVを締め出すことで国・域内企業の電動車供給に弾みをつけようとしている。ところが、欧米自動車メーカーがEV生産を計画通りに進められない状況にあるのは前述した通りだ。EVからHVなどへ生産ラインを変更するのも容易ではない。

 そうした中で、少ない温室効果ガス排出量と長い航続距離を両立するHVの長所が改めて評価され、トヨタをはじめとしたHVに需要が向かっている。中国でもレクサスは依然として人気ブランドである。

 23年、4年連続でトヨタは世界トップの販売台数を記録した。足元では傘下のダイハツ工業の検査不正問題なども明るみになっているが、燃費のいいエンジン車、HV、PHV、FCV、EVと、さまざまなタイプを幅広く取りそろえる同社の優位性を、世界が再認識したといえる。

リチウムイオン電池の教訓を糧に 「全固体電池」の実用化を急げ

 今後、中国では新興のEVメーカーの経営破綻がさらに増えるだろう。米アップルが自前のEV、通称「アップルカー」の開発を中止する方針だという報道も出ている。これに続いて自動運転技術などの開発プロジェクトの中止、関連分野でのスタートアップ企業の淘汰も増えそうだ。米国においては金利の高止まりリスクも、EV市場の下押し要因になるだろう。

 また、米国では11月5日に大統領選挙を控えている。今後は政権が自動車業界の労働組合などに配慮して、EVシフトではなくエンジン車の生産、シェールガスやオイル採掘の支援を強化するかもしれない。それらの変化は、基本的にわが国の自動車産業にプラスに働くはずだ。主要先進国の自動車市場で、わが国メーカーの競争力が向上する可能性は高い。

 一方、中長期的には世界のEVシフトは加速する可能性がある。特に、タイやインドネシアなど、これまで日本の自動車メーカーが高いシェアを維持した東南アジアの国では、経済成長の牽引(けんいん)役としてEV関連産業を重視している。BYDなどの新興勢が低価格を強みに、進出を加速させるだろう。

 現状、リチウムイオン系電池の低コスト化とEVのユニット組み立て型生産において、BYDの競争力は高い。一方、従来型の自動車ビジネス、すなわち、すり合わせ技術を磨き全方位型の事業戦略を推進する点で、わが国の自動車メーカーは優位性を持つ。そのため、東南アジア市場を中心に、日本勢と中国勢の競争が激しくなる可能性は高い。

 わが国自動車メーカーにとって重要なのは、EVの切り札として期待される「全固体電池」など、次世代バッテリーの実用化を急ぐことだ。かつてリチウムイオン電池の研究開発は、わが国が先行した。ただ、事業化・収益化に難航した。

 この教訓を糧に、日本は次世代、次々世代のバッテリー開発を強化すべきだ。そのためには世界的に優秀な人材を適切な賃金で雇うことも欠かせない。今春闘で大幅な賃上げが実現していることは、追い風になっている。

 海外の自動車、半導体、IT企業などとの連携も強化し、中国勢とは差別化できるようなわが国発のEVを生み出し、バッテリー製造などの国際規格策定を主導することも本気で狙うべきだろう。こうした発想が、全方位型の自動車メーカーの戦略に加わることを期待したい。

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No.217 ★ 中国 清明節連休、国内ホテル検索はコロナ前超え

2024年03月27日 | 日記

NNA ASIA

2024年3月26日

中国の清明節連休(4月4~6日)を間近に控え、オンライン旅行会社(OTA)ではホテルや航空券などの予約が増えている。国内ホテルの検索数は新型コロナウイルス流行前の2019年を大幅に上回っているという。

携程集団(トリップドットコム・グループ)によると、今年の清明節連休の国内ホテル検索数は19年同期を上回り、前年同期比では67%増加した。航空券の検索数も8割増えた。

中国では地方の食べ物がネットを通じて爆発的に流行することがあり、最近は交流サイト(SNS)経由で甘粛省天水市の「麻辣湯(マーラータン)」が人気を集めている。携程では清明節連休中の天水市の旅行予約が前年同期から20倍以上に跳ね上がった。2000年以降生まれの若い世代が中心。

同程旅行によると、昨年バーベキューで爆発的な人気となった山東省シ博市(シ=さんずいに輜のつくり)への旅行熱も同様に続いているという。

去ナ兒網(ナ=口へんに那)は、「現時点で航空券やホテルの大幅な値上がりはみられない」と指摘し、低価格の航空券や安価な鈍行列車などの利用で旅費を節約しながら弾丸で旅行する大学生が増えると見通した。

■海外は日本が一番人気

携程によると、4月4~6日の連休前後に有給休暇を取得して長期の休みをとる会社員も多く、国内の長距離旅行や海外旅行の需要が高まっている。

海外旅行先は日本が一番人気で、日本で花見をするという人が多い。タイ、シンガポールも人気という。

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No.216 ★ 大連市、高齢者サービス施設の詳細情報を発信

2024年03月26日 | 日記

JETRO大連事務所

2024年3月21日

中国の大連市民政局は3月7日、同市の高齢者向けサービス施設を紹介する「大連養老地図 」(以下、同地図、注)を公開した。同局のホームページまたはWeChat公式アカウント(大連民政公衆号)で見ることができる。「老人ホーム」「コミュニティのデイサービス施設」「訪問サービス施設」の3タイプの施設の詳細情報を掲載している。「コミュニティのデイサービス施設」のうち、訪問サービスを提供している施設が「訪問サービス施設」として紹介されている。

これまで同局は、ホームページで老人ホームの基本情報(施設名、ベッド数、連絡先など)を公表していたが、2020年以降更新がされていなかった。

今回の「大連養老地図」は基本情報のほか、入居対象者、利用料など利用者の関心が高い情報に加え、各施設を監督管理する政府主管部署名と連絡先も掲載し、情報の透明化を図っている。また、検索エンジンを設け、高齢者やその家族が施設を簡単に検索できる仕組みも導入している(添付資料表参照)。

ジェトロが3月12日、大連市民政局養老服務・老年人福利処の担当者にヒアリングしたところ、「大連養老地図に情報を掲載する場合、所管地域の各区民政局に申請し、審査を経た後に掲載される。現在、一部施設については審査中のため、今後順次掲載される予定。施設内容を更新する際にも、同様の手続きが必要。掲載内容の正確性を重視している」と述べている。

大連市の高齢者向けサービス市場への参入を検討する企業にとっては、同地図で各タイプの施設の数、対応可能なサービス内容、利用費の設定、入居率などの参考情報が確認できる。例えば、中国で注目が高まる認知症ケアについて、対応可能な老人ホームは101軒あり、老人ホーム全体の39.1%を占めている(2024年3月18日時点)。

(注)ただし、現地以外ではURLが閲覧できない可能性がある。(潘暁雯)

<添付資料>


No.215 ★ 中国、政府使用IT機器から米国製の半導体やOS排除方針

2024年03月26日 | 日記

ロイター編集(FT)

2024年3月25日

中国は、政府使用のパソコン(PC)とサーバーから米半導体大手インテル、アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)両社のCPUを段階的に排除することを定めたIT機器調達指針を導入した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が24日伝えた。写真は2023年2月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

[24日 ロイター] - 中国は、政府使用のパソコン(PC)とサーバーから米半導体大手インテル(INTC.O), opens new tab、アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)(AMD.O), opens new tab両社のCPUを段階的に排除することを定めたIT機器調達指針を導入した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が24日伝えた。

FTによると、この指針ではマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabの基本ソフト(OS)「ウインドウズ」や外国製のデータベースソフトウエアの代わりに、国産の製品を使うことも求められている。

町村単位以上の政府機関はIT機器購入に際して、「安全」かつ「信頼できる」という観点で基準を満たすCPUやOSを選ぶよう指示されているという。

中国工業情報省は昨年12月、CPUとOS、集権的なデータベースについて、それぞれ「安全」かつ「信頼できる」とみなされる製品のリストを記した声明を発表しており、ロイターが確認したところ、該当するのは全て中国企業の製品だった。

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No.214 ★ 中国 ネット人口10億9200万人、普及率77.5%に

2024年03月26日 | 日記

NNA ASIA

2024年3月25日

中国インターネット情報センター(CNNIC)が22日発表した中国のネットユーザー数は、2023年12月末時点で10億9,200万人となった。22年12月末から2,480万人増えた。総人口に対する普及率は77.5%で、22年12月末から1.9ポイント上がった。

CNNICが発表した「第53回中国インターネット発展状況統計報告」で明らかになった。

23年12月末時点の農村部のネットユーザー数は3億2,600万人で、1,788万人増えた。ネット普及率は4.6ポイント上昇の66.5%。農村部での通信インフラ整備も進んでいる。

23年はネット配車とオンライン旅行予約のユーザー数がともに年間8,000万人以上増えた。新型コロナウイルス対策の影響がなくなったことによる外出需要の回復が押し上げた。オンライン診療のユーザーも5,100万人増えた。

ネット通販やライブコマース(ライブ配信型のインターネット通販)のユーザー数は1年間で6,000万人以上増加した。

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