「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.195 ★ 二度とない中国の復活 いま起こっているのは実質的なバブル崩壊、人口がどんどん減っていく中国に勝ち目はない

2024年03月18日 | 日記

MONEY VOICE (鈴木傾城:作家、アルファブロガー)

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中国の不動産市場はGDPの約20〜30%に影響を与えるものであり、ここが崩壊していくというのは中国経済が崩壊していくも同然である。中国の時代は、もうやって来ない。終わった。実質的にバブル崩壊が起こっていると見てもいい。今後、世界はそれを確信することになる。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)

中国の時代は不動産バブルの崩壊と共に終わった

経営再建中の中国不動産大手・中国恒大集団がニューヨークで連邦破産法第15条の適用を申請したのは2023年8月17日のことだった。

この企業はその2年前から経営危機に陥っていて、米ドル建ての社債の利払いができなくなって、この時点で債務不履行(デフォルト)と認定されていたのだが、その負債総額は約49兆円にのぼることが発覚して世界は息を飲んだ。

そして、2024年1月29日、香港の高等法院(高裁)はこの企業に清算命令を出して、この企業は実質的に法的整理の手続きに入ることになった。

中国の不動産市場は2021年から崩落に近い様相を見せており、問題は中国恒大集団だけにとどまらない。ほかにも、融創中国・世茂集団・佳兆業集団・花様年控股集団・新力控股集団……と多くの不動産デベロッパーが危機に瀕している。

これらの企業は主に銀行からの融資や社債発行によって調達されているのだが、不動産市場の低迷で住宅販売が低迷し、資金繰りが悪化していく一方である。新築住宅価格は、2021年9月から全国平均で約10%以上も下落し、とくに上海や深圳などの大都市で下落率が顕著である。中古住宅価格も下落している。

それもそうだ。これまで多くの都市で平均的な住宅価格は年収の10倍を超えていた。中国の不動産市場は完全にバブルだったのである。

しかし、中国もいよいよ少子高齢化に入り、人口は減少する。すでに住宅価格は高騰して中国政府も規制を強化している。このため、不動産市場の低迷は、今後も続く可能性が高い。

中国の不動産市場はGDPの約20〜30%に影響を与えるものであり、ここが崩壊していくというのは中国経済が崩壊していくも同然である。

中国の時代は、もうやって来ない。終わった。実質的にバブル崩壊が起こっていると見てもいい。

「不正」で成り上がった中国経済

そう言えば、中国べったりのジャーナリストや評論家は、ずっと「アメリカの時代が終わって、これからは中国の時代がくる」と言い続けてきた。

2008年当時のことを私は今でも覚えている。欧米の金融システムがリーマン・ショックで大混乱した後、中国べったりの識者たちは「これからは中国の時代が来る」と高らかに宣言し、返す刀で「アメリカはもう終わりだ」と嘲笑していた。

ドルの価値も崩壊し、この世からドルが消えるとも言った。そして、中国が世界に君臨するのだと彼らは高らかに宣言した。

ところが、アメリカが脅威の粘り腰で崩壊から踏みとどまって経済回復していき、やがてアメリカは中国のやっている「不正」を激しく糾弾するようになっていった。

中国は世界中の知的財産を強奪し、その強奪によって自国の経済発展を成し遂げてきた「泥棒国家」である。

人口がどんどん減っていく中国に勝ち目はない

アメリカが中国に対して激しい半導体規制を行うようになったのは、中国のこうした不正をもはや許さないことに決めたからだ。

トランプ時代から本格的になった中国への規制はバイデン政権にも受け継がれ、アメリカは完全に中国を「敵対国」として見るようになっている。

知的財産の強奪が封じられると、中国はもう成長できない。中国は新しいイノベーションを生み出せるような国にはなっていないからである。人工知能も、次にやってくる量子コンピュータもアメリカの企業が制覇する。

グローバル社会から排除され、危険視され、投資資金も止まり、不動産バブルも本格化し、高齢化が進んで人口がどんどん減っていく中国に勝ち目なんかまったくない。

徹底的に監視するディストピア社会

「中国の時代が来る」という仮定は、中国がきちんと民主化し、情報統制を解いてオープンになり、選挙で政治家を決め、イノベーションを促進できるような民主国家になったらの話だった。

中国が経済発展していくと、恐らく中国は民主化すると世界は思い、だからこそ、欧米の金融マフィアたちもそこに賭けた。しかし、今の段階ではそのどれも実現していない。実現する気配もない。

中国は民主国家になる気などさらさらなく、習近平の独裁化も進むばかりだ。そして、中国共産党政権が支配する独裁国家が、ハイテクを使って国民を徹底的に監視するディストピア社会へと突き進んでいった。

一国二制度であると言われていた香港でさえも強権の対象と化し、今や香港人の全員が監視され、民主派は次々と社会からも抹殺されている。中国に従わない人間は、不可解な死を遂げていくようになっている。逃げられる香港人はみんな世界各国に資産を持って逃げている。

香港の民主活動家、周庭氏(アグネス・チョウ)もカナダに逃亡して、事実上の亡命宣言を出している。彼女は恐怖の中で生活しており、頻繁にパニック障害を起こして日常生活にも支障をきたしているということだ。

「中国に戻らないと一生追われることになる」と中国当局は脅している。しかし、彼女が中国化してしまった香港に戻ることは一生ないだろう。

中国人民の少なからずが中国崩壊を見越して、子どもたちには別の国籍を与えようと必死になっており、人民元も信じないで仮想通貨に金を移していた。そのため、中国共産党は2021年9月には仮想通貨を全面禁止にしてしまったほどだ。

ところが、中国大好きジャーナリストや評論家だけが、相変わらず中国が大国であり続けると信じているのである。もはや本気でそんな与太話を聞く人もいないし、失笑されるだけとなっている。

欧米の金融機関も失望して中国を見捨てており、中国に投資はしない。時代は、とっくに変わっている。

中国がアメリカに取って変わるというのは絶対にない

中国の時代は終わったのだ。アメリカが覇権を継続する。生成AIのダイナミックな成長を見てもわかるが、アメリカは今でもイノベーションを生み出す国である。今後も数十年は新たなイノベーションで時代を牽引していく。

すべての技術革新はアメリカで生まれ育ち、アメリカで巨大ビジネスとなって世界を席巻していく。

コンピュータのOS、スマートフォンのOS、検索エンジン、人工知能、ドローン、電気自動車、空間コンピューティング……。次世代のイノベーションのどれを見てもアメリカがリードしており、他国の追随を許さない。

地球を覆い尽くす巨大な多国籍企業は、ほとんどがアメリカ企業である。客観的に見ると、とても簡単な話だ。アメリカが今も変わらず世界を支配しているのである。

2024年はアメリカ大統領戦の年だが、アメリカの政治がどのように混乱しても、アメリカの影響力は依然として強く世界を動かす。貧困や格差は過激なものになっているが、それはグローバル化を取り入れたすべての国が抱えた闇である。アメリカと比較すると中国の方がはるかに深刻だ。

どの観点から見ても、そして誰がどう見ても、中国に賭けるよりもアメリカに賭けた方が勝率が高い。

鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

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