「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.342 ★ 中国の輸出「受注は回復、価格は下落」のジレンマ 広州交易会の出展企業から過当競争への嘆き節

2024年05月21日 | 日記

東洋経済オンライン

2024年5月20日

中国の輸出「受注は回復、価格は下落」のジレンマ

広東省広州市で毎年春と秋に開催される広州交易会(正式名称は中国輸出入商品交易会)は、中国最大級の貿易商談会であり、輸出産業の景気動向を示す「風向計」と呼ばれている。

「コロナ禍の期間に世界各地で積み上がった在庫がほぼ消化され、(海外から来場した)バイヤーたちが新たな買い付けを始めている」

4月15日に開幕した2024年春期の広州交易会(会期は5月5日まで)の会場を財新記者が取材すると、出展企業の多くからそんな声が聞かれた。

例えば広東省佛山市の電子機器メーカー、索爾電子実業の担当者は、記者の取材に対して「2024年1〜3月期の受注は前年同期比約20%増加した」と明かした。インバーターと蓄電装置が主力製品の同社は、受注増加に対応すべく、春節(中国の旧正月、2024年の元日は2月10日)明けに数百人の従業員を緊急採用した。

欧米からの受注が2割増加

山東省青島市の雑貨メーカー、山海家居用品の最高経営責任者(CEO)を務める尚勁松氏によれば、欧米の取引先が在庫圧縮に追われていたため、同社は2023年7〜9月期まで受注も出荷も低迷していた。しかし同年10〜12月期を境に、受注が徐々に戻り始めた。

同社はコップや保存容器などの家庭用雑貨を主に欧米向けに輸出している。尚氏によれば、2024年1〜3月期の出荷量は前年同期比18%増加し、4〜6月期に関しては「現時点の受注量は前年同期より2割以上増えている」という。

輸出業者にとって新規受注の回復は朗報であるものの、彼らの心中は複雑だ。なぜなら、戻ってきた需要を中国の同業者が奪い合い、価格競争がエスカレートしているからだ。

広州交易会の出展企業は、海外のバイヤーからの受注獲得を激しく競っている。写真は広州交易会の会場内(中国進出口商品交易会展館のウェブサイトより)

「業界内の値引き競争は熾烈だ。価格競争に加わらなければ、同業者に受注をさらわれるのを黙って見ているだけで、従業員を養えなくなる。さりとて価格競争に参戦すれば、年間100万ドル(約1億5477万円)の損失が出るかもしれない」

広州交易会に出展したある減速機メーカーの担当者は、財新記者の取材に対してそう実態を打ち明けた。

人民元安でも利益は残らず

最近の(対ドル為替レートの)人民元安は、輸出企業の経営にとって有利な要素のはずだ。しかし「中小企業の場合、人民元安の利益は価格競争の原資に回さざるを得ず、ほとんど残らない」と、ある出展企業の担当者はため息をつく。

輸出量は増えているが、輸出価格は下がっている――。これは広州交易会の出展企業に限らず、中国の多くの業界が抱える共通のジレンマだ。

業界団体のまとめによれば、2024年1月から2月までの中国の鋼材輸出量は前年同期比32.6%増加したが、重量当たりの平均輸出単価は同32.1%も下落した。そのほかの分野でも、例えば石油製品の平均輸出単価は同5.3%、アルミニウム製品は同8.6%、タイヤは同2.4%それぞれ下落している。

(財新記者:王婧)
※原文の配信は4月24日

著者:財新 Biz&Tech

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No.341 ★ 日本の酒造会社、ウイスキーで中国開拓

2024年05月21日 | 日記

NNA ASIA

2024年5月20日

日本の酒造会社が、 ウイスキーの中国展開に力を入れている。展示会や交流サイト(SNS)などを通じたプロモーションを本格化させており、中国でも若者を中心に認知度が高まるジャパニーズウイスキーの魅力を伝え、成長市場の掘り起こしを狙う。

中国国内外のウイスキーメーカーなどが集まり、商品の試飲・販売を行うウイスキーフェスティバルが17~19日に北京市で開かれ、日本の酒造会社も初出展した。

若鶴酒造(富山県砺波市)は、シングルモルト「三郎丸」シリーズを試飲してもらい、日本の蒸留所では珍しいピート由来のスモーキーな味わいをPR。稲垣貴彦最高経営責任者(CEO)は「中国では若い世代にもウイスキーが親しまれるようになっており、魅力的な市場だ」と述べ、展開を強化していく考えだ。同社は2030年をめどに売上高に占める海外比率を足元の2割から5割まで高め、海外売上高のうち中華圏を3~4割にする目標を掲げる。

試飲してその場で4本購入したという北京市の男性会社員は、「巧みな工夫が感じられておいしい」と声を弾ませた。

西酒造(鹿児島県日置市)は、シングルモルト「御岳 THE FIRST EDITION 2023」を1,000本限定で発売する。中国での販売価格は1,488元(約3万2,000円)と日本の倍以上だが、5月中旬に中国のインフルエンサーが動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」で紹介すると、1時間で約50本が売れたという。フルーティーですっきりとした口当たりが特徴で、西酒造の担当者は「中国の若年層からは飲みやすいと評判だ」と手応えを感じている。中国を皮切りに韓国などにも展開していくという。

■市場規模4倍以上に

日本貿易振興機構(ジェトロ)が設けた日本館には日本の酒造会社など19社が、ウイスキーや焼酎など約250銘柄を出品した。

薩摩酒造(鹿児島県枕崎市)は、主力ブランドの芋焼酎「白波」シリーズを並べ、健康志向が高まっている中国の消費者に「糖質ゼロ、プリン体ゼロの健康的なお酒」とアピールした。

中国で蒸留酒といえば「白酒(パイチュウ)」が代表的だが、近年は若い消費者の嗜好(しこう)が広がり、ウイスキーの人気も高まっている。中国のアルコール飲料の業界団体、中国酒業協会によると、中国ウイスキー市場の2023年の規模は55億元となり、13年の12億8,800万元から4.3倍に拡大した。23年の輸入量は前年比0.8%増の3,222万リットルで、輸入元は英国、米国、日本の順に多かった。

北京市で開かれたイベントで、来場者にウイスキーを振る舞う若鶴酒造の稲垣貴彦CEO(左奥)=17日

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