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サワノのお気に入りだけで構成するブログ

家具職人て?

2011-09-06 | 木工・家具(全般)

ものすごく長い、サワノのつぶやき↓みたいな文章です。

興味のある方だけ どうぞ

 

 

 

ホント偶然ですが 。

普段は滅多に見ないチャンネルで(←いや「2」しかないけど

「家具職人になりたいけど どうすれば良いのか」という質問を発見!

ながいながーい、様々な人からの回答を 食い入る様に読んでしまった。

 

まず、回答者から「何故 家具職人になりたいのか」と逆質問(笑)。

これに対して質問者が「世の中に いい家具がないから」と答えてました。

当然 回答者からは「いい家具がない」のはつまり

「その程度の家具しか見ていない」からだ、と避難されてました。

ワタクシゴトですが、家具に限らず 何かを目指そうとするなら

誰かや何かに憧れて「いつか自分も!」という思考回路を持った方が

断然いいと思う、精神衛生上。

もっといい家具作る!という意気込みはとても大事と思いますが

今を生きる人は 長い長い歴史の最先端に立っている、

そこに立てるのは 先人の知恵のおかげなんだという感謝も大切かと思います。

 

次に木工や家具について学ぶ場の問題。

「大学ではデザインや歴史など 講義だけで技術がともなわず、

かといって訓練校は技術だけな気がする」という

「訓練校か、専門学校か、大学か」の質問の回答は

「大学出てから訓練校に行く人が多い」(←私もこのコース

「学校では基礎の基礎しか習わない。技術は現場で働いて体得する他ない」

「専門学校を出ても訓練校に行き直した」

「学校なんか行かなくていい。

同年代のいる、最後の工程まで任される木工所に入り

人に頼らず出来る様になるまで辞めないこと」から始まり

「家具職人になりたいのではなく 家具作家になりたいのでは?

家具職人=家具作家ではない」

「技術だけでなく感性はもちろん営業のセンスも必要」

「家具をデザインし、作り、売ることは 膨大な勉強が必要」

「(いい家具がない発言に対して)人の仕事に敬意を払ってこそ一人前」

「家具職人になっても 思う様な家具を作らせてくれる職場はない」

「脱サラして手に職を付けてのんびり家具職人して暮らしたい....、

家具でスローライフ↑なんか出来ません。仕事中心の貧乏生活」

「どんどん条件の良い所に移って技術を盗み 最終的に独立する」まで、

家具を作る、売るとは何か に至るまでの様々な意見が寄せられていました。

大抵の場合、人は誰でも自分の通ってきた道が正しいと思っていて

訓練校を卒業している人は 訓練校を勧めるし

直接 現場で仕事を覚えてきた人は

学校なんて出てもたいして意味はない という人が多い気がします。

何処に身を置こうと 結局の所は自分次第な面もありますが

例えば 私の通っていた大学の図書館は 他の大学に比べたら

多少 デザイン関係の資料が充実していたかもしれないし

国会図書館や他の美大の図書館も行ける距離にありました。

その後 歴史ある家具メーカーが頑張っている飛騨で木工を学んだことは 

今となれば とても特別な空間だった気がしていて

そういう"環境"を選択することの重さはあると思います。

ただ、進学の時点で ここまで考慮するのは かなりの視野を必要とします。

私の場合も 結果論でしかないです。

 

話しを戻して、ココからは回答者による木工業界の厳しさが続々....。

すでに最初の質問者の質問の答を離れて 回答者さん達の掲示板化していました。

コレがまた 考えさせられる発言もあり 読み進めるのを止められなくなってしまった

「自分で工場を借りて独立して

友人・知人・身内に一通り家具売った後の販路が築けなくてバイトして

そのバイトが忙しくて家具作る時間が無くなる」

「同じ職人でも 大工・左官・塗装よりも独立にお金のかかる職業」

「作る能力と売る能力は別!作りたいモノと望まれるモノも別!」

「技術だけでなく"商売"を覚えないと完全下請けになって苦労するだけ」

「訓練校止まりの技術ではお客さんの望むモノを作れない人が多い」

「いろんな現場で勉強した人の方が

技術力も営業力も身に付いていて 自分のテイストを持っていて

なおかつ お客さんの要望にも応えて成功している人が多い気がする」

「お金に換えられなければ 結局 行き詰まることになる」

「木工は馬鹿には出来ない。人柄や経験はそのまま家具に表れる」

「時代とともに求められる仕事は変わってゆく。

それに応えられなければ家具職人ではない」

「腕よりも 継続して仕事を受けられる人間関係の構築が全て」

「食っていくことを考えるならば 鉋の仕上がり云々よりも

木工機械、電動工具を使いこなすことが大事」

「ずっと木工に関わっていくと 指がそろっている人も珍しくなる」

....いやー、全て その通りでございます。

ホントに厳しい世界です....

 

ついには職場の愚痴(?)まで。

しかしこれも共感できる点が多くて なかなか興味深かった(笑)。

まずは雇い主側の意見↓

「新人が一ヶ月もたなかった。職人には忍耐力も必要」

「給料要らない、は、熱意がありますのポーズだろうけれど

"勉強"ではなく"仕事"をしてもらわないと」

「パクリも作りこなせない」

「どんな職業も、やる気や思いの強さなんて 持っていて当たり前」

「雇う方は 学校出たばかりの人に技術的な期待はしていない。

学校を出ていっぱしの職人気取りでいる人が多すぎる」

「1年そこそこで仕事覚えた気になって辞めるんだったら

最初から就職しなければいい。職場は学校ではない」

「熟練者の生産性を落としてまで新人育成している

有り難味が理解できないうちは独立なんて無理」

「仕事を教えてもらうことを当然だと思っている。

その上 給料は拘束時間の対価だと思っている」

「仕事を教えてもらうのは 生きていくことを教えてもらうこと」

「新人育成に苦労している所は多い」

「"修行"とかいう割には 人の仕事にてんで興味がない。マイペース」

 

「なんとか一年もっても 建築現場に造作モノの取り付けにいって

他の職種の事情が分かってくると 簡単に独立できる異業種に転職する」

 

「作業スピードを意識する様に と言うと

"丁寧なモノ作りをしていない"と勝手に幻滅する。

スピードは丁寧さとは別次元の問題」

「腕のある職人が限られた時間の中でキレイな仕事をする姿はいい」

「就業時間以外は自由に工場を使っていいのに

ほとんどの人が定時で帰るし 休日はしっかり休む。

結局 そこまでの情熱がない、技量を身につけようとしない」

 

雇われる側の言い分は↓とにかくひとつ!! ひとつです!!

「安月給で使い捨て」

「職人の仕事をさせるのに 普通はバイトなんかで雇わない」

「社会保険があるだけマシ」

「会社の負担になるからと 社保厚年だけでなく雇用保険や労災にも入ってない」

「保険なし、ボーナスなし、残業手当なし、有休なし、通勤手当なし」

「バイトより給料安い。正直 転職を考える」

「生活できない様な薄給で人の足元見る会社は辞めた方がいい」

「女性はさらに不利。まだまだ厳しいのが現実」

「離職率の高い所はハローワークの常連で 通年で求人を出している」

「人気の職業ではあるけれど現実にはかなり厳しい世界。

最低賃金に近い給料じゃ面接止まり。

それでも!って入社しても半数は数ヶ月で辞める」

「給料、休暇の待遇面で最低」

「まず、現実に打ちのめされる。仕事を覚えるのに10年。

その間にもらう給料では開業資金は用意できない」

「カッコいい、オシャレな家具に憧れる人には向いていない」

「DIYで満足していた方がシアワセになれる」

 

.....もう言葉もありませんね

「仕事を覚えるのに10年。その間にもらう給料では開業資金は用意できない」や

「DIYで満足していた方がシアワセ」については本気で共感するものがあります。

木工屋のブログと 趣味で木工やっている人のブログを比べてみたりすると

後者の方が 給料や休暇の待遇面で圧倒的に有利なのは一目瞭然。

先日覗いた趣味木工家さんのブログでは ほとんどの工具をFESTOOLで揃えてました

そんなこと、フツーの木工屋にはできません。

 

 

 

でもね。

それでもみんな一様に、

踏ん張って喰いしばって逆らっては打ちのめされて

今日も明日も 家具製作の現場に向かうんだろう。

私は最高にカッコいい職業だと思っている。

ホントに ね

 

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ninjin_m)
2011-09-07 00:02:50
ここまで仕事の事を考えておられるのは本当にすばらしいことだと思います。私の会社でも2年目の社員がこんな職場で働くために国立大学を出てきたんじゃないと言って他部署を希望していますがどこでもやりこなせなければ他に行っても役に立たないのは目に見えています。
どの会社でも一人前になるのは難しく、わかってくればくるほどよりむずかしい事がわかってくるそれが物づくりだと思います。
物は売れてなんぼ、これは社長の口癖です。いいものができても売れなくては生活は成り立ちません。芸術家ならどうか知れませんが売れてなんぼ、それだから又やりがいもあるんですよね。
自分のやりたい事でお金儲けができる、生活が成り立つ、それは本当にすばらしい事だと思います。私なんか流されているだけで大きな事を言える資格はありませんが、ブログを読むだけでしか応援できませんがサワノさんの思う家具作りができる事を願っています。
返信する
コメントありがとうございます♪ (サワノ)
2011-09-07 20:32:56
ninjin_mさま。

お久し振りです

私は 学生の頃に始めた家具屋のバイト時代から
仕事とは何か、仕事がデキる人とはどういう人なのか、
アタマの何処かで ずっと考えてきました。
そしてそういう人に憧れて毎日頑張っています。
今回の様な何とも言い難い記事(笑)に対して
コメントをくださったこと、嬉しく思います。
ありがとうございます
ここに反応して下さったninjin_mさんもまた
仕事とは一体何なのか、
社内で自分はどう在るべきなのか、
日々 考えていらっしゃるのではないでしょうか??

本当!
「仕事」は 理解すればする程、難しくなっていきます。
一生学び続けても終わらないですよね。
それ程の覚悟をもって挑めるもの、
それ程の情熱の持てる職業と出会えた自分は
奇跡に近いくらい シアワセだと思っています。
なかなか3拍子(仕事内容、仕事仲間、給料)揃いませんし
自分の弱さも脆さも痛感する毎日ですが
共に仕事に向かってくれる仲間がいるうちは頑張ろうと思います。
応援までしていただいて、ありがとうございます。

「売れてなんぼ」。おっしゃる通り!
これはまさに、一生研究する価値のある言葉ですね。









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はじめまして (sola)
2011-09-09 10:53:50
こんにちは。
女性木工職人というサワノさんに興味を抱き、いつも楽しく拝見させて頂いてます。

私は、木工とは全く関係のないIT系のいち経営者ですが、趣味で木工をやっているものです。
色々な意見があるものですね。
おもしろくてじっくり読んでしまいました。

木工職人のサワノさん、これからも頑張って下さい。
返信する
こちらこそ 初めまして♪ (サワノ)
2011-09-09 23:08:25
solaさま。
コメントありがとうございます!

いえいえ私など、とても木工職人だなんて言えません、
「木工女子」が精一杯です(笑)。
木工女子とか言う割に なかなか木工関係の記事など
UPしていませんが いつも見ていただいているとのこと、
とても励みになります、ありがとうございます。

solaさんは趣味で木工されているんですね
IT業界の方の木工モノ作り、正反対な感じがいいです。
これからもお互い 張り切ってモノ作りしていきましょう!
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