最前線の子育て論byはやし浩司(2)

子育て最前線で活躍する、お父さん、お母さんのためのBLOG

1/2  ゲーム中毒

2010-12-27 00:20:22 | 日記
*********************************
 彡彡人ミミ      彡彡彡彡彡
| ⌒ ⌒ |   MM ⌒ ⌒ MM
q 0―0 MMMMM ∩ ∩ MM m
(″ ▽ M ⌒ ⌒ M″ v ゛)/ ̄)
凸/Σ▽乃q ・ ・ p ̄Σ▽乃 ̄` /
\   /(″ ▽ ゛)\    厂 ̄偶
 ===○=======○====================
 子育て最前線の育児論byはやし浩司      12月   27日号
 ================================  
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━¬¬¬¬¬――――――――――――――
★★★★★★★★★★HTML版★★★★★★★★★★★
マガジンを、カラー版でお楽しみください。(↓)をクリック!

http://bwhayashi2.fc2web.com/page027.html
メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに
選ばれました!

【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

休みます。

【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●ネット中毒(TBS・News-i)」より

+++++++++++++++++

韓国内のネット中毒患者は、190万人。
悲惨な事件も、毎日のように起きている。
こうしたネット中毒患者のために、救済
施設まである。

かたや、この日本はどうか?
人口比からして、その約3倍の中毒患者
がいてもおかしくない。
約600万人?
そういった隠れ患者は、どこに消えてい
るのか。

まず、TBS-iの報道を紹介する・

+++++++++++++++++

**********以下、TBS-iより(2010-11-18)*******

いわゆる「インターネット中毒」が社会問題化している韓国で、ネットゲームをめぐって
14歳の少年が母親を殺害し、自らも命を絶つ事件が起きました。

 韓国警察によりますと、プサン市内のマンションの一室で16日、この部屋に住む女性
(43)が首を絞められて殺害されているのが見つかりました。

 女性の長男で中学3年生の少年(14)がベランダで首を吊って自殺していて、祖母に
宛てた遺書には「お母さんとケンカをして許されないことをした」などと書かれていまし
た。

 少年は学校を遅刻・欠席しがちなほどネットの戦闘ゲームにのめり込んでいて、事件の
前日にはそのことで母親と口論になっていたということです。

 韓国政府によると、韓国国内のネット中毒患者はおよそ190万人。今年3月には夫婦
そろって「育児ゲーム」にのめり込み、生後3か月の娘を餓死させる事件が起きるなど社
会問題化しています。

 さらにネット中毒の低年齢化も進んでいて、来年から予防対象を幼児にまで拡大するこ
とが決まっています。

**********以上、TBS-iより(2010-11-18)*******

●猛烈な攻撃

 この日本では、テレビ・ゲーム、あるいはネットゲームを批判しただけで、
猛烈な抗議の嵐にさらされる。
ボロクソに叩かれる。

私も11年前に『ポケモン・カルト』という本を書いた。
が、いまだに、それがつづいている。
興味のある人は、ためしに、「はやし浩司 ポケモンカルト」で検索をかけてみる
とよい。
いつも「トンデモ本」のトップにあげられている。
はげしい攻撃の文句もさることながら、どういう人たちが、私を攻撃しているか、
どうかそれも知ってほしい。

 が、問題は、このことだけではない。
「190万人」という数字である。
人口比からすれば、この日本では、600万人となる。
(日本の人口は、韓国の約3倍。)
そういう人たちは、今、どこで何をしているのか。
何を考えているのか。

 日本人だけが特別ということもないだろうし、韓国人だけが特別ということも
ないはず。
あの事件、つまり光性てんかん事件が起きたとき、全国で数百人の子どもたちが
倒れた。
テレビアニメの『ポケモン』を見ていた子どもたちである。

 あの事件で不思議なのは、(「謎」と言ってもよいが)、そのあとだれひとり、
当該テレビ局に対して、損害賠償、医療費を公(おおやけ)で請求した人が
いなかったこと。
裁判にもならなかった。
倒れた子どもたちは闇から闇へと、葬られた。
ついで、あの事件そのものも、闇から闇へと、葬られた。
いったいあの事件は、だれが、どのような形で幕を引いたのか?

 実は、今の今もそうである。

 数か月前、ある教材社から仕事の依頼があった。
私は引き受けるつもりで、用意していた。
が、そのちょうど1週間後、今度は断ってきた。
いわく「うちもS社(出版社)と取り引きがありまして……」と。
「S社を敵に回したら、仕事もできなくなります」とも。
つまり私が書いた『ポケモン・カルト』が、問題というわけである。

 ポケモンは、現在も全盛期。
それはそれで結構なこと。
それが問題というのではない。
私はこの世界は、何かがおかしいと書いている。
それがわからなければ、もう一度、冒頭のあげた記事を読みなおしてみてほしい。
日本の600万人は、どこに隠れているのか?
何をしているのか?

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 
BW はやし浩司 ポケモンカルト ポケモン・カルト 三一書房 ゲーム中毒 韓国)

(付記)

 この問題は、脳のCPU(中央演算装置)がからんでいる。
それだけに、やっかい。
やっかいというのは、中毒患者が自ら、それに気づくということは、まずありえない。
「私は正常」と思い込んでいる。
しかし正常ではない。
正常でないことは、彼らが書く(文章)を読んでみればわかる。
支離滅裂というか、感情をそのまま叩きつけている。
文章というよりも、「文」そのものになっていない。

 たとえば……

「お前の子ども……MMMM……ゲームと現実の区別、
ちゃんと、つくのかよ~~~~」(某サイト)と。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

2010年の4月に書いた原稿を
添付します。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●ゲーム脳(ゲーム中毒)

+++++++++++++++++++

この日本では、どうして「ゲーム脳」が
問題にならないのか。
「ゲーム脳」という言葉が悪いなら、
「ゲーム中毒」でもよい。

隣の韓国では、すでに10年以上も前から、
また最近では中国でも、「ゲーム中毒」の
若者たちが、問題になりつつある。
ゲーム中毒の子ども(若者も)を集めた
更正施設や、更正プログラムまで、用意
されている※。

が、この日本では、問題にならない。
「ゲーム脳」という言葉を使って、エッセーを
書いただけで、猛烈な抗議に嵐にさらされる。
ゲームの世界そのものが、カルト化している。
ゲームに日夜夢中になっている子ども(若者)は、
まさにその信者ということになる。

(ためしに、「はやし浩司」で検索してみるとよい。
私を、口汚く中傷しているサイトやBLOGがある。
そのほとんどが、ここでいう「信者」たちである。
私が書いた『ポケモンカルト』(三一書房)などは、
出版してから11年になるが、いまだに叩かれつづ
けている!)

が、日本人だけが特別ということは、ありえない。
日本人の脳みそだけが、韓国人や中国人と、構造が
ちがうということは、ありえない。
今の今も、この日本には、ゲーム中毒の子ども(若者)は、
いる。
日に、何時間も何時間も、ゲームに夢中になっている。
真夜中でも、ゲームに夢中になっている。
が、日本では、そういう子ども(若者)が、どういうわけか、
問題にならない。
考えてみれば、これほどおかしな話はない。

ここでは、別の角度から、「ゲーム脳」について
考えてみたい。

+++++++++++++++++++++++++

●まねる(観察学習)

 発達心理学の世界には、「観察学習」という言葉がある。
子どもは、教えられて学ぶことよりも、まわりを観察しながら、自ら学ぶことの
ほうが多い。
量的に、はるかに多い。
「学習効果」ということを考えるなら、またそのほうがはるかに効果的。

 たとえば以前、何かにつけ、ツッパリ始めた子ども(小5男児)がいた。
言動が粗野になり、独特の目つきで、独特の話し方で話すようになった。
「ウッセー」「コノヤロー」と。
紫の地に、金色の刺繍をほどこしたコートを着てきたこともあった。

 で、その子どもを、高校生の受験クラスに入れてみた。
高校生の間に座らせて、好きな勉強をさせてみた。
最初は、体をかたくしていたが、週を追うごとに、ぐんぐんと変化していった。
あとで聞いたら、高校生の中の1人を、自分の理想像のように思いようになったらしい。
その高校生は、野球部の部員だった。

その子どもは、日曜日など、こっそりとその試合の応援に出かけたりしていた。
家に帰っても、その高校生の話ばかりするようになった。

 これは観察学習というわけではないが、その子どもは、まわりの様子から、
多くのものを学んだことになる。
それは「学ぶ」という行為というよりは、「まねる」に近い。
その「まねる」という行為を、「モデリング」という。

●自己認識能力

 ものごとは常識で考えよう。
まだ判断力や自己管理能力がじゅうぶん育っていない子どもが、ゲームを相手に、
「殺せ!」「やっつけろ!」と叫んで、心によい影響を与えるはずがない。
こんな実験が知られている。

 ある一定時間、暴力映画を見せた子どもは、その直後、行動が暴力的になるという
(バンデュラ、ほか)。
多くの研究者が、同じような実験結果を報告しているので、今さら改めて説明する
までもない。
つまり子どもというのは、そのつど環境の中で、自分を作っていく。
作られていく。
それもそのはず。

 子どもが現実検証能力、つまり自分、あるいは自分と他者との関係、さらには自分の
置かれた立場を、客観的に判断できるようになるのは、小学3年生(9歳)以上。
それ以前の子どもには、その能力はない。
たとえば病院や図書館で騒いでいる幼児がいる。
そういう幼児に向かって、「静かにしなさい!」と叱っても、意味はない。
「騒いでいる」「迷惑をかけている」という意識そのものがない。
そういう行為がどういうものかさえ、わかっていない。
叱られたあと静かになるのは、こわいからそうしているだけ。

 つまり小学3年生(9歳)以前の子どもに、その判断能力はない。
判断能力がないというよりは、思考力が未熟。
だからこの時期の子どもは、理性や知性を使って「学ぶ」ことよりも、周囲を
観察し、それを「まねる」ことによって、自分の思考パターンや行動パターンを
形成していく。
それがモデリングということになる。

●疑わしきは罰する

 法律の世界では、『疑わしきは罰せず』という。
が、教育の世界では、『疑わしきは罰する』という。
なんでもあやしいものは、先手先手で、子どもの世界から遠ざける。
安全性が確認されるまで待っていたら、それこそ手遅れになってしまう。

 ゲームにしても、しかり。
もちろん中には、良質なソフトもある。
そういうものまで、ひとまとめにして、「反対!」と、私は言っているわけではない。
しかし良質なソフトにまぎれて、悪質なソフトがあるのも事実。
そういう悪質なソフトまで野放しにしては、いけない。
有害とは証明できないかもしれない。
しかし少なくとも、安全と証明されたわけでもない。
だったら、遠ざける。
それくらいの配慮というか、子どもの世界に対する思いやりは、あって当然の
ことではないか。

……と私は書いている。

●付記

 あるBLOGには、こうあった。
「(右脳教育を創始者の)SDも、(ゲームを批判する)はやし浩司も、
同じようなもの。
一度、この2人を、バトルさせてみたい」と。

 SD氏(2009年死去)は、ゲームは、右脳の刺激になると説いていた。
そのSD氏と私も、同じ、と。
しかし(右脳教育)と(ゲーム脳)とは、どこでどう結びつくのか。
その右脳教育にしても、安全が確認されたわけではない。
むしろ幼児期においては、左脳教育(論理と分析)こそ、重要。
そうでなくても、映像文化に発達とともに、あえて右脳を刺激しなくても、
子どもたちは、じゅうぶん過ぎるほどの刺激を受けている。
反対に、今、静かにものを考える子どもが少なくなった。

頭に飛来した情報を、ペラペラと口にする。
しかし中身がない。
薄っぺらい。
子どもたちの世界が、バラエティ番組化している。
「これでいいのか!」と叫んだところで、この話はおしまい。

【補記】

 私は、右脳教育には、懐疑的である。
10年以上も前から、そういう趣旨で、原稿を書いてきた。
その気持ちは、いささかもゆらいでいない。
「まちがっている」と言っているのではない。
「あえて必要ない」と言っている。
フォト化とか、直観像とか、いろいろ言われているが、安全が確認された
わけではない。
ある幼児教室の案内書には、こうあった。

「これからは、右脳教育を受けた子どもたちが、ゾロゾロと(東大の)
赤門をくぐることになるでしょう」と。

それから10年。
そろそろその結果が出ているはず。
もしSD氏とバトルするようなことがあれば、(天国なら天国でもよいが)、まず
そのあたりの資料を出してもらうところから始めたい。

(注※)

●ゲーム脳

+++++++++++++++++

「ゲーム脳」というのは、大脳生理学上の
問題ではない。
「現象」の問題である。
「大脳生理学上、ゲーム脳というのはない」と
説く学者もいる。
その世界では神格化され、「つぎつぎと商品企画
が、もちこまれている」(某雑誌)とか。

結構な話だが、こういう学者は、つぎのような
現象を、どう考えるのだろうか。
産経新聞をそのまま転載させてもらう。

+++++++++++++以下、産経新聞より++++++++++++++

【産経新聞・10-02-08】

『・・・世界最大となる3億3800万人のインターネット人口を抱える中国で、240
0万人の青少年がオンラインゲームやチャットにのめり込む(ネット中毒)に陥っている。
中国青少年インターネット協会が8日までに発表した調査結果で明らかになった。 

 中国のネット人口のうち3分の1は、19歳以下の青少年が占めている。6~29歳の
青少年7千人を対象に行われた調査結果によると、ネットに依存している青少年は200
7年の9・7%から14%に増加。「ネット中毒」が社会問題化し始めた05年ごろは40
0万人程度で、4年間で6倍に増えた計算だ。娯楽の少ない発展が遅れている地域に中毒
者が多いことも、特徴の一つに挙げられている。

 中毒を誘因している一番の原因はオンラインゲームだ。「ネットを通じて何をしている
か?」との問いに対し、47・9%が「ゲーム」と回答。2位の「アニメや映画、音楽の
ダウンロード」の23・2%、3位の「チャットで友達を作る」の13・2%を大きく引
き離した。

 中国では08年11月、人民解放軍北京軍区総医院が策定した「ネット中毒臨床診断基
準」を公表し、ネット中毒を「繰り返しネットを使用することで一種の精神障害をきたし
た状態」と定義付けた。今回の調査でも、ネット中毒になっていない人の66・5%は「他
人を殴るのは間違っている」と答えたのに対し、中毒者は48%にとどまった。

 国際情報紙、環球時報(英語版)によると、中国青少年精神保健センターの創設者は「ネ
ット中毒者の40%は、(不注意や衝動的な症状などが出る)注意欠陥・多動性障害といっ
た精神疾患にかかっている」と警鐘を鳴らしている』(以上、産経新聞)。

+++++++++++++以上、産経新聞より++++++++++++++

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 
BW はやし浩司 ゲーム脳 中国の現状 ゲーム中毒 ネット中毒者 障害 中国のネ
ット中毒者 ゲーム 疑わしきは罰する)


Hiroshi Hayashi++++++April.2010++++++はやし浩司
Hiroshi Hayashi++++Nov. 2010++++++はやし浩司・林浩司

【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●昼神温泉で……(昼神温泉記補足)

+++++++++++++++++

昼神温泉で、ひとりの老人(男性)と
知りあいになった。
時間的に、たまたま温泉内には、私たち
2人だけだった。
湯船につかりながら、いろいろな話をした。

+++++++++++++++++

●男性

 昨日書いた、「昼神温泉記」には、その男性は、「松本から来た」と書いたが、
実際には、「松本」ではなく、「塩尻(長野県)」だった。
記録として残すときは、できるだけ地名や職業は隠すことにしている。
もちろん実名は書かない。
しかしその男性は、塩尻から来ていた。
昼神温泉で一度温泉で体を休め、そのまま豊橋にいる弟の家に行くということだった。

「塩尻から昼神までは、3時間。昼神から豊橋までは、3時間」と。
その男性は、そう言った。
年齢は81歳と言った。

(この年齢も、先の「昼神温泉記」の中では、別の年齢を書いた。)
元国家公務員とか。
風格があるというか、深い知性を感ずる人だった。

●会話

 長野県といえば、……というか、そういう先入観だけで見てはいけない。
が、ほかよりは、古き良き日本をそのまま残した地方ということになる。
その長野県でも、「近所づきあいがなくなりました」と。

男「私が住んでいるあたりでも、独居老人がふえましたね」
私「長野でも、ですか?」
男「昔とちがって、近所づきあいが、なくなりました」
私「若い人たちは、どうしているのですか」
男「携帯とか、インターネットとか、そういうことばかりしていますね。それに若い人
たちは、今、どんどんと都会へ出て行きます」

私「独居老人ではなく、今では、無縁老人といいます」
男「そうですね。私も同年代の人たちとつきあっていますが、毎年、仲間が少なくなって
いきます」
私「お子さんは……?」
男「娘が1人、息子が1人です。娘は、Y原温泉の旅館に嫁いでいきました。息子は東京
へ出たきり、帰ってきません」
私「それじゃあ、温泉三昧ではないですか。うらやましい」
男「それがそうではないのです。娘の嫁ぎ先の親とは、結婚式の話しあいをして以来、
一度も会っていません」

私「一度も会っていない……?」
男「いろいろありましてね……」
私「……旅館経営の最大の問題点は、何ですか?」
男「人ですよ、人。人が集まりません。きつい仕事だし……。ほとんどが人材派遣会社
からの派遣社員です。しかしね、やっと仕事を覚えたと思ったら、またどこかへ行って
しまう……。この繰り返しで、旅館業も、今、たいへんですよ」

私「長野県というから、親戚づきあいも濃厚で、その分、人間関係も濃密かと思って
いました」
男「変わりましたね。時代が変わったのです。狂ったと言ったほうがいいかもしれません」
私「狂った? 同感ですね……」
男「原因は、私は年金制度にあると思うのです。年金制度」
私「はあ、年金制度、ですか?」
男「年金制度ができたおかげで、いい面もあるのですが、親子の関係が切れてしまいま
したね。親のめんどうをみるという若者が、いなくなりました。それで平気で都会へ
出て行くのです」

私「……しかし長野県も、驚くほど、さびれましたね。先日、飯田市に立ち寄ったの
ですが、ゴーストタウン化していたのには驚きました。町の中央を横切る、りんご並木
にしても、荒れ放題といった感じでした」
男「そうですね。仕事がありませんから……」
私「不景気なんですかね」
男「仕事がないのですよ、仕事が……。若い人たちを吸収する職場がない……」
私「そう言えば、この温泉街も立派な温泉が並んでいますが、観光客が少ないですね」
男「観光バスでやってきて、そのまままた、観光バスで帰っていく。こういう季節と
いうのに、外を散策する人がいない……」

私「浜松でも、郊外の村や小さな町では、寺がどんどんと無住の寺になっています。
檀家が少なくなって、住職さえ町へ出て行くのですね」
男「長野県でも、無縁仏がふえていますよ。それでね、大きな墓碑を建て、そこに
無縁仏をまつる寺がふえてきました」
私「須坂市では、布施も戒名料も、すべて一律に定額にしているという話を聞きましたが」
男「……フーン。それはたぶん、市営墓地か何かの話ではないですか。塩尻ではそういう
話は聞きません」

私「浜松でも、初盆をしない家がふえてきました。漁村でも、初盆をする家は、40%
くらいなか」
男「長野でも、葬儀を家でひっそりとする家がふえてきましたね。僧侶を呼び、読経だけ
してもらい、それで終わります」
私「東京あたりでは、直葬といって、病院からすぐ火葬場へ回し、遺灰にして家に帰す
という方式がふえているそうです。数年前の統計ですが、すでに30%を超えたとか」
男「自然葬ですね」
私「そうです。自然葬です。私たち夫婦も、そうなりそうです。それを望んでいるわけで
はありませんが、そうなりそうです」

男「原因は、何ですか」
私「私は、あの受験競争にあると確信しています。受験競争を経験すると、子どもたちが、
突然冷たくなります。人が変わるというか、数字だけでものを考えるようになります」
男「親はよかれと思って、子どもを受験競争に駆り立てるわけですが、逆効果ですな」
私「まったく、その通りです。子どもはそれによって、学費を出してもらうのは、当然と
考えるようになります」
男「親は、爪に灯をともしながら、学費を送るのですがね……」
私「親に感謝しながら、大学へ通っている子どもは、いませんね。出たら、ハイ、さよ
うなら、ですよ」

男「……たしかに狂っている」
私「たしかに、おかしいです。こんな社会ですから、老人はますます生きにくくなって
きました」
男「そう言えば、うちの息子もそうですが、彼らが言う『家族』には、親は含まれて
いませんね」
私「ははは、そうです。それこそまさに私の持論です。若い人たちが言う『家族』は、
自分たち夫婦と、子どもだけです。親は入っていません」
男「やはり、年金が悪いのですよ。年金制度が……」
私「ははは、そうは言っても、私の年金は、月額6万4000円程度です」
男「国民保険だけでは、きびしいね」と。

 たがいに愚痴を言いあった。
愚痴を言いあいながら、笑った。

コメントを投稿