ユニバーサルフロンティア理論より「宇宙に騾馬粒子は存在できない（２）」

・ファインマン自身の発想はどうだったのか

　実際に本人が間違っていたという可能性も高いということも言っておいたと思う,波動関数exp.iEtのうち時間変数を負にすることはエネルギーを負にすることにつながるとして,それなら,その波動関数の時間変動が現わす負エネルギーを元の波動関数に言わば「くり込んで」時間もエネルギーも両方ともが負だとしたら得られる質量（ここで等価原理を先に使って）が正だとしたら,マックスウェル方程式の時間反転は電荷の反転を伴うということもあいまって,だから「みろ負エネルギーでも時間を逆に飛んでおれば正質量の陽電子になるじゃないか」とばかりに,あの有名な"ファインマンスマイル"を振りまいて得意がるのだろう．その言葉をよく熟読吟味するならば,答えは自ずから浮かび出るのであって,それこそ「騾馬電子が時間反転した物が陽電子である」と自分で言っているのである．

それは,くり込み理論の大家らしい発想であり,そしてトリックであった,といった深い感情に浸らざるを得ない．

　波動関数の時間を反転させるということは「電子を時間逆行させる」ということだ．そのことによって負質量が導かれる負エネルギーが答えになるということは「時間を逆行しているから負エネルギーになる」わけです．こちらは「ほら正エネルギーの粒子が時間を逆に飛べば負エネルギーに観測されるのだろう」と問いたいです．それこそが,正しい波動関数exp.iEtの解釈であって,エネルギーが負値であるだけで時間を順行する存在（例えば騾馬電子）を最初に存在させるのは間違いだ,と分かるはずだ．

素粒子の騾馬状態とは単に負エネルギーではなくて必ず時間反転させられた存在だから仮の名だと言って良いでしょう．

　その宇宙に存在できない,なぜ存在できないかというと「電荷の正負に関わらず静電エネルギーは負にはならないから」なのだが,宇宙に存在できない時間を順行する騾馬電子という物を時間反転させた物が陽電子だというのは,こりゃ正に数学的処置に過ぎなくて,実態や実在を正しく記述する手段とは言えない．ファインマンは"小ずるくも"そうも言っている．その場合であっても「騾馬電子と陽電子とは数学的に異なるまったくの別物」だと結論するしかございません．

静電エネルギーの非負性を論じることによってディラックによる騾馬電子を否定できたのは我ながら手柄であった．


・騾馬粒子と騾馬反粒子という言葉から反粒子について

　さて,このような話であるから,こちらにも,言葉として"いうなれば"つまり"強いて言えば"という問題が浮かび上がってきました．宇宙には騾馬粒子も騾馬反粒子も存在しないのに,ついついファインマンン学派に合わせて「騾馬電子を時間反転させた物が陽電子」とか言ってしまうわけ．それと文章全体が捏ねくり回したようで非常に煩雑に感じられると思う．しかし,それはファインマンらが悪いのであって,当方は責任があるとは思っていない．数式だと,その昔の教授が計算ミスをした際に「ここのプラスはむしろマイナスである」とかやって,眼鏡を人差し指で押し上げ,口がさない学生どもを大いに楽しませてくれたものだ,などといった大学紛争当時の昔話と同じことが成立しているだけだ．

まだ私が間違いだと思うなら好きにすればいい,ひとつの数式（exp.iEt）の中の時間を逆にするだけで「ひとつの数式の時間とエネルギーの両方を逆にするのと同じ」というのは詭弁である．

　正エネルギーの素粒子を時間反転させれば負エネルギーとして観測される,それを素粒子そのものの属性が負エネルギーだということにしては根本的にイカンのであって,ファインマンというお人は,相対性理論や量子力学で鍛え方が足らずに,少しばかり古典的な発想で仕事をやり過ぎて,ただひとつ残ったリベラルな物理学としてくり込み理論の発想を流用してしまったのだろう．この論文中ではっきり述べ立てているとおりに「それは過ちのひとつ」ではなかったか．ファインマンの仕事を多く知るものほど,そして知れば知るほど,ファインマンの発想は古典的に過ぎたように察せられるのであった．私自身はそんなに多くを知らないが,ただ,なんとなく"一を聞いて十を知った"心地がする．

以上より,
反粒子は時間を順行しており
ファインマンダイヤグラムにおいて矢印の向きを逆に描くように決められているのは適切ではなく,

反粒子をも時間の矢印を同じ向きに描いた物は《ＵＦダイヤグラム》という別物であると主張します！

（研究途上だが,そこでは「仮想ゲージボソンは時間の矢印を逆に描くべきだ」という規則を設けたい・・）