葦葺きの小屋に昼寝の少女はも 暑き九月を美(うま)し夢見つ
(on the halfway from Ponom Penh to Siem Reap, Cambodia)
まさとし
カンボジアの首都プノンペンから、舗装された国道を一路北上し、
アンコールワットやアンコールトムのある Siem Reap に向かう。
途中、道端の田舎の食堂に寄り、昼食を摂った。バスで運んできた
和食弁当。飲み物が欲しくなり、私は別途、鶏スープを頼んだ。
3ドルで、熱くてうまかった。
トイレは食堂を出て、庭の奥の方にある。その帰りに、隅の方に
あった葦葺きの小屋に気が付いた。だれか昼寝をしている――。
起こさないように、息を殺して、そーっと近づいた。少女がひとり、
ハンモックを吊って眠っていた。すやすやと、気持ちよさそうに……。
カンボジアは、年中暑い。雨季と乾季があり、九月は雨季のはずだが、
「なぜか今年は雨が少ない」と、現地ガイドがぼやいていた。
降ってくれるときに降ってくれないと、暮しに差し支えるのだ。
酷暑の昼下がり、こんな葦葺きの小屋で、ハンモックを吊って昼寝
できる彼女は、なんて幸せなんだろうか!
いい夢をみてくださいね。じゃ、さようなら。