ぼんさい塾

ぼんさいノートと補遺に関する素材や注釈です.ミスが多いので初稿から1週間を経た重要な修正のみ最終更新日を残しています.

巡回符号 (5)

2011-12-09 17:17:04 | 暮らし
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                       [4-26] M系列の自己相関

#44: M系列

GF(2)上の多項式 x4 を原始多項式 x4 + x + 1 で割った有理式を級数に展開すると

     x4 / (x4 + x + 1) = 1 + x-3 + x-4 + x-6 + x-8 + x-9 + x-10 + x-11 + x-15 + ………

となり,右辺の級数の係数は長さ 24 - 1 = 15 の系列 100110101111000 の繰返しになります.この系列をM系列といいます.0, 1 を -1, 1 で置換したときの自己相関は上図のようになり(上図は n = 7),ランダム雑音に近いので擬似乱数として用いられています.

     x4 / (x4 + x + 1) = 1 / (1 + x-3 + x-4)

ですから,このM系列が循環する信号を, GF(2) 上の伝達関数が 1 / (1 + z-3 + z-4) である回路のインパルス応答とみることができます.巡回符号では符号多項式を考えるので,対応するz変換は両側z変換になりますが,sys.pdf では因果的なインパルス応答をもつ回路で考えます(信号は多項式でもよい).このM系列の1周期(のモニック多項式表示)を P(z) = z14 + z11 + …… + z3 とおくと

     1 / (1 + z-3 + z-4) = z-14 P(z) / (1 + z-15) = z-14 Σk P(z) z-15k

です.また,伝達関数  1 / (1 + z-3 + z-4) の回路に伝達関数 (1 + z-15) の回路を接続すると z-14 P(z) をインパルス応答とする回路になります.

補足:上記の級数の連続する4個の係数は計算途中の剰余もどき(線形帰還シフトレジスタの状態)を表しています.剰余もときが 0001 になった時点で循環が始まります. 100110101111000 を1ビットずつずらした4ビットのパターンに 0000 以外のすべてが含まれていることを確認してください.もちろん4ビットのパターンが表わす GF(216) の元の四則演算は原始多項式 x4 + x + 1 を法とする多項式の演算です.

[4-25] M系列 - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/M%E7%B3%BB%E5%88%97
  重要な応用として擬似乱数列の生成がある。
[4-26] M-series generator polynomials
  http://www.finetune.jp/~lyuka/technote/lfsr/lfsr.html
[4-27] M系列信号の性質と応用
  http://www.cqpub.co.jp/dwm/contents/0007/dwm000701150.pdf