「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

再興第90回院展(北九州展)

2006年02月18日 | 絵とやきもの
 
 先日、妹を小倉の入院先に見舞った帰途、90回院展に寄ってきました。
 やはり、展覧会は気持ちを集中させて、それを目的に出かけないと観ることがおろそかになるようです。

 特に今年は、例年に較べて71点と展示数が少ないように思いました。
1室の中央を占める平山郁夫の“楼蘭遺跡を行く(日)”“楼蘭遺跡を行く(月)”の大きな画面も、先年、奈良薬師寺の講堂の壁画としてみたときほどの感動はなく、平山藍ともいうべき青の絵の具の美しさには目を奪われますが、モチーフは遺跡を進む例の駱駝の列です。

 数が少ない分、ゆっくり見られたのですが、受賞作品では、同人ではなく一般応募の村岡貴美男の「植物園」が一番好きでした。白い蓮の葉、横向きの人物像、色調の柔らかさの中に、一抹のかげりを漂わせて、今の私にはぴったりきました・(上掲の写真)
 例年、異彩を放つ片岡珠子の作品がなかったことが、寂しい思いをつのらせました。院展は、技法は別にして、題材も、その表現への切り口も、あたらしさへの挑戦を試みる作品が少ないように思うのは素人の独断でしょうか。