「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

再興第90回院展(北九州展)

2006年02月18日 | 絵とやきもの
 
 先日、妹を小倉の入院先に見舞った帰途、90回院展に寄ってきました。
 やはり、展覧会は気持ちを集中させて、それを目的に出かけないと観ることがおろそかになるようです。

 特に今年は、例年に較べて71点と展示数が少ないように思いました。
1室の中央を占める平山郁夫の“楼蘭遺跡を行く(日)”“楼蘭遺跡を行く(月)”の大きな画面も、先年、奈良薬師寺の講堂の壁画としてみたときほどの感動はなく、平山藍ともいうべき青の絵の具の美しさには目を奪われますが、モチーフは遺跡を進む例の駱駝の列です。

 数が少ない分、ゆっくり見られたのですが、受賞作品では、同人ではなく一般応募の村岡貴美男の「植物園」が一番好きでした。白い蓮の葉、横向きの人物像、色調の柔らかさの中に、一抹のかげりを漂わせて、今の私にはぴったりきました・(上掲の写真)
 例年、異彩を放つ片岡珠子の作品がなかったことが、寂しい思いをつのらせました。院展は、技法は別にして、題材も、その表現への切り口も、あたらしさへの挑戦を試みる作品が少ないように思うのは素人の独断でしょうか。


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4 コメント

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ホー ホケキョ (R.H)
2006-02-19 11:18:22
 また、お詫びしなければなりません。Boa ! さんの心境も顧みず、無理にメッセージを引き出してしまったようです。自身を省みなければなりません。私は逆に、村岡の「植物園」の朱が気に入らず、植物園としては『ツライなぁ』と観ていました。これは私の心境です。仰るように、院展はいつも落ち着いて観られる反面、変化は少ないようです。やはり若手が大きく飛び抜けるほどの力を発揮することで、歩みが進むのでしょう。

 さて、もう一人へもお詫びです。「ホー キケョ!」という声が聞こえたのです。あちらでも「ヨー ヨクキケョ!」。そういえば昨日も「モ~ ナイタョ!」と聞こえたのですが、一度きりのことだったので空耳かと思いました。この寒さにもかかわらず、健気に、律儀に、春を告げていたのです。私が耳にしなかっただけで、自然は確実に歩みを進めています。
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梅が咲きました (boa !)
2006-02-20 12:34:13
 鶯の声に誘われて、梅が咲きました。

3本の老木のうち、2本の枝に23輪づつ遠慮がちにそっと花開いています。

 小鳥たちの訪れはまだのようですが、私が気付かないだけなのでしょう。



 思い当たる原因もなく、腰を痛めて、只今安静中です。

 

 院展のご感想、ごもっともです。厳島神社の雪の朝は、いかがご覧になりましたか。

 後ろの山の表現にみとれましたが。
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慈しむ森 (R.H)
2006-02-21 00:28:44
 痛めた腰を慈しんでお大事に。いつもの癖で、最初じっくり、中パッパ、その後流して、最後はバテる、ような見方をして、一点、一点をじっくりと見る根気と余裕がないので、見落とす作品も数知れず。ご指摘の雪の厳島は、あまり記憶に残っていませんでした。確か、朧な前景の海と白く化粧した背景の森の中に社が描かれていたと記憶しています。そこで、調べてみたのですが、この絵を今期展唯一の収穫と評価したブログを見つけました。なかなか簡潔な描写で好感の持てるところです。一度お訪ねになってはいかがでしょう。

 http://blogs.dion.ne.jp/strauss/ 風の便り:雑感 今年1月9日付の「院展 岡山」です。
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風の便り (boa !)
2006-02-21 16:47:27
 ご紹介ありがとうございました。

早速訪問しました。素敵な感性の方で、趣味も、嗜好も近いのが嬉しいことです。



 厳島の雪の朝、これぞ日本画といった端正な絵でした。厳かな詩情が感じられました。絵は、RHさんのご記憶の通りです。

 「調べてみ」る方法を今度教えてください。埋もれている未知の情感豊かなブログに巡りあうことはパソコンの運ぶ幸せです。

 
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