竹林の愚人  WAREHOUSE

Doblogで綴っていたものを納めています。

マニラ好き

2007-06-24 00:31:48 | BOOKS
日名子 暁 「マニラ好き」 太田出版 2007.05.24. 

60年代にアジアでも有数の経済成長国であったフィリピンは、その後マルコス独裁が続き、戒厳令を施行して国内体制固めにエネルギーを集中して、自国の産業は停滞。そこで国民に海外出稼ぎを勧める始末。以降、今日まで政権は代わってもフィリピン経済は低迷を続け、国民の海外出稼ぎに頼らざるを得ない状態で、フィリピンの人口約8,500万人のうち1割弱に当たる男女800万人が、海外へ出稼ぎに出ていて、その送金額も100億ドルを超えている。 出稼ぎ先は「男はアラブ、女は日本」と、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、そして日本である。約20年間も続いた「興行ビザ」の時代に約100万人のフィリピーナが来日している。フィリピンにおける家族の絆は強固で、日本に出稼ぎに行くフィリピーナの稼ぎに残った家族は依存し、当人も当たり前と受け止める。 「ノー・マネー。ノー・ハニー」ではあるが、相手の国籍、出自、職業、年齢にまったく偏見を持たないフィリピーナと恋愛関係になりたいと、日本から年間約42万人(06年)がフィリピンを訪れている。フィリピーナを買うのなら、マニラならエドサコンプレックス、エルミタゾーン、パサイゾーンに行きさえすれば願いが叶う。ところがここ10年来、フィリピーナにハマっている日本のお父さん、お兄さんは、恋愛の延長線上として「結婚」まで考えている。フィリピーナをめぐる状況は、「買春」から「結婚」へと大きく流れが変わってきた。ちなみに、国際結婚カップルで最も多いのが日本人と中国人の組み合わせで13,019件(04年、国際結婚全体の33%)で、第2位が日本とフィリピンのカップルで8,517件(21・6%)。興行ビザの取得が困難となり、日本人との「偽装結婚」で来日という例も多く、またなまじ経済格差があるだけにファミリーが登場すると二人の間がこじれ、離婚率は約33%と、カップルの3組に1組強が離婚している。正式には結婚していないが日本人男性がマニラに通うという形式の、統計には表れない内縁関係も多い。 しじゅう自然災害が起きる上に保険金殺人、泥棒など治安が悪く、“アジアのゴミ溜め”といわれるほどにどうしようもない国ではあるが、地価は格安であり、日本では信じられないような自然に恵まれたリゾート物件が日本価格の10分の1で入手できる。さらに運転手、メイド付きの生活も夢ではなく、リタイヤ後の暮らしの場としても魅力的である。