竹林の愚人  WAREHOUSE

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ニッポン・サバイバル

2007-06-04 06:12:09 | BOOKS
姜尚中 ニッポン・サバイバル 不確かな時代を生き抜く10のヒント 集英社新書 2007.02.21.

1974年、当時の田中角栄首相が東南アジアを訪問したとき、タイ、インドネシア、マレーシアで反日運動が一挙に広がりました。メディアではほとんど報道されなかったが、デモ隊が火炎瓶を投げつけたりして中国よりもひどかった。 
この反日感情の根底には、アジアで残虐なことをした日本が戦争に負けたのに豊かで、自分たちが貧しいのはどこかへンだという気持ちが潜在的にあります。 
第二次世界大戦で、日本人には「アメリカに負けた」と思っても、「中国に負けた」という意識はない。でも、中国にとっては抗日戦争を勝ちぬき、人民解放闘争をしてきた自分たちが勝者だという意識です。ところが現状はというと、急ピッチで経済改革が進んでいるとはいえ、中国ブランドはまだまだ世界で通用しない。電化製品の中身は中国で作っているのにメイド・イン・ジャパンとして世に送り出され、日本ブランドの下請けだ。そういう被害者意識や鬱屈した気持ちが、とくにインテリ層の中にある。 
後10年くらいすれば、中国ブランドもっと世界に浸透して、ブランドカが均衡してくるはず。そうすれば反日的な動きはまた変わってくると思われ、今はまさにその過渡期です。実は中国経済の活況のおかげで株式が持ち直してマイナス成長にならずにすんでいる面があります。なにより中国のおかげで、日本とアメリカの貿易摩擦が避けられています。中国という緩衝国がなければ、80年代のジャパンバッシングの再来でした。 
国同士の関係はささくれだっていても、今、韓流がいい例でアジアでは文化的な交流は盛んです。ただ、日本の人たちは、やっぱり過去の歴史を知らなすぎる。これは日本に住むアジアからの留学生やビジネスマンの多くが感じていることです。
知らないことで過去の失敗を繰り返すこともあり、最低限のことは知っておかないといけない。