いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

怪しい彼女

2016年02月12日 | 韓国映画
※追記でグダグダ書きましたが、日本版リメイクも素晴らしい模様です。
関係者各位、観る前にウダウダ言いましてすみません。2016年4月1日 日本版劇場公開!


公開当時から気にはなっていたんですが、
正直、大画面で観たいかと言われれば、そこまでの気力はなく……。

軟弱なわたくし、DVDで鑑賞いたしました。

だって、多部未華子ちゃん主演でリメイク進行中なんですよ?!
わ~、楽しみ。
リメイクは本家を超えられるのか?
なんだかんだ気になりますよね。
先に本家本元を鑑賞させていただきましょ。


《あらすじ》

女手ひとつで苦労して、ひとり息子を育てあげたマルスンばあちゃん。
70才を超えているのに、とにかく元気でしかも意地悪。
毒舌・暴力・おせっかい。
そんなおばあちゃんがある出来事をきっかけに、
突然20才に若返っちゃってもう大変!
これがほんとの第二の人生。
思い切って、やりなおしちゃう?!


キャッチコピーの、「突然、ハタチ」ってのが秀逸コピーです。
この映画については、あまり詳しくあらすじを書くのも無粋というもの。
ええっ?どーなっちゃうの?とワクワクしながら、楽しんでください。

「ハウルの動く城」で、突然おばあちゃんになってしまった女の子を
受け入れて楽しんだみなさんは、
どんな風にこの映画をお楽しみになるでしょうか。
逆パターンだもんね。ふふふ、面白いですよ。

いや、ほんとに、笑って泣けて、心が温かくなるいい映画でした~。

日本版リメイクが、「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」水田監督というのは、
すごくぴったりじゃないでしょうか。

映画は、基本的に大きな事件はなく進んでいきます。
だっておばあちゃんがいきなり20才になっちゃったこと自体がすごい事件ですから、
それにまつわるおばあちゃんの日常の変化がドラマになっていくんですね。

物語の芯になるのが、孫のバンド活動。
若い頃は歌もうまくて顔もスタイルも良かったおばあちゃんが、
メタルバンドで身を立てようとしている孫息子のために一肌脱ぐことになります。

見た目はハタチですけど、中身は70才のおばあちゃんなので
ジェネレーションギャップがすごくって。
それを上手に演じるのがシム・ウンギョンなんですよ。
いやもう、本気でおばあちゃんに見えるもんねぇ。

私が彼女を初めて観たのはドラマ「赤と黒」(原題:悪い男)
ヒロインの妹役でね、キム・ナムギルさんといい絡みをしてました。
うまい子だなぁ、と気になってはいたのですが、こんなところでまた会えるとは!
嬉しい限りです。

ドラマ展開はべたです。
ええっ?まさかっ?!みたいな展開はない。
それこそ王道。
だが、そこがイイ。

大画面で観なくてもまぁいいか、というのは正直あたってました。
あ、いや、そうでもないかな……。
大画面で観てたらまた別の感動があったような気がするな。

大画面ってういより、やっぱ映画館で観て、観客みんなで笑ったり、
ほっとしたり、なんかいい気持ちを共有できた感を味わいたかった気がする。
そういうタイプのいい映画でした。

長々とあれでしたが、以下ネタバレですので、
視聴前の方はご遠慮くださいね。





いろいろあんだけど、やっぱ韓国映画だなーと思わされたのが、
孫息子交通事故のくだり。

みんなあの瞬間、「ああっ!」って言ったでしょ?
思わず声出たでしょ?

もー、満員の映画館で「ああっ!」って言いたかったよ、わたしも。

憧れのステージに立てるチャンス。
でも孫息子はなかなか現れない。
楽器店に寄っていて、渋滞に巻き込まれちゃったんですね。
仕方なく、レンタル自転車でかっ飛ばす孫息子。
車がびゅんびゅん走ってる道路をすいすい走っていく。
観客はもう、目を覆わんばかり。
もう絶対ここで事故に合うにきまってるじゃん……!

ところが、間一髪ですり抜けて、彼はスイ~っと裏通りへ。
あ、大丈夫だったんだ……と観客がほっと一息つこうとした瞬間に、

横から出てきたトラックにバーン!

この無慈悲さよ……。

これが韓国映画だ!

容赦ないもんな、フっ飛ばされ方が。

「ああっ!」って吸い込み気味に言ったあと、大笑いしちゃったもん。

で、このあとのおばあちゃんの選択がまたいいんだ。
孫息子のところに駆けつけよう、なんて言わない。
それよりも、今いるメンバーだけでもこのステージに上がろう!っていうんだよね。
そして「さいっこうだったよ!」って伝えてやろうって。

ただこのあとが、この映画の唯一残念なとこなんだよねぇ~。

大盛り上がりになるはずのセミクライマックス、
大きなステージで孫息子の作った曲を歌うオ・ドゥリが
全然よくない。
やっぱり、コーヒーショップで歌ったあの曲、
プロデューサーに一目ぼれされたあの曲にはどうしても劣る印象。

あれっ?こんなもんなの?と思っちゃう。

楽曲がよくないのかなぁ……。
今っぽいけど軽いからさ。
役者さんに歌手級の歌声を期待しちゃいかんと思うけど、
もうちょっとガツンとくるソウルフルな歌声が聴きたかった。

さきほどセミクライマックスなどと勝手な造語で書きましたが、
そう書いたのにはわけがあるわけで。
このステージの後で、本当のクライマックスがやってくるわけですよ。

どうせなら、富士山級のクライマックスをどかんどかんとふた山持ってきてほしかった。
最初から最後までクライマックスだぜ!とばかりに
ぶち込んでほしかったです、残念。

んん、とはいえ、結局オ・ドゥリの中身はオ・マルスンなんですよね。
だから、彼女の持ち歌というか得意曲は、
自分の青春時代に流行ったような歌か、
実人生を重ねられるようなスローテンポの深みがある楽曲。
それこそ彼女の良さを最大限に引き出す曲なわけで。

「君のはオ・ドゥリに合わせた曲ばっかりだ」と言われた孫息子ジハが
書いた曲は、現代の、彼自身の曲なわけですから、
中身はおばあちゃんのドゥリがステキに歌い上げるにはミスマッチなのかも。

そういう演出意図を込めて、ちょっといまいちな仕上がりなのかも。

ラストシーンでお姉ちゃんが歌ってたバージョンの方が良かったですからね。

そのかわり、中盤のテレビ出演で歌った曲「白い蝶」は圧巻。
おばあちゃんの半生が映像として差し込まれ、本当に心に響く歌だった。
ドゥリも歌い終わったあと涙がこぼれて、
自分でも驚いてるみたいだったものねぇ……。

いやもうほんと、日本版では何歌わす気なんだろ?
今から気になってしょうが無いわ。


この後、万雷の拍手の中で少しだけ笑顔になる一瞬がいい。


さて、わたくしが勝手に真のクライマックス認定したのは例のアレ。
オ・ドゥリの正体を看破した息子が、
自分の子の命をかえりみず、お母さんはお母さんの人生を生きてください、と
訴えるシーンであります。

自分の子が先に死ぬなんてことはどんな拷問よりつらい。
それでも、自分の息子は自分が必ず助けるから。
お母さんがそうして自分を助けてくれたように、
親の自分が必死でなんとかするから、お母さんはお母さんの人生を生きてください。

息子「ニギレ」のその静かな言葉に、私は望陀の涙を流したのでした。
激しいセリフのやりとりじゃないところがまたいいんだ。
静かに、少し微笑みながらなんだよ、このシーン!

おばあちゃんは、その一言で救われる。
苦労ばかりした人生だったけれど、
思い通りの楽しい人生ではなかったけれど、
それでもこれが、自分自身の人生だったのだ、と
おばあちゃんはあらためて気づいたんだよねぇ~。

それがなくても、孫息子を見殺しには出来ないしなぁ。

でも、あの息子のおかげで、なんの未練もなく、
おばあちゃんはおばあちゃんに戻ることが出来たと思うんだ。

なんかもう、自分がおばあちゃん寄りの年齢になったからか、
涙が止まんなかった。
あんなに苦労した人が、生き直しの奇跡をきっぱり手放すんだ……。
自分みたいに恵まれた環境で好き勝手生きられたはずの人間が、
「後悔してる。20歳に戻って人生やり直したい」なんて言っちゃあ、
バチがあたるってもんだよ……。

だってあなた!
あんな素敵な恋をあきらめて、おばあちゃんにもどらなきゃいけないんだよ?
うわーーーん!ホントにつらいよ~。
自分だったらあきらめたくない~!


ちょっと古風な顔立ちのいい男。そして紳士なキッス。キャー!

でもおばあちゃんはあきらめる。

息子のために、孫のために。
自分自身を、肯定するために。
「あたしの人生、そんなに捨てたもんじゃなかったよ」って
笑顔で言うために。


大画面で観なくてもよかったけど、
もし観てたら別の感動があったかも、と書いたのは理由があって。

この映画、役者のアップがすごくいいんですよ~。

半地下孫息子が、オ・ドゥリをボーカルにしようと口説くシーン。

オ・ドゥリが恋をあきらめるシーン。

これ、大画面で観てたらもっとグッときたかもしれません。

ん?と思うほどアップになるんだけど、
本当にいい表情なのでね。演出として好きです。


この子がまたいい顔するんですよ。カワイイ!

しかしながら途中から、オ・ドゥリがキレイなイモトアヤコに見えてきて困りました。
ちょっとずうずうしいコミカルな演技がほんとに素晴らしいですね。
「あんた本当は若い女の子でしょ」と感じるシーンがひとつもない。
どれもこれも、一度おばあちゃんフィルターを通してる仕草に見えるのです。
「演じる」ってことは、こういうことなんだ、と、
別次元でも感動。

体はすっかり若い娘なんだけど、染みついた姿勢や仕草が変わらない。
がに股気味の歩き方、立ち上がる時のゆっくりした動作。
少し猫背な姿勢が、恋をするうちにみるみる若い女性のそれに
変化していく様子が感動的でした。

「中身入れ替わっちゃいました」系の演技する若い役者はよく観とけよ!
外殻を捨てるんだ!意識の底から!


そしてそして、ラストのサプライズに大拍手~。
もう映画館だったらヒューヒュー!って指笛の音が飛び交い、
大画面にポップコーンカップが投げられてもおかしくない爽快さ。

だって、今までおばあちゃんに尽くして尽くして、
尽くし続けてきたアジョッシが、
キム・スヒョンになっておばあちゃんを迎えに来ちゃうんですよ~?!

オットッケ~!!!!!

おばあちゃんが新しい恋にときめいたのとは真逆に、
恋し続けた憧れのお嬢さんを迎えに……
カッコイイ~!!!!

しかしこんないい男に、現役時代なぜなびかなかったか、ハルモニ。

日本版では誰になるのか、それも楽しみ。
宣伝部さん、そこは絶対に公開まで極秘扱いでお願いします。

オ・ドゥリの正体がだんだんバレていく過程もいいし、
魔法が解けてしまうギミックも素晴らしい。

なんだかんだで3回観たが、毎回同じシーンで泣いてしまうわけです。

もう、韓国映画に興味がない方々も、
ぜひぜひリメイク版を期に、ご覧になっていただければと思います。
最高のコメディ映画ですよ。





【追記】

今調べたら、日本版の追加キャストが発表になっていました。
小林聡美さんか~。
ということは、母と息子じゃなくて、母と娘の物語になるんだ……。
う~ん、テイストがだいぶん変わりそうだな。

母は息子に「立派になってほしい」と単純に望むんだけど、
娘にはもっと複雑な心境になっちゃうものだと思うからさ。
脚本家さん誰なんかな~。


【追記2】

韓国版は、マルスンばあちゃんが地味なばあちゃんだ、ってのがいいわけ。
嫁も適度に不細工なのがいいわけ。
フツーにありそうな家なのがいいわけ。
オ・ドゥリ役のシム・ウンギョンが実際に20歳そこそこなのがいいわけ。
映画業界もテレビ業界も、役者が勝手に育ってくることを期待してたら
もうダメなんじゃないの。
「容姿がよくなきゃ役者になれない」なんてすり込まれちゃったら、
若い人で役者目指そうって人がどんどん少なくなっちゃう気がするよ。
菅井きんさんみたいな女優さん、もういないの?


【追記3】

オ・ドゥリがプロデューサーに差し出したのは、ハッカ飴かなぁ。
ドラマ「魔王」でも、お母さんの思い出がハッカ飴だった。
大阪のおばちゃんが飴ちゃんくれるのとおんなじ感じだね。

赤ちゃんのおちんちんを食べる真似するのは、
幼児のおちんちんの隠語が「コチュ(唐辛子)」だからです。
お母さん、めちゃイヤな顔してましたね。

「乳が薄い」って若いお母さんに言ってたデリカシーのないマルスンばあちゃんですが、
きっと自分だって栄養不足で乳が薄かったはず。
そしておんなじように、周りの人に言われてたはず。
そしてきっと自らのふがいなさに、息子への申し訳なさに泣いたはず……。
そのくせ、そんなこと忘れて「乳が薄いんだよ、アイゴー」とか言ってる
おばあちゃんのこと、キライじゃないです。


【追記最終】

記事をアップするタイミングで日本版の予告編を観たんだけどさ。
なんかいろいろ残念な感じ。
おばあちゃんがやってた特徴的な仕草(股間をつかむ?)を
そのまま多部未華子ちゃんにコピーさせるなんて、
彼女の演技力を馬鹿にしすぎじゃないのか。
そんなあからさまにしなくても……。

でも曲は良さそうだよね!
(などとフォローしてみた)
リメイク版は別物として楽しめばいいのかな、と思いました。


【追記ホントに最終】2016/02/19

カゲヒナタのレビュー 

私も大好き上記の超有名映画レビューサイトさまより誘導されて読みました日本版レビュー。

Cinema A La Cult 「あやしい彼女」感想、ただただ感無量

こちらを読ませていただきますと、日本版も本当に素晴らしく出来上がっている模様。
観ねば!と思いました。
観る前にいろいろうるさく言いましてすいません……。


おわり


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5 コメント

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楽しめる映画でしたね (ましこ)
2016-02-12 19:49:12
こんにちは^_^

見てからしばらく経つので細部は忘れてましたが、孫息子がトラックにぶつかって空を舞うシーンを思い出しました。ストーリーとは別の次元で衝撃的。
そうでした。最後、キム・スヒョンにもやられました!

おかげさまで、視聴時の気分を再体験することができます。
これからも楽しみにしています。

ところで主演の彼女とは「赤と黒」の前に「ファン・ジニ」で出会っているのでは?子役ちゃんですよ。
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爽やか映画でした (ビスコ)
2016-02-13 00:01:13
ましこさんこんにちは~!
ご覧になっていましたか、この映画。
本当に楽しい映画でしたね。
ほのかなロマンスあり、歌あり、笑いあり、涙あり。

細部が楽しい映画ですので、わたしも記事を書く前に観なおしました。
詳しくあらすじ書いていませんが、
楽しんで読んでいただけて嬉しいです。

シム・ウンギョンがあのファン・ジニの?
あの強情っ張りの小さなジニですか!
あー、全然意識してなかったです。そうかそうか~。
「王になった男」の女官役は覚えてたんですけどねぇ。
大きくなったな~。


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初めまして (みやこ)
2016-02-13 10:24:38
初めてコメントさせていただきます。
私、この映画を劇場で見ました。
公開日からしばらく経っていたので、満席というわけではなかったですが、劇場内一緒にドッと笑ったりする感覚、楽しかったです。

「太王四神記」はご覧になりましたか?
シム・ウンギョンが、イ・ジアの少女時代を演じていますよ。

中国や日本だけでなく、ベトナムでもリメイクされ、今年の大阪アジアン映画祭では「ベトナムの怪しい彼女」として上映される予定。
見に行こうかどうか、ちょっと迷っています。

ではまた遊びに来させていただきますねm(_ _)m
返信する
ベトナムでも! (ビスコ)
2016-02-13 12:59:02
初めまして、こんにちは、みやこさん。
コメント頂けて嬉しいです。ありがとうございます!

映画館でご覧になったとのことで、うらやましい気持ちです。
ドゥリが歌うシーンは、自分が観客になった気分になれるんじゃないかなぁ。
楽しさを共有できて、よかったですね!

「太王四神記」は、リアル放送時に3話くらいまで観ました。
ヨンさまの恋する女性があまり好きになれなくて挫折してしまったのです。
でも、ライバル関係にある王子?がすごくいいよ!と友人もすすめるので
観てみたいですね~。シム・ウンギョンも出ているなら……。

映画はベトナムでもリメイクされたんですか!
同じアジアでも、価値観は微妙に違うし、時代背景も異なるので、
それをどう題材として生かしているかは気になりますね。
日本で、母と娘の物語にしたのは、今、そういう物語が必要とされているからなのかもしれません。

大阪アジアン映画祭 http://www.oaff.jp/2016/ja/index.html
3/4~13 開催

興味深い情報ありがとうございました!
パワフルな大阪の地でアジアン映画祭って盛り上がるでしょうね~。
もし観に行かれたら、ぜひまた感想を教えてください!

もちろん行かれなくても、またブログに遊びに来てくださいね。
ありがとうございました。

返信する
ベトナムで大ヒット (ビスコ)
2016-02-13 23:54:39
ええっと、追加情報です。
ツイッターでつぶやいたら、大阪アジアン映画祭のアカウントから情報を頂きました。

ベトナムリメイク板は、

ベトナムで「スター・ウォーズ」を抑え大ヒットした作品。ちなみにスターウォーズが1位を取れなかったのは韓国とベトナムのみ。

だそうですよ。すごいな~。
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