いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

オールドボーイ

2015年01月26日 | 韓国映画
昨晩、韓国映画「青い塩」を観て感想を書いたあと、
なんかこのノリだったら「オールドボーイ」観れんじゃね?
という気になったので、視聴いたしました。

いやー、いつか観たいと思っていたんだけど、
エグイだの、残酷描写がひどいだの、
さんざん脅かされてたんで機会をうかがっていたんですわ。
「親切なクムジャさん」先に観ちゃってびびってたしね。

そんな感じでまた真夜中の視聴です。
映画は静かな深夜に限るな!


〈あらすじ〉

ある雨の日、娘の誕生日プレゼントを置いて失踪したオ・デス。
それは彼の意志ではなく、何者かの計画だった。
拉致監禁され15年の月日がたった時、突然彼は解放される。
「なぜ、自分は監禁されなければならなかったのか?」
テスの復讐が始まる。



んじゃ、終わってほやほやの感想をネタバレなしで書いておきますね。

ふつーに観れたし。

んー、なんだか脅かされすぎてたかなぁ。
なんにも知らずに観た「親切なクムジャさん」のほうがインパクトはすごかった。
監督の復讐三部作の中で最高傑作と名高い本作は、
ちゃんとふつーに観れたです。

内容はえぐい、えぐいよ?
でも暴力描写とかいってもそんなギャー!ってほどじゃないから、
ドキドキしている人は心配しないでね。
ほら、自分の痛みは3秒でも耐えられないけど、
人の痛みは3年でも我慢できるって言うじゃない。
そんな感じだから。
それよっか、復讐の内容がですね、えぐさ炸裂です。

感想としては……ですね、
なんかもう、言いようがないというか。
言葉にすると陳腐なことしか言えないんですけども。

ふたりの男、それぞれの「復讐」を描いたこの作品で、
彼らの愛だとか、憎悪だとか、苦しみだとか、無音の絶叫だとかの
奔流に流されて流されて、今たどり着いた忘我の岸部、って感じです。

今忘我だな。直後だし。
もしかしてもうすこしすると熟成されてくんのかもしれない。

流されて流されてっていうのが素直な感覚。
本当はもっと、別の感じを期待してた。
男たちの生暖かい臓腑に包み込まれるような生々しさや、
ヌメっとドロッとした感覚が来るかなーって。
しかし、意外や意外。
乾いた映画だなーとわたしは思ったのでした。

う~ん、これはもしかして男性と女性では感じ方が違うんじゃないだろうか?
とも思う。
主人公が女性である「クムジャさん」に、より強い印象を持ったのは、
先入観のない初見であったことだけが関係しているのではなく、
わたしが女性だから、って理由があるのかもしれないね。

どっちも同じ監督(男性)が撮ってるんだし、それも意味ない気もするけど。

乾いてるな、って印象は、わたしの立ち位置に起因するのかも。

では、以下ネタバレしつつもう少し感想を書きます。







これってさぁ、

ジテの逆恨みじゃないか!ヒドス!

なんかそもそもの原因についてそう思っちゃって、
それが入り込めない理由なのかも。
大事な人を噂のせいで死なせてしまって、
恨む気持ちとか、自分への怒りとか、
その後の人生は復讐だけを支えに生きるしかない、とか、
ジテの陥っちゃった狂気についても
わからなくはないんだけどさー。
こいつ頭おかしいよ!ぎゃー!



ここまで書いて寝落ちしてしまった。
さぁ一日たって仕切り直しだぜ!

で、どうだよ「オールドボーイ」?

やっぱおもしろいよねぇぇぇぇ。

なんか乾いてた、という感想は変わらないけどね。
いつもいつも映画の中にどっぷりと飲み込まれなきゃいけないのか?と言えば、
そーゆーわけじゃないし、
誰かに感情移入しないと観れないわけじゃないし、
観るタイミングってのもあるし、
今回は「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」って感じじゃなかったというだけのこってす。

なぜかわからないけど途中でふと思っちゃったんだよ。
ミドはおじさんの娘なんじゃないかって。
でも、娘の住所の話をフツーにしてたしな、と思い出して否定した。
ただそんなことがあったので、最後のところで「ああ、やっぱりそうなんだ」と。
晴天の霹靂、ではなかったんだよな。

これは別に「気付いちゃった俺スゲー」とかそういうことじゃなくて、
自分でもなんだかわからない。
一瞬、どこかでネタバレ読んだんだっけ?と疑ってしまった。

思うに、
おじさんを15年も監禁して、わざわざ恨みを熟成させてから解放した犯人。
そのうえ、自分に迫ってくるようにわざわざ誘導している犯人に、
相当えぐいものを感じたんじゃないかな。
こんなえげつないことをする犯人が望む復讐って、
ものすごくドロドロしたえげつないことなんじゃないだろうか?
おじさんが思わず自殺してしまいそうになるくらい、恐ろしいことなんじゃないだろうか?

そういう想像が誘発した「気付き」だったのかもしれない。
誰かに用意されていたようなミドへの疑惑もあったし、
「セックスする合図を歌にするね、それを歌ったら、わたしが泣こうが叫ぼうが犯してね」
というミドの話が、催眠誘導を暗示させるものであったからかも。

このへんはたぶん「気付かないまでもなんらかの違和感を感じる」という
作業を観客に求めていたんじゃないか、という気がする。
監督の意図として。

おじさんは解放された後、すっごいバイオレンスな人としてめちゃくちゃやっていくわけだが、
それは15年もの監禁のせいだろうと思っていた。
だから、彼の過去をみたときにはだいぶ驚いた。
結構な女をコマしている、ちょっと不良な男の子だったのだ。
しかも頭の悪そうな腕っ節の強そうな、ちょっと愛嬌のあるワルなんである。
頭が悪いので、そのあと何がおこるかは想像できないままに、
近親相姦について友達にしゃべっちゃう。
おじさん、もうちょっと頭がよくてナイーブな不良だったらこんな目に合わずにすんだのにな。

ユ・ジテの復讐は、やっぱひどい。
姉を追いつめたのは、おじさんじゃないんだもん。
実際に彼女を追いつめたのは、世間じゃん。
そして自分たちじゃん。
おじさんは別に「近親相姦なんてあいつらキモッ!」っていったわけじゃない。
嫌悪したり、悪意を持って噂をひろめたわけじゃない。
ただ、頭が悪かっただけ。
それなのに、おじさんに近親相姦させるように仕向けるなんてひどい。

姉弟の情事は、わりと綺麗に描写されている。
エロチックだけど、あくまで硬質。
服の下で脱がされる下着、胸に触れる唇。

おじさんとミドの情事は、ものすごく生々しい。
獣のような息遣いとあえぎ声が、滑稽なくらいリアル。
まさに交尾なんだな。

まぁなんだ、演じる役者の年齢なんかも関係しているのかもしれないが、
「俺たちの美しい愛を汚いお前の舌で汚しやがって」というジテの怨念みたいなものが感じられる。
そしておじさんの、
「獣にも劣るわたくしですが、生きる権利はあるのではないでしょうか?」
という文言が、哀しみを伴って頭の中に響く。
これって冒頭の自殺した男が言う台詞でしたね。

自分の娘ミドに、真実を知られたくない一心で、おじさんは自分の舌を切ります。
こんなことが本当にできるのかどうかわからないけれど、
おじさんの気が狂いそうな焦燥がじりじりと伝わってくる。
画面を見つめていると呼吸が荒くなって、
まるで自分が自分の舌を切り落としているかのような感覚に襲われました。

そんなおじさんが、最後は、催眠術師に頼んで記憶を封印してもらうという選択をする。
ミドが自分の娘だという事実を忘れて、ミドと愛しあうことを選ぶ。
催眠術師も、それができるかどうかわからない、と釘を刺しますが、
どうやら成功した様子で映画は終わってゆく。

のですが、本当にあれは成功したんでしょうか?
もしかしたら、記憶を消すことなんかできていなくて、
それでもおじさんはミドと愛し合いながら生きてゆくことを選んでいるんじゃないか、って気もします。
そしてミドは?
ミドは本当に何も知らないままでいるのか?

ふたりとも知っていて知らないふりをしながら、
肉体的に愛し合いながら生きていくことを選んだんじゃないのか、という疑惑。
そういう疑いが、どーしてもわたしの頭を離れないのでした。

そういう結末を迎えてこそ、ジテの復讐が完成するんじゃないかなーと思うのです。
(やっぱり逆恨みだと思うけど。学校でするからだろ!バカ!)





この話はもともと日本の漫画が原作だそうで、わたしは未読です。
ラストなんかはまったく違うそうなので、ちょっと読んで比べてみたいな。
先日、ハリウッドでリメイクされてますね。
ポスター見たけど、全然伝わってくる情念が違うのでびっくりしました。
どういう仕上がりになっているんでしょうね?ちょっとだけ気になります。
監禁されている間に食わされる食べ物ってやっぱハンバーガーなんかな?
ピザ?
餃子は肉も野菜も小麦粉も入ってる完全食だからいーけどさ。

しかし監禁ビジネスって怖いですね。
いかにもありそうで本気でイヤだな。
身寄りのない生活保護者を集めて搾取している脱法ハウスも似たようなものかもしらんが。

残酷描写がどーのこーのといわれるべき作品ではないと思うし、
正直たいしたことないので、みなさまにぜひ観ていただきたいと思います。
ドロドロの復讐劇!とか言宣伝しているぬるい昼ドラなんて、
黒豆の煮汁くらい薄甘いわ!と思うこと請け合い。
てかそんなの観る人はこんな映画そもそも観ないか。

復讐三部作と言うからには、残り1作品「復讐者に憐れみを」を観ないと。
わたし、さかのぼって観ちゃってるんだな。
変な順番になっちゃったな~。


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