快刀ホン・ギルドン １６ 巨大な敵

《あらすじ》

ギルドンの誘惑？にも負けず、意志を貫くイノク。
彼女を側に置くことにして、ギルドンは楽しそうだ。
彼らの悪縁を知る和尚は、心配しながらも見守るかまえ。
同じく秘密を知るウネは、ギルドンへの思いを断ち切れずにいる。
絶対に結ばれることのないふたりが一緒にいるなんて、我慢できない。

ギルドンと王子が仲間だと、王は思っているだろう。
ノ尚君は、正体の知れている活貧党が盾になってくれると考えている。
王子は、貧民の味方をする彼らのためにも王になりたいと願う。
活貧党で民心を得て、四寅剣で両班の支持を得る。
しかし活貧党の戦う相手は両班だ。
はたして四寅剣とホン・ギルドン、ふたつの剣を同時に持つことができるのか？

ヨンムンは、根城に武器と指導官を送る。
任務は王子の側近チスが遂行する。
イノクに伝言を、と問われ、王子は心にもないことを告げさせ、心を閉ざすのだった。
彼女がいなくても、やっていける。
彼女に会うまでは、ずっとひとりで耐えていたのだから……。

当初の思惑と違い、活貧党の面々はなかなかの手練れ。
多少の問題はあるが……目的が同じなら、王子に従ってくれるだろう。
ノ尚君はギルドンの力を警戒しているのだが。

おりしも、大国清からの使節団が来朝した。
活貧党を追うことに執心している王は、外交はそっちのけで、
左議政は使節の接待をヨンムン商団に依頼した。

ある村が、火災によって全滅した。
アヘン中毒になった村人が錯乱し、つけた火が原因だ。
国内に安いアヘンが出回っている。
ギルドンは実態を探るべく、イノクと一緒に娼館に調査に出かけた。
計略を用いて売人を信用させたギルドンは、アヘン窟へ案内される。
そこで売り物のアヘンを吸うよう強要されたギルドンは躊躇するが、
とっさにイノクが言われるままにアヘンを吸い込んだ。
イノクの機転でその場を切り抜けたギルドンは、アヘンの元締めを探る。

各地に点在するアヘン窟の売人たちは、みな同じ屋敷に吸い込まれてゆく。
アヘン密輸の元締めは、清の使節団だったのだ。
ギルドンはチャンフィに会い、清の使節団を討ち取ってやると告げる。
チャンフィは、接待を任されているので合がいい。
ギルドンの計画に全面的に協力することにした。
王にも打撃を与えることができるだろう。

ギルドンたちは、捕盗庁に矢文をして宣戦布告。
アヘン窟の場所に印をつけておいたので、彼らはそこへ網を張るだろう。
娼館での宴の席で、やつらの悪事を暴いてやる。
まずは使節館の倉庫にあるアヘンをすべて盗み出すのだ。
ところが、そこには想像を絶するような大男がいた。
見上げるばかりの体格に、ヨンシもかなわぬ腕力。
さしものギルドンも歯が立たない。
必死の攻防のすえ、大男を倒したギルドンは、アヘンを持って娼館へ乗り込んだ。

大国の威信を声高に語り、朝鮮を見下す清の使節に内心怒り心頭の官僚たち。
そこへギルドンが現れて、使節を一蹴りで蹴り飛ばした。
もちろん護衛が飛び出してくるが、階上からはヨンムンの刺客が矢で威嚇している。
官僚たちは言われるままに庭に進み出て、大量のアヘンを山を目にした。
「やつらがこの国に何を持ち込んだかよく見てみろ！」

みなの前に立つギルドンに向かって、１本の矢が放たれた。
ノ尚君が、ギルドンの力を驚異に感じ、彼を暗殺する計画を立てていたのだ。
ところが、刺客の姿に気付いたチャンフィが、ギルドンの前に立ちはだかった。
飛んでくる矢を胸に受け、気を失った王子はその場に倒れ込んだ。

（つづく）


あ、なんかあっという間にラストシーンまで来てしまった印象。
前回の大盛り上がりの次の回はこんなものでしょうか。
ここまでもうぎゅうぎゅうに根詰めて見てきたので、
ちょっとほっとできるシーンがあって楽しかったです。

なにより根城にやってきたヨンムンの刺客たちが、
ギルドンの仲間に次々と籠絡されていく様がおかしい。
品がなく、めしをかっこんでいる連中をあなどってあきれかえるムク犬さんでしたが、
いやいや、これって見かけにだまされちゃいけませんよ、の典型。
相変わらず女好きのスグンが、ムク犬さんによく似たクールなお兄さんと張り合って
剣舞？を舞うところなんて圧巻ですねー。
ぜんぜん負けてないわ～。
よっ！女殺し！さすが元党首！パングン！（これ言ったらまた泣いちゃうかも）

ヨンシは舐めただけで武器の材料がわかっちゃうし、
この人、何フェチなの？武器フェチ？
コムは相変わらず感情の起伏が激しいみたい。
酒盛りで元気だったからトラウマ克服したのかと思ったら、そうじゃなかったのね。
急に落ち込んじゃって、刺客のおっちゃんに慰められています。
この子まだ子どもだからかわいいのよね。

マルニョ姐さんはムク犬さん２に粉かけまくってます。
「あなたの体の刀傷っていくつ～？
全部脱がなきゃ確かめられないわよねぇ～」って、思わず腰がひけちゃうムク犬さん２。
あらっクール気取ってるけど、そっちの方は奥手なのね。
マルニョ姐さん、近日中に彼を落としちゃいそうですね。
ムク犬さんがターゲットでなくてよかった……。

だってムク犬さん、思わず王子に聞いちゃうんだもん。
「イノク殿に何か伝言は？」って。
その質問も心なしか声がうわずってて、王子への愛があふれています。
そして強がってる王子の伝言をそのまま伝えたのはいいけど、
「でもっほんとはっ」って、王子の孤独を伝えてしまいそうになるのです。
イノクが鈍すぎる女でよかったね。
伝わったとしても、イノクが帰ってくれるわけでもないわけだしね……。
なんかもうぜんぜん本編とは関係ないところが気になってしまう。
ムク犬さんの日常を見てみたいわ。
彼の日記には王子のことしか書いてないような気がする。
今日は何回笑った、とか。

この回まで触れてませんでしたが、このホン・ギルドンは、
韓国では知らない人のいない有名な物語の主人公。
おはなしの作者はホ・ギュンだそうで、
イノクのじいちゃんが「語り部の時はホ・ギュンの名です」と言ってますね。
ということは、ギルドンの物語を書いて後世に伝えたのは、イノクのじいちゃんなのだ！
たぶん、おはなしの結末がこのドラマの結末とリンクするのではないかと
思いますので、ネタバレ嫌な方はウィキとかで検索しないでね。
わたしもどうなるのかはまだ知りませんが。

数奇な運命というやつとは無縁に生きてきていますので実感がわきませんが、
敵の息子、娘同士は、やはり結ばれない運命なのでしょうかね？
こういう設定って韓国ドラマにはよくあるけど、
記憶にもないような父親を殺した男の息子だということは、
絶対的な愛情の妨げになるものでしょうか？
ギルドンは、イノクのお父さん、お母さんを殺した男の息子。
ギルドンは、チャンフィの母を殺した男の息子なのです。

それはわかっているけれど、目の前のギルドンを愛さずにはいられない。
ギルドンをかばわずにはいられないというのが、
若いひとたちの正直な心境ではないでしょうか？

最後、ギルドンをかばい、飛んでくる矢を受けてしまったチャンフィ。
自分の身がどれほど大事なものか、この人最初からわりと無神経でしたが、
自分の影でもあるギルドンをかばってしまうとは……。
無鉄砲。
しかし、そこで計算など働かせず、思わず動いてしまうのがチャンフィ王子であり、
民に望まれ、民を守る王となるべき人なのでしょう。

チャンフィの心の中に、実はギルドンこそが民衆の太陽だという気持ちが
あったのかもしれません。
たとえ自分が倒れても、彼が生きていれば、国は変わる、と感じているのかも。
「あんただけは無事でいなきゃいけない」というイノクの思いと同じように。

彼女がギルドンのかわりにアヘンを吸ったのは、
ギルドンが自分の愛する男だから、という今までの理由とは違う気がする。
「大将って呼ぶわ」というイノクの覚悟は本物のような気がします。
ギルドンは、苦しむ民衆のために、国のために、無事でいなければいけない男なんだと
感じているんじゃないかなぁ。

古い世代のノ尚君には理解できない感情かもしれませんね。

ま、そこまで王子が思っていたかは定かではない。
とっさに体が反応しちゃったんだろうし。
どっちにしても、チャンフィにとってギルドンはとても大切な人なんだ、ということは確かだね。
自分をかばって王子が！ってギルドンも超びっくりしたと思います。

ギルドンが王子に会いに行ったとき、お菓子出してくれよってねだりますよね。
一瞬、イノクのおみやげにするつもりなのかなーと思ったのですが、
どうもイノクにもらっておいしかったお菓子をまた食べたいだけの様子。
王子も「へんなやつだな」って笑いますが、「悪いかよ」といいたげなギルドンの表情がかわいくて。
こういう子どもみたいなところが、ギルドンの魅力なんだなー。
ギルドンとチャンフィに、普通の青年同士みたいなたわいもない交流をしてほしいなぁと切に願います。
そんなこと、夢のまた夢だろうけど……。
でもこのあときっと、一緒にお菓子を食べたんだよね？
「これは清の菓子だ」とか「もっと甘いのないのか？」とか。
そうなるときっと王子は、お土産に持たせてあげただろうな～。

変な大男とか出てきてあれよあれよという感じでラストを迎えた今回でしたね。
チャンフィもギルドンも面が割れてるし、
今度は正面切って王に立ち向かうことになるわけですから、
物語の新たな船出としては、ゆっくりゆっくり、とソロソロ進んでいる感じでしょうか。
清まで敵に回しちゃってでかいしねぇ。
内心憤っていた官僚たちも、使臣がぺちゃんこにされて溜飲が下がったんじゃないですか？
こっそりギルドン支持派も出てくるかもしれないですね～。