私の名前はキム・サムスン 〆８

　　第８話　「お父さん、私の恋はどうしてうまくいかないの？」

サムスンが一足先に済州島から帰ってきて、はや４日。
ジノンからはなんの連絡もない。
店にも出てこないなんて、どうしたんだろ？
サムスンはぼんやりして、元気がない。
メールを出しても返信はないし……。

ジノンは「病院にいる」とだけ、メールをよこした。
サムスンは心配するが、なんのことはない。
ジノンはヒジンの検査につきあって病院に来ていたのだ。
あと５年、再発がなければ一応の安心はできるはず。

姉さんは、ジノンにいいようにされたんだ、とサムスンを責める。
かわいい妹なんだもの。こんな扱いひどすぎる。
それでもサムスンは、ジノンに会いたい。会いたくて仕方がない。

サムスンはジノンのためにお菓子を作った。
手の込んだ洋菓子、ミルフィーユ。
そしてエゴマのおかゆ。
意を決してジノンのマンションへ届けに行ったサムスン。
対応に出てきたジノンは、きょとんとした表情。
「差し入れです」練習した台詞もうまく出てこないサムスン。
そこへ後ろから、ヒジンが顔をのぞかせた。
「わざわざ作ってきてくれたの？」
「……おふたりでどうぞ」
いたたまれなくてさっさとその場を離れようとするサムスンに、ヒジンが声をかけた。
「キム・ヒジンさん、ごめんね」
「何が？」
「なんとなく……ごめんなさい」

一度は退去したサムスンだったが、やっぱり一言いいたいことがある。
「第６条を覚えてる？二股はかけない。契約破棄よ、この悪党」
ジノンのすねを思いっきり蹴飛ばして、サムスンはエレベーターに乗り込んだ。
後を追い、同乗したジノンは、サムスンに告げる。
「僕はヒジンとやり直す」
「そうみたいね。おめでとう」
「契約は破棄します」
「そうね」
「5000万は返さなくても結構……」
言いかけたジノンは、サムスンに思い切り頬を叩かれた。

「人の心が5000万で買えると思ってるの？
なぜあんなこと言ったの？
他の男の目を見るな、話も聞くななんて。
そんないい加減な男だったの？
まあいいわ。気分でいったことだったのよね。
でもハルラ山に登ろうって言ったのは？
何もわかってないのね。
あれは、あの言葉はね、僕はあなたが好きです、そういう意味なの。
こんなふうに裏切るなら、あんな約束なんかしないで！
なぜ余計なことを言ったのよ！この悪党！」

「だから、お金は結構です」
この後に及んでそんなことしか言えないジノン。
「いいわ。もらってあげる。
あなたが好きだっていったこと。取り消すわ。間違いだった」
「本気でした。ハルラ山に登ろうといったこと。
いつか一緒に行きたい。本心です」
「へぇ？足が痛くなったら、私におぶわせる気？
ハルラ山には、彼女といきなさい」

サムスンは、そういって自転車でさっそうと去ったつもりだったが、
ジノンの前で倒れ、病院へ運ばれた。
原因は……心労による寝不足。それ以外はなんの問題もない。
ぐうぐうといびきをかいて眠るサムスンのもとへ、姉が慌ててかけつけた。
「ヒジンさん？」
思わぬ再会に、驚くふたり。

姉さんはヒジンに、サムスンとジノンの契約恋愛について説明する。
ジノンは眠っているサムスンの枕元で、
たまっていた留守電のメッセージを聞いていた。
「お兄さんの話をしてくれて本当にありがとう」
うなされるサムスンを見て、ジノンはあの、告白シーンを思い出す。
「行かないで」と自分を止めたサムスン……。

病院からの帰り道、サムスンは涙が止まらない。
ジノンが車を買ってた。
自分で運転するって言った。
お兄さんの事故のトラウマで、運転できなくなってたのに、
もう平気なんだ。運転だってできるんだ……。

ヒジンは、ジノンの母に呼び出されていた。
懐かしい、彼の実家。大きくなったミジュもいて。
しかし、ジノン母は冷たかった。
「息子とは別れて」
上の息子夫婦を事故で亡くした。
ひとり残ったジノンに、病弱な嫁はほしくない。
娘同然にかわいがっていたヒジンまで死んでしまうようなことがあれば、
自分はもう耐えられない。
「アメリカのご両親のもとへ帰りなさい」
ヒジンは納得できない。
「完治したらもどってやり直せとおっしゃったわ。
約束したのに。約束したのに……」
病気は完治したのだと、ヒジンは泣いてすがる。
それでもジノン母の決心は変わらない。
ただ、泣き崩れるしかないヒジン。

サムスンは食堂で焼酎をひっかけている。
飲んでいると、ふと死んだ父親が隣席へ座った。
「また失恋したのか。なんでそんなやつに惚れたんだか」
父さんと話していると、19の頃にもどった気分。
「元気出せ。失恋も楽しまなきゃ」
「信じられないよ。30にもなって男のことで泣くなんて」
ただ、幸せになりたいだけなのに。
30になっても、心はときめくし、傷つきもする。
それがつらい。
「心が石みたいにカチカチになっちゃえばいいのに」

（つづく）

あはは、もうサイテーですね、ジノン。

ナップンノム！（怒）

言うと思った、言うと思ったよ～、
「5000万は返さなくてイイです」

あの場面で、お前がいうべき一言はそれじゃない！
かといって、謝れ！というのはちょっと違うと思うんだけどさ。
あそこでお金のこと言っちゃうのがジノンなんだよね－。

彼は本気でわかってないでしょ？

なにしろヘンリーが邪魔で、
「金は全額出してやるから中国へでも行ってこい」と
無茶苦茶なことを言い出している人ですから。
何様なんだお前は。

ゆっときますけど、ヘンリーはヒジンの主治医ですよ？
ずっと彼女を支えてくれた人よ？
それがわかってるから脅威なんでしょうけれど……。
金持っててあくどい男ですね、ジノンサイテー。

そんな男だから、サムスンのことは正直、
これで5000万丸儲けなんだからいいだろ、くらいに本気で思ってそう。
はやく人の真心を思い出してほしいわ。
てか、サムスンにだって心があるってわかってくださいよ。


告白を取り消すサムスン。おお！やせてるな！

サムスンはすっかりこの男に惚れちゃってさぁ、かわいそうだよ。
やめとけやめとけ。
前カレのヒョヌとどこがちがうわけ？
ヒジンが好きだから、やり直す。
でもサムスンといつかハルラ山に登りたいのは本当。
どっちも手放したくない男の二股だよ。

サムスンがジノンを好きじゃなければ成立する話かもしれないけどね。
ジノンにとっては、自分の傷を受け止めてくれた包容力のある人がサムスンなわけで、
友人としてとても大事に思っている、というのもありなのかも。
女として、愛せなくても。

でもサムスンはジノンを好きになっちゃったしな～。

正直、ここでジノンがヒジンをふって、サムスンと付き合う理由はないでしょ。
私はサムスンのこと好きだけど、ジノンがサムスンと付き合うべき！みたいな気持ちがわかないの。
ヒジン、体も良くなったし、いい子だし、根性あるし、別にジノンとうまく行けばいいじゃん。
アメリカ行ったのも、ナマズ母の差し金じゃん。
うまいこといいくるめられて渡米させられたんじゃん。
ヒジンが主役だったら、ここはナマズ母の陰謀をばらして、
ジノンと結婚しなくちゃダメな展開でしょ～。

なんか続きを観ようというモチベーションがさがっちゃったなー。
みんなはどんな気持ちで続きを観たのさ？
え？もしかしてここからは、ジノンとヒジンの恋のキューピッドをサムスンがやるわけ？
寅さん？

そんなわけないよね。
だとすると、どうなっていくんだい？
ベタだなんだと言われても、敵役が憎らしいからヒロインがかわいく見えるんじゃない。
こんなに完璧な敵役出してきてどーすんだろ、この先。

しれっとした顔のジノンがほんとに腹立つわ。
お姉さん、やつをぶっ飛ばして正解です。
姉妹っていいわね。
30才のサムスンが、お姉さんとケンカするときは、子どもにもどってる。
いつまでたっても姉と妹なんだねー。
もうひとりの姉さんもいつか登場すんのかな？

そしておっと、今回のびっくりは、この方！

キム・ナムギルくん、出てたんだ？

あ～、２話あたりでちょこっと出たとき、あやしいなーと思ってたんだよね～。
よく似た人だな、と思って。
でも本人だったのか。
なんと言うこともない、ヒジンとジノンの共通の友人で医者、という役どころ。
しかしヒョンビンと並んで見劣りしないハンサムだわ～。
このふたりどちらも、その辺に、いそうでいない、いい男。
あっさりすっきりしたお顔立ちで嫌みのない好青年。
病院のシーンとかでまた出てくるのかと思うと気が気ではない。
本筋とは関係なさそうなのでいいんですが。

ああ！こんな脇の話はどうでもいいんだよ～。
でもなんか本編がモヤモヤするんだよ～。

どっちかってーと、恋のドキドキとか、成就するまでのどうのこうのより、
サムスン世代の女性が感じる心の揺れとか、戸惑い、痛み、あせり、でも消えない期待、とか
そういうのを描きたいドラマなんだねぇ～。
うん、そういう点では激しく成功よ。

観ていてすごく切なくなるし、つらくなる。
でも、だてにここまで生きてきたわけじゃないから、
その心の痛みすら、味わい尽くしてしまいたいと思う自分がいる。
恋の楽しみって、甘さだけじゃない。
こういう苦みも含めての、恋だものね。
サムスンパパのいうこと、よくわかるわ～。

そして苦い心には苦い酒、というサムスン。
あんたオヤジ化進んでるわよっ！気をつけないとっ。
かぁ～っとか言って焼酎あおってないで、
ビタースウィートとか言いながらお菓子作ってかっこつけなさいよ！
見栄張らなくなったら老ける一方よっ！

サムスンにびんたされて真っ赤になったジノンの顔を見て、ちょっとすっきり。
あれ？でもこのモヤモヤ感って、サムスンが感じているモヤモヤそのものなのかも。
ふたりがうまくいってとーぜんじゃん。あたしの割り込む余地ないじゃん。
これからどーすりゃいいっての？
サムスンの、そんな気持ちとシンクロしちゃってるのかな－。

しょうがない、次も観るか。
だってサムスンだって、モヤモヤしながら明日も仕事にいくんだもんね。
おっしゃ！