愛煙家の多事総論

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東アジアの工場として

2009-12-07 01:57:44 | 国際情勢
先日、ひょんなことからテレビなどでよく北朝鮮問題について語っているI教授とお話しする機会を頂いた。その教授は、北朝鮮問題については割りと激烈な意見をお持ちなのだが、それは現政権に対してであって、北朝鮮という国そのものにはかなりの期待をしていた。

出会い頭に開口一番、教授は仰った。

「君、早く金正日政権を潰さないと、日本経済はダメになるよ」

と。
いや、教授、前提が分からないです。

「だからだね、北朝鮮を早く民主化して、日本ひいてはアジアの工場化するべきだよ」

と、教授は続ける。

つまり教授は、中国、インドに代わる日本企業の工場として、北朝鮮を使うべきだというのだ。
正直、それはかなり良い案だと思う。
中国は人件費が年々高騰し、最早工場価格では人を雇えなくなってきている。勿論、田舎では今でもたくさんの工場が稼動しているが、中国がこのまま成長し、世界一の経済力を持つようになれば(まあ、人口規模から考えれば、世界一になるのはむしろ遅すぎた)、それにつれて人件費もどんどこ上がるだろう。

ということは、中国には単純生産の工場を作って、人件費安上がりでうはうは・・・という日本企業のお家芸は通用しないわけで。

インドも同様で、どんどん富裕層が増え、人件費も増してきている。まあインドの場合は頑固なカースト制度があり、働ける場所さえ決め付けられてしまうから、工場労働者が劇的に減ることはなさそうだが、そもそもインドは工場を置くにはいささか遠いし、治安も決して良くはない。

んで、最近それに代わるものとして東南アジア、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、フィリピンなどなどが次世代の工場として注目されている。
まあ、そこいらの国も悪くないし、ベトナムなんかは水資源も豊富で条件的にはすばらしい。が、イスラム圏が多いためにテロの危険もあるし、宗教摩擦の危険もある。
何より、周辺海域に海賊が多いのは、日本企業ならずとも悩みの種だ。

が、仮にもし北朝鮮が民主化し、新政権が外貨獲得のために企業誘致を始めたら、どうだろう。

中国、韓国は勿論、日本企業だって飛びつくだろう。

何せ、生まれた時から働くことを強制されてきた人間だ。勤勉さに掛けてはかなりのもの。
おまけに集団規律も持っている(同じ共産圏なのに、何で中国には規律が育たなかったのか。民族性なのか?)。
工場で働かせるには、これ以上ない人材が、単純な労働人口としてみても100万人を越える。
しかも、資源も多く、おまけに土地は腐るほどある。

何より、今まで無給で働かせていたため、例え世界基準では安すぎるといわれる給料でも喜んで働くだろう。

しかも、日本からはかなり近く、飛行機で行けば、東京からでも3時間程度だ。



と、ここまで挙げれば良いこと尽くめだが、そもそも金王朝が続いている現在では、所詮画餅に過ぎないわけで。

そもそも、教授が言ったようなことは、既に、ソ連が崩壊したときシベリアを世界の工場化しようと欧米諸国が頑張り、失敗に終わってるわけで。


まあ、現時点では画餅に過ぎず、失敗の公算も高いけれど、それでも着たちょうっせんを東アジアの工場とする案は悪くないと思う。


日本がゴキブリ並みに憎まれているという問題を解決できれば、だが。


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